評価・換算差額等に係る税効果会計の際に、
その他有価証券差額金の発生時などに、
投資有価証券1,000 その他有価証券差額金600
繰延税金負債400
となっていますが、
どうして、この際、法人税等調整額は計上されないのでしょうか?
収益・費用と益金・損金との間に差異は生じてないため、計上する必要はないと記述がありますが、そうであるならば、繰延税金負債や繰延税金資産自体計上する必要がないように思うのですが。
どなたか御教示いただける方がいましたら御教示の程お願いたします。よろしくお願い致します。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
こにちわ。
持分なんちゃらの次は、税効果ですか?頑張りますな。どうして法人税等調整が発生しないか、ですか?小生なりに説明しましょう。
其の前に、会社の会計を財務会計と呼ぶならば、税務署の会計が税務会計。処理が違うのです。その違いを上手い事処理するのが、いわゆる税効果会計です。ちなみに、その他有価証券の場合、財務会計では時価評価しますが、税務署は原価のままです。よって、税効果会計が必要となる。
10,000円で買った株(売買目的)が、11,000円になったとしましょう。税率は40%。会社的には1,000円の利益、税務署的にも1,000円の利益です。税務署は「400円払ってください」と言ってきます。何の問題もないですね。
もしこの株が、売買目的ではなくその他有価証券なら、さぁ、話は違ってきます。会社的には1,000円の利益ですが、税務署的には利益ゼロです。税務署は「税金はゼロ円です」って言ってきます。バランスシートはこんな感じ。
始めがこれだったら:
(借方)売買目的有価証券10,000
(貸方)資本金10,000
1,000円増えたから、、、
(借方)売買目的11,000
(貸方)資本金10,000
(貸方)未払税金400
(貸方)利益剰余金600
もしこれが売買目的ではなくその他有価証券だったら、、、
(借方)その他有証11,000
(貸方)資本金10,000
(貸方)繰延税金負債400
(貸方)その他評価差額600
その他有価証券を、税務署は原価で評価する。利益はゼロになり、よって税金もゼロです。でも会社的には時価評価するから1,000円の利益。会社と税務署で言ってる事が違う。さぁ税効果会計の出番です。この1,000円の利益は、今はゼロだけど将来には実現する事になる。その時になると税務署は「400円払ってください」って言ってくる。だから今のうちに400を繰延税金負債という形で計上する、というわけ。
ところで、部分時価評価法と全部時価評価法で、税効果会計の処理が違うのはご存知?
どちらの処理方法にしても、知っておかないと成らないのは、株の時価評価が損益計算に入ったら、法人税等調整額が発生する。法人税等調整額も、時価評価額と一緒に、損益計算に入るのですわ。株の時価評価が損益計算ではなく貸借対照表に直接計上されたら、法人税等調整額は計上されないの。この場合は、時価評価差額が、繰延税金〇〇の分だけ減って、繰延税金〇〇が計上されるってわけ。
要するに、「二人一緒に損益計算へ」と「二人一緒に貸借対照表へ」なのであって、「株の時価評価は貸借対照表へ、法人税等調整額は損益計算へ」とかいう別行動はないのさ。
こんな感じでいかが?間違ってたらメンゴ。
こんばんは。毎回御回答ありがとうございます。
なるほど、評価された1,000円の収益が将来には実現する事になり、
>その時になると税務署は「400円払ってください」って言ってくる。だから今のうちに400を繰延税金負債という形で計上する。
わけですね。
売買目的有価証券では、その期に収益として実現する訳で、その他有価証券差額金とはその意味で異なるのですね。
理解させて頂くことができました。
すいません、部分時価評価法と全面時価評価法の税効果会計はまだ理解しきっていません。しかし、その場合も今回と同じように、一人が貸借対象表に行って、一人が損益計算書に行くということはないのですね。ありがとうございます。
No.3
- 回答日時:
「その他有価証券評価差額金」って何者?という視点からアプローチしてみたいと思います。
もともと、有価証券といった金融商品は、取得原価で評価していました。
つまり、いくら時価が変動しようが、会計上は、取得原価のままだったのです。
ところが、米国で日本の信用金庫のようなS&L(貯蓄組合)が、株式投資で大損をしまう事件が起きました。取得原価で評価している限り、この損は売却するまで実現しません。これが含み損です。
結局、700社近くものS&Lが含み損をかかえたまま倒産し、1500億ドルという巨額の税金が後始末に投入されました。これが、もともと有価証券を時価評価するようになったきっかけと言われています。
すなわち、毎期の時価評価を強制すれば、リスク管理の甘い企業は投資できなくなる…というわけです。
基本的には、この流れに加えてバブル崩壊の影響を受けて日本でも「時価評価すべし」との論調が高まりました。ここで、問題となったのが、「持ち合い株式」をどう扱うかです。
持ち合い株式とは、日本特有の習慣で、取引関係の維持や、系列化のために保有される株式をイメージしてください。
実は、これが「その他有価証券」と呼ばれるものの大半だったりします。
このその他有価証券を時価評価しようとした際に、産業界から強い抵抗がありました。
なぜかといえば、時価評価を強制され、株式の損が出た都度売却してしまうと、
取引関係や系列に支障がでるから、というのが主な理由でした。
会計学的にも問題があります。その有価証券の含み益が、「いつ実現できるか不明な利益」=「未実現利益」であるという点です。でも、時価評価したい。だからこそ、損益計算書に計上せず、仕方なく資本の部(今でいう純資産の部)に掲げることで妥協したのだと思います。ものすごく変則的な処理なんです。
さて、前置きが長くなりましたが、このその他有価証券の含み益こそが「その他有価証券評価差額金」の正体です。税効果を考慮しなければ仕訳は、
(借方)投資有価証券 1000 (貸方)その他有価証券評価差額金 1000
となります。
あとは、他の回答者の説明と被ってしまいますが、会計上はこの仕訳を見る限り利益は出ていませんが、会計上の資産が増加しています。税務上は、利益(益金)がでないところは同じですが、資産の増加が見られません。この「会計上の資産」と「税務上の資産」のギャップを埋めるためのものが税効果会計です。
問題では、税率が40%ですから、資産が1000増えれば、本来は、400の税金を支払わなければなりません。もし、会計上の資産=税務上の資産ならば、
(借方)投資有価証券 1000 (貸方)その他有価証券評価差額金 1000
(借方)法人税等 400 (貸方)現金預金 400
となりますが、当然この仕訳は間違いです。
なぜなら、会計上の資産>税務上の資産というギャップが生じており、
そのギャップのせいで、税金400を支払っていないからです。
これを仕訳に反映させれば、
(借方)投資有価証券 1000 (貸方)その他有価証券評価差額金 1000
(借方)その他有価証券400 (貸方)繰延税金負債 400
となります。
つまり、なんか「資産が1000増えた気がするけど、税金のこと考えたら本当は600(1000-400)しか増えてなかったんだね」と、この仕訳は述べているわけです。
読んでくださってありがとうございます、長文失礼しました。
その他有価証券差額金が生じた背景や信用金庫のことは、自分は全く知りませんでした。
どうもありがとうございます。一つ一つ意味や背景があり、どっちつかずの問題も抱えているものなのですね。
>(借方)投資有価証券 1000 (貸方)その他有価証券評価差額金 1000
(借方)その他有価証券400 (貸方)繰延税金負債 400
で何か全てスッキリした気がしました。自分には、(借方)その他有価証券400の発想が全くなく、というよりこれが隠れてたと考えたら全て納得できる気がします。
どうもありがとうございました。
No.2
- 回答日時:
質問とは関係ないですが、差異には一時差異と期間差異があります。
一時差異は収益、費用と益金、損金の違いより生じるものです。一方、期間差異は会計上の資産、負債と税務上の資産負債の違いにより生じるものです。税効果の対象となるのはこのうち、一時差異です。なので会計上は時価評価を行うのに対し、税務上は時価評価を行わないその他有価証券は税効果の対象になるのです。御指摘ありがとうございます。
一時差異と期間差異があることと、意味は自分では理解してるつもりなのですが、
税務会計をまだ極めきってないため、理解が完璧じゃないかもです。
御指摘どうもありがとうございます。
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