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アルトサックス奏者のリッチー・コールについてなのですが、この人は「技巧ばかりで奥深さが無い」とか、「ペラペラしたバップフレーズを次から次に並べたてるだけの、さも「すごいジャズプレイヤー」と勘違いされやすいインチキプレイ」となどと言われていました。
80年代ぐらいのジャズ雑誌や、ジャズ関連の単行本を読むと、そんなふうに書かれていることが多いです。

しかし、今あらためて聞いてみるとぜんぜんそんなことはなく、ビ・バップに根ざしたスタイルに、現代的なエッセンスも加味したタイトな演奏で、フィル・ウッズを思わせるダークでハードなプレイは、聴く者をエキサイティングにさせる素晴らしいプレイヤーだと思いました。

といいつつも、僕自身あまりリッチー・コールという人はそんなに詳しいわけではないので、ユーチューブなどでいろいろ見てるんですが、昔言われてたような悪い評価をつける理由が見当たりません。
僕は今ジャズギターを修行中ですが、ギターだけでなく、管楽器やピアノ、などいろんなものを聴いています。
そこでリッチー・コールという人が出てきたわけですが、昔言われてた評価を思い出したんです。

なぜそう言われていたのでしょうか?
もしくは僕のジャズに対する見識が、まだまだ浅いのでしょうか?
ジャズに精通しておられる方の、客観的なご意見をお願いします。
(あなたが良いと思うならそれでいい、というご意見は、今回は無しでお願いします。)

A 回答 (2件)

まあ,70年代末とか80年代頭とかだと,Michael Brecker も技巧だけで云々と言われたころですね.もちろん,当時の録音も,現在では別の評価をする人も多いわけですが.


Richie Cole の演奏は,個人的には深みが足りないとは思います.最近の演奏を知りませんが,80年代頭くらいの演奏で,とくにバップ系をやっているときは.あくまで個人主観ですよ.でも,楽しく聴けるプレイヤーである点は高く評価します.スタジオミュージシャンとして意外なところでさらっととってるソロには,素晴らしいセンスも感じるときもあります.この辺,Phil Woods にも通じますね (^^;
まあ,時代とともに流行も評価軸も変化がありますし,評論家筋やマニアにはウケが悪かったにしても,当時も (今も) 多数のファンをもつスタープレイヤーであったのも事実な訳です.
70年代末くらいからってのは,ちょうど BeBop が古くさいものとなったあたりという時代背景もあるでしょう.この頃絶賛を集めた VSOP なんかは,懐古的な組み合わせのメンツだったはずが,音は (当時の) 現代を通り越していたのは誰が聴いても明らかでした.もちろん,今聴いてもエキサイティングで素晴らしいものです.60年代にやった Eye of the Hurricane や Maiden Voyage が,同じ楽器構成で,しかもアレンジも大きく変えているわけでもないのに,ここまで現代的なジャズにできるということを示した VSOP のようなものが,まあ,高い評価を受ける時代だったとも言えるんじゃないですかね.それに対し,Cole の演奏はもっと明確に Bep スタイルだった,ってのもあるでしょう.とはいえ,あの時代,明確に Bop follower のスタイルであれだけのファンを掴んだのですから,ただの follower でないのは明らかですけどね.
今は,Bop スタイルは,また新鮮に聞こえたり,そういうのに取り組む若手やアマのプレイヤーもそこそこいるような時代ですから,評価軸が変わるのもしょうがないかな,という気はします.

まあ,年寄りの思い出話みたいになってしまいましたが,今,あなたが気に入って聴いているなら,それで問題はないと思いますが,どうなんでしょうか.
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この回答へのお礼

詳しいご意見をありがとうございます。
なるほど時代が変わるにつれて評価軸も変わるというご意見は、とても参考になりました。
僕は年齢はともかく、親の影響で子供の頃からジャズに親しんでいたので、70年代のジャズシーンもなんとなく知っています。当時はいかに過去を超越した斬新なサウンドを作り出せるかを求められた時代で、ジャズ系ではコンテンポラリーなアンサンブルや、フュージョンなどの耳に新しいサウンドがもてはやされていましたよね。
その時代においてストレートなビ・バップフォーマットのリッチー・コールは、良い評価がされなかったのもうなづけます。卓越した技術があるだけに、余計に新しいサウンドを期待された時代だったのかもしれません。
逆に、当時高評価をされいてたフュージョン系ミュージシャンが、今日ではあまり良い評価されていない人も多いというのも、興味深いところです。

お礼日時:2009/05/10 22:22

> 逆に、当時高評価をされいてたフュージョン系ミュージシャンが、今日ではあまり良い評価されていない人も多いというのも、興味深いところです。



フュージョンの話は迷った挙げ句,触れなかったんですがw,当時のフュージョンシーンは,ここ何年かはまた再評価の時代になって,次から次へと復刻されてたりしますね.まあ,当時人気があっても,復刻されないようなのもいっぱいありますが.
この辺りは,音楽シーンの循環もそうですが,当時若いリスナーだった世代が,今,企画側で力を持つ側になったことと,購買のターゲットとして大きな力を持つようになったってのも大きいのでしょう.私もこないだ,復刻された Sea Wind のアルバムと,29年ぶりの新作を買ってしまいましたしw
評価軸ってのは,そういう商業的な面もあるわけですしね.
本筋から離れてしまったので,私からはこれで終わりにします.
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この回答へのお礼

近年は、スムースジャズなどと言われる、フュージョン風のイージーリスニングなジャズが流行してるようですね。
これらは、バップ的なアプローチを基本にして、現代感覚のアレンジで綺麗にさらっとやってるようなものが多いですが、それらの音を求める人が時代を遡った場合、リッチー・コールという人に出会うのかもしれません。
当時の評価は悪かったですが、今からするとかなりゴリゴリなスタイルに聴こえますね。
フュージョン再評価の流れは、いつか来ると思っていました。当時はコマーシャリズムに汚れた軽薄な音楽と言われる面もありましたが、実際その音楽的クオリティは非常に高度なものだと思います。中にはさすがに古臭く思えるものもありますが、今聞いてもとても斬新でカッコイイものばかりですよね。

思えば、30年代にジプシー、40年代にスイング、50年代にバップ、60年代にモード、70年代にフュージョンと、時代ごとに新しいスタイルのジャズが次から次に生み出されてきました。
しかし80年代に入る頃からその流れはぱったりと止んでしまいます。その後は、従来のスタイルを焼きなおしてパワーアップする方向に変わります。90年代に流行ったアシッドジャズも、新しい音楽的方法論に基づいたジャスではなくて、フュージョンとファンクとダンスミュージックと混ぜたものだったし、今のスムースジャズも新しい音楽的なクリエイティビティは感じませんよね。従来のものをいかに洗練させるかという観点に、変わってきているような気がします。
リッチー・コールもそういう目で見ると、保守派だけど単なるフォロワーにとどまらない優れたプレイヤーと思えるのですが、時代が悪かったのかもしれませんね。というより、もうこの先新しいスタイルや方法論など生み出しようも無い状況において、最先端を狙おうとせずアリモノを極める方向でいったのは、ある意味正解だったとも思えるし、それが逆にパチモンなイメージを与えてしまったのかもしれません。

お礼日時:2009/05/12 01:55

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