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シュレディンガー方程式と不確定性原理とどちらが先か

量子力学の初歩の質問ですが、
量子力学では、シュレディンガー方程式と不確定性原理のどちらが先にあるのですか。

A 回答 (7件)

言葉の混乱による誤解ですね。

専門家の物理学者の間では、不確定性関係と言う言葉はありますが、不確定性原理という言葉は便宜的に使われることがあっても、本質的な意味では使いません。

シュレディンガー方程式は量子力学の力学原理を表す方程式ですので、これを物理学の基本の方程式とか原理と呼びます。実はそれと本質的に等価の方程式があり、それをハイゼンベルグ方程式と言います。厳密には、シュレディンガー方程式は力学の状態を記述する方程式で、ハイゼンベルグ方程式は状態ではなく物理量を表す方程式ですので、その間には微妙に違いがあるのですが、それは細かい話しであり、共に物理学の基本原理を表した方程式です。

一方、不確定性関係式はこの基本法則であるハイゼンベルグ方程式から演繹的に導き出される一つの特殊な定理あるいは関係式のことすので、これを基本原理と呼ぶわかにはいかないのです。別な言い方をすると、ハイゼンベルグ方程式やシュレディンガー方程式から不確定性関係式を導き出すことは出来ますが、その反対に、不確定性関係式からはハイゼンベルグ方程式やシュレディンガー方程式を導き出すことは出来ません。だから、不確定性関係は原理ではないのです。
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不確定性関係は量子力学特有な関係ではありません。

事実、波動が現れる所には、たとえそれが古典系でも不確定性関係が存在することは良く知られています。

古典力学か量子力学かに関係なく、一般にどんな形の波束もいろいろな波長1/kを持った平面波exp[ikx]の重ね合わせでかけます。ここで、k は波長分の1のことで、波数と呼ばれています。これは物理学では大変重要な量です。そして、この場合、波束の幅をΔxとすると、それをいろいろな波数の値を持った平面波で重ね合わせたときにその値の許させる幅をΔkとすると、この波束の位置の不確定性Δxと波束の波数の不確定性Δkの間に、

(1)        Δx Δk > 1/2

の不確定性関係が成り立つことが証明でき、これは古典系の波でも量子系の波でも良く知られています。従って、波である限り必ずその位置の不確定性と波数の不確定性の間には不確定性“原理”が成り立つのです。

量子力学の特徴は波数が波束の持っている運動量と比例関係にあり、その比例常数がプランク定数 h を 2πで割ったもの、即ち、次のド・ブロイの関係式、

(2)        p = (h/2π)k

が成り立っていることです。従って上の波の不確定性関係式の両辺に(h/2π)を掛けると、

(3)      Δx Δp > (h/2π)/2

と言うハイゼンベルグの不確定性関係式が得られます。

従って、不確定性関係その物は量子力学に固有なものではなく、波の概念が潜んでいる系では古典系でも量子系でも共に存在しているのです。



 因みに、(1)の不確定性関係はフーリエ共役な物理量の間の関係式であり、(2)の不確定性関係は正準共役な物理量の間の関係式です。ですから、時間tと振動数ωの間には、古典系でも(1)に類した不確定性関係、

(4)   Δt Δω > 1/2

が成り立っています。従って、時間と振動数空間の中の波束に関しては、古典系でも量子系でも(4)の不確定性関係が成り立っています。

ところで、量子力学では振動数に(h/2π)を掛けかたものがエネルギーになりますから、一見

(5)  Δt ΔE > (h/2π)/2

と言う時間とエネルギーの間の不確定性関係が(3)と同じような意味で一見成り立ちそうですが、それは間違いです。その訳は、エネルギーはオブザーバブルと呼ばれる物理量として演算子で表されますが、時間に対応する演算子が存在しないからなのです。ですから時間はオブザーバブルではなく、運動方程式に現れる単なるパラメータなのです。要するに、量子力学では時間はエネルギーに正準共役な物理量ではないのです。そのことを最初に明らかにしたのは、あの有名なパウリの禁制率で知られているパウリです。量子力学ではエネルギーの値は必ず下限が存在しなくてはならないのですが、その事実が、時間には下限がないと言うことと矛盾してしまうことから、時間に対応する演算子が存在出来ないのです。従って、量子力学では時間とエネルギーの間に、ハイゼンベルグの交換関係が存在していないので、厳密には時間とエネルギーの間に不確定性関係式が存在しません。

事実、(5)に相当する不等式が載せてある教科書を読むと、その導出法は、決して有りもしない時間とエネルギーの間の交換関係式から導き出しているのではなく、単に位置と運動量の間の交換式から導かれる(3)から出発して、それを書き換えただけです。ですから、(5)は位置と運動量の間の不確定性関係を表したものであり、本当の意味での時間とエネルギーの間の不確定性関係ではありません。

きちっとした教科書にはそのことが書いてあるのですが、人の書いた物を勉強してそれを丸写しにしたような教科書では、書いている本人も分かっていないようで、ときどき時間とエネルギーの間にハイゼンベルグの不確定性関係が成り立っていると言うことを言っているものを見掛けます。

パラメータとしての時間を拡張して、その拡張された「時間」に対応した演算子が存在するかどうかと言う問題は、未だに物理学の多くの研究者を引きつけている、面白い問題なのです。もしそのような演算子があるとすると、当然その「時間」には揺らぎが生じますので、その揺らぎとは何かなんて問題が起こり、切りなく楽しい研究分野になる可能性があるので、現在でも「時間」に関する演算子がいろいろ提案されている現在進行形の研究分野です。
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ここの利用規定に違反しないよう、一般論として述べますが、「波動関数の自乗が粒子がそこに存在する確率である」という指摘と、不確定性原理の「存在は本質的に不確定性を持ち、それが粒子の波動性をなす」という指摘は、一線を画します。


(そうでなければマックス・ボルンが不確定性原理の発見者になってしまいます)
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#4さんのコメントへ



>ハイゼンベルクは、自己の理論を発展させる中で、先の「光は波動性と粒子性の両面がある」というのを、「そうした『波』を粒子の持つ不確定性による確率波動だと考えれば辻つまが合う」としました。

これは違います。波動関数が確率振幅であり、その絶対値の2乗が確率を表していることを最初に指摘したのはMax Born の論文、

M. Born: Zur Quantenmechanik der Stoßvorgänge. Z. f. Phys. 37, 863–867 (1926).

です。この論文で、局所的存在(即ち粒子)と非局所的存在(即ち波動)が現象として同時に両立し得ることが確認されました。これは、Aと非Aは同時に両立出来ないと言う今までの単純な論理学の足下を掬った、人類の記念碑的な仕事です。ハイゼンベルグが著名な方だからと言って、この人類史的な業績をハイゼンベルグに帰着させてしまうのは、あたかも、プランクではなくてニールス・ボーアが量子仮説を提案しただとか、アインシュタインではなくてローレンツ変換を最初に導出したローレンツが特殊相対性理論を提案したと言うに匹敵しかねない、乱暴な歴史認識だと思います。

冗談ではありませんが、フィールズ賞を貰った数学者のスメイルと言う方が、ある講演会で量子力学を作ったのはフォン・ノイマンだと言っているのを聞いたことがあります。それを聞いていた物理学者達の失笑を買っていました。さすが数学者ですね。


>シュレディンガー方程式は波動力学=物理現象を波動として捉えたものですので、「粒子の持つ不確定性」は含まれていません。

>つまり彼の行列力学(1925)とシュレーディンガーの波動力学(1926)は、それぞれ物質の持つ粒子性と波動性の二面性に他ならないという事です。

この二つの表現も、誤解を招きかねない表現です。#4さんがどんな歴史的な段階のことを言っているのか上の表現では定かではありませんが、波動の持つ非局所性から、波動に付随した位置の分散と運動量の分散をそれぞれ計算すれば、シュレーディンガーの波動方程式の原理から不確定関係式が定理として導き出されます。従って、波動力学は、必然的に「粒子の持つ不確定性」を含んでいます。

一方、行列力学の基本原理である交換関係は、朝永振一郎のあの有名な教科書『量子力学』で克明に説明してありますように、実際の原子から出てくる光の振動数に関するリドベルグ=リッツの2項定理という実験結果と整合するように、波動概念の基本であるフーリエ展開に関する規則を拡張することによって見付け出されて来たものです。その拡張が古典力学に反していることから、正準交換関係式という新しい原理が見付かったのです。ですから、行列力学もその発見の過程の段階で既に本質的に波動性の概念を含んでおります。

また、確かにシュレーディンガーはド・ブロイの物質波に関する古典的な波動力学から入って行きましたが、その後、彼が調和振動子を表す波束をあの有名なコヒーレント状態で表現して波動関数を物質波とした仕事の直後に、その仕事に関しての批判を蒙り、彼も波動関数を物質波とする解釈を諦めておりす。その批判とは、調和振動子という特殊な線形系の場合ではなくて、何の力も働いていない自由粒子という最も簡単な運動に関しては、その非線形性故に波動関数の波束が広がってしまうので、物質波としての解釈に無理があるという批判です。

従ってこれらの歴史的経緯から見ても、行列力学が粒子性を表し、波動力学が波動性を表していると言う超単純な表現は、初学者の一時的な方便としてはともかく、量子力学の理解を混乱させかねない表現だと思います。

不確定性関係とは、物理量が単なる数ではなく、交換可能でない演算子(即ちある関数やべクトルに作用する演算子)であるという最も基本的な原理を、その原理の一つの帰結として表しているに過ぎません。即ち、交換しない演算子の積の平均は、各々の平均値の積とは異なるという事実を表しているに過ぎません。ですから、この関係式は積、あるいは2乗という特殊な場合の定理に過ぎず、従って原理と呼ばれるのは単に便宜上のことであり、それを基本原理と呼ぶ訳には参りません。それは、あたかもオームの法則は法則と呼ばれてはいるが、これを誰も物理学の基本法則だと言わないのと同じようなものです。
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アインシュタイン以前、「光は波か粒子か?」という議論が


続いていました。
アインシュタインがノーベル賞をもらったのは、相対性理論
によってではなく、光電効果の研究においてであり、そこで
「光は波動性と粒子性の両面がある」としました。

シュレディンガー方程式は波動力学=物理現象を波動として
捉えたものですので、「粒子の持つ不確定性」は含まれて
いません。
ハイゼンベルクは、自己の理論を発展させる中で、
先の「光は波動性と粒子性の両面がある」というのを、
「そうした『波』を粒子の持つ不確定性による確率波動だと
考えれば辻つまが合う」としました。
つまり彼の行列力学(1925)とシュレーディンガーの波動力学
(1926)は、
それぞれ物質の持つ粒子性と波動性の二面性に他ならないと
いう事です。

経緯でいけば、ほぼ同時に別々のアプローチで完成されました
が、その両者が同一の別側面である=不確定性原理に昇華され
たのは後(1927)になります。
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歴史的なことを言うと…



シュレーディンガー方程式:1926年に波動力学の基礎方程式として提案された。
不確定性原理:1927年にハイゼンベルクが提唱。
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運動量と位置の絶対性を否定する不確定原理。



粒子の存在確率を記述するシュレディンガー方程式。


運動が先か力が先かという問題と同じで決めれないんじゃないでしょうか?
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