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黒澤映画の人気の秘密を教えてください。
影武者を見ましたが、
合戦シーンはすごく迫力がありました。
偽者だけど殿様という存在の影武者の存在も
どこかおかしさ(面白さ)を感じました。
できれば評論家口調で、色々教えてください。

A 回答 (6件)

黒澤をワン・オブ・ゼムから孤高の存在にしたのはベネチア映画祭です。

それまでは、面白いが評論家からの評価は大して高くなかった。1951年の「羅生門」は出品すら誰も知らなかったがいきなりベネチア映画祭グランプリを獲得。関係者も寝耳に水だったという。この例からよく「日本の芸術のすばらしさは常に海外によって見出される」といわれます。その後海外からの評価も高い「生きる」「七人の侍」をへて、映画を見て真似をする犯罪までおきた「天国と地獄」、社会派から完全娯楽作へ転じた「用心棒」「椿三十郎」をへていよいよハリウッド超大作「トラトラトラ」の監督としてアメリカに乗り込みますが、意見の相違で解雇。その後自殺未遂。そして「デルス・ウザーラ」でなんとソ連映画の監督を経て「影武者」。本当は「乱」を先に撮りたかったのですが、「戦国ものは当たらない」という定説があり、スタジオが金を出さなかったので、「乱」より低予算でできる「影武者」を撮り、見事歴代日本映画配収1位を獲得。さらにカンヌグランプリ。スタジオを納得させ「乱」の製作に。「影武者」でも撮影開始直後主演の勝新太郎と衝突。勝降板。仲代に。黒澤の代名詞には「天皇」「完全主義者」などがある。尚、影武者の撮影にはコッポラとルーカスが揃って見学に来た。「乱」には仲代ナレーションのメイキングが存在する。そこで黒澤のキャラクター全開が見られる。脇役の加藤武には「バカヤロー」と怒鳴りつける加藤の馬が言う事聞かなくて画面から外れると「ばかもん!」。加藤が「馬がうごいちゃうんですよ」というとしばしの沈黙後「馬が動いちゃうって自分が乗ってるんじゃないか」と独り言。しかし、女優の原田美枝子には「素敵だったよ」の連発。「でも、ちょっとかわいすぎるから、もうちょっときつい声で、かわいすぎるんだよね」と猫なで声。私は思いっきりエロじじいに見えました。
さて影武者ですが、カンヌは取りましたが当時の評価はおおむね悪かったですね。それまでの黒沢のダイナミズムが失われたとか。ショーケンを抜擢したりしたのも「ぼけたか?」などといわれました。
ですので、やはりいわゆる「黒澤映画」というのは「どですかでん」か「天国と地獄」以前をさします。「ぼけたんちゃうか?」と言われる以前ですね。で、それらの「黒澤映画」の人気の秘密は?という事についてはそんな深いものではないと思います。普通にとにかくやたら面白い。
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こんにちは。


黒澤明は私の一番好きな監督です。映画の歴史が始まってから110年たとうとしていますが、その間の重要な作家を20人集める企画を立てるとしたら必ず上がってくる監督です。(10人だとちょっと厳しいか? 映画が芸術として確立する前後の時期の作家たち、リュミエール、メリエス、グリフィス、チャップリン、エイゼンシュタインなどサイレント時代だけで10人いってしまうので)映画が好きな世界の人々に対し、日本人として誇りにしていいと思います。黒澤の影響を受けた監督は数知れず、その作品のリメイク、引用、パクリなどを並べたら一冊の本が出来てしまうでしょう。
人気の秘密ですか。その物語の普遍性、よく言われる事ですが良質のヒューマニズム、エンターテイメント(「隠し砦の三悪人」!)、画そのものの力強さ、美しさ(「影武者」で退却する武田軍)、考証のリアリズム(『一本の刀じゃ五人と切れん』by菊千代)など、人それぞれあるでしょう。しかし私が黒澤明を一番尊敬している点は、映画に対する情熱と愛情です。それが画面に現れています。肉汁がしたたってくる様なギラギラした全盛時代のモノクロ作品の画面(「七人の侍」「天国と地獄」など)、そよ風が吹いている様なリリカルな場面(「素晴らしき日曜日」「赤ひげ」など)、太古の湖の様な深さ(「蜘蛛巣城」「羅生門」など)。監督とそのスタッフ(俗に「黒澤組」と呼ばれています)達が全身全霊をかけて画造りに取り組んでいるのが観ている方にも伝わってきます。(全身全霊で取り組んでいるのは黒澤とそのスタッフ達だけでなく、映画を撮る全ての人々も同じでしょうが、それが結果で現れているかどうかは別問題)晩年、製作資金が集まらず、いつ撮れるとも判らない「影武者」や「乱」の絵コンテを描き続けていたエピソードや(「白痴」をカットしようとする松竹に対して)『これ以上切るならタテに切れ』と激怒したエピソードなど、この人は本当に映画が好きなんだなあと思います。
黒澤明を論ずる文献では、「黒澤明の映画 ドナルド・リチー著 三木宮彦 訳」がお奨めです。黒澤映画に限らず、 映画という芸術ジャンルの可能性をあらためれ教えてくれる本です。ちなみにその本の中で、黒澤を評する言葉として『世界一の監督で、日本一の脚本家で、東宝一の編集者だ』という様な例えがありました。黒澤自身も、『画面と画面の間に映画はある』という意味の
発言をしています。全盛期の作品の画面のダイナミズムやストーリーの感動は、こんなモンタージュの妙から生まれていると思います。最晩年の諸作(「まあだだよ」「八月の狂詩曲」)にはこれが無い。そんな点が黒澤ファンにはちょっと不満なんでしょう。
その新作が見られないのは残念ですが、黒澤が残した30本の作品は、永遠に私達映画ファンを魅了してくれるでしょう。(「生きる」のハリウッドでのリメイクは本当に実現するでしょうか? 楽しみにしていますが)

参考URL:http://www.asahi-net.or.jp/~zc2t-ogw/MKHome/AKHo …
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すいません。

#4です。
私、質問の内容をよく理解していませんでした。
「影武者」に関しての質問かと思いましたが、
黒澤映画の人気の秘密なんですよね。
すいませんでした。

人気の秘密は、現在観ても古さを感じない事ではないでしょうか。
私は黒澤映画の画像はかっこいいと思います。
監督自身が絵の勉強をしていたみたいですし、
実際絵コンテなども書いていたようですから、
画像が太い線で書いた絵になっているんですよね。
最近、溝口健二の「雨月物語」を観たんですが、
画像が黒澤作品と似ているなぁと思ったら、
同じ撮影監督の方でした。
しかし、こちらはどちらかと言うと、
画像的なものが女性的で、
黒澤作品は男性的と言う感じに見えました。
この男性的というのも魅力かなぁ。
作品が男ぽっくて、骨太なんですよね。

あと人間の行動や衣装を含めた美術などの
リアルさを徹底的に妥協を許さずに表現しようとした人の作品なので、
今日観ても古さを感じさせないところが面白さにつながっているのかなぁと個人的には思うのですが。

この回答への補足

皆様ありがとうございました。
詳しく説明していただき大変勉強になりました。
自殺未遂は大変意外ですね。
アメリカで解雇されてしまったのも知らなかったです。
皆さんに紹介していただいた作品は早速近々見てみようと思っています。

補足日時:2003/07/27 13:40
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こんにちは。

私がこの作品を初めて見たのは、
小学生の時で、映画の公開後、
初めてTVで放映され夜中の1時位まで眠いのを我慢しながら見たのを憶えていますよ。
その当時歴史おたくだった私はdaigakuseiiさん同様、この映画の迫力には驚きました。
特に織田信長を演じた隆大介や、
徳川家康を演じた油井昌由樹 らには興奮させられました。
何より衣装がすごいと思いましたが、
今見るとちょっと、きらきらしすぎかなぁと思いますね。
戦国時代の衣装は、もっと質素なものだと思います、
これは、その後の作品「乱」の方が近いかもしれませんね。
あと、ちょんまげ。これは本当にすごいと思いました。
これは信長の有名な肖像画を見ていただければ分かると思うのですが、小さい握りが2つあるような、まげですよね。これを表現しているんですから。
これがNHKの大河ドラマなんかだと、棒のように縦に束ねているんですよね。

あと何よりも話題になったのは撮影中、主演の勝新太郎の途中降板ですね。
やはり私としては勝新の信玄を見たかったです。

それと信長の居城となっている城を姫路城を使っていますが、あの当時の城はまだ、
あのような大きな物ではなく、壁も白壁ではなく板を使った黒壁の城だと思います。
あのような城は関ヶ原以降だと思いますね。

この作品に関して言えば、衣装や鎧など美術はすばらしいと思うのですが、内容はちょっと物足りなさを感じますね。

やはり前の方々が仰られているように「七人の侍」辺りから見られてはどうですか。
私はリバイバル上映で映画館でこの作品を観ました。
映画館で観れて本当に幸せでした。
黒澤作品の三船敏郎は、最高です。
そのコンビも残念ながら「赤ひげ」までですが。
初のカラー作品の「どですかでん」はかなり不評だったようですが、私個人は好きな作品です。

黒澤作品に多く出演している土屋嘉男が「クロサワさーん!黒澤明との素晴らしき日々」と言う作品で黒澤監督の意外な一面を書いていますので、こちらも読んで見られてはいかがかと。

あと余談になりますが、武田竹丸、つまりショーケンが演じた勝頼の息子を演じた男の子は、家康を演じた油井昌由樹の息子さんだそうです。
現在はかなり大きくなられているでしょうね。
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 黒澤映画の醍醐味は、影武者を観ているようでは判らないな。

1965年の「赤ひげ」までの黒澤作品を観ないといけませんぞ。彼はアメリカの西部劇の巨匠ジョン・フォードを尊敬して、日本的なお茶漬けさらさらでなく、ビフテキのようなアクションを作る事を目指したのじゃ。大島渚は黒澤の映画を評して、画面が詰まっていると言ったが、わざとスクリーンに人物が密集するように撮っていたりするんです。
 有名なところでは、まず代表作と言ってよい「七人の侍」をお薦め致すが、監督作の傑作は数多いが、ここは黒澤世代の評論家として、黒澤さん脚本の面白い作品を紹介しておきますじゃ。1947年「銀嶺の果て」、1949年「ジャコ万と鉄」、1950年「暁の脱走」なんぞどうじゃ。「銀嶺の果て」「ジャコ万と鉄」では、若き日の三船敏郎の苦みばしった色男ぶりも拝めるですぞ。
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基本ストーリーの面白さ。


従来の日本映画にはなかったカメラアングル。
「黒澤組」といわれたフレキシブルな組織構成に裏打ちされた一体感の表現。
そしてキャラクター設定(役柄の)妙でしょうね。
でも最大の迫力の秘密は・・
採算を度外視した制作費のつぎ込み方でしょうね(笑)
黒澤プロダクションは未だに多くの負債を抱えてます。
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