以下のような問題が出てきました。
10mLの新しいピペット(体積を10.00mLまで正確に測れる器具)を
使用する際の標準不確かさを見積もった。
熟練性の評価として、純水をはかり取り正確に質量を繰り返し測定したところ、
10回測定の標準偏差は0.05mLであった。
またこのピペットの許容誤差(公差)は0.02mLであった。
このピペットの相対合成標準不確かさはいくらか?
それでこの問題の答えなんですが、
ここでは新しいピペットを使用すると記載されており、
特段信頼性レベルの表示がなく極端な値があるかもしれない状況下であるから、
ピペットの体積が確率的に矩形分布であると考えて、
許容誤差を√3で除して標準不確かさとする。
すなわち
0.02/√3=0.012mL
「合成標準不確かさ」は
√(0.012^2+0.05^2)=0.05
以上より、「相対合成標準不確かさ」は
0.05/10=5x10^3
である。
「合成標準不確かさ」と「相対合成標準不確かさ」の計算は理解できるのですが、
その前にある、
「ピペットの体積が確率的に矩形分布であると考えて、
許容誤差を√3で除して標準不確かさとする。」
というところが全然理解できません。
分かる方がおられましたら教えてください。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
ピペットを製造する際に、大きなばらつきをもつ分布Aに従ってランダムにいろんな体積の品物が出来ちゃうのを、検査して、公差に入るものだけを合格品として出荷しているんだろう、と考える。
すると、合格品の体積の分布は、分布Aの裾野が公差で切り取られた、角張った分布になるはずです。実際の製造過程では、おそらく不合格になる品物がなるべく少なくなるようにイロイロ工夫していて、従って分布Aは幅の狭い「とんがった」分布に従っているでしょう。けれども、Aについての情報はない。公差しか分からないので、「製造過程で、最も工夫が出来ていない。分布Aがとんがっておらず、どんな体積の品物が出来るのかさっぱりコントロール出来ない」という意味で「最悪」の状況を考えるのが妥当です。(とは言っても、数学的にあり得る最悪の状況(品物が10.02mLか9.98mLのどっちかである)が生じていると考えるのは、特に理由もないのだから、いくら何でも不自然過ぎ。)
なので、(上記の意味で)「最悪」、Aはものすごく幅の広い分布であって、その一部を公差で切り取ったのが合格品の分布であると考える。その場合、合格品の体積が従う分布は、10.02 mL~9.98 mLの一様分布で近似できるでしょう。
確率変数xが最大値がm+a, 最小値がm-aである矩形分布(確率密度関数φ(x))に従う時のxの標準偏差をσとすると
σ^2 = ∫{x=-∞~∞}((x-m)^2)φ(x)dx
=(1/(2a)) ∫{x=-a~+a}(x^2)dx = (a^2)/3
だから
σ=a/√3
もし、製造過程の工夫によってAの分布がもっと「とんがった」形をしていれば、標準偏差はこれより小さくなる。だからこれが「最悪」の標準偏差の見積もりだと考えて良いでしょう。
一様分布ですか。なるほど。
そんな分布もあったことすら知りませんでした。
どうやら、Xの平均=(b+a)/2、Xの分散=(b-a)^2/12で出せるようですね。
ありがとうございました。
No.2
- 回答日時:
ANo.1について、ちょっと考え直しました。
以下のような議論も成り立つなあ、と。もし、公差0.02mLのピペットが最上級品として出荷されているのであれば、ANo.1で良い。けれども、もし同じ製造過程で出来る品物を検査によって、
公差0.01mL … 1級品。(高価)
公差0.02mL … 2級品。(安価)
と分類して出荷していたとするならどうか。
すると、2級品には誤差0.01mL以内の品物が含まれていない訳で、つまり、2級品の体積xの分布の確率密度関数φは
9.98≦ x < 9.99 または 10.01< x ≦ 10.02 のときφ(x)=1/0.02
それ以外ではφ(x)=0
となる。2級品の標準偏差σはANo.1の答よりも大きくなる。1級品の公差が0.2mLに近いほどσは大きい(が、0.02を越えることはない)。
と、そういうこともあるかも知れないのだから、従って、「数学的最悪」であるσ=0.02を採用する方がやっぱり妥当である。
この議論からすると、ご質問の(1/√3)という因子は1とするのが適切だということになりますね。
うーん、書いてあることが難しい……。
これはH21年度環境計量士(濃度)試験の問題です。
あくまで資格試験の問題ですので、
私自身はあまり深く考える必要もないかなと思っています。
補足説明ありがとうございました。
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