いつも親切細かいご教示を本当にありがとうございます。
貴殿の回答の中で、またいくつか質問させてください。
(1)古典的な計算なら(吸着等温線をにらんで)あまり問題にならない相対圧の小さい方は粗くとって相対圧0.1くらいで打ち切りにしています。
これは、つまり吸着で用いる場合、例えばRH30未満では適用できないというようなことでしょうか?
ケルビン式では、例えばRH10のような低相対圧でも、その径に応じた毛細管凝縮が起こるという理論だと思うのですが、これについてはどうでしょうか?
(2)ΔVn_conは毛細管に凝縮していた凝縮ガスの脱離量です。
>差は脱離量ですが、これをガスの重量(g)で見たのなら18で割ればモル数であり、それに22.4をかければリットルで測った気体の体積になります。しかしそれでは細孔容積とは無縁の量です。
となると上記の凝縮ガスの脱離量(吸着量)の値はどう求めるのでしょうか?また吸着量はgで求めています(というか重量法なので測定値そのものです)
(3)ある平衡圧に対応する凝縮細孔半径と、次の平衡圧に対応する凝縮細孔半径の平均です。
すいません、言葉が足りませんでした。おっしゃる通りです。つまり、この平均値というのが、rpn_avですね。
(4)RH20とRH15(なんでRH20とRH15が出てくるのか知りませんが)の間でのΔtならそれぞれのP0/Pに対応するtを出して差をとるのです。
ありがとうございます。これがtn_avですね。
(5)rpn_avとrkn_avの間にはrpn_av=rkn_av+tn_avの関係があります。そもそも手計算(あるいはExcelなど)でやるなら
Rn={(rpn_av)^2/(rkn_av+Δtn)^2}
はデータと関係なく出してしまえるはずですが。
rpn_av=rkn_av+tn_avとなると、上記式よりRn=1になってしまわないでしょうか?rkn_av自体がなんの値なのかが分かりません。
(6)BJHが便宜上の円筒近似なのでcについて幾つか計算してC=RncΔtnとして用意しておき、これをつかって計算してみて、その結果得られたApの総和が別途測ったBET表面積に近いものを採用する、というだけです。
C=RncΔtnまたは、0.75~0.9の間の値のどちらでも良いのでしょうか?
現在Rnの理解がいまいちなので、RncΔtnの意味もいまいち分かりません。
(7)円筒近似ですから半径をrpn_avとして、2Vpn/rpn_av(つまり円筒の体積を2倍して半径でわれば2πrL(Lは円筒の長さ)で側壁の面積になります。これを足していけば全体の表面積になります。
この足していくというのは、例えば脱離で言うと、RH90~80のrpn_av、2Vpn/rpn_avを用いて、算定した比表面積とRH80~70の積算ということでしょうか?つまり、各相対圧での凝縮半径が存在するのだから、RH70のときの算定面積をもって、RH70~90という訳にはいかないということでしょうか?
■仮想設定条件
小型チャンバー等でRH60と80の環境により、試料(セメント)を重量法により水蒸気吸着させていく。
それぞれのケルビン半径は、2.2nmと5nmです。
RH60での吸着量2.5g、RH80では3.5gです。
この場合のRH60または80における細孔容積をこの数値を使って説明していただければ助かります(大変恐縮ですが)。
もう貴殿には感謝してもしきれないくらいです。いつもほんとうにありがとう御座います。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
>このBJH法を吸着側で用いるときは、
>1x10^(-6)=Vp/{rpn_av/(rkn_av+Δtn)}^2
>上記の式を用いる形で良いでしょうか?
実際におこっていることは、例えばインク壷のようなPoreで吸着なら内側の吸着層の厚みが圧が上がり続けるにつれて増大し、最後にPoreが充填されるのにたいして、脱離の場合ならば、入口の小さい細孔半径がKelvin半径になりますから、十分低圧になったところ一気に蒸発するので、吸着と脱離ではことなります。しかし、吸着等温線のBJHの解析ならば、円筒での吸着(凝縮)脱離(蒸発)ですから、単に等温線ということで扱いに差はありません。
>Δtnは吸着の際、凝縮細孔径に吸着(凝縮)したものではなく、「他の
>細孔への吸着水または、細孔ではなく表面に吸着した吸着水」との解
>釈で、脱着の場合と同じ用い方をしようと考えています。いかがでしょ
>うか?
Δtnは脱離の場合はn番目のステップでの(凝縮相が抜けている円筒の)側壁の吸着層の厚みの減少です。吸着ならn番目のステップでの(凝縮相がない円筒の)側壁の吸着層の厚みの増加です。”表面”とは計算上は円筒側壁面積です。
>これは液体の水が曲がったメニスカスを作ることを前提にするKelvin
>式の当てはまる領域ではありません。
Kelvin式は曲がった面(水のメニスカス)の力学的釣りあいが使われます。たとえばRH=30で凝縮半径が0.9 nm=9Åの孔に詰まった水の水面など考えられますか?水の分子断面積は298Kで10.8Å^2です。巨視的な表面張力に基く力の釣りあいが意味をなしません。
No.2
- 回答日時:
No1です。
最後の仮想設定条件の計算で重大な問題がありました。いくら簡略化計算といってもさすがに乱暴でした。蒸発により抜けるの5 nmから2.2 nmですから、1 cccの水の蒸発は5 nmの孔からの蒸発とは無理がありますね。BJH法に忠実にやります。なお、RH80ですべての水は細孔中の凝縮である、という仮定はそのままにします。(そうしないと計算できないです。)
5 nmから2.2nmまでの孔の水の蒸発が1 gは水の容積1 ccに対応しします。
吸着層が細孔の壁に残らないならば、1 ccはそのまま2.2-5 nmの半径の細孔容積になります。
その時当該区間の半径の細孔の中には0.52nmの厚さの吸着層が残ることになります。
ワンステップなので細孔半径は中間値3.6 nmで代表させます。
吸着層の厚さは計算すると
t(RH80)=5.07Å
t(RH60)=7.38Å
となります。(あっているのかしら)
t_av=6.22Å=0.62 nm
Δt=2.3Å=0.23 nm
そうすると1 ccの水の蒸発に対応するのは
1x10^(-6)=Vp(1/Rn)=Vp/{rpn_av/(rkn_av+Δtn)}^2=Vp/{(3.6x10^(-9))/(rkn_av+Δtn)}^2...(1)
(普通Rnは教科書では数表で出ていると思います。)rpnやrknの平均値を使うと(1)の分母にΔtnが入ることに注意です。区間の最大と最小と中間のものについての蒸発の絵を描くとわかります。
rkn_av=rpn_av-tn_av=3.6x10^(-9)-0.62x10^(-9)=2.98x10^(-9)...(2)
よって
1x10^(-6)=Vp/(3.6x10^(-9)/3.21^(-9))^2=Vp/1.258
より
Vp=1.258x10^(-6) m^3=1.258 cc
です。この時この区間の表面積の代用としての円筒の側壁面積は2Vp/rpで出てきます。
どうも失礼しました。
ありがとうございました。
ちょっと急いでおり、また改めてお礼申し上げます。
一つお聞きしたいのが、このBJH法を吸着側で用いるときは、
1x10^(-6)=Vp/{rpn_av/(rkn_av+Δtn)}^2
上記の式を用いる形で良いでしょうか?
Δtnは吸着の際、凝縮細孔径に吸着(凝縮)したものではなく、「他の細孔への吸着水または、細孔ではなく表面に吸着した吸着水」との解釈で、脱着の場合と同じ用い方をしようと考えています。いかがでしょうか?
>これは液体の水が曲がったメニスカスを作ることを前提にするKelvin式の当てはまる領域ではありません。
これについてできましたら今一度ご説明いただけたらと思います。
ただ細孔径分布としては、RH60~100の間での算定を考えています。
お忙しい中ありがとうございます。
No.1
- 回答日時:
>ケルビン式では、例えばRH10のような低相対圧でも、その径に応じた
>毛細管凝縮が起こるという理論だと思うのですが、これについてはどう
>でしょうか?
そのKelvin式をP/Po=0.3に適用し、水の場合で凝縮する細孔半径を出してみて下さい。298Kで0.9 nmくらいでしょう。これは液体の水が曲がったメニスカスを作ることを前提にするKelvin式の当てはまる領域ではありません。それに固体の方もその孔の大きさでは原子が見えてくる領域です。
>となると上記の凝縮ガスの脱離量(吸着量)の値はどう求めるのでしょ
>うか?また吸着量はgで求めています(というか重量法なので測定値そ
>のものです)
当然液体の体積に読み替えます。
>ありがとうございます。これがtn_avですね。
これはΔtnどうだすのかというご質問への回答ですからΔtnの話です。
>rpn_av=rkn_av+tn_avとなると、上記式よりRn=1になってしまわない
>でしょうか?rkn_av自体がなんの値なのかが分かりません。
Rn={(rpn_av)^2/(rkn_av+Δtn)^2}
のはずです。分母にあるのはΔtnであってtn_avではありません。rknという量はrpn(真の細孔半径)から吸着層の厚みを引いた量です。細孔から脱離が起こっても吸着層の分はのこるので、脱離蒸気の量はRnの補正が必要になるのです。
>C=RncΔtnまたは、0.75~0.9の間の値のどちらでも良いのでしょうか?
>現在Rnの理解がいまいちなので、RncΔtnの意味もいまいち分かりま
>せん。
RnのというFactorの調整の意味は上に書いたとおりです。さてこの質問の文章の意味が不明です。Rn*c*Δtnの式をつかうことになってその中でc(小文字)を0.75~0.9の間で選んで(たとえば0.75, 0.80, 0.85, 0.90)いちいち計算するのです。すなわちc=0.75を選ぶなら0.75Rn*Δtnを各ステップについて計算します。その数値を使って全ての計算をやり遂げます。そして同様にc=0.80, 0.85, 0.90についても同じことをやり、表で得られる累積された表面積がそれぞれの場合で異なるはずです。その値を比べてBETにもっとも近い値になったcを正とし、その計算結果の細孔分布を得られた分布とするのです。
>この足していくというのは、例えば脱離で言うと、RH90~80のrpn_av、
>2Vpn/rpn_avを用いて、算定した比表面積とRH80~70の積算ということ
>でしょうか?つまり、各相対圧での凝縮半径が存在するのだから、RH70
>のときの算定面積をもって、RH70~90という訳にはいかないということ
>でしょうか?
自分でまず計算法をそっくりFollowしてやってみられてはいかがですか。以下のようになります。
(1)各ステップでの蒸発量が決まります。この蒸発量は、このステップでの細孔からの凝縮液の蒸発(円筒の壁に吸着層を残す)と、一つ前からすでに空になって吸着層だけが残り、その吸着層の厚さが減る分の和としていますね。そしてここで吸着層だけが残った円筒が新に出来ます。この円筒の体積をVpnとします。そして新しく露出した面積は円筒近似から出せるのです。
(2)即ち半径をrpn_avとして、2Vpn/rpn_av(つまり円筒の体積を2倍し
て半径でわれば2πrL(Lは円筒の長さ)で側壁の面積になります。
この側壁の面積がこのステップで新しくできた面積と考えるのです。これを各ステップについて足していけば、各径の細孔の側壁の面積の合計が出ます。これが細孔分布計算と並行してでてくる表面積なのです。
>小型チャンバー等でRH60と80の環境により、試料(セメント)を重量法
>により水蒸気吸着させていく。
>それぞれのケルビン半径は、2.2nmと5nmです。
>RH60での吸着量2.5g、RH80では3.5gです。
>この場合のRH60または80における細孔容積をこの数値を使って説明して
>いただければ助かります(大変恐縮ですが)。
これだけではデータが少なすぎます。仮定を入れてラフな議論でやります。
RHの変化で水が1.0 g蒸発したことがわかります。これは液体として1 ccの容積に対応します。
さて、RH80で多分子層吸着の部分はなく、すべては固体の細孔にあったとします。そうすると蒸発はすべて細孔からの蒸発であり、また蒸発の終わったあとで円筒内部に水の吸着層が残ります。この残る水の吸着層の厚さは、(質問者さんによれば)
t=(13.99/log(P0/P)+0.034)^1/2
のはずです。多分この式は分母が足し算になっていて、しかも出てくる値の単位はÅだろうと考えることにします。そうすると、半径5 nmの細孔にRH60で0.52nmの厚さの吸着層が残ったものになります。細孔の総延長の長さをLとして、1 cc=1x10^(-6)m^3の水の容積に対応しているのは
1x10^(-6)=π(5x10^(-9))^2L
ではなくて
1x10^(-6)=π(5x10^(-9)-0.52x10^(-9))^2L
即ち
1x10^(-6)=6.305^(-17)L
となります。これよりL=1.586x10^10 mを得ます。よってこのステップの細孔容積は
πx(5x10^(-9))^2*1.586x10^10=1.24x10^(-6) m^3=1.24 cc
であり、その区間での(円筒近似に基く)表面積は
2πx5x10^(-9)x1.586x10^10=498 m^2
となります。
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