土地所有者をAとし、AがBにその土地を賃貸し、Bはその土地上に建物を建て、その建物をCに賃貸していました。
ところでBはAに地代を支払わないので、AはBに内容証明郵便で土地賃貸借契約の解除の通知をしました。(勿論、催告したうえで)
その後、AはBからその建物を借地権の附随しない建物代金として買い受けました。つまり、現在では土地も建物もA所有です。
そこで質問ですが、AはCに対して建物不法占拠として明渡しを求めることができるでしようか?
私は、地代未払いによる土地賃貸借契約解除の段階でCは建物を利用する権利は無くなっていると思われますので(例え、CはBに建物賃料を支払っていたとしても)この訴訟ではAの勝訴となりそうですが、どうなのでしよう。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
直接「的」な判例として,「特別事情があったため」土地賃貸借の合意解除が地上建物の賃借人に対抗できるとされた事例があります。
昭和49年4月26日第二小法廷判決 昭和48オ766号,建物収去土地明渡請求
最高裁HPから検索可
とりあえず文献的なものを1つ紹介しますと「問答式新借地借家法の解説,石田喜久夫著,新日本法規出版」の「借地上建物の賃借人の保護」という項目に多少の記載があります。
比較的自明なものとして確立されていれば,下級審レベルで終了するため,重要判例として刊行物等に記載されることはほとんど無いかもしれません。
そうですか、合意解除の場合ですよね。
親亀が故意にコケタ場合は小亀も助かる、と云うことのようです。
また文献、新日本法規、これは私も以前から取り引きがあるので聞いてみます。
ありがとうございました。
No.5
- 回答日時:
下の判決ですが、
S36.12.21 第一小法廷・判決 昭和34(オ)596 第三者異議等
で、最高裁HPから検索できます。
参考文献
「借地の法律相談」、鈴木禄弥・高島良一・佐藤繁・山崎敏彦 編、有斐閣、「債務不履行による解除と買い取り請求」の項
「実例民法」、高梨公之監修、自由国民社、「613条」の項
参考URL:http://www.courts.go.jp/
No.4
- 回答日時:
ここに回答・解説する能力はないのですが、ヒントにでもなればと恥を忍んでアップします。
類似した問題として、転貸借の判決があるそうです。
最判昭36・12・21民集一五-一二-三二四三
地主と建物賃借人より適法転借人の方が関係が深く、建物賃借人は転借人が受ける以上の保護は与えられないと考えられるようです。
余談ですが、万一債務不履行による契約解除が偽装で、合意解除が立証されると建物賃借人の権利は守られるそうです。
>ここに回答・解説する能力はないのですが、ヒントにでもなればと恥を忍んでアップします。
そう云わず是非お願いします。
>債務不履行による契約解除が偽装で、合意解除が立証されると建物賃借人の権利は守られるそうです。
あ~そうですか、偽装ですか、
誰か考えそうですが、偽装されて建物賃借人がコケタたら可哀想ですですからね。
ありがとうございました。
No.2
- 回答日時:
「地代未払いによる土地賃貸借契約解除の段階でCは建物を利用する権利は無くなっている」の部分に再考が必要です。
建物賃貸借と土地賃貸借は,それぞれ別個の債権債務関係ですから,後者の消滅が直ちに前者の終了を生じさせるものではありません。
最高裁のHP(参考URL)の「判例情報」の最高裁判例検索ページから「最高裁第一小法廷昭和45年オ536転付金請求事件昭和45年12月24日」にあたってみることをお勧めします(模範六法程度でも普通要旨を掲載しています)。
これは,所謂親亀子亀理論を説明するときに引用される判例でもあります。
言わずもがなと思いますが,建物所有者の変更については「売買は賃貸借を破る」が借地借家法で修正され引渡を受けた賃借権は,後の所有権に対抗力を有しますから,この理と上述の理からCは不法占拠者とはなりません。
建物が存続するのであれば,建物賃貸借を終了させる必要があります(訴訟上,Cが建物利用権の存在を抗弁事由として主張することを前提とすれば)。
参考URL:http://www.courts.go.jp/
再度ありがとうございます。
判例も熟読いたしました。
それによりますと、確かに「土地の賃貸借契約終了で、それをもって、即、建物賃貸借契約終了ではない。」となっています。
しかし、この判例は、地主の建物所有者に対するが債権を建物賃借人を第三債務者として差押た判例で、間接的に上記に理由によってなされたもののようです。
この判例は、私も支持し、そのとおりではないかと考えます。
直接的な判例がありましたら、また教えて下さい。
No.1
- 回答日時:
1 建物の取壊しが前提である場合
基本的にはAの勝訴と考えて宜しいでしょうが,最長1年間Cの現実的退去を求められない場合があり得ます(参考URL参照)。
2 建物取壊しがなされない場合
旧法時代の判例ですがケースがかなり類似しているものに,昭和31年6月13日東京高等裁判所の家屋明渡請求事件があり,この判決では次のように判示されています。
買取請求権の行使により建物の所有権が土地賃貸人に移転した場合にも,当該建物を従前から正当に賃借している者は借家法1条によって賃借権を土地賃貸人に対抗しうる。
借地法10条の買取請求がなされた当時引渡を受けている借地上建物の賃借人は,同条により借地上建物の買受人に賃借権を対抗することができる。
参考URL:http://www.oj-net.co.jp/law/law/law_43.html
早速ありがとうございました。
御指摘の判例では「買取請求権の行使」で所有権が移転した例のようなので、それならば、判示のとおりかも知れませんが、今回は、借地権消滅後ですから参考URLの35条のような気がします。
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