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私は4月から、生物学教室にいるのですがレーザー顕微鏡と電子顕微鏡の違いがよくわかりません。
分解能や価格が違うのでしょうか??(なんかHPみても価格のっていなかったりと。。)
また生物学ではどちらを使うとかあるのでしょうか?

A 回答 (3件)

レーザー顕微鏡というと、生物学系なら共焦点(confocal)レーザー顕微鏡ですね。

一種の蛍光顕微鏡で、励起光源がレーザー光のものです。レーザー光源装置やステージ(焦点面)の制御装置、検出装置などがついていますが、それらをはずせば普通の光学顕微鏡です。励起光があたると焦点面以外も光るので、普通の蛍光顕微鏡だと厚みのある(厚みのないものはないですが)標本からシャープな像が得られません共焦点だと観察している焦点面だけから蛍光が検出器にはいるようになっていて、焦点面以外からもれてくる蛍光で解像度を落とすことがありません。焦点面を順次変えていきながら(続にZ軸を切るといいます)撮像することで擬似的な連続切片(光学切片といいます)の像を得ることもできるし、それを3次元に再構成することもできたりします。蛍光顕微鏡ではうまくできない、やや厚みのある試料や、タンパク質の細胞内の局在のような高解像度が必要な観察を可能にしています。また電子顕微鏡と違って試料作成法(固定、薄切、染色など)の自由度は、普通の光学顕微鏡と同程度に高いので、やり方によっては生きた組織や細胞の連続撮影(timelaps)も可能です。

電子顕微鏡には大きく分けて、透過型(TEM)と走査型(SEM)があります。どちらも光ではなく、電子線を使って見ます。電子線を使うと何がいいかというと、光の波長はかなり大きく、どんなに倍率を上げても波長より細かいものを見分けられないですが、電子線はそれよりはるかに小さいので、より細かいものが見分けられる、つまり解像度が比較にならないくらい高いし倍率も上げられるということです。
TEMは、ちょうど光学顕微鏡で試料を透過した光を見るのと同じように、非常に薄く切った試料を透過した電子線を検出します。電子線の通しやすさが構造によって違ったり、電子を吸収するような物質で染色する(オスミウムとか金属コロイドとか)ことで微細な構造を見ます。
SEMであれば、ちょうど人の目が物に当たった光の反射で凹凸が認識できるように、凹凸のあるものに電子線をあててその反射を検出します。
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レーザー顕微鏡は基本的に表面の凹凸を見るものだということは意識した方がいいでしょう.この辺が,通常の光学顕微鏡と違うところです.まあ,通常はレーザー顕微鏡はそこそこの性能の光学顕微鏡がいっしょになっていますので,まずそれで見て,解像力が必要なところ,かつ,凹凸が出ているところなら,レーザー像で見る,という感じでしょうか.


試料を真空下におかなくてよいので,細胞組織とかを観察できそうに思いますが,レーザー顕微鏡はそういうことには向きません.色情報も取れません.
なんのかんのいっても「光」を使う機器なので,一般的な解像力はせいぜい0.1μmかそれを少し切るくらいでしょう.ウイルスを見るには解像力が足りません.

電子顕微鏡は,走査型は基本的に表面像を撮るものです.組織内部の様子はわかりません.解像力は nm 程度が限界.装置によってはウイルスは見えますが,形やなんかがきちんとわかるのは困難でしょう.
電子顕微鏡のもう一つのタイプの透過型は,試料を透過してくる電子線を影絵のように見るもので,解像力は 0.1nm くらいまではいけます.ウイルスのひとつひとつをきちんと見ようとすると,このくらいのものでないとだめです.ただし,試料が電子線を透過することが必須条件なので,薄片を作ったりする必要があります.電子線も強力なものを使うので,試料損傷の問題も出やすいです.

あと,レーザー顕微鏡はそうでもないですが,電子顕微鏡は使う人が下手だと性能が出ない典型的な例です.同じ装置を使っていても,腕のいい人と初心者とでは信じられないくらいの差が出ます.機器の維持管理も重要で,これが悪いと性能が出ません.

こういうのの価格は,まあ,あってないようなもので,交渉次第,あとタイミングによってはとてつもないディスカウントがあったりします.今は,補正予算がらみでこの手の機器の引き合いが日本中で一時的に急増しています.学校や研究所のようなところなら,予算さえつけば,正価の半額とかでの契約は続出しそうな雰囲気ですね.
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電子顕微鏡とは光の変わりに電子線を使う顕微鏡で、レーザ顕微鏡とは光源としてレーザを用いるものです。



分解能は(波長/開口数)に比例しますが電子線の波長は可視光や近紫外よりも容易に短くすることが可能ですので、分解能を比較すると電子顕微鏡のほうが良くなります。

ただし、普通レーザ顕微鏡といえば共焦点レーザ顕微鏡をさすと思いますが、共焦点方式では高さ方向にスライスして画像を取ることができるため、高さ方向の分解が苦手な電子顕微鏡よりも良いといえます。

ただし、電子顕微鏡は途中の空間での電子の散乱を避けるために光学系を真空に保たないといけません。さらに、電子をたたきつけているためサンプルがマイナスの電荷を帯び電子に対して斥力を及ぼすようになるため、帯電防止のためにサンプルに金属を蒸着するなどの工夫が必要です。
レーザ顕微鏡は、基本部分は普通の光学顕微鏡と同じよなものですからサンプルはステージのりさえすれば問題ありません。

生物系ですと、細胞内の構造を観察することもあると思いますが、かなり微小な分解能が必要な場合は電子顕微鏡を、それ以外の場合はレーザ顕微鏡を使ってみるのがいいでしょう。

価格についてですが、いろいろオプションをつけると電子顕微鏡の方が高くなるとは思います。(元素分析等の分析機器をつけることが多い)
共焦点レーザ顕微鏡は普通1千万程度の価格になり、電子顕微鏡でオプションを殆ど外してしまうとそれと同等ぐらいにはなるのではないでしょうか。
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この回答へのお礼

ありがとうございます!
大変わかりやすくて疑問が解けました。
かなり微小な分解能が必要な場合は電子顕微鏡を、それ以外の場合はレーザ顕微鏡なんですね。
ところでその境界はどこらへんなのでしょうか?
例えばウィルスとかをみるにはレーザー顕微鏡では厳しいのですかね。

お礼日時:2009/07/03 13:06

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