約60KDaの一回膜貫通型のタンパクをBL21で発現させようと思っています.
うちの研究室はもともと遺伝子とかタンパクには縁のない研究室なので、大腸菌およびプラスミドなどを扱っている人がおらず、独学で研究しています.
ゆえに、ほとんど人に相談することもできず四苦八苦しております(汗)
目的は、タンパクの全長かつタグフリーの状態で回収することです.
現在までにGSTタグ(pGEX)で、低温(15-25 ℃)、IPTG濃度(0.1-1 mM)などで検討を行いましたが、ほとんどがinclusion bodyに入っているようで(ウエスタンブロットで確認済み)なかなか可溶性画分から目的の回収量(できれば数 mg)に至りません.(10L cultureで200 ug程度)
また、最終的にGSTタグをグルタチオンカラムに保持した状態でのプロテアーゼによる切断を行ったのですが、どうやらタンパク質の疎水性が高いためかタンパクがロストしました.というか、膜タンパクはそもそも溶けないのでしょうか?
このような状態なのですが、なにかよい解決法があれば教えて下さい.
ちなみに、inclusion bodyからのリホールディングをスモールスケールで試してみたのですが、アルギニンと酸化型グルタチオンがないと凝集が起きやすく、またコストも馬鹿にならないように感じました.
(研究テーマが研究室のメインとはややズレており、なかなか研究費が降りないため、できうる限り低コストな策があればありがたいです)
また、目的タンパクの性質(pKa、親水性?疎水性?、立体構造など)を調べる方法やソフトがあれば教えて下さい.
ちなみに、Protein Data Bankで調べてみましたが、残念ながら登録されていないようでした.
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
>10L cultureで200 ug程度
大腸菌は外来膜蛋白が嫌いです。200 ug程度は上々です。うまくいかないほうが普通です。
>どうやらタンパク質の疎水性が高いためかタンパクがロストしました.というか、膜タンパクはそもそも溶けないのでしょうか?
マイルドなデタージェントは入っていますか?NP40、Triton X-100など。どこに行ってしまったか、分解してしまったかは、チューブの壁にくっついていることも考えに入れて、SDSで洗って検討できるかもしれません。
>マイルドなデタージェントは入っていますか?NP40、Triton X-100など。どこに行ってしまったか、分解してしまったかは、チューブの壁にくっついていることも考えに入れて、SDSで洗って検討できるかもしれません。
そこは盲点でした。プロテアーゼ処理後はTris bufferで洗っただけでしたので、次回はその点も考慮して検討したいと思います。
ありがとうございます。
No.2
- 回答日時:
タンパク質によって性質が異なり、全く同じものを扱っている人で
うまくいっている人からしか、正解に近い方法は得られません。
いろいろやって、インクルージョンボディにくるなら、それが真実なのだと思います。出来ないものはできません。
タンパク質の名前を挙げるのは難でしょうが、そのタンパク質を使ってどのような実験を行うつもりでしょうか?
その目的によっては、全長を作る必要が無いかもしれません。
それならば、膜貫通ドメインは疎水性でしょうから、その部分以外を作らせるとうまくいくかもしれません。
抗体を作るための抗原なんかにはいいかもしれません。
また、不可溶性にいくのであれば、むしろ精製は簡単であるので、
ウレアなどで完全に変性させて透析で徐々にウレアを除いてみるとかすると、たまに可能性になったりします。
しかし、それがもともとのタンパク質の立体構造を反映しているかは謎です。
もし、目的がそのタンパク質に機能を持っていてほしいという場合は向かないかもしれません。
そもそも、機能をもっているタンパク質の精製を考えているのであれば、膜にあるタンパク質は糖鎖の修飾とかあったりするものもあるので、
大腸菌でやることは的外れですが・・・。
タンパク質の扱いには一般的な方法があまりありません。
難しいです。
実はこれまでに膜貫通ドメインを除いた細胞外領域部分の蛋白についても同様の検討を行ったことがあったのですが、結果も同様でした.
蛋白の用途についても明かすことはできないのですが、最終的には全長を使っての実験もしたかったので、今回思い切って全長の蛋白合成を検討したのですが上記の通りでした.
やはりリフォールディングが一番の近道なのでしょうか?
>機能をもっているタンパク質の精製を考えているのであれば、膜にあるタンパク質は糖鎖の修飾とかあったりするものもあるので、大腸菌でやることは的外れですが・・・。
今のところ機能解析などについて検討する予定はないので大丈夫です.
ご心配ありがとうございます.
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