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疑問の発端は、次のような書込を見たからです。

「A、Bで売買契約が成立し、買主Aの代金が未払いであるので、売主は移転登記に応じないでいた場合(同時履行の抗弁)に、Aが契約の成立をもって所有権が移転したとして物権的登記請求権を行使して登記請求をした場合には、売主Bはこれを拒めるのか」という趣旨のものでした。

そこで、物権的登記請求権というのを調べましたところ、上記の事案等には該当しないように思いました。
物権的登記請求権は、不正登記の名義人に対して有する抹消登記請求のように自分の登記が侵害されているような場合をいうようなのです(そこで、物権的請求権(妨害排除請求)なんだと思います)。
であれば、上記の事案でいうところの物権的登記請求権というのは、物権変動的登記請求権をいうのかと思いました。
しかし、物権変動的登記請求権というのは、物権の効力として認められるという記述はなく、物権変動の事実に基づいて発生する請求権であるとの説明があるのみでした。
そこで、物権変動的登記請求権というのは、物権的請求権の一種といえるのかということで質問をさせていただきました。

A 回答 (1件)

こんにちは



>物権変動的登記請求権というのは、物権的請求権の一種といえるか

結論は、言えません。

以前回答した内容とも少し被りますが、登記請求権は明文の規定はないが、
判例で認められている権利であって、その発生原因について学説では
以下の3つがあるとされます

1.物権的登記請求権
・・・登記と実体法上の権利とが一致しない場合に、その不一致を是正するため、
物権の効力として生ずるもの

2.債権的登記請求権
・・・契約や当事者間に特約がある場合に生ずるもの

3.物権変動的登記請求権
・・・物権変動の過程を忠実に反映せよという不動産登記法上の
要請に基づいて、物権変動の事実そのものから生ずるもの

例えば、ある不動産の所有権がAからB,BからCへと移転した場合、
BはAに対して、CはBに対して、それぞれ登記請求権を持ちます
(厳密には、CはBに代位して、Aに対しBに移転するよう登記請求権ももつ)

この場合の、CがBに対して持つ登記請求権は1~3全てで説明できます

しかし、BがAに対して持つ登記請求権は、1.では説明できません。
既に所有権がCに移転している以上、Bは所有権を持っておらず、
物権的請求権を持てるはずが無いからです
(Bに実体法上の権利がないから)

しかし、一度Bに所有権を移転している以上、3物権的変動的登記請求権で
説明されますし、極めて例外的な契約をしていない限り、
2.債権的登記請求権でも説明できます


なお質問文にある
「A、Bで売買契約が成立し、買主Aの代金が未払いであるので、売主は移転登記に応じないでいた場合(同時履行の抗弁)に、Aが契約の成立をもって所有権が移転したとして物権的登記請求権を行使して登記請求をした場合には、売主Bはこれを拒めるのか」

であれば、契約にもよりますが、
(代金の支払い前に登記を移転するという特約があれば、買主に登記請求権はあって、
債権的登記請求権で説明できる)
なんら特約がない限り、所有権は売主にあって、買主は登記請求権を持ちません。
(買主に所有権が無い以上、物権的登記請求権をもつはずがないし、
一度も買主に所有権が移転していないので、物権変動的登記請求権もない)

参考になれば幸いです。
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この回答へのお礼

いつも、懇切丁寧かつ論理明快な回答を有難うございます。

>「A、Bで売買契約が成立し、買主Aの代金が未払いであるので、
>売主は移転登記に応じないでいた場>合(同時履行の抗弁)に、A
>が契約の成立をもって所有権が移転したとして物権的登記請求権を
>行使し>て登記請求をした場合には、売主Bはこれを拒めるのか」
に関連しまして、「物権変動的登記請求権その3」として改めまして
質問をさせていただきます。
宜しくお願いいたします。

お礼日時:2010/11/22 19:04

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