ポツダム進級についてですが、複数のサイトで全く同文で次のように説明されています。
以下はサイトの説明文で、質問に関係のある箇所を抜粋しています。
敗戦時、生存者に対して行なった特別進級を俗に「ポツダム進級」と呼んだ。
狭義では兵は無条件で、大尉以下の士官と准士官及び下士官は勤続年数に応じて1階級進級させたことをいう。
広義では陸海軍の解体した1945年11月30日までに進級した将官と佐官も含んだ。
陸軍では将官の進級はなく、佐官でも中佐から大佐に進級した者が数名と少佐から中佐に進級した者が少数であり、捕虜となって生還した者は進級させなかった。
質問
1.「捕虜となって生還した者は進級させなかった。」と説明されていますが、対象者は、将官
および佐官ですか。つまり、尉官以下は進級させたのですか。
2.「捕虜となって生還した者」は、おおよそ何人くらいですか。
そもそもポツダム宣言を受諾したということは、日本軍は無条件降伏したのですから、将兵全員が捕虜になったと思っていました。
3.捕虜となって生還された方は、恩給その他で不利益を蒙りましたか。
よろしくお願いします。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
1.「捕虜となって生還した者は進級させなかった。
」と説明されていますが、対象者は、将官および佐官ですか。つまり、尉官以下は進級させたのですか。「ポツダム昇進」は将校クラスのみに与えられた特権ではなく、下士官クラスへもちゃんと適用されていました。ただし将校であれ下士官であれ「ポツダム昇進」には条件がありました。それは「実役停年」というもので、昭和20年8月1日付けで実役停年の1年に達していた者だけということです。つまり昭和19年7月31日までに少尉になっていた人は中尉になれたということです。
そうではない人、つまり昭和19年8月1日以降に少尉になっていた人はいわゆる「ポツダム昇進」は適用されていないということです。これで行くと、昭和19年7月31日までに見習い士官になっていた人は少尉になり、兵長だった特別幹部候補生は伍長、または軍曹に任官していました。
この実務停年は自己責任での事故や病気などで入院していた期間は計算には入れていなかったようですし、戦場離脱者、つまりは脱走者も実務定年の適用外になっていました。ただ捕虜は戦闘中での行為によるものがほとんどであるので、これを適用させないというのはちょっと首を傾げますが、正直言ってその辺りの事情については自信がありません。もしそれが本当であるのならば、捕虜に対する旧日本軍の仕打ちは誰にでも変わりはなかったはずですので、階級によって差別していたという事実があるとすれば、それはそれで不思議な気がします。これに関することは後でも少し書きます。
ちょっとしたトリビアですが、あの小野田さんも実は帰国した時点でポツダム昇進させるべきかどうかで議論があったようです。またこのポツダム昇進をした人は自嘲気味に「私はポツダム中尉でした」ということが多かったそうです。
2.「捕虜となって生還した者」は、おおよそ何人くらいですか。
そもそもポツダム宣言を受諾したということは、日本軍は無条件降伏したのですから、将兵全員が捕虜になったと思っていました。
終戦後まずすぐに持ち上がった最大の難問は、外地に点在する330万あまりの日本軍将兵や軍属たちと、それと同数の海外在留一般邦人の復員と帰還です。
その作業は連合国や各国政府との複雑な交渉も必要とあって、非常な困難を伴っていました。正直ここでその概容でも書こうと思っても、たとえ万の文字を使っても書ききれないと思います。
結論から言えば「捕虜となって生還した者」の正確な数字は、現代では把握することは不可能です。詳細な記録が残っている旧厚生省援護局にもそれらに関する記録はまず見受けられません。
つまり終戦後外地にいた戦闘態勢にあった兵士たちは、武装解除された時点でそれまで捕虜になっていた日本軍将兵と同じ立場になったのではなく、捕虜たちがその状況から解放され、武装解除後の将兵たちと同じ立場になったと考えるほうが自然だからです。
無条件降伏であれなんであれ、戦争が終了した時点で「捕虜」という存在は消滅したのですから、外地の日本軍将兵全員は復員対象者と呼んでもいいのではないかと考えます。
3.捕虜となって生還された方は、恩給その他で不利益を蒙りましたか。
これも先の回答に関連することですが、復員した時点で「捕虜」であったかどうかの記録は残ってはいないのですから、不利益を蒙る理由はどこにもありません。なんと言っても終戦時点で「戦陣訓」の理不尽な教えはもう通用しなかったのですから。
万が一、そのような理由で何らかの不利益を蒙っていた方がいるとしても、国を相手取っての民事裁判を起こせば、ほぼパーフェクトゲームで原告の勝利になることは間違いなかったのではないでしょうか。
今回も丁寧に教えて下さってありがとうございます。
>つまり終戦後外地にいた戦闘態勢にあった兵士たちは、武装解除された時点でそれまで捕虜になっていた日本軍将兵と同じ立場になったのではなく、捕虜たちがその状況から解放され、武装解除後の将兵たちと同じ立場になったと考えるほうが自然だからです。
なるほど! そうですよね。
捕虜を含めて全員が自由の身になったと考えるべきでした。
複数のサイトにある
「陸軍では将官の進級はなく、佐官でも中佐から大佐に進級した者が数名と少佐から中佐に進級した者が少数であり、捕虜となって生還した者は進級させなかった。」
の記述に惑わされましたが、やはり質問してよかったと思っています。
それにしても、終戦のどさくさに紛れて、進級させることを思いついた「ずる賢い知恵者」はいったい誰でしょうか。
「兵」は全員進級ですから、兵籍簿?を書き換えるだけでも大変な作業だったと思います。
No.2
- 回答日時:
こんにちは
またちょっと勝手ながらお邪魔させてもらいます。
「ポツダム昇進」を思いついた「ずる賢い奴」は、きっと大本営の軍官僚たちだと思います。ただその動機付けなのですが、私個人は年金、つまり恩給の増加狙いなどという金銭的なものではなく、多分に「名誉」的な意味合いが強かったと思います。また兵籍簿などですが、書類的な作業はなにもせず、単に口頭や部隊ごとに階級章を与えただけの、そのような感じの昇進だったと記述している資料も散見していますので、そこまで厳密なものではなかったのかもしれません。
なぜなら、無条件降伏であるポツダム宣言を受諾して、終戦(敗戦)を迎えた日本が旧軍や旧軍人への関与権を失うことは容易に想像されたはずですし、終戦を迎えた時点での日本には国としての将来像はまったく見えてなかったからです。戦争は終わったものの戦いに敗れ荒廃した祖国を見るに付け、軍人恩給がきちんと給付できるかどうか、だれにも分からなかったと思います。
事実旧軍人恩給制度は終戦半年後にGHQによって強制的に廃止されています(ただしこれは後に復活されていますが、恩給額は階級に関係なくほぼ一律だったようです)。
やはりどさくさ紛れという評価は当を得ていたとしても、その実情はこれまで苦労してきた将兵たちへの、ささやかなご褒美的な感覚ではなかったのではないでしょうか。
話は変わりますが、現在地方自治体の職員たちや警察官が定年退職の際、駆け込み昇進をして退職金や年金の増加をさせるという悪しき習慣がありますが、この習慣こそ「ずる賢い(浅ましい)」行為だというべきかもしれませんね。
ちょっと脱線しましたが、実はあなたのお礼を読んでこのことが頭に浮かんだんです(^_^;) あなたの質問を個人的な鬱憤晴らしに使ってしまったみたいで、どうかお許しくださいm(__)m
再度のご回答ありがとうございます。
>恩給の増加狙いなどという金銭的なものではなく、多分に「名誉」的な意味合いが強かったと思います。
>戦争は終わったものの戦いに敗れ荒廃した祖国を見るに付け、軍人恩給がきちんと給付できるかどうか、だれにも分からなかったと思います。
そうですね。
このような視点で考えるべきでした。
その当時の、その場面に自分を置いて考えるということの難しさを知りました。
自分だけで考えていくと、「ずる賢い知恵者」にたどり着いてしまったわけです。
質問した甲斐がありました。
以下はご参考までに。
陸軍技術本部で終戦を迎えたある准尉は、進級がなかったおかげで警察に就職できたそうです。
少尉なら公職追放で公務員に就職できないのですが、准尉で3年間在籍したが、進級はなかったそうです。
この本(火器開発裏面史)の著者です。
http://store.shopping.yahoo.co.jp/7andy/19901624 …
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