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論文を読んでいて、IC50というものを初めて知ったのですが、
少しわからないことがあるので、質問させていただきます。

IC50の単位として、ng/mlやnMといった単位が使われますが、
これの意味がわかりません。

参考にした文献には、対象となる酵素の量や濃度が書かれておらず、
どのくらいの量の酵素に阻害剤を加え、
50%阻害時のIC50を求めたのかがわからないのです。

ただ、私の考え方が根本から間違っており(たぶん間違ってますが)、
IC50とは、50%阻害時に加えた酵素阻害剤の量/酵素の量なのかなと思うのですが、どうなのでしょう?

つまり、1×1×1cmのセルに酵素を入れ、
そこに阻害剤を加え、50%阻害時の量を分子にして、IC50を求めるのでしょうか?

また、まったく別のことなんですが、
文献中に「chitotriomycin」という言葉がでてくるのですが、
これはキトトリオマイシンと読めばよいのでしょうか?

簡単なことなのかもしれませんが、
上記2点についてよろしくお願いします。

A 回答 (1件)

タイトルにも書かれているようにIC50は50%阻害濃度(50% inhibitory concentration)と訳され,概念上はあくまでも「濃度」です。

従って単位としてはng/mlやnMのような濃度を表わすものが使用されるのは自然だと思いますがいかがでしょう。
 「50%阻害時に加えた酵素阻害剤の量/酵素の量」だと少なくとも単位上は無名数の値になるのがわかると思います。

 IC50という場合の濃度は系に加えられた阻害剤のバルクの濃度を通常指します。従って酵素や受容体に結合してしまった分を差し引いた真の濃度は通常わかりません。それで酵素の濃度や量を書かないとおかしいのでは,と考えておられるのでしょうか。それであれば確かにそうでして酵素濃度の記載が見られる報告も多くあります。本格的に行なう場合は酵素濃度を振ってそれぞれの条件でIC50を求め,酵素濃度ゼロの時のIC50値を外挿して求めるのがスジかもしれません。
 しかし普通はそこまでしてIC50を求めることはないと思います。というのはIC50は多くの場合理論的には固有値とならない場合がほとんどだからです。例えば阻害剤が拮抗的阻害剤などの場合,測定上必ず基質を加えなければなりません。ところが拮抗的阻害剤は基質を競合的に追い出しますが,見方を逆にすると拮抗的阻害剤は基質により競合的に活性中心から追い出されます(これはレセプターに関した実験でも同様です)。つまり基質の濃度が高ければIC50は高くなり(阻害効果は弱めに出る),低ければ小さい値をとります。採用する基質の濃度が10倍違えれば,IC50も約10倍違ってきます。ということで酵素に結合した量を無視したとしても,IC50は条件に依存した非固有地であることがわかると思います。
 ではちゃんとした値はなにかというと,これは基質ゼロの時に求められるIC50値(50%結合濃度に相当)であり,熱力学的には解離定数となります。解離定数は等温等圧では条件によらない固有値となります。ただ基質濃度ゼロの時にはそもそも酵素反応などはかれませんから,実際にはIC50から特別な式を用いて逆算することになります。
 このように求めたKi値でも酵素に結合した阻害剤の量による誤差は出てきます。したがってきちんとKiを求める場合には先ほど述べたような酵素濃度を振るような方法が行なわれますが,ここまで徹底的に行なうのは稀だと思います。
 ご質問にピンポイントに答えてはいないかもしれませんが,IC50をめぐる背景はご理解いただけたでしょうか?

 chitotriomycinについてはすみませんがよくわかりません。
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