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電気化学が仕事で必要になってはや半年、これまで独学で勉強してきつもりなんですが今更ながら「なんで?」って思うことが出てきました。基礎的な内容で申し訳ないんですが、教えてください。

定電位法やサイクリックバルタンメトリーなどの電気化学測定はセルに電圧を入力し、得られる電流を測定する方法だと思っています。
三極セルを用いた場合は参照極-作用極に外から電圧をかけて、作用極-対極に流れる電流を測定する。

ここで疑問です。

電圧は参照極-作用極にかけているのになぜ作用極-対極に電流が流れるのでしょうか?

作用極-対極にながれる電流は酸化還元電流なので作用極で酸化(もしくは還元)が起これば対極では必ず還元(もしくは酸化)が起こる必要があります。
対極は通常、白金です。白金はイオン化系列からみてもそれ自身がイオン化することがまず無いため、対極は溶媒かもしくは電解液に解けているイオンの酸化、還元反応で電子のやり取りをしていると思われます。
参照極-作用極に電圧をかけていったとき、いずれは作用極で酸化(もしくは還元)が起こることはわかるんですが、そのときなぜ対極はタイミングよく還元(もしくは
酸化)を起こすことができるのでしょうか?
作用極-対極は低抵抗でつながっているだけなので基本的には等電位だと思うんですが。。。
それとも作用極-対極には電圧をかける機構があるのでしょうか?

すいませんがよろしくお願いします。

A 回答 (7件)

まさにフィードバック制御です。



参考URLの Figure 1 にポテンショスタットの簡単な回路図がありますが、 参照極出力をオペアンプの入力(負入力)に戻してフィードバックをかけていることがわかります。オペアンプが理想的(ゲインが無限大で、オフセットがゼロ)なら入力電圧と、参照極の作用極に対する電圧は同じになります。そうなるようにオペアンプが対極に電圧をかけるわけです。電流が流れる経路は対極-作用極の間であって、オペアンプの入力インピーダンスが大きいため参照極には電流は流れません。電位をモニターしているだけです。

というわけで理想的には「測定してほしい電圧」と「モニタ(出力)結果」は同じです。

参考URL:http://www.potentiostat.com/manuals/stat/
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この回答へのお礼

なるほど、参照極-作用極が測定したい電圧になるようにフィードバックしながらオペアンプが作用極-対極に過剰な電圧をかけるかけですね。
よくわかりました。
ありがとうございます。

お礼日時:2003/01/08 11:55

> 電解液はそもそも全体で中性でいる必要は無いのでしょうか?



いえ,常に中性です。anisol さんの示した回路図にある通り,実際に電位がかかるのは CE です。にもかかわらず WE で Redox が起こるのは,系全体が常に中性を維持しようとするからです。

> どこかで還元が必ず起きるものとばかり思っていました。

この認識が間違えています。還元が起こらなくても,CE の電気二重層の変化だけで対応できるのです。前の回答を良くご覧下さい。

anisol さん:

私は電子工作レベルはたかが知れておりますので,No. 6 の参考 URL2 は難しすぎでした。ただ,URL1 の Fig. 6 は大変参考になりました。先の回答で,私は WE → GND 間の電流を測定すると書きましたが,これは Fig. 6 のとおり OP → CE 間に電流計を置いても本質的には一緒ですね。

このような回路図を見ると,なんだか自分でも CV を作れそうな気がしてきますね。ただ,電流値を精度よく求めるのは大変そうな気がしますが…。大変ありがとうございました。
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38endohさん:


>一般的な成書にもそう書かれてあったはず

ええっ、そうなんですか。そんなことしたら参照電極の内部抵抗で電圧降下しちゃいそうだし、参照電極が電解されてぶっこわれちゃうんじゃないの?とか思ってしまうんですが…(すみません、素人考えです)。

ポテンショスタットの回路について少し詳しく解説してあるページが見付かりました。参考URL1のページの真ん中あたり、"Potentiostats - well used"の下の introduction (PDFファイル)です。(OKwebではPDFファイルを直接リンクしちゃいけないみたいで)

実際の製品のブロックダイヤグラムとしては参考URL2の manual (PDFファイル)の15ページが参考になりそうです。フィードバックの方法は前の回答で挙げた簡単な回路とは少し違っていますが原理は一緒です。

参考URL1:
http://chem.ch.huji.ac.il/~eugeniik/electrochemi …
参考URL2:
http://www.heka.com/chem/equipment/pg310.html

参考URL:http://chem.ch.huji.ac.il/~eugeniik/electrochemi … http://www.heka.com/chem/equipment/pg310.html
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すいませんいろいろと補足・訂正します。


ー非可逆なものは構造的に酸化か還元のどちらかしかしえないー
表現が間違っておりました。可逆というならもちろんredoxしているわけですが
非可逆であってもredoxします。しない場合は先の方の言うとおりで勘違いでした。また可逆非可逆の表現自体も反応速度論なので的を得ておりませんでした。REのフィードバックはまさに先様の言うとおりです。 電位窓とは測定対象物の電位窓ということでよろしいのですね。昔、やっていたのは有機電極反応でCV・DPを使い、分解は避けなければなりませんでしたので電位窓といわれると電極材、溶媒の
ようなブランクについてを考えておりました。がんばって下さい。
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横から失礼いたします。



まず,T-Ein さんへの回答としては「CE では必ずしも酸化還元が起こらなくても良い,むしろ酸化還元はほとんど起こらない」ということで宜しいでしょうか? WE 上の電極反応の電流は非常に微少であり,その程度の電流は,CE の電気二重層を変化させるだけで十分対応できるのです。逆を言うと,そのために CE に白金板やメッシュ,白金黒を使い,面積を大きくしてあるのです。

> > 非可逆なものは構造的に酸化か還元のどちらかしかしえない
> そんなものがあるんですか。勉強不足です。

これは化学反応が伴うようなケースのことですね。例えば,Redox 反応によって不安定化し,すぐに後続化学反応が起こる(例えば電気分解する)ようなケースなどです。現に,ご自分で書かれているとおり,

> 電位窓の測定は電気分解の電気化学測定になると思うんですが。

これはその通りです。電位窓測定における電気分解のピークは,電位を折り返しても電流値が逆側にほとんど振れません。これは非可逆な反応だからです。

なお,CV は電極近傍のみの電気化学反応であり,バルクの反応ではない,ということは宜しいですよね?

さて,anisol さんの回答を見て私はとてもビックリしたのですが,私は今まで「RE と WE の間に電位差をかけ,WE から CE に流れる電流をモニターする」と認識しておりました(一般的な成書にもそう書かれてあったはず)。しかし,実際の回路である No.3 の参考 URL の図はそうはなっておりませんね。図中のオペアンプは差動増幅器として機能しており,また AE は CE のことだと思いますが,だとすると電位がかかっているのは明らかに CE ですね。CE と RE がこう接続されているとすると,電流値は WE から GND に流れる量を計測しているのだと思います。実際の回路を初めて知り,とても勉強になりました。> anisol さん

この回答への補足

すいません質問に説明不足な点があったみたいです。

すでに間違いだと言うことはわかったのですが、
「参照極-作用極に電圧をかけているだけで作用極-対極に電流が流れるのだろうか?」
と言うことでした。

そう思った理由を下に書きました。
(1)酸化還元電流は、酸化かつ還元がなければ発生しない。作用極で酸化する際の電流を測定するには対極でタイミングよく還元する必要がある。
(2)作用極にたまった電荷を対極に逃がすために、作用極-対極が低抵抗でつながっている。作用極-対極が低抵抗でつながっているだけなら、基本的に等電位なので作用極-対極の電位差は0Vである。電位差がないところに電流は流れませんよね。

38endoさんは(1)について書いて下さったんですね

補足日時:2003/01/08 22:38
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この回答へのお礼

>CE では必ずしも酸化還元が起こらなくても良い・・・

私は、てっきり酸化と還元は常に一対で、酸化だけが起これば、電解液の電荷のバランスが崩れるので、どこかで還元が必ず起きるものとばかり思っていました。
でも酸化のみが起きている状態では、どうやって電荷のバランスをとっているのでしょう?電解液はそもそも全体で中性でいる必要は無いのでしょうか?

だんだん、質問内容から外れていっている気がしますが
よろしくお願いします。

お礼日時:2003/01/08 15:39

昔電気化学をやっていました。


サイクリックボルタンメトリー(CV)、三極セル(三電極)、参照極(RE)
作用極(WE)対極(CE)、電気化学測定としては溶媒もしくは支持電解質は設定電位において分解しないことを前提として、測定対象物を酸化(Ox),還元(Red)する。
可逆(酸化還元する、定義有り)なものの電位は一定の条件下で決まっています
が、非可逆なものは構造的に酸化か還元のどちらかしかしえない事もあります
(溶媒・電極材質・電解質の電位窓内で)。REは参照極といいますが基準電極
とも言います。電極上で副生成物や電極面のredox種の濃度とうでCEとWEの電位
が変動するのを防ぐため、反応に関係しないREを基準としています。
 電気分解と電気化学測定法(CV等のredox)ではちょっとニュアンスが変わって
くるので多分勘違いなされているのだと思ったのですが・・。
 電気化学測定法ー技報堂出版でより詳しく。大学の教科書でわかりやすかったです。
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この回答へのお礼

> 非可逆なものは構造的に酸化か還元のどちらかしかしえない

そんなものがあるんですか。勉強不足です。
でも酸化、還元の一方しか起こらないものは平衡状態にならないのでは。となるとその物質の標準電極電位はどんどん高く(もしくは低く)なっていくような気がするのですが。。。

>電気分解と電気化学測定法・・・・

電位窓の測定は電気分解の電気化学測定になると思うんですが。間違ってますでしょうか?

お礼日時:2003/01/07 20:04

電圧を参照極-作用極にかけているのではなく、参照極-作用極間の電圧が一定になるように、作用極-対極に電圧をかけています。

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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。

やはり作用極-対極に電圧をかけていたんですね。
と言うことは
例えば、サイクリックボルタンメトリーで電圧を走査するのは作用極-対極で、得られるI-V曲線はともにモニタ(出力)結果と考えてよいのでしょうか?

そうなるとまた疑問が生じます。サイクリックボルタモグラムの横軸(電圧)は測定者が設定した値なのに、電圧が出力結果とはどういうことでしょうか?
ポテンシオスタットは測定条件(測定してほしい電圧)でフィードバックをかけながら電流を測定しているのでしょうか?

お礼日時:2003/01/07 19:31

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