高校化学からの質問です。
「アセチルサリチル酸、アセトアニリド、アニリン、アセチル酸メチルを含むエーテル溶液がある。これらの化合物を分離する為に、次の操作を順に行った。各段階で抽出分離された化合物A~Dの構造式を書け」
という問題があり、最初の操作は、
「うすい炭酸水素ナトリウムを加えて抽出し、水層を中和し、化合物Aを分離した」
とありました。
この段階で抽出される化合物Aは解答ではアセチルサリチル酸となっています。弱酸遊離を利用してアセチルサリチル酸を水層に抽出したと思うのですが、ここでふと疑問に思いました。炭酸水素ナトリウム水溶液は弱塩基性を示すので、酸性としてのアセチルサリチル酸やサリチル酸メチルと中和反応を起こし、この二つの化合物が水層に抽出されるのではないかと。この考え方は何か間違っているでしょうか?
(ちなみに次の操作は「残りのエーテル層をうすい水酸化ナトリウム水溶液で抽出し、水層を中和し、化合物Bを分離した」で、化合物Bはサリチル酸メチルになっています。)
宜しくお願いします。
No.7ベストアンサー
- 回答日時:
>>なぜ炭酸ナトリウムとフェノールは中和反応を起こさないのでしょうか?
『炭酸ナトリウムとは』中和反応を起こせず、・・・なので、注意!
●芳香族カルボン酸(φ-COOH)・フェノール(φ-OH)・炭酸(H2CO3)
いずれも酸性ですね。(φはベンゼン環,フェニル基C6H5-を表す記号です。)
ところで,リトマス紙を用いた酸塩基説からブレンステッド・ローリーの酸塩基説(酸:H^+を与える物質,塩基:H^+を受け取る物質)に定義を拡張した意義はどこに有るのでしょう?
それはいろいろな物質をH^+を与える力、逆に受け取る力の強弱によって順序づけ、そうすることによって化学反応の起こる仕組みの解釈できる範囲が一度に広がるからです。ここはその定義の拡張を行った意義を味わえるところです。そういう位置づけでこのテーマを味わってください。
この3個の酸の強さは次のようになります。
(ここではなぜ?ということは説明できません。共鳴構造の安定性などと絡んできます。ここでは『こういう順序であるとわかっている』ものとして進んでください。)
(強酸:H^+を与える力が強い) ⇔ (弱酸:H^+を与える力が弱い)
※ 芳香族カルボン酸(φ-COOH)>炭酸(H2CO3)>フェノール(φ-OH)
(酸)H^+を与える←・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・→H^+を受け取る(塩基)
( この下の段の説明は今はやめておきます。)
1)芳香族カルボン酸(φ-COOH)>炭酸(H2CO3)
以下の反応では、まず『中央の状態』が有るとします。そして、そのとき右への変化が起こるのか、左への変化が起こるのか、どちらか?と考えます。
φ-COOH+HCO3^-←φ-COO^-+H^++HCO3^-→φ-COO^-+H2CO3
『中央』から考え始めてください。『中央のH^+をφ-COO^-とHCO3^-のどちらが受け取るか?』ということです。
ここで,H^+を与える力の強さはφ-COOH>H2CO3なので、φ-COOHがφ-COO^-となり、相手にH^+を押し付けてしまうことができます。したがって、この変化は右に進み、左へは進みません。
この全部にNa^+を加えてみてイオンを整理して書くと,
φ-COOH + NaHCO3 → φ-COONa + H2CO3
が出来上がります。(変化は右にしか起こらないことに注意!)
途中で中央のような状態が有ると考えて、そのときH^+はどちらが受け取ることになるかをその酸の強弱から考えます。そうすると実際に起こる変化の方向がわかります。出来上がった反応式からは、φ-COONaは実際には水和している状態をまとめて現しているのですから、水に溶けていることを意味します。
『芳香族カルボン酸はNaHCO3 と反応(中和反応)して、水に溶ける』
ことになります。
逆に言うと、酸塩基の強弱から、この逆の反応は起こらないことがわかりますね。だから次の反応式は誤りです。
×φ-COONa+H2CO3→φ-COOH+NaHCO3
2)炭酸(H2CO3)>フェノール(φ-OH)
同様にして,
H2CO3+φ-O^- ←HCO3^-+H^++φ-O^-→HCO3^-+φ-OH
を考えましょう。
そうすると炭酸(H2CO3)>フェノール(φ-OH)なので炭酸(H2CO3)が相手にH^+を相手に押し付けることになります。したがって、これも右に進み左には進みません。同じようにNa^+を加えて考えると,
H2CO3+φ-ONa → NaHCO3+φ-OH
が起こります。この場合、水に溶けているのはNaHCO3であり、φ-OHでは有りません。つまり、『ナトリウムフェノキシドφ-ONaは炭酸によって水に溶けなくなる(遊離するという。)』ことがわかります。1)と同様に、逆の反応は起こりません。次の反応式は誤りです。
×φ-OH+NaHCO3 → H2CO3+φ-ONa
>>酸性としてのアセチルサリチル酸やサリチル酸メチルと中和反応を起こし、この二つの化合物が水層に抽出されるのではないかと。・・・・
上の結果を使って見ましょう。
●アセチルサリチル酸C6H4(COOH)(OCOCH3)・・・これは芳香族カルボン酸です。したがって、NaHCO3によって水に溶けます。
●サリチル酸メチル
C6H4 (COOCH3)(OH)・・・これはフェノール類です。従って、NaHCO3によって水に溶けません。
以上の結果が得られます。
No.8
- 回答日時:
質問は炭酸水素ナトリウムとフェノールの反応です。
寄せられている回答は炭酸とフェノールの強さの比較になっています。
#7にある
(A)「 H2CO3+φ-ONa → NaHCO3+φ-OH 」は起こる
(B)「φ-OH+NaHCO3 → H2CO3+φ-ONa 」は起こらない
という説明が質問に対する答えになります。
(A)と(B)は逆反応ですから片方が起これば他方は起こらないとしていいのです。
NaHCO3は塩ですから対応する酸はH2CO3です。強、弱の比較はH2CO3とφーOHで行う事になります。
炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムについての混乱があるように思います。
炭酸ナトリウムNa2CO3の場合は対応する酸はHCO3^-です。
Na2CO3+φーOH→NaHCO3+φ-ONa
の反応が起こるかどうかの判断はHCO3^-とφーOHの強弱の比較で行います。この場合はフェノールの方が強いです。「反応は起こる」と判断できます。
(pKa HCO3^- 10.33)
炭酸ナトリウムも炭酸水素ナトリウムも水溶液はアルカリ性です。
でもアルカリ性の強さにかなりの差があります。
No.5
- 回答日時:
や, だから「炭酸の方がフェノールより強い酸」なんです.
だから, C6H5ONa + H2O + CO2 → NaHCO3 + C6H5OH の反応が起きます.
もっと単純にいうと, 「食塩水に酢を加えても塩化水素が発生しない」のと同じ.
No.4
- 回答日時:
回答ありがとうございます。
URL参考にさせて頂きましたが、まだ疑問が残っています。
>フェノール水酸基は弱酸性を示すが、非常に弱い酸であり、炭酸ナトリウムとは中和反応を起こせず、従って炭酸ナトリウムを加えても水に溶けることは有りません。
なぜ炭酸ナトリウムとフェノールは中和反応を起こさないのでしょうか?フェノールが非常に弱い酸であるということだけではなんか解せないのです。酸と塩基の単元では弱酸や弱塩基が中和反応を起こさないというようなことは学習しなかったような気がするので。
宜しくお願いします。
No.2
- 回答日時:
サリチル酸メチルのpKaは9.8、↓
http://www.bvsde.paho.org/bvsapud/i/fulltext/met …
フェノールのpKaは9.95、↓
http://research.chem.psu.edu/brpgroup/pKa_compil …
一方のアセチルサリチル酸はpKaが3.5、↓ですからこの差は大きい。^^
http://chrom.tutms.tut.ac.jp/JINNO/DRUGDATA/07ac …
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