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1/2波長板について教えて下さい。

1/4波長板は、入射された光の偏光方向に垂直な2方向に分解して、片方の位相をπ/2回転させるもので、直線偏光が円偏光に円偏光が直線偏光になることは分かるのですが、
1/2波長板に関しても同じように考えると、常に90°偏光方向が変わるだけのように思えます。
しかし、検索して調べてみると
http://www.luceo.co.jp/retaxa.html
直線偏光が1/2波長板にその振動方向が1/2波長板の光軸方向に対して角度θで入射すると、振動方向が2θ回転させられた直線偏光として射出されます。
と書かれています。例えば光軸に対して0°の角度で入射したとすると、偏光角度の回転は起こらないことになってしまうのですが、これは一体どういうことなのでしょうか?

A 回答 (3件)

光軸という言葉で混乱が生じているようですが、普通、光軸といえば質問者が補足に書いているような



>光学軸方向とはレンズで言えば焦点と焦点を結ぶ直線のことを指し、

を指します。(ただし、光学軸と書くとまた意味が変わってしまうのでご注意を。)
私はそれ以外の意味で使っているのは見たことがないのですが、分野によってはどうやら使うこともあるみたいですね。

以下、混乱を避けるために「1/2波長板の光軸方向」でさしている「光軸」は「光学主軸」と呼ぶことにします。

1/2波長板や1/4波長板というものは復屈折性のもので作ります。復屈折というのは文字どおり屈折率が二つある現象で、したがって、媒質を通過する光の速さが二種類あります。

復屈折を一般的に扱うと非常に複雑なので、ここでは光の進行方向をy軸方向とし、光学主軸はx軸とz軸の方向を向いているものとします。こういう状況では、復屈折性の媒質の中では例外を除き二つの速さの違う直線偏光として進みます。二つの直線偏光の偏光方向は、必ず光学主軸の方向であるx軸、またはz軸方向となります。光の速さは、x軸方向に振動する光のほうが速いとしておきます。軸の取り方はx軸を横軸に、z軸を縦軸にとり、y軸は紙面に垂直で手前から奥に向かう向きとします。
z
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|
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|
●------ x
x軸方向に比べz軸方向に振動する光は遅いので、z軸方向の光はx軸方向の光に比べて検板を遅れて出てくることになります。この遅れ分が対象とする波長の半分になるものが1/2波長板、4分の一になるものが1/4波長板です。

1/2波長板に話を限定します。波が1/2波長分だけ遅れるとちょうど位相が反転します。つまり、z成分にマイナス符号がつくことになります。

1/2波長板に直線偏光が入射されるとします。入射光の偏光方向はx軸とθの角をなしているとし、入射光の振幅を1とします。この光がx軸方向とz軸方向の成分に分解されますが、その成分を(x成分、z成分)の形で書くことにすると、入射直後(直前でもいいですが)のそれぞれの成分は(cosθ、sinθ)ですが、通過した後はz成分が反転するので(cosθ、-sinθ)=(cos(-θ)、sin(-θ))となります。これは二つの直線偏光を合成した結果がx軸と-θの角をなすことになります。入射光の偏光方向はx軸と+θ方向を向いていたわけですから、+θから-θへ、2θだけ偏光面が回転したことになります。θ=π/4(=45度)となるような配置にしておけば2θでπ/2(=90度)回転することになります。


さて、上のほうに「例外を除き」と書きましたがこの例外が2通りあります。ひとつは二つの直線偏光に分かれるものの、この二つの直線偏光の速さが同じであるために復屈折にならない場合で、もうひとつは、二つの直線偏光にならず一つの直線偏光で進むために復屈折にならない場合です。

前者は結晶の方向によって決まる特殊な方向に光が進む場合だけでおこるもので、この特殊な方向を光学軸といいます。一般には光学軸は2本あり、光学主軸とは一致しません。しかし、いくつかの結晶系ではこの2本の光学軸が同じ方向を向き1本になってしまうものがあります。このような結晶は1軸性結晶と呼ばれ、1軸性結晶では光学軸の方向は3本の光学主軸のうちのひとつと一致します。したがって、1軸性結晶のみが対象であれば光学主軸の方向の意味で光学軸方向を使うのは間違いではありませんが、一般の場合に光学軸方向と書くのはよろしくありません。

後者は入射光の偏光方向がたまたま結晶の光学主軸のひとつと一致した場合で、上の座標系を使えばθ=0度とθ=90度の場合です。θ=0度では(cosθ、sinθ)=(1,0)となるのでx成分のみとなり、θ=90度では(cosθ、sinθ)=(0,1)となるのでz成分のみとなり、z成分を反転させても偏光状態は変らず、入射光はそのまま検板を通過することになります。
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>光学軸方向とはレンズで言えば焦点と焦点を結ぶ直線のことを指し、


>波長板の場合も同じようにあ波長板に対する法線方向のことを指すのではないのでしょうか?

これは光軸ではなく光線の進行方向ですね。波長板の通常の使用方法では光は波長板の法線方向に入射させます。
波長版は水晶などの結晶の光学軸に平行に切り出した板ですから、光学軸は波長版の面内方向であり、上記の進行方向とは直交します。つまり光線の進行方向を z 軸とすれば光学軸は例えば x 軸で、(波長板面内での)それに直交する方向が y 軸になります。電磁波は横波ですからその一種である光の電場の振動方向(すなわち偏光方向)は光の進行方向に直交し、波長板の面内にあります。

という前提で考えたため「光軸に対して0°の角度で入射したとすると」という文章について私は「入射光の偏光方向と光学軸が一致した場合」と解釈しました。
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>1/2波長板に関しても同じように考えると、常に90°偏光方向が変わるだけのように思えます。



これはチョイト違います。下記補足をご参照下さい。

>例えば光軸に対して0°の角度で入射したとすると、偏光角度の回転は起こらないことになってしまうのですが、これは一体どういうことなのでしょうか?

光軸に対して 0°で入射すると光軸に直交する方向の振動成分はゼロになり、出力光は光軸方向の振動成分のみになりますから偏光角度は変化しません。

(補足)
もともと「直線偏光が1/2波長板にその振動方向が1/2波長板の光軸方向に対して角度θで入射すると、振動方向が2θ回転させられた直線偏光として射出されます。」となる理由は、入射光が結晶の光学軸方向の成分 A とそれに直交する方向の成分 B に分解され、それらの成分が出力面で逆位相(1/2波長のずれ)となって合成されることにあります。その時の偏光方向は A と B の成分比で決まります。光軸に対して 0°で入射する場合は A の成分のみとなり、出力面での光波合成による偏光角回転もありません。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。

勘違いしていたのかも知れませんが、
光学軸方向とはレンズで言えば焦点と焦点を結ぶ直線のことを指し、
波長板の場合も同じようにあ波長板に対する法線方向のことを指すのではないのでしょうか?

とすると
>光軸に対して 0°で入射すると光軸に直交する方向の振動成分はゼロになり、出力光は光軸方向の振動成分のみになりますから偏光角度は変化しません。
の意味が分からなくなってしまうのですが、どういうことでしょうか?

お礼日時:2008/11/03 21:53

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