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早朝にWOWWOWで放映されていた映画「マッカーサー」を見ましたが、次の部分のニュアンスがわかりません。

マッカーサーがGHQのおかれた日比谷の第一生命相互ビルに入っていくシーンの後、側近たちに占領政策を表明する。農地改革、戦犯の徹底追及、労働運動を根付かせることなど。側近3名に説明している。
これら一連の説明のあと、側近が次のように口をはさむ。

―――――――――――――――――――
側近 将軍、すいませんが、これはあの・・何かに似ていませんか。

マッカーサー 何に似ているんだ?

側近 ニューディール政策です(Like the New Deal)

(一瞬の沈黙。いぶかしげに側近を見るマッカーサー)

マッカーサー ここは日本でアメリカじゃない。ファシストのことを考えると、若干左よりにするべきだ。そう思わないかい? だから、ニューディールなんて呼ばせはしない

一同 下を向いてくすくす笑う
―――――――――――――――――――

なぜ、側近はニューディール政策との関連をあえて指摘したのか?
その後の気まずいような沈黙はなんなのか?
最後の、「くすくす笑い」の意味は何なのか?

よくわかりません。

A 回答 (4件)

 アメリカ史を学んでいる者ですが、占領期の専門家ではないので「一般人」です。


 下記の方々のコメントに更に若干の補足をすると…、

・ダグラス・マッカーサーははっきり言って右翼に近いくらいの超反共主義の保守で、共和党シンパです。彼は軍事予算の削減をめぐって、ローズヴェルトと激しく対立したこともあります。共和党保守派は、(アイゼンハワーを担ぐ前には)マッカーサーを共和党の大統領候補にしようと画策していました。結局失敗しましたが、泡沫極右政党がマッカーサーを大統領候補にしようとしたという話もありました。朝鮮戦争時には彼は総司令官として(北朝鮮を支援する)中国に原爆を落とすことも主張していました。朝鮮戦争の方針をめぐって当時の民主党の大統領トルーマンを公然と批判し、罷免されたのですが。そのような人物が、民主党のローズヴェルト政権の看板であるニューディール風の政策を…というのが、気まずさ+くすくす笑いの一因でしょう。
・公共投資や労働者の生活保障がすなわち社会主義的だというのは、ちょっと安直ですが(社会主義者が「漸進主義だ」といって怒りそう?)、ニューディーラーたちの中でも左派の人々は、大恐慌時代にもソ連が五カ年計画で安定して経済成長している(ように見えた)ことから、ソ連的計画経済に多大なる関心を示したことがあります。1930年代は、アメリカのリベラル~左派の知識人の間で社会主義やソ連が関心の的になった時代です。ヘンリー・ウォレス(農務長官)なんて、そんなタイプでしょうね。そういう意味では、「ニューディール=共産主義」というレッテルは、<政治的には>効果もリアリティも大いにあったのでしょう。
・ニューディールは、大いに支持を得ていたことは事実ですが、反発も大きく、ローズヴェルトの大統領選挙も1932年の対フーヴァーの時を除くと、共和党候補に対して圧倒的な勝利ではありませんでした。ローズヴェルトは終戦直前に病死しますが、終戦後は共和党が勢いづいたことは確かです。

占領期のアメリカ側については、以下の本がお勧めできるのではないかと思います。
ハワード・ショーンバーガー著『占領1945-1952 戦後日本をつくりあげた8人のアメリカ人』宮崎章訳、時事通信社、1994年。第2章はマッカーサーを扱っています。

この回答への補足

詳細なコメントありがとうございます。

>そのような人物が、民主党のローズヴェルト
>政権の看板であるニューディール風の政策を…というのが、
>気まずさ+くすくす笑いの一因でしょう。

これは説得力があると思いました。

ご紹介下さった本はさっそく入手してみます。

さらに、アメリカで当時、ニューディーラーやニューディール政策がどう
考えられていたのか、知りたくなりました。

補足日時:2001/04/09 13:53
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ニューディール政策については多少聞きかじった程度の素人ですので、これはあくまでも想像です。

映画の1シーンに出てくる程度ですので、一般人にもわかりやすいシチュエーションではないかという観点からです。
ニューディール政策は、景気回復のための策でしたが、最終段階で生産性を上げるために保護した農民や労働者たちが集団交渉権を乱用し、逆にストライキ、生産物の廃棄などに走り、期待を裏切る状況になってしまったというものだと理解しています。
日本は当時、極右の国でしたので、景気回復政策としてニューディール政策に似たものを実施するのですが「経済復興の名を借りて、社会主義的な要素を投入したほうが、ファシスト対策になるだろう。これは経済復興が目的ではなく、ファシスト対策なのだ。だから、これは誰かのように失敗しない。」といった感じなのではないでしょうか。
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この回答へのお礼

この場を借りて,
KKatohさま,magokoroさま,Caneciusさま,JunkMasterさま
ご回答かありがとうございました。

今回,非常に参考になったのはCanesiusさんの回答でした。
教えていただいた本は注文中ですが,まだ来ません。
20ptをさしあげます。

また,
現在,朝日新聞・日曜日にやっているマッカーサーの伝記なども
参考になりました。映画で,幣原がマッカーサーに戦力放棄を
申し出るくだりがありましたが,あれはマッカーサーの日記に載っている
そうですね。しかも,それが「真っ赤な嘘」と言われていることなど,
先週でしたか,載っていました。

正直なところ,もう少しニューディールの評価とニューディーラーの動きの
情報がほしかったところです。実際,ニューディーラーと呼ばれている人た
ちが,占領期にかなり来ており,日本の政策形成にも多大な影響を及ぼした
ようです。さらに調べてみて,場合によってはまた質問を提起させていただ
くかもしれません。その場合はよろしくお願いします。

次点は・・・最初に回答を下さったKKATOさんにさし上げることに致します。

お礼日時:2001/04/18 16:51

 前の方のご回答で充分だと思いますが、もし付け加えるとすれば、アメリカの日本統治の目的は、共産主義に対する防壁というものでした。

その防壁たる日本が、共産主義色に少し染まると言うところに、懸念を抱いた面々だったのではないでしょうか。

この回答への補足

回答ありがとうございます。

補足日時:2001/04/09 13:59
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「ニューディール政策」は、1929年にはじまった世界恐慌に対し、1933年からフランクリン・ルーズベルト大統領の行った一連の政策のことをさすのはご存知ですね。

まず、大企業や銀行を援助し、農産物を買い上げて農民を保護し、また、労働者の生活を保障するとともに、テネシー渓谷開発公社(TVA)の地域開発事業など公共投資の増加による私的資本の投資への刺激と失業対策を行い、景気の回復をはかろうとしました。

このように、たぶんに社会主義的政策であり、資本主義つまり自由放任が第一のアングロサクソン、特に共産主義が大嫌いな(法律でも禁じているほどです)アメリカ人にとっては、ニューディール政策は、嫌われる政策だったようです。(世界恐慌当時は仕方なかったにしろ、後の評価では)

戦後の日本占領政策は、ご質問にもあるように、やはりある意味社会主義的でありました。共産主義が嫌いなはずのアメリカ人、それも軍人、マッカーサーがこの政策を推進することには?がつくのも納得いきますよね。

う~ん。説明になっていますでしょうか?

この回答への補足

さっそくのご回答ありがとうございます。

しかし、このシーンは一般的な嫌悪感以上に
意味ありげです。
例えば、1945年当時、アメリカでニューディール政策に関する
バッシングみたいなものがあったんでしょうか?
また、GHQのスタッフにはかなりのニューディーラー(ニュー
ディール期の政策担当者)が入っていたという話も聞いたことが
ありますが、いわば「祖国を追われ」るようなかたちで、それら
の人は日本に来たのでしょうか?
いろいろ疑問が浮かぶのです。映画のフィクションかも知れませ
んが・・・

補足日時:2001/04/08 09:30
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