なぜ外国は官僚主導にならないのか?
日本やフランスは官僚主導国家といわれ、
それが良いか悪いかについては色々と議論があると思いますが、
他の国ではなぜ官僚主導にならずに済むのでしょうか?
日本の常識からいくと中央官僚は政治家に比べて、
・(個人として)長く務めるので専門的な知識がある
・(省庁として)過去の歴史からノウハウの蓄積がある
・情報上流(情報下流の政治家に対して情報付与の調節、コントロールが可能)
・とにかく頭が良い
これらを駆使してズル賢く面従腹背で政治家を操ることがいくらでも可能で、
(どの国であっても)とても政治家が勝てる要素が無いように思えるのですが
他の国ではどういう仕組みで官僚主導にならずに済んでいるのでしょうか?
教えてください
No.8ベストアンサー
- 回答日時:
結論
質問の意図する官僚主導の意味が不明確なので回答できない
私見
私が知る限り、政治権力の実態は『普遍的に官僚主導』であり、諸外国でも官僚主導である
仮に、官僚の主導権の問題を立法・行政に二つで見れば、支配的であるのは必然である。
高度に専門的で、前提となる情報量が多い政治問題に関しては、専門性を持ち、現場情報を多く持っている官僚が主導するのが一般的である
最近問題にされる官僚主導の批判は、立法権における官僚主導権の問題であって、行政権における官僚主導を否定する理論は、一般的ではない。
(多くの民意は、官僚主導の主体について分離していないようだが)
さて、他国は日本よりも若干、官僚の主導性が希薄と見做されるのは一定の根拠がある
それは、政治の大戦略を国民・政治家が策定した上で、詳細の政治権力を官僚に委任しているからである。
例えば、外交・教育などの中長期的事業計画は、政治権力がある程度の設計を担当するが、日本において官僚が策定したものを政治が審査するだけの性質に留まっている。
教育行政では、中教審という官僚・識者の諮問機関が強烈な支配力を持っていて、戦略まで意思決定している。
もっとも、政治家・国民がグランドヴィジョンを提示・決定できないから、官僚が代替しているのが実情だろう。
要は、日本政治が官僚に対して、主導的ではないのが、基礎的国家戦略・社会戦略の合意形成を形成していないからである。
もっといえば、憲法において規定される政治的戦略の具体論がない問題とも言える。
憲法前文の意味する精神性・規範性について具体的合意形成が醸成されないからこそ、官僚は仔細な部分で意思決定権を行使して、独走していると言えるだろう。
ちなみに、小泉内閣は、小泉内閣が執心した部分だけは政治主導と言えるが、その結果は散々なものだったと言えるだろう。
プラトンの「国家」の指摘するように、賢人(官僚)による政治がもっとも正義を体現しえると言えるでしょう。これは民主主義を否定するものではなく、その賢人に政治権力を委託するべき、ということです。
>政治権力の実態は『普遍的に官僚主導』であり、諸外国でも官僚主導である
なるほど、やはりそうなんですか。
>他国は日本よりも若干、官僚の主導性が希薄と見做されるのは一定の根拠がある
>それは、政治の大戦略を国民・政治家が策定した上で、詳細の政治権力を官僚に委任しているからである。
>例えば、外交・教育などの中長期的事業計画は、政治権力がある程度の設計を担当するが、日本において官僚が策定したものを政治が審査するだけの性質に留まっている。
>日本政治が官僚に対して、主導的ではないのが、基礎的国家戦略・社会戦略の合意形成を形成していないからである。
日本の政治家はグランドヴィジョンを示せていない、他国の政治家はそれができている。それが違うところだ、ということですね
わたしのような素人にも非常にわかりやすい説明でした。
ありがとうございます。
No.9
- 回答日時:
<参考>
アメリカの場合のみですが・・・
政権交代すると、特に民主党・共和党の間で政権交代があると、日本の政府の場合で言うと、各官庁の局長・部長クラス以上の入れ替えが、大規模に行われますし、課長クラスでも入れ替えがあります。
元々、アメリカは「年功序列で、同じ職場内での昇進」もありますが、民間・行政府を問わず、重要ポストは、ヘッドハンティングや募集・縁故などで、財界経営者クラス・学者・弁護士などから選ぶのが普通です。
ですから、官僚と学者や財界・法曹界などの間の壁が少なく、人材が比較的自由に移動します。
政府の重要ポストに民間人が就くと、自分の担当部課の職員に、その人が過去に務めた会社や付き合いのあった人の中で、優秀であった人をヘッドハンティングする事が普通に行われます。
アメリカの場合でいうと、官僚の大規模な人事の入れ替えがあり、官僚と学者や財界・法曹界などの間の壁が少なく人材が比較的自由な移動があるから
ということですね。
忘れてました。確かにTVでもそういってました。
ありがとうございます。
No.7
- 回答日時:
No.6のつづきです。
小話風に説明します。
官僚「消費税あげたいです!」
土着貴族勢力「あまり上げすぎると経済的困窮で少子化進んでしまうやん!」
官僚「移民を受け入れればOKです!」
土着貴族勢力「移民なんてしたら、うちの家系を支えとる日本文化が弱体するやん!」
官僚「知りませんがな。我が家系はサラリーマンでしたし。」
官僚「わては今回5%上げるだけで退官するので、あと上げなくていいから!今回だけ!」
土着貴族勢力「そんなことしたら先祖や一門に怒られるわ~」
つまり、官僚の短期的視野の保守を長期的視野の土着貴族階級が中和するということです。
その土着貴族階級が残っているのが欧州、土着貴族階級は無いけど指導者層に未来に続く王朝をつくり発展させようという気概と能力があるのが米国。
No.6
- 回答日時:
No.3です。
お礼ありがとうございます。>ひとつには欧州では旧貴族階級、米国では指導層が分厚いということがあげられると思います。
欧州の場合は、日本のように敗戦で貴族階級の(精神的)否定的をされることがなかったため。
欧米ともに、ヨーロッパ諸国同士のつばぜり合いや移民のゴタゴタを調整してきたために官僚に対抗しうる経験の蓄積が旧貴族階級や指導層にあるため。
日本の場合は、エスタブリッシュメントが存在しないに等しいか極めて弱いかエスタブリッシュメントの地位を短期的視野の官僚が担っているのか・・・
まあ、長期的視野の保守勢力が旧華族の細川元首相や準貴族的家系の鳩山元首相くらいしかいなかったのが残念ですわ・・・
No.5
- 回答日時:
回答番号:No.2の者です。
お返事拝読しました。さて、官僚の独裁を抑制するような「システム」についてですが、
件の「国民主権」の伝統・意識に基づく地方分権制がそれにあたるのではないかと思います。
J・ブライスの「地方自治は民主主義の学校である」という言葉が有名ですが、
自分たちの手の届く範囲で行政に参加していく制度が確立してこそ、
市民主権の伝統・意識は築かれていくものだと思います。
実際、フランス以外の西欧諸国は日本と比べ分権化が進んでいます。
ご存知の通り、「ルール」によって行動を制限しようとしても、
官僚は見事に網の目をくぐって適応化するものです。
しかし、政治の方向性は社会の構成員みんなで決めるという常識があれば、
官僚はその実現に自らの有り余る才能を注ぐのではないでしょうか。
もちろん政治家が国民の代表であるということは建前に過ぎませんし、
補助手段のコーポラティズムも全ての民意を汲み取れるものではありません。
しかし建前であっても、参加したのであれば
「みんなで決めたんだからみんなで守る」という責任感は生まれ得ます。
日本では「昔からなんとなくそう決まってんだから余計な口挟むな」という
思想的伝統が政治についても常識でした。
(丸山真男はこれを「作為の契機の不在」と呼んでいます)
こうした人任せ意識は単なる精神論ではなく、
われわれ市民が一度地方行政について責任を追わない限り変えられないと思います。
ご回答ありがとうございました。
地方分権制ですね。
>実際、フランス以外の西欧諸国は日本と比べ分権化が進んでいます。
なるほど、よくわかりました!
ありがとうございます。
No.4
- 回答日時:
基本的にはビューログラシーの深化や弊害というのは古今東西存在するものです。
ただ、その弊害の度合いに違いがあるとすれば、個に対する尊重(=自由に対する欲求の強さ)の差でしょうか。組織の構築や運営が好きで得意な民族は、その被害に(恩恵もですが)あいやすいような気がします^^。
逆に自由をこよなく愛し、不必要な制約を受けることを嫌う民族は被害が少ない。そもそも、自由な人たちは自分の情報をほとんど知らせない。官僚の強みは実際の現場を把握していることであり、把握ができなければ、権力はうまれようがない。
ごめんなさい、ちょっとわかりません。
他の国ではどういう「仕組みで」官僚主導にならずに済んでいるのでしょうか?
お答えありがとうございます。
No.3
- 回答日時:
いろいろな分析があるでしょうが
ひとつには欧州では旧貴族階級、米国では指導層が分厚いということがあげられると思います。
現在の日本の官僚制度の問題点は国家の長期的視点よりも個々のキャリア上の保身とそれを保証してくれる省益を重視する意思決定をしがちということにあります。
つまり、国家の長期的オーナーとして自覚をもつことが構造上できないことにあります。
戦前は天皇家と華族が国家のオーナーとして(形式上であれ)振舞っていましたが敗戦後は象徴・廃止となりましたし、戦後において(範囲という点においてのみは)国家全般を統括していた「大蔵省」も解体されました。また、国民の真の意味でのオーナー精神というのも成熟していません。
経営者レベルでのオーナー精神が結集して国家の長期的運営を支えるというのもグローバル化と短期利益追求の風潮により難しい。
しかし、根本的なのは日本列島が四方を海に護られてきた故に、指導層と国民のオーナー精神が希薄なのと騙され易い点でしょう。まあ、そこが美徳でもあったわけですが・・・
(まあ、今までがハッピーだったわけですからその点は喜んで、頭を切り替えて統治というものを学んでいけばいいだけです)
>ひとつには欧州では旧貴族階級、米国では指導層が分厚いということがあげられると思います。
ここを詳しくお願いしたいです!
日本と違って官僚主導にならない理由を。
No.2
- 回答日時:
まず日本とフランスの制度面での共通点として、
首都に政治機能が集中した中央集権的な統治システムである点が指摘できます。
複雑かつ大規模な組織を「トップダウン方式で」運営するのであれば、
官僚制の分業化された管理方式は非常に合理的な手段といえます。
特に戦後日本においてこの効果は絶大だったので、
逆にその方法論から抜け出せていないのかもしれません。
しかし、それ以上に根本的な原因はわれわれ一般国民の意識に胚胎していると思われます。
日本人は、政治は「お上」の仕事であると考える風潮が非常に強い。
「税金払ってやってんだから、政治は専門家でなんとかしろ。」という考えが
常識になっていて、自分たちの責任で社会を守るという発想がありません。
失礼ですが、文面から察するに、jointdryさんも国家運営を「政治家/官僚」図式で
捉えることを前提としているように感じます。
革命による政変を数多く経験したヨーロッパ諸国においては、
「国家はこの先どうなるか当てにならない。自分たちの社会は自分たちで守る」という
保守の伝統があります。
(フランスにおいてはそうした中間集団として、労働組合が期待されていた点。くわえて
国家の介入の必然性を説くリベラル派の勢力が、知識人の中で強い点が特殊です。)
一番の違いは、こうした「国民主権」の伝統ではないでしょうか。
専門能力で官僚に劣る政治家を後押しするのは、国民の権利と責任に他なりません。
重要なのは、こうした責任は国民個人に押し付けても意味が無いということです。
政治責任は社会全体の責任であり、みんなで決めたことはみんなで守る、
という考え方が不可欠です。
そのためには、やはりまず地方自治における住民参加が必要だと思います。
民主党のような形ばかりの「国民主権」では
単なる人気取りに堕落するのがオチだと思います。
諸外国では、社会全体の「国民主権」の伝統・意識が専門能力で官僚に
劣る政治家を後押ししてるから官僚主導にならないということですね。
それは精神的なお話だと思いますが、実際の機能や仕組みとして
官僚が下手にでしゃばれないようなシステムは特にないのでしょうか?
No.1
- 回答日時:
どこも同じです。
世界の常識では、官僚は軍事力と警察力を握って統制的排他的な情勢を生み出し、官僚政治によって国家まるごと衰退するはずだったのですが、日本で高度経済成長という世界に類を見ない異形が行われました。結果として世界では珍しく権威ある官僚組織が生まれてしまいました。まぁそれも高度経済成長が終わりバブル崩壊と共に無くなり、いまではご覧の通りマスコミからコテンパンです。
官僚というのは、どんな状況どんな場合においても社会・国家を形作るのに必要な存在ですから、それにさいしして必ず間違いますし、必ず成果もだしますし、必ず関わっています。ただそれだけという事です。
マスコミ報道は、リークによって成立していますのでほとんどの事が眉唾ものです。
米国などの場合には政財の癒着によって、政官の癒着を防いでいるという面はありますね。といって政財の癒着の中で官も甘い汁すっているわけですが。これと真逆なのが中国といってもいいでしょう。政官の癒着で財界を従えているという図式ですね。
結局どの国も大差なく、官僚という名札、財界人という名札、政治家という名札、マスコミという名札、それらのどこに属しているのかという事ですね。ルールを作ったものが勝者になるか、勝者がルールを作るというのが世の常といったところでしょうか。
私は頭が悪くて、ちょっとわかりずらかったのですが、
nasi000さんのおっしゃりたかったのは、
「政治家の単独主導というのは幻想で、実際はどこの国でも管・財・マスコミなどに取り入られる形での国家運営になってるもんだ」
ということでしょうか?
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