数を多く知れば考え方が変わるかもしれませんが,今の時点では
背広姿のローエングリンやドン・ジョバンニは観たくありません。
衣装(演出)について,いくつか疑問に思うことがあります。
(1)現代風は,新しいものを創作していことする音楽監督の意向なのか。
(2)演出者任せで,音楽監督でさえ,誰も口出しはしない(できない)のか。
(3)年間に何本もの公演があるので,どこの歌劇場もバランスよく現代風もあれば昔風もあるのか。
(4)歌劇場によって,現代風が多い,昔風が多いといった特徴(方針)はあるのか。
特に,上記(4)について知りたいです。
ウィーン国立歌劇場を案内する番組の中で小沢征爾氏が,
「こんなこと言っちゃいけないんだけど,時代感覚に合わない演出があって困ったもんだ…。」
というような発言がありました。この発言から上記(2)の疑問をもちました。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
こんにちは。
歌劇場運営の内情について詳しいわけではないので,多少の鑑賞経験をもとに憶測で申し上げるくらいしかできませんが。
(1)(2)
新プロダクションの制作は,基本的には劇場のマネジメント部門が権限を持っている仕事だと思います。どの演目を新しい演出に作り変えるか,どういうスタッフにその制作を任せるかを決定するのは彼らの仕事でしょう。(演出の方向性にまで注文をつけているかどうかは分かりません)
これに音楽監督がどこまで口は出すかは,どこまで権限が与えられた契約を結んだかにもよると思いますが,イメージとしては,「与えられた演目・演出・オーケストラ・歌手の枠の中でいかに素晴らしい上演に仕上げるか」というのが音楽監督の主な仕事ではないかと。
もちろん,演出に意見したり,嫌な演出では振るのを拒否したり,歌手を指名したり,演目を選んだりといったところまで権限を持っている(あるいは,それができるだけの実質的なパワーがある)音楽監督もいらっしゃるとは思います。
(3)(4)
現在のメジャーな歌劇場だったら,どこに行っても伝統的なものと奇抜なものが混在していると考えるのが自然と思います。チューリヒでも,先日私が観た「リゴレット」は極めてオーソドックスでしたし,「フィガロの結婚」は最近のプロダクションだったらしいのですが非常に観やすくて楽しめましたよ。
劇場別の傾向は,うーん,あるんでしょうかね~。
ウィーンやスカラ座(ミラノ)だから保守的なものばかり,ということもないように思いますし(ウィーンのパルジファルは,彼を誘惑する花の乙女たちはいかにもなドレス姿で天井でピンクのミラーボールが回ってました^^;),パリだからいつも斬新ということもないような。
メトロポリタン(ニューヨーク)やコヴェントガーデン(ロンドン)はベタ路線・保守的であまり冒険しないというなんとなくのイメージはありますが,実際にはいろいろあるのかもしれませんね。バイロイトは演目によっては結構変わったのもあるはずですよ。
一方,以前妙な?演目をいくつか紹介したバイエルンでも,例えば「薔薇の騎士(R・シュトラウス)」では,オットー・シェンクによる華麗な舞台を今でも観ることができますし,他にもオーソドックスな演出の演目はたくさんあります。
・・・あ,そういえば,演出家の名前でチェックするというのはひとつの方法かもしれません。
とはいうものの私自身まったく詳しくないので具体的に誰某は云々,ということはほとんど申し上げられませんが,例えば,今挙げたオットー・シェンクは,原作に忠実な舞台を作る人のようですね。「薔薇の騎士」以外にも,よく見かけるDVDなどで「ああ,これもこの人の演出だったか」というのがたくさんあると思います。フランコ・ゼフィレッリもゴージャス路線が多くて無難?(無難,というのも失礼な言い方と思いますが^^;)
一方で質問者さまにとって危険かな,というお名前としては,例えばルート・ベルクハウスとか,ペーター・コンヴィチュニー(往年のドイツの指揮者コンヴィチュニーの息子)とか,ハリー・クプファーとか。
このあたりもよろしければご参考に。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%9A% …
http://www.geocities.jp/angelina_opera/directors …
以上,だらだらと申し上げてしまいましたが。
音楽中心のマニアとしては,鑑賞の邪魔さえしなければ,というのもないことはないのですが,これもなかなかに面白く奥深い世界のようですよ(笑)。
詳しくありがとうございます。
映像を観るのは日本語字幕が目的という程度で,映像(演出)を楽しみにしているわけではなく,
演出家の名前には関心がありませんでした。でも,これからはチェックしておくようにします。
演出が楽しみでチェックするのではなく,変な演出を観たくないためにチェックするのは妙ですが…。
(1)(2)については演出家と音楽監督や指揮者等との力関係があるかもしれませんね。
「タントリス」という名のジョークに今頃になってやっと気付いたところで,
まだまだ理解不十分なままですが,性格が集中型?なもので,勢いでパルジファルにも突入しました。
こちらは映像ではまだ観たことがありません。
>ピンクのミラーボール
それを見ただけで「何? それ!」と思ってしまって,音楽を聴く耳は止まってしまうと思います。
オペラ映画も歌手の口元とは別のところから声が出ているのが分かり,これも好みませんので,
「新しいものについてこれない人のためのオペラ全集」のようなものが出ると嬉しいです。
No.1
- 回答日時:
よろしくお願いします。
詳しくないのに、出てきて申し訳ないのですが、面白いサイトを紹介させていただきます。 質問者様の疑問に回答してくれる記事もあるかと思います。
http://www.tosei-showa-music.ac.jp/orc/
>ウィーン国立歌劇場を案内する番組の中で小沢征爾氏が,
「こんなこと言っちゃいけないんだけど,時代感覚に合わない演出があって困ったもんだ…。」
この前、やってましたね。 全部見てない(悲) これは、私の推測になるので、それを念頭に入れて聞いてください。
ウィーンは、一つの演出を長く続けることがあるんですよね。 私がクライバーのばらの騎士を見に行ったとき(1994年?) サロメをやっていたので観にいったら、その演出がカラヤンが初演したときの演出(舞台装置も)でしたから、それこそ20年近く前ですよね。
そのサロメの演出は、オーソドックス(こんな基準がオペラ演出にあるのか?) でしたから、違和感が無かったのですが、もしあるオペラの演出がその時代の世相を取り入れたり、時事ネタが入っていたりしたら、それこそ10年もたてば、なんじゃそりゃとなるでしょうね。
私的感想を。
やはり演出家も芸術家(本人はそう思っているでしょう。)ですから、やはり同じことの繰り返しはできないのでしょうね。時代を経て、作曲技法が進歩してきたように。
ただ演出の場合、進歩じゃなくて退歩のように感じることある。ハッキリ言って、音楽の邪魔をしているように感じること。ストーリーに明らかにそぐわないキャラクターへの設定無視の変更等、自分の感覚では理解できないものがあります。
演出家は、台本を読んでないじゃないか? 自己満足以外の何物でもないんじゃないか? オペラは音楽が主役であるということを分かってない演出家が多いような気がします。
スコアを読んで、台本と音楽の関係まで考えれば、そう変な演出にはならないと思うのですが、ただ奇をてらったものが多くなってきて困ったものです。 昔、フルトヴェングラーが演出家に、その登場人物は本気で殺そうとしている。音楽がそう表現している。 だからあなたの演出方法ではだめだ。というようなことを発言したことがあると、読んだことがあります。 演出家も指揮者と同じように、オペラに取り組めば、もっと良い演出が増えると思うのですが・・・。
生舞台はなかなか行く機会がないのでテレビかDVDなのですが,
先日放送のローエングリン(下記)やジョバンニ(チューリッヒ歌劇場)の現代服に抵抗がありました。
視覚面での抵抗が大きいため,音楽が素直に耳に入ってこないです。
もしDVDを買うなら,以下のジャケットデザインでは,どんな衣装なのか,
どんな舞台セットなのかが分かりません。
◇先日放送のローエングリン
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2628967
もし,知らずに買っていたら,ひどくがっかりしています。音楽に無関係なところで。
まだ,映像は多くは知りませんので,今のところメトロポリタンとバイロイトのライブ録画に
ハズレはないのです。コヴェント・ガーデンも一つしか知らないですが当たりでした。
でも,もっと多くを知るとハズレ(現代風)もあるのでは…と思っています。
ご紹介のリンク先の記事に
「あまりにも過激な舞台はオペラの本質を歪めかねない。オペラファンからそっぽを向かれつつある。」
過激とまでいかなくても,中世の騎士をイメージしているのに背広・ネクタイはがっかりします。
うかつにDVDも買えないです。
>やはり同じことの繰り返しはできないのでしょうね。
それは,芸術として理解できます。だからと言って変なものは…観たくない・買いたくないです。
DVD選びも難しいですね。古風なものは古風にしかやらない方針の歌劇場,演出家,指揮者とか…,
何か見極めるものがあればいいのですが。
そのサロメのお話,とてもいい話だと思いました。ありがとうございました。
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