原子軌道や分子軌道の勉強をするための教科書を探しています。
私は、有機化学を専攻しようと考えている薬学部の3年生です。
未だにオクテット則の範囲でしか有機化学を捉えることができず、硫酸や五塩化リンなどのオクテット則の範囲で考えることができない化合物を目の前にすると、それ以上考えられなくなってしまいます。今までごまかしつつ勉強していましたが、そろそろ原子軌道や分子軌道からしっかり理解したいと考えています。何か良い教科書がありましたら教えていただけませんでしょうか。
(なお、現在の知識のレベルは、波動関数、s軌道とp軌道の混成、ヒュッケル法くらいを理解したつもりになっている程度です。体系化して学んでいないので、どのくらい勉強したかを説明するのは難しいですが・・・。)
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
■教科書について
原子軌道や分子軌道の勉強をするための教科書として、以下の三冊をおすすめします。
[1] 大野公一「量子化学」岩波書店 (1996).
http://webcatplus-equal.nii.ac.jp/libportal/DocD …
[2] 藤永茂「入門分子軌道法 : 分子計算を手がける前に」講談社 (1990).
http://webcatplus-equal.nii.ac.jp/libportal/DocD …
[3] 大野公一, 山門英雄, 岸本直樹「図説量子化学 : 分子軌道への視覚的アプローチ」裳華房 (2002).
http://webcatplus-equal.nii.ac.jp/libportal/DocD …
この中では、[1]がもっともバランスのとれた教科書です。[2]は、より基礎的・原理的なところからしっかりと書かれている教科書です。ふつうの教科書では省略されているような数式が、ていねいに書いてあります。それに対して[3]は、数式がほとんどなく、軌道の模式図とエネルギー準位図の理解の仕方について、ていねいに書いてあります。
この三冊を図書館で読み比べてみて、自分に合っていると感じた一冊を選んで勉強するのがいいと思います。
■オクテット則について
硫酸はともかく、五塩化リンをオクテットで解釈するのは
・リンと塩素の間の結合が共有結合でなくイオン結合になる
・同じ理屈で六フッ化硫黄もオクテットで解釈できることになる
ので、私も賛成できないです。少なくとも初学者向きではないです。
硫酸の方は、ふつうは
HO-S(=O)2-OH ……(a)
のように書きますけど、#1さんの回答にあるように
HO-S(→O)2-OH ……(b)
とも書けますので、オクテットで解釈することができます。が、(b)の構造式だとS→O結合が単結合になって実際のSO結合距離が短いことを説明できません。(a)の構造式だとSO二重結合になるので、結合距離はうまく説明できるのですけど、オクテット則の範囲からはみ出してしまいます。ですので、あいだをとって(a)と(b)が共鳴していると考えるのがいいんじゃないかなと、私は思います。
ご回答ありがとうございました。
教えてくださった3冊をさっそく図書館で探してみたいと思います。どうもありがとうございました。
硫酸にしても五塩化リンにしても、解釈の仕方は人によって一通りではないようですね。私も自分なりに解釈できるようにもっと知識を付けたいと思います。
No.4
- 回答日時:
オクテット則ってのは、そもそも遷移元素になるとかなり怪しくなってきますよね。
ただ、有機化学の範囲ではとりあえず問題になるケースも少ないかと思います。どちらかというと試薬とか触媒で出てくるのでは。どうしてもというのでしたら、錯体とかも含めて勉強するといいとおもいますが、この辺はあくまである現象についてどのような見方でやるかだから実際にやってみたら例外というものが出てくるのだと思います。最近は軌道計算もパソコンとかでできたりするのでそれと比較してどう捕らえるか、、、とかやってみるといいかもしれませんけどね。それよりも有機化学を一通り電子の動きとかでやってるのでしたら、分子軌道論的な反応の理解を進めてみるのが先決かと思います。もしかしたら学校で授業をとっているかもしれませんが。それでフロンティア軌道論とかですね。直接的にPCl5とかがわかるわけではないのですが、電子の移動だけで説明できない反応とかどうするの?というときにこちらの考え方で説明できたりします。(Diels-Alderだけではなくて)
その上で専門にいく過程で錯体とかもっと量子化学的な議論も勉強していく必要があればですね。 有機ほど基礎的な部分がわかったようでわかってなかったと思わされる分野は無いようなきもする、、、。
参考文献ではないですが、こういうの問う意味でHP乗せておきます。図書館を探せば体系的に詳しく書いてある本もある本も見つかると思います。
参考URL:http://www.chem-station.com/yukitopics/kido.htm
No.3
- 回答日時:
PCl5 を「オクテット」で考えるのは結構危険なんじゃ....>#2
BPR で混ざるとはいっても axial と equatorial で (本来) 性質が違うわけだし.
No.2
- 回答日時:
五塩化リン(PCl5)もオクテットの範囲で十分おさまっていますよ。
V族のPがこの場合は電子を5つとも放出する陽側の因子になっていると
考えれば、VII族のClは電子を一つずつもらってそれぞれ8電子になって
安定、Pも一つ内側の軌道で電子8つという状態になり安定・・・と
いうわけです。
電子の軌道や分子の原子立体配列などは、WIN95が出る前の時代から
ChemDrawなどの構造シュミレーションアプリがありますので、こう
いうものも活用して勉強できると思います。当時でもフロッピー
一枚に十分入るアプリ要領でしたから、今どきのPCにインストール
しても大した負荷にはなりませんよ。
ご回答ありがとうございました。
五塩化リンについてオクテット則の範囲で考えることもできるとは知りませんでした。これから勉強していく中でどのように解釈していくべきか自分なりに考えてみたいと思います。
現在ChemDrawを使える環境にありませんが、来年から使えることになるのでその時には活用してみたいと思います。
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