No.6ベストアンサー
- 回答日時:
>その変化はいつ起こったのでしょうか?生きている最中ですか?それとも子供が進化しているのですか?
生きている間の"変化"は通常、遺伝子の変異を伴いません。努力して足が速くなったとしても、それは本来持っている能力を引き出しただけで遺伝的な変異があったわけではないのです。
また、遺伝的変異を伴う"変化"もあるのですが、それは子供には伝わりません。子供にその変異が伝わるには、生殖細胞(精子や卵子)の遺伝子に変異が起きなくてはなりませんから。
ガンはたいてい"遺伝的変異"を伴いますが、ガンになってから作った子供は産まれた時からガンになっているでしょうか?
このような"産まれてから生きている間に起きた変化"を「獲得形質」と言います。そして、「獲得形質は遺伝しない」というのが、生物学の大原則のひとつです。
進化は「獲得形質の遺伝によって起きる」と主張したのがラマルクで、これを「用不用説」と言います。よく使う器官は機能が増し、使わない器官は退化し、それが子孫に伝わって種としての形質が変化するのが進化だ、と言ったわけです。
このような「獲得形質の遺伝」を前提とした主張をラマルキズムといいます(ラマルキシズムではなくラマルキズム)。
でも、これが論争になったのはそれこそダーウィンの時代の話で、"遺伝子"というものの正体や振る舞いもよく判っていなかった頃の話です。もう100年も前に否定されてしまって決着が付いている話です。
現在でも獲得形質の遺伝を諦めきれずにいろいろ考えている人達はいますが(ネオ・ラマルキズム)、証拠は挙がっていません。ラマルキズムっぽいと彼らが主張するいくつかの現象も、ほとんど全ては現代の生物学で説明ができるものばかりです。
なお、生物学的な「進化」には、"機能の向上"とか"環境への適応"という概念はありません。それらはあくまで結果論であって(環境に適応したものが選択される)、「進化」の定義には含まれていません。どういう形であれ、「遺伝的な背景をもって変化した」ものは全て「進化」と呼びます。
分子生物学的には、例え形質の変化がまったくない遺伝子の変異も「進化」と呼びます。
従って、
>親が体感したことが子供の進化につながるんですか?
は「繋がりません」が回答になります。少なくとも遺伝学的には、ですが。
ただ、ヒトを含めた多くの動物には「文化」というものがあり、これらは「遺伝的背景を持たない変化」ということになります。他の回答者さんが触れている教育や社会制度、モラル・思想・宗教なども定義的には「文化」でしょう。これも生物学の対象であり、進化と切り離して考えることはできません。
ただ、動物行動学では往々にして"文化"を遺伝的背景に因らない行動、という定義をしたりするのですが、ある文化はある"遺伝子"の選択圧になり得ますから、"文化"を遺伝子と完全に切り離して扱うのは難しいでしょう。
一般的な「進化」のイメージというと、チンパンジーとの共通祖先からヒトが分化しような
>人間や動物は昔から進化して形を変えてきましたが
という現象のことを意味するのでしょうが、これはまさしく遺伝的変異が大前提の話ですから、「親が子供を産む時、その子供の遺伝子が変異している」ことの積み重ねになります。
基本的に遺伝子が「変異」するのは、「コピーする時」です。すなわち大腸菌なら増殖のため"分裂"する時であり、動物であれば「子供を作る時」です。
その変異が"その時の環境"に有利であれば選択され、不利であれば淘汰されるわけです。
それも単にその個体が生き残れるか否か、という単純なものではなく、端的に言えば「どれだけの子孫を残せるか」に尽きます。
それももっと正確に言えば、「長い期間、大きな集団の中で平均して」です。
例えばキリンだと、首の短い原種の中で"ほんの僅かだけ首が長い"個体が突然変異によって産まれたとします。その個体は他に心臓が弱かったり足が遅いなどの"不利な"遺伝子も持っているかもしれません。
ですが、長い期間(何十万年~何百万年)に大きな集団で考えると、"平均すると"僅かでも首が長い遺伝子を持つ個体は従来の個体より生存に有利なので、生き延びて子孫を残す確率が大きくなります。
すると十分長い期間を経ると、その「首が長い遺伝子」は集団の中で頻度を増して、いつの間にか「その集団の個体大部分が首が長い遺伝子を持つ」ということになるわけです。
そうなると、その中でまた少し首が長い変異が現れると有利に働き・・という具合に、長い期間を経て首が長いキリンという種が分化するわけです。
ですから「進化」とは、小さな小さな"マイナーチェンジ"の積み重ねです。つまり今現在も人類は「進化」を続けている最中なのですが、1世代での「変化」はあまりに小さいので、私達がそれを実感することがない、というわけです。
多分、タイムマシンで800万年前のアフリカに行き、そこの類人猿を数百万年つぶさに観察し続けたとしても、人類という種が成立する瞬間は判らないでしょう。1つ1つの変化が非常に小さく、それが集団内で広がっていく速度も私達の時間尺度から見れば非常に遅いので、「観察し続けていて、ふと気づけばいつの間にか人類っぽい集団が存在していた」というようなことになるのではないでしょうか。
それと、自然選択は「将来の環境変化を見越して」いるのではありません。あくまで「現在の環境に適応している遺伝子が成功する」のです。
例えば、人類の祖先が密林で生活している時期に足の親指が対向せずに前を向いた"突然変異"が起きても、その個体は森林生活には著しく不利なので淘汰されます。当然、将来森林がなくなった時にはそんな遺伝子が存在し得ません。
もちろん森林が数世代の内に突然なくなってサバンナになったのではなく、数万年から数十万年かけて環境の変化が起きるわけですが、密林地帯の周囲に疎林地帯が出現し、密林の中での生存競争に敗れた個体や集団が「辺境の不利な地域」である疎林地帯で暮らす内に、直立二足歩行に適した変異が出現すると、それは非常に有利に働いたでしょうから選択されることになります。
自然選択はあくまでも「現在の環境」に適応しているか否か、の判定しかしないのも進化論の大原則のひとつです。
つまり、突然変異と自然選択による進化は、「ごく小さな、しかも行き当たりばったりのその場しのぎのマイナーチェンジの積み重ね」であるわけです。
進化論については、リチャード・ドーキンスの「盲目の時計職人」という本がお奨めです。ここで書いたような「進化のメカニズム」が非常に丁寧に判りやすく書かれている本です。
ウイルス進化論については、実は「学説」にはなっていないレベルの代物です。提唱者が学者で(進化生物学が専門ではないのですが)、しかも初心者向けの啓蒙書をたくさん書いていて、その中でウイルス進化論が既に学問的に非常に有力になってきている、みたいなアンフェアなことを書いているおかげで騙されている人が多いですが。
「学説」になっていない、というのは、まだ論文が出ていない、という意味です。つまり「学説」として世の学者達に議論される"土俵"にも上がることができていない、という状態なのです。
もう数十年経つのに論文が出てくる気配もないし、そもそも論旨が無茶苦茶なので論文を投稿しても査読を通らないのでしょう。
日本では進化論を学ぶ初心者向きの良い本が少ないのが残念です。その手の本で一番著書が多いのがウイルス進化論の提唱者なので、日本人で進化論を妙に誤解している人が多いのも仕方ないことなのかもしれません(アメリカはもっと情けない状況のようですが)。
No.5
- 回答日時:
>>親が体感したこと
が伝わるか
ラマルキシズムの考えですが現在の科学では現状は否定されています。
ただ、ラマルキシズムっぽい現象も少し報告されており、将来的にはわかりません。
現在の科学の主流意見ではありえないとなります。
進化にも大進化、小進化など色々あるのですが
基本的には
ダーウィンの適者生存、ワグナーの隔離説、ドフリースの突然変異説を組み合わせた
総合説が一番自然で、いまの主流だと思います。
木村資生さんの中立説なども遺伝子に関しての議論ですから
とりあえず、個体が生存中に変化するという事はないと思います。
適者生存で種が洗練化し、遺伝子の表現形質でない部分に突然変異が蓄積し、
地形の変異などがそれにからみ
進化がおこる。
がいまの知見だと思います
No.4
- 回答日時:
進化とは、生物の種(≒遺伝)としての機能向上であり、
遺伝子の変異とそれに対する淘汰ですから、子供を生み、
苦労して成長し、死んでしまうこと自体が、進化の実体です。
ただし、人類は、遺伝子によらない世代間伝承(教育や
社会制度、モラル・思想・宗教など)を有するので、そう
した変化=学習や流行も、広義の進化と言えるでしょう。
No.3
- 回答日時:
進化は常に起こっています でも 現在の環境では直ぐに死にます
だから現在の環境が激変して 今の生物が殆ど死滅するときに
新しい環境に合った生物だけが生き残るのです
ヒトとサルが分かれるときは森が無くなったときです
サルの中で森が無くても生きれるサルが居ると森があると死にますが
森がないとその少数のサルが生き残るのです
現在のヒトも一家族の生き残りです
残りはそのままの環境で生きるか死ぬだけです
進化とは環境の中変化に対応して生きる行く事なのです
遺伝子は大変保守的です 変化するとそれを殺す力が生まれます
それでも全部同じでは有りません
No.2
- 回答日時:
「いつ起きるか」というのはかなり微妙だったりします。
進化は突然変異などによってDNAなどが変容すると考えてみて下さい。(おおざっぱですが)
その個体だけでは進化とは言えません。ただの突然変異です。ただ、その変異したDNAを持った個体が次世代を産み、その次、次へと子をなしていったとき、多くの子孫が存在することになります。それが環境に適応し、定着した場合進化と言えるのではないでしょうか。
また、ウイルスによる進化を提唱している学者もいます。(日本人です)
「ウイルス進化論」という本でなかなか面白い内容です。メジャーにはなっていませんが、読み物としてかなりのデキです。
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