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久しぶりに本の整理兼処分をしている際に、赤茶けかかったモームの短編集が目にとまり、最初の「雨」をなにげなく読みはじめました。

以前から気になっていた部分ですが、上から10行目あたりに、
A little way off he (=Dr Macphail) saw his wife in a long chair talking with the Davidsons, and he strolled over to her.
と書かれています。
この日本語訳(岩波文庫ー朱牟田夏雄訳)を見ると、つぎのようになっています。
「すこし離れたところに、妻が長椅子に寝そべって、デイヴィッドスン夫妻と話しているのが見えた。」

上記英文中の"in a long chair"という部分が、「寝そべって」と訳されていますが、「ゆったり椅子の背にもたれて座っている」様を表現しているのではないかと、昔から気になっていました。

医者の奥さんが、夫婦とも宣教師のデイヴィッドスン夫妻と、「寝そべって」話す、というのもおかしいのではないでしょうか?

もとより当方英語にはまったくのシロウトですから、このような大学者の訳文に疑問を抱くほうがおかしいのかもしれませんが・・・

たしか最初に出た中野好夫訳がそうなっていたと思いますが、それにさからえずに踏襲したのかなと思っている次第です。
どなたかこの正しい意味を教えてください。

A 回答 (5件)

 日本語の「椅子」に相当する英語はいろいろあります。

長椅子なら「bench」か「couch」、柔らかな素材なら「sofa」、背もたれがなければ「stool」、安楽椅子なら「rocking chair」です。

 では「long chair」となるとどのようなイメージがあるのでしょうか。「long」には「幅」ではなく「奥行き」や「縦」が長いという意味があります。お尋ねの小説の中では、背もたれがリクライニング式になっており寝そべった状態にすることができる「beach chair」か「deck chair」のことだと思われます。

 正確な解釈をするためには、もう一つ考えなければならないことがあります。それは、「on a long chair」ではなくて「in a long chair」となっている点です。「on a long chair」であれば、たとえ「デッキチェアー」であっても、「寝ている」状態ではなく「(背中を起こして)腰かけている」状態を表すことになります。

 お尋ねの英文の中において「on」ではなくて「in」が用いられているのはなぜでしょう。「in」には「~に包まれて」とか「~に覆われて」という意味があります。

 したがって「in a long chair」という表現には、「椅子にただ座っている」状態ではなく「デッキチェアーに(自分の背中と腰を密着させて)寝ている」という状態を表したいという作者の意図が感じられます。

 以上の点から、岩波文庫の日本語訳で用いられている「寝そべって」という部分は問題ないと思われます。ただし、「長椅子」という日本語は、普通「座る部分を横に長く作った椅子」や「ソファー・ベンチなど」を表しますので、「デッキ・チェアー」とした方が現代人には分かりやすいでしょう。

 ご参考になれば・・・。



 
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この回答へのお礼

ありがとうございました。
「長椅子」や「寝そべって」という表現に
違和感をもったもので・・・
日本語をもっと勉強します。

(失礼! 他の皆さんにも同じお礼を
申し上げます)

お礼日時:2008/09/18 09:23

下記に chaise longue を説明するリンクを付け足しますが、英語で「ロング.チェア」と言う場合は、寝椅子、デッキチェアを意味しますが、それはフランス語の chaise longue を直訳したものです。

ウェブサイトの説明にあるように、英語を母国語とする人が気どりたい時にフランス語を使ったりするものですが、 chaise longue の場合は、実は chaise loungue (ラウンジ.チェア)と言うべきで間違ったままのフランス語を英訳した、という事です。
これ言語学の授業でも教授が話してました。
このモームの小説はクルーズ中での話で、デッキの上という設定ですから、デッキチェアに横になっていても特に違和感は感じられませんが。

参考URL:http://www.wsu.edu/~brians/errors/chaise.html
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翻訳する場合には,状況を説明するのに苦労するわけですが,この場合,その時点でデッキチェアに相当する日本語が無かったので,とりあえず「長椅子」という単語を使い,状況で「寝そべって」と補足したのでしょう.「寝そべって話す」で良いのです.


この場合,「long chair」がどんなものか把握しているかどうかで,日本語訳がまるで変わってきます.素人の翻訳なら,「長椅子に座っている彼の妻が」とだけ訳す可能性は高いです.そうすると,「寝そべって」という翻訳に違和感が持つことになります.
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「雨」を実際に全部読んだわけではないので、自信はありませんが、「寝そべって」の訳でいいのではないかと思います。



ネットで検索し、アマゾンの Book 検索で「雨」の冒頭の部分のみ多少目を通してみると、この小説の舞台が船であることがわかりました。

この場合の long chair はおそらく大型の船によくあるデッキチェアーを指しているのだと思います。夏、海岸などでもよく見かける、人がほとんど寝た状態で使用するやつです。普通の椅子と違って、完全にくつろぐためのものですから、上半身を垂直状態にして使用することはまずないものでしょう。
この大型の観光船には甲板にデッキチェアが並べられていて、デイヴィッドスン夫妻も妻の隣のデッキチェアーに同じように寝そべっているのだと推測します。夫だけが立って船の手すりにもたれています。

デッキチェアーという言葉が昔はそれほど使われていなかったので「長椅子に寝そべって」と表現したのではないかと思います。今なら「デッキチェアーに身を横たえて~」と訳しても全然問題ないでしょうが。
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どちらかというと「長椅子」という訳語が、今や、古臭いのだと思います。

場所は大海原のど真ん中ですよね。

「すこし離れたところに、妻がデッキチェアに寝そべって、デイヴィッドスン夫妻と話しているのが見えた。」

なら、自然に感じるのではないでしょうか。いくら相手が宣教師だからといって、くつろぎのひとときに、デッキチェアに腰掛けるほど野暮なレディはいないでしょう。潮風のにおいがしてきそうな、モームらしい場面ですね。
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