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ポリフォニーによる効果などを教えていただけないでしょうか。

ルネサンス音楽にはポリフォニーが著しく使用されておりますよね。
そこで、ポリフォニーによる効果にはどんなものがあるのでしょうか?

例えば
あるパートが入る瞬間に他パートは声を小さくして音の道を譲ることにより音楽がより魅力的・神秘的になる。

など・・・よろしければお教え頂きたいです。
よろしくお願いいたします。

A 回答 (1件)

私は素人なのですが、自己流の意見でもいいですか?



現代人にとっては、ホモフォニー(主旋律+和音伴奏のような)よりもポリフォニーのほうが複雑に見えます。でもヨーロッパ音楽史では(少なくとも資料に残っている限りでは)ポリフォニーのほうが先なのですね。

中世初期には単旋律のグレゴリオ聖歌などが歌われていて、そこから9世紀ごろにポリフォニーが派生してきます。単旋律を、タイミングをずらして輪唱のようにする。あるいは、低声部が元の旋律を歌い、その上で高音部が細かく装飾をつけた旋律を歌う。あるいは、元の旋律に重ねて、五度上の音程で歌う。こういったことをすると、ハーモニーが生まれることに気付いたわけですね。

旋律をずらして重ねることで、きれいなハーモニーになることもあれば、不協和音になることもありますよね。そのことを、歌詞の内容を表現するために利用するようになります。例えば、ミサ曲の歌詞で、"Et in terra pax"(地上には平和を)というところでは、あまり不協和音は使わず、きれいにハモるとともに、旋律自体も穏やかなメロディーになったりします。逆に、"Qui tollis peccata mundi, miserere nobis"(世の罪を除きたもう主よ、我らを憐れみたまえ)というところでは、人間の罪の意識みたいなものを表現するために、わざと不協和音を使ったりします。

また、私たち現代人は、よくできたポリフォニーを聴くと、「ゴシック建築」とか「ステンドグラス」の美しさを連想したりしますよね。それに近い感覚は、作曲当時の人々にもあったのではないかと、個人的には想像しています。構築美みたいな。

それと、これも素人考えですが、輪唱とかフーガといったものが、「人の輪(和)」のようなことを表わしているような気がするんです。例えば、最初にテノールが旋律を歌い、バスが入ってきて、さらにソプラノが入ってくる、という風に、順々に主旋律が受け継がれていきますよね。その感じが、イエスの言葉を信徒から信徒へと語り継ぐ(そうやって語り継がれたものを整理したのが新約聖書の福音書です)、あるいは旧約聖書の預言者の言葉を人々が語り継ぐという行為と、どこか重なっているようなイメージがあったのではないでしょうか。

ただし、あまり複雑なポリフォニーは、歌詞が聞き取りにくくなってしまいます。そういうものに対して、ローマ・カトリック教会は難色を示していたそうです。音楽はあくまでも教義を伝えるための手段であって、音楽がメインになっては困る。それが教会の姿勢だったのです。そういうことも押さえておきましょう。

あまりポニフォニーを理想化・神聖化して捉えるのも、どうかと思います。その意味でも、次のような本できちんと時代背景を理解するといいでしょう。

皆川達夫『中世・ルネサンスの音楽』
http://www.amazon.co.jp/dp/4062919370/
上尾信也『音楽のヨーロッパ史』
http://www.amazon.co.jp/dp/4061494996/
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