No.1ベストアンサー
- 回答日時:
『論語』述而篇
子不語怪力乱心
子は怪、力、乱、神を語らず
『論語』雍也篇
樊遅問知。子曰、務民之義、敬鬼神而遠之。可謂知矣。
樊遅(はんち)知を問う。子曰く、民の義を務め、鬼神を敬して之を遠ざく。知と謂うべし、と。
ここから、敬遠の言葉が出て来ました。
ですから、儒教は魂の滅亡を主張しているとも、そうでないとも言っていません。儒教は神や魂について語らないと言っております。
この回答への補足
敬遠の話についてちょっと補足しておきます
細かいことは知りませんが、孔子もやはり相手を見て説く人だったようで、仏教でいうならば方便とでもいうのでしょうか、樊遅はおそらく迷信家だったようでこれをいさめる狙いがあったのかもしれません。
儒教・孔子の視点から見た"根拠のない迷信"にすがってはいけないよ、というメッセージともとらえられますね。
うーむ。なるほど。そうなのですか。ありがとうございます。
「鬼神を敬して之を遠ざく」というのは、少なくとも「鬼神」の存在は認めていることになりますね。ではこの「鬼神」が何かというといろんな解釈ができるのかもしれませんが、死んだ人の霊魂もこの「鬼神」の中に含まれているとしたら、結局のところ儒教は魂の滅亡を否定しているとも解釈できる気がします。語る語らないは別として。
同じく樊遅が孝を問うたとき、
子曰、生事之以礼、死葬之以礼、祭之以礼。
親が生きているときは礼を持って仕え、親が死んだら礼をもって弔い、礼を持って祀るのだ、と言っているようですが、霊を祀るのは霊魂肯定(霊魂不滅)の主張と考えられるでしょうか。
孔子以前の儒のルーツが葬儀屋の集団だという話があるようですが、そうだとしたらやはり霊魂を肯定してしかるべきなのかと思います。
実は、仏教の流れを調べているときに、本来は霊魂否定(輪廻は肯定)の立場をとる仏教がいつからか霊魂肯定の宗教に変わったようで、その契機となったのが中国の皇帝の前で儒家と仏教僧が論争をしたという話です。具体的にいつの時代なのかわかりませんが、儒教と仏教のやりとりのなかで、「儒教が魂の滅亡を説いたのに対して、(おそらく仏教が儒教よりも優位に立ちたいがために?)仏教は魂の不滅を主張した」らしいのです。
敬遠、礼を持って親(先祖)を祀る、孔子廟、位牌、儒家のルーツを考えても、儒教が霊魂否定や霊魂滅亡を唱えるようには思えないのです。
No.3
- 回答日時:
tuktukraceさん、cyototuさん
どうも魂という語が多義的ですね。火の玉、人魂(ひとだま)、魂魄、霊魂、そしてsoulやspirit。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9C%8A%E9%AD%82
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AD%82_(%E3%82%A …
などが参照できます。
そしてtuktukraceさんのお礼には、仏教が霊魂否定から肯定に変わったというお話のご紹介があります。
私の先入的勉強と齟齬しまして、なかなか理解できません。
そして、tuktukraceさんは魂という語をご使用です。そしてcyototuさんは鬼神というastral beingを以って宛てられるかのようです。
たくさんの語とタームが入り交叉し、知識の整理が難しい。
無論、私どもSelf-Realization Fellowshipのパラマハンサ・ヨガナンダのバガヴァッド・ギータの勉強ではこれらの出自と性格は全ての整理をしておりますが、tuktukraceさんの出されている魂に対して何を宛てるべきか?
それにしても、孔子は度々“天”という語も遣います。これはともすれば私達のブラフマ、ブラフマンとアートマ、アートマンに通じるものとも解釈できる、論語の聖句ではあります。
天というものから、孔子が自己内や普遍的にアートマを観念していたかのような理解もできないでしょうか。
孔子の出自については、敬愛する白川静氏はそのご著述で、突端的たくましい下級武士と巫覡の巫女どの婚外子ではないかとふれています。孔子先生の諸国遍歴に益する横断的職能集団ですね。
孔子が藩王国での司式で、その知見を発揮した事は論語も書いてはおりますが、鬼神はどうかは知りませんがastral beingのことはある程度以上に知見を有していたようですね。
ずいぶんと幼くして、ご苦労され、世間のこともよくご理解の苦労人であったようですから。
そういうことからは、現実政治に関与する政治理念と理論を展開するまでは、astral的なこともお話していたかも知れませんね。
そして古い弟子、子路なども祈りのそうだんなどもしており、古い弟子には孔子の出自の根っこに近いところの人もおられたのではないかと存じます。
今私達は魂とか、魂魄というと精神や存在の中心、本当のところという意味にも遣いますが、孔子の時代は単にastral beingであったろうか。
そうであれば、国政に関与する理論展開とは相容れないところがあると存じます。
卑弥呼の政治ではないでしょうから。
以上推測までに。
お返事が遅くなりました。
回答ありがとうございます。
あれ以来、じわじわと勉強を続けています。
たしかに、私が質問に書いた「霊魂」という言葉の意味には幅があり、いろんなとらえ方ができると思います。質問時点で明確な定義をイメージしていたわけではありませんが、振り返って考えてみると次のようなことになるかと思います。
人が死んでも(肉体が滅びても)その後にも存在するもの
仏教も儒教も幅が広すぎて「儒教はこうである」という言い方はできないのかもしれませんが。
No.2
- 回答日時:
>孔子もやはり相手を見て説く人だった
なるほど、やはり孔子は不出世の教育者だったのですね。私はいつもワンパターンで駄目なものは駄目と若造に怒鳴り散らす以外には出来ませんから。相手の能力を見てこちらで手を代え品そ代えて教育が出来ない、やはり私は凡人なのですね。
人の論述に対する私の価値判断の基準は「驚き」です。霊魂があるとかないとか言うことは誰にでも興味があり、だからそれが在るの無いのとは誰にでも言えそうなことです。そんな時に孔子の「そんなこと俺は論じないよ、居るんならいる、居ないんならい、そんなことどうでもいじゃないか。ただ、皆が信じていることは敬っておけよ」と言う意表を突いた言葉に私は新鮮な驚きを感じたのです。私にとって、驚きだけが私が生きていることを確認してくれるからです。私は質問者さんがどうしてこの問題に興味を持っているのか想像が付きませんが、どうやら、質問者さんは儒教もその他大勢の連中が言ったりやったりしてる程度のことしか言ってないんだから、あんた驚きなさんなとでも言いたいらしいですね。
それはそれで、質問者さんの見解だと思います。でも判らないのは、そうやって儒教をその他大勢の一員にして、何を探ろうとしているのかってところですね。その動機は何なんですかね。
因に私はある自然科学の専門家ですが、自然科学の分野では、何故その主張が正しいと言うことよりも、何故その人はその問題をやる気になったのかと言う動機の方が遥かに重要なのです。動機さえしっかりしていれば、たとえその方が間違ったことを言っても、いつか誰かが、正しい重要な答えを出してくれるからです。でも動機がチャチなら、どんなに正しく正確なことを言っても、誰も相手にはしてくれません。
もう一つ。柳田國男によると、少なくとも日本の位牌は日本古来からある神道の習慣を、外国物輸入業者の仏教の坊さん達が仏教売り込みのために軒を借りて母屋を盗みように上手に盗んだ物だと言っております。お盆も、お墓の卒塔婆も、葬式後の何回忌も皆本来は神道の行事だったそうです。盂蘭盆会なんて牽強付会なことを言う奴がいるが、それは無理だと言っておりました。柳田國男『先祖の話』で克明に論じております。そんな主張も私には新鮮な驚きを味会わせてくれて、何か生きていることが楽しくなって来たのですが、こんなのも皆間違いで、ここにも驚き何かなくて、皆が考え付きそうなことが実は本当だとでも言いたいのでしょうか。
私はアメリカに住んでおりますが、アメリカ人で神道と儒教を専門に研究されている方を個人的に知っております。その方はアメリカで博士号をとってから、日本の著名な大学に留学してそこでも博士号を取った方です。その方が和辻哲郎のお弟子さんの日本の教授に初めてお会いした時、お前は何をやりたいのかと聞かれたそうです。そこでその方は、日本で儒教のことを勉強したいと答えたそうです。そうしたら、その先生は、あんたも不思議な方だ、儒教をやりたいなら、なぜ中国に行かないのかと言われたそうです。そのことを聞いて、その方は「あっ、これなら私でも儒教に関して良い論文が書ける」と確信したそうです。こんな高名な教授でも、日本の儒教が日本流に徹底的に変えられて仕舞い、日本の先哲達が日本独自の儒教を作り上げて来たことに気が付いていないのかと嬉しくなったそうです。その方もその驚きに歓喜したそうです。
長文ありがとうございます。
まずこの質問の動機についてお話しします。
本来は霊魂否定の宗教であったと言われるインド仏教が中国に伝わった後で、
霊魂を肯定するという方向転換をしたらしいという話をとある本でよみました。
その本によると、儒教が霊魂滅亡を訴えたのに対抗するために仏教が霊魂の永遠を主張した、
ということでした。
これを読んだ私は、「あれ、儒教は霊魂不滅を訴えるのかな?」と思い、
これについて詳しく知りたくなりました。これが動機です。
この質問だけを見ると儒が主人公ですが、質問の動機を踏まえると、あくまで儒は脇役です。
でも仏教を良く語りたいわけでも儒を貶めたいわけでもありません。
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