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触覚の刺激の信号は首の部分を通るまでになにか別の信号にエンコードされるのでしょうか。
それとも全く独立なチャネルを通って脳まで入ってくるのでしょうか。どちらなのでしょうか?
後者の場合には首の部分のチャネル幅って体全体の表面積と分解能に耐えられるのかなぁと
思ったので質問します。

A 回答 (2件)

こんにちは。


#1です。回答をお読み頂き、ありがとうございます。

>側抑制接続により、空間的チャネル数を減らしてかつ情報量は減らさないように信号の時系列方向に情報をある程度並べ替えていると考えればよいわけですね。

そうですね。
私は最初、「空間チャネル」を「空間チャンネル」と読み間違えて勘違いをしていました。このため、体性感覚地図の説明に拘ったんですね、ゴメンなさい。
ならば、側抑制接続による処理が成されるならば、同時入力信号の中から感覚の平面的特徴が絞り込まれますので、中継核では「出力チャネル」の数が減らされるという解釈で最初から良かったわけですね。失礼しました。

>すると、その側抑制接続は「首の部分」を通るまでに少なくとも一度は行われると考えていいのでしょうか?

これは間違いないと思います。
視覚などは早くから比較的くわしく解明されていますが、私も皮膚感覚の伝達経路に就いて回答を書くのはこれが初めてでした。そこで、事前にちょっと調べたのですが、表在感覚、内臓感覚においても視覚と同様に側抑制接続の機構があると確認できましたので、それを基に回答を差し上げました。

網膜上で光刺激を受け取る光受容器の数は1億2千万を超えますが、眼球と脳を結ぶ視神経は120万本しかありません。これだけの情報量が減らされるのですから、像の輪郭や色の範囲、中心といった必要な情報は逆に側抑制接続によってきっちり保持されていなければどうにもなりません。
網膜上の光受容器や皮膚の触覚受容器など各個別チャネルからの信号といいますのは、内容を選別するために全数が取り込まれるものです。では、感覚上向路の中継核にある側抑制接続といいますのは、中枢組織のような複雑は情報の比較を行わなくとも、並列信号が通過するだけで自然処理ができてしまうという接続回路です。ですから、表在感覚においてもこの側抑制接続の構造と役割は全く同じであり、少なくとも、それは脊髄一次中継核でなどで最低でも一度は行われていると考えて良いと思います。

>一次中継核は脊髄にあるようなので、首の部分を通るまでに空間帯域幅→時間帯域幅という情報変換はされていると考えていいのでしょうか。

質問者さんの仰る「時間帯域幅」というのが何を指すのかがちょっと察し切れないのですが、我々の脳内で情報の弁別といいますのは、基本的には「並列信号の同時入力」に対して行われるものです。感覚情報といいますのはこの「同時入力」という条件を基に「ひとつの対象」として認知・記憶されるのが原則であり、ここで取り扱われるのは並列信号に対して同時発火する細胞集団の「反応パターン」です。ですから、反応しているのは立体の神経コラムですが、数学的に見ればそれは「二次元平面のマトリックス情報」であり、感覚上向路から大脳感覚野までで加工が可能なのは飽くまで並列信号数とその組み合わせパターンだけということになります。

ここで言う「時間帯域幅」の問題と一致するのかどうか分かりませんが、
時間的な要素としましては、
「実際の刺激継続時間」
「受容器の順応速度」
「触運動による時間的変化」
「神経線維の伝達速度」
といったものが考えられます。
触覚、圧覚などの受容器には順応速度の速いものと遅いものがあります。我々が衣服を纏っているのを感じられなくなるのは触覚が順応するからです。また、痛覚では伝達速度による遅延がはっきりとしており、「痛い!」と感じられたあとズキズキとしてくるのは、これは伝達速度の遅い神経線維を通ってきた情報です。
このように、感覚伝達の過程でも時間的な要素というものは作られているのですが、ここでこのように信号が縦にずらされますと、結局「痛い!」と「ズキズキ」といったように、それらは別々の対象として扱われることになります。そして、このように別々に入力された情報を比較・統合し、ひとつの現象として扱っていますのは、これは感覚上向路ではなく、大脳皮質の連合野ということになります。
説明のポイントがちょっとずれているかも知れませんが。
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この回答へのお礼

ご返信ありがとうございます。
一番知りたかったのは、単なる神経の繋がりの物理的トポロジーです。
首の断面をひとつ決めると、その断面には必ず決まった数の
神経細胞が通っています。この「ある断面」をまたぐ神経細胞の数は、
末端の感覚神経の数と同じなのか、それよりも減っているのかが知りたかったのです。

お答えを読んでいると、神経細胞の「数」を減らしている側抑制接続は
「首よりも下の脊髄一次中継核」にも存在しているようなので
やはり首の部分では既に末端の感覚神経の数は減っているのだと解釈しました。
例えば側抑制接続は、背中の部分の脊髄にも存在するのですよね。
それであれば首の部分では感覚神経に関連する神経の数は初めよりも減っていそうです。

首の断面をみると、全末端神経と一対一対応するような
経路の筒が何万と並んでいるのかなぁ、
そんなだったら首の部分はすごい情報量が行き来してるのかな?
それともインターネット回線のルーターやスイッチングハブのように、
チャンネルは1本でも、首に来る前にその信号の中に発振元の情報
などが埋め込まれて送信されているのかな?
と疑問に思ったのでここにはじめの質問を書いてみたのでした。

>痛覚では伝達速度による遅延がはっきりとしており、
>「痛い!」と感じられたあとズキズキとしてくるのは、
>これは伝達速度の遅い神経線維を通ってきた情報です。
そうなんですか?
「痛い!」の情報を情報源となる末端神経が発したあとに、
「ズキズキ…」を、追加の情報として逐次送信してくるのだと
思っていました。そうではなくて、情報の発信は、「痛い!」も「ズキズキ…」も同時であって、
情報の伝達速度だけが違うのですか?
なかなか知らないことが多くて非常に面白いです。

お礼日時:2008/11/11 21:34

こんにちは。


皮膚感覚の神経支配は、例えば片手表面で1万7千本ほどあり、ちょっと資料がないので分かりませんが、これが皮膚全身となりますとたいへんな数になると思います。で、この神経細胞ひとつひとつの面倒を見るとなりますと、我々の大脳は間違いなくパンクしてしまいます。

皮膚感覚を受け取っている大脳皮質・体性感覚野には、感覚の発生場所に対応した「身体地図」というのが作られていますので、取り敢えず信号は各チャンネルに合わせて送られて来なければそれを識別することはできません。
ですが、皮膚感覚に限らず、我々の身体の各受容器官から大脳感覚野に送られるほとんどの「感覚上向路」にはそれぞれの中継核に「側抑制接続」という神経接続が施されており、これによって実際の伝達信号は段階的に減らされてゆきます。ですから、身体末端で発生した感覚信号の全てがそのまま大脳に送られるということではありません。

「側抑制接続」といいますのは、信号を受け取った神経細胞が隣の細胞に抑制信号を送り、反応を発生させないようにするという回路です。
例えば、手の1万7千本のうち触覚は概ね25%・4千ですが、指先と手のひらでは当然チャンネルが異なりますので、この時点で4千の信号はそれぞれの「一次中継核(脊髄知覚核)」に振り分けられます。
この並列信号を受け取る中継核には隣の細胞を抑制して反応を発生させないようにする「側抑制接続」が施されているため、これによって信号数は大幅に減らされます。ですが、この「側抑制接続」といいますのは単に信号数を減らすだけではなく、結果的には余分な信号を削除することによって「中心」や「輪郭」など、「その感覚の特徴」を整理する役割を果たします。
このあと、触覚上向路は二次・三次中継核から橋・中脳・視床を経て体性感覚野のチャンネル・マップに到達するわけですが、信号の数は大幅に減らされてはいるのですが、
「感覚の中心」
「感覚の範囲」
「感覚の強さ」
「反応の長さ」
といった、このような必要な要素はほとんど再現の可能な状態になっています。そしてこれならば、指と手のひらではチャンネルが違いますが、少なくとも同時に触ったものは同じ範囲の感覚として扱うことができます。
ですから、別な情報にエンコードされるといいますよりは、「情報がパターン化される」というイメージを持って頂ければ良いと思います。そして、我々の身体末梢の感覚神経系では、視覚や聴覚など別の五感でもほぼ同様の「パターン化(即抑制)」が行われています。ですから、我々の大脳といいますのは身体に発生した信号の全てを受け取っているというわけではありませんので、どうぞご安心下さい。

では、信号が整理されるということは、当然、識別能力は下がるということです。
二箇所を同時に触られて二点と判定できる最低の距離を「二点弁別閾」といい、体表で概ね数ミリ、指先では2ミリ以下になりますが、視覚などに比べますと皮膚感覚の識別能力とはかなり低いです。
視覚と触覚ではその構造も役割も違いますので、単純な比較はできません。ですが、我々は触覚や圧覚だけでその手触りを判断しているわけではありません。
「温覚:触ったものの温度の違い」
「触運動感覚:指でなぞったときの変化や方向」
例えば、暖かければひとの手ですし、冷たければテーブルです。また、ただ触れているだけでは何だか分かりませんが、指を動かしてなぞってみますと、その変化や形が分かります。これは関節の角度や運動方向といった内臓感覚からくるものであり、丸いものは輪郭に沿って指を動かせは丸いと判定できます。
このような情報もやはり感覚野の身体地図チャンネルに対応していますので、我々の脳は触覚だけではなく、これらの多彩な情報を統合することによってより具体的な手触りを再現しているのではないかと思います。また、このような感覚のパターンといいますのは記憶学習されますので、普段に使い慣れているものでありますならば、目を瞑っていてもそれが鉛筆なのかハサミなのかは瞬時に判別することができます。
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この回答へのお礼

こんにちは。
分かりやすい回答ありがとうございます。

末端の受容器官(手では 4000 個ほど)→中間の神経細胞
→中間の神経細胞→中間の神経細胞→…
→一次中継核(脊髄知覚核)→…→大脳感覚野

ということですね。
側抑制接続により、空間的チャネル数を減らしてかつ
情報量は減らさないように信号の時系列方向に情報を
ある程度並べ替えていると考えればよいわけですね。
すると、その側抑制接続は「首の部分」を通るまでに
少なくとも一度は行われると考えていいのでしょうか?
一次中継核は脊髄にあるようなので、首の部分を通るまでに
空間帯域幅→時間帯域幅という情報変換はされていると
考えていいのでしょうか。

お礼日時:2008/11/10 01:18

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