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殺人未遂罪の刑罰はどのくらいでしょうか?
刑法では、

 第199条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
 第203条 第199条及び前条の罪の未遂は、罰する。

とあり、殺人未遂に関する刑罰が見つけられませんでした。
(別の条文に書いてあるのでしょうか?)

殺人未遂罪の刑罰がどのくらいで規定されているのか?
教えてください。該当する刑法の条文も教えてください。

本日の裁判員裁判にて、殺人未遂に対して懲役4年6月の判決が
出ましたが、殺人未遂の刑罰がわからないので、刑罰の軽重が
ピンときませんでした。

A 回答 (2件)

これねぇ、ちゃんと説明すると恐ろしく長くなるんだよね。

簡単に要点だけ述べてみるけど巧く説明できそうにないから多分理解できないだろうという気がするな。

まず、未遂犯の法定刑は既遂犯と同じだよ。だから殺人なら199条と同じ。

そもそも法定刑、処断刑、宣告刑の違いから理解しないとだめだね。
法定刑というのは各犯罪ごとに法律で定める刑種とその範囲。
処断刑というのは 個 別 の 事 件 に お い て 法定刑を元に 特 定 の 刑 種 を 選 択 し た 上 で 加重減軽(軽減じゃないよ)した結果出てくる刑の範囲で、これが実際にその事件において科すことができる刑の範囲。いい?処断刑は既に「その事件」の問題になっているの。だから一般論として未遂と言ったらその元になる刑はあくまでも既遂犯の法定刑と言わなきゃいけないの。
宣告刑というのは、処断刑の範囲内で実際に判決で言渡す刑のこと。ちなみにこの処断刑から宣告刑を決める作業を量刑と言うね。

これを予備知識にして、刑法43条本文で未遂は減軽「できる」となっている。あくまでも「できる」だけだからしなくてもいい。しなければ処断刑は法定刑と同じだね(他に加重減軽事由がなければ)。ということは 未 遂 で も 死 刑 に で き る。
テロリストが化学兵器を持ち込んで東京駅で使用したところ奇跡的に死者は0だったが10万人が傷害を負ったなんてことが(現実にはないが)仮にあったら、10万人の被害者に対する殺人未遂罪の観念的競合だけど、このテロリストは殺人未遂だけで死刑になってもおかしくないね(化学兵器だと他にも何か罪が成立すると思うけど)。そして法律上それは可能。
一方、但し書では「する」となっている。これはしなければいけないってこと。だから、中止未遂であると認定したら必ず減軽するかまたは免除しなければならない。中止未遂の可能性を考えると、刑を科さないという選択肢まであるんだよ。

そして、減軽したらどうなるか?減軽のやり方を見てみよう。
刑種が二つ以上ある場合には最初にどの刑を科すかを決めるの。いい?刑種を選択してから減軽をすることになってるの(69条ね)。
そして殺人の場合には、刑種が死刑と懲役の二つがある。二つあるならその内どっちの刑を科すのかまず決めなきゃいけない。
そこで死刑を選択したとする。その上で未遂減軽をすると(他の加重減軽事由はないものとする。以下同)、無期懲役、無期禁錮、10年以上(20年以下。以下同)の懲役、10年以上の禁錮の4つの刑になる(選択刑として死刑と懲役のみを定める場合に、死刑を減軽して禁錮にすることはできないという話は聞いたことがないけど、もしかしたらできないかもしれない。そうすると無期懲役と10年以上の懲役の二つだけになる)。これが処断刑。そして最後にこの範囲内の宣告刑を決める。もっとも、選択刑に死刑と無期懲役がある場合に死刑を選択して減軽して無期懲役にするということはできないという学説もあったような気がする。なんか判例があった気がするんだけど手元に資料がないから気になるなら自分で調べて。仮にこの説を採用すると、死刑を選択するのは未遂だけど減軽しない場合のみということになるね。
次に、死刑でなく懲役を選択したとする。ここで無期と有期とあるから無期にすることに決めたとする。その上で未遂減軽をすると7年以上の懲役が処断刑となる。この場合は有期懲役の法定刑5年以上よりも重いから無期懲役を選んで減軽するということに問題はないと思うけどできないとする説もあり得なくはない。仮にできないとすれば、無期懲役もまた未遂減軽しない場合のみということになるね。有期にすることにすれば、5年以上の懲役が法定刑だから、未遂減軽した処断刑は2年6月以上10年以下の懲役となる。

以上を総合したらどうなると思う?
殺人罪の未遂犯において法律上科すことが可能な刑は、死刑(減軽なし)、無期懲役(死刑を減軽または減軽なしで無期懲役を選択。説によっては前者はできない可能性あり)、無期禁錮(できないかもしれない)、10年以上の懲役(死刑を減軽。これも説によってはできない)、10年以上の禁錮(できないかもしれない)、7年以上の懲役(無期懲役を減軽。説によってはできない可能性がある)、5年以上の懲役(減軽なし)、2年6月以上10年以下の懲役(有期懲役を減軽)、免除(中止未遂のみ)、とこれだけあるんだよ。同じような刑が並んでいるけど、先に説明したとおり、これは刑種を先に決めてから減軽するという減軽の手順によってそうなるだけ。

そもそも未遂犯の刑の範囲というのは法定刑として定めてある既遂犯とは発想がまるで違うんだよ。だから、あくまで基本になる法定刑は既遂犯のものしかなく、未遂という事実は減軽事由として考慮するかどうかの問題なの。減軽事由として考慮すれば、減軽の方法に従って「処断刑」が決まるだけなの。だから、未遂犯に適用される法定刑は?という質問なら、文字通りの答えは「既遂犯と同じ」だけど、未遂の場合、減軽事由(正確には免除事由でもある)だから、実際の事件に適用される「処断刑」に影響することがあるという風に答えるのが親切かな。

ちなみに今回の事件で宣告刑が懲役4年6月になったということは、他に減軽事由がなかったのなら有期懲役を選択の上で未遂減軽して2年6月以上10年以下の懲役という処断刑にしたってことだね。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。
中止未遂の件を含めてよくわかりました。

1点だけ。懲役刑は、30年まで加重することができるし、死刑/無期
からの減刑の場合、30年まで科せられることになっています。

お礼日時:2009/08/13 07:51

折角、刑法典をご覧になったのですから、もう少し他のところもお読みになればよかったですね。



  第八章 未遂罪

(未遂減免)
第四十三条  犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

(未遂罪)
第四十四条  未遂を罰する場合は、各本条で定める。

という規定があります。つまり、殺しちゃったときより、軽くしてもいいよということです。どれほど軽くするかは、個別の事情によるでしょう。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。
44条は、見ておりまして、各条に定めるとのことだったので、
殺人未遂罪の条文(203条)を見たところ罰するとだけ書いて
あり、刑罰について触れていなかったので、質問したのです。

その後、調べてみましたが、
68条、72条あたりが本質問の肝と思いました。
自分なりにこれらの条文を解釈した結果
殺人未遂に対して、刑を軽減する場合、
  無機懲役、または、2年6月以上の懲役
と思われます。

お礼日時:2009/08/13 00:22

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