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福島原発で放射線の影響による被害などが心配されています。

ところで、この放射線というものはなぜ水の中を通れないのでしょうか?

可視光線なら水の中を通れるのに何が違うのか気になります。
確か波長がちがうのでしたよね?

A 回答 (4件)

 波は波長の長さの半分以下の大きさの物体には遮られないという性質があります。


 水の分子は可視光線の波長よりもずっと小さいため、可視光線が素通りしてしまうため、透明に見えます。
 波長は粒子のエネルギーが高い程、又、粒子の質量が重い程、短くなります。
 大抵の放射線の粒子は、可視光線よりもエネルギーが1万倍以上も高いため、放射線の粒子は水の分子を構成している原子にも一部が遮られます。
 その際、放射線は遮った原子の中の電子にエネルギーを受け渡します。
 そして、放射線は物質の中を進むに従って、エネルギーを失っていき、エネルギーが無くなった所で止まります。

 放射線の粒子が電荷を持っている(電気を帯びている)場合には、その粒子の周囲には電界(電気的な力が働いている領域)が発生しているため、原子に衝突しなくても、少し離れた原子とも相互作用を起こして、エネルギーを早く失います。
 β線は高エネルギーの電子ですから、マイナスの電荷を帯びています。
 α線は高エネルギーのヘリウムの原子核ですから、β線の2倍の強さのプラスの電荷を帯びています。
 γ線は高エネルギーの電磁波ですから、電荷を帯びていません。
 そのため、α線、β線、γ線の順で、早くエネルギーを失い、物質中を透過出来る距離に差が生じます。
 粒子の持っているエネルギーにもよりますが、α線は厚紙1枚で遮蔽する事が出来、β線は厚さ数mmの金属板で遮蔽する事が出来ますが、電荷を持たないγ線は原子にエネルギーを渡す効率が悪いため、γ線の強さを100万分の1にまで低下させるためには、特に高いエネルギーのγ線だと1.5mという、丁度水泳用のプールの深さと同じくらいの水の層が必要になります。(コンクリートなら約75cm、鉄板なら約55cm、鉛板なら約35cm)

 尚、中性子線は高エネルギーのものから、非常にエネルギーが低いものまであり、低いエネルギーのものであっても、物質中の原子核に吸収される事で、その原子核を放射性がある原子核に変える事がありますから、エネルギーを失っても安全にはならないため、α線、β線、γ線とは少し違います。
 中性子線は、核分裂が起きた時や、一部の熱核反応が起きた時に発生しますが、大抵の放射性物質からは中性子線は出ていません。(例外として、プルトニウム240やカルフォルニウム252等の様に何もしなくも、自ら核分裂を起こして、中性子を放出する物質もありますが)
 ですから、比較的身近な例で、中性子線が存在しているのは、原子炉内くらいのものです。
 そして、高速増殖炉の様な特殊な原子炉を除けば、原子炉内に存在している中性子の大部分は、エネルギーが非常に低いものです。
 核分裂によって発生した中性子のエネルギーは、最初は高いエネルギーを持っているのですが、冷却水の中の水素の原子核に衝突すると、水素の原子核の質量と中性子の質量が、殆ど同じくらいであるため、中性子が持っていたエネルギーの殆どは、水素の原子核に移ってしまい、中性子のエネルギーは極端に低くなります。(ビリヤードで、転がって来た球が、同じ重さの静止した球に、真っ直ぐに当たると、当てられた球が同じスピードで弾き飛ばされ、元の球が殆ど止まってしまうのと、全く同じ現象です)
 殆どエネルギーを失った中性子は、水中を漂い、逆に熱運動をしている水分子中の原子核に弾き飛ばされたりもします。
 弾き飛ばされた中性子は、偶然に元来た方向に戻る場合もありますから、エネルギーを失った中性子は、なかなか水の外には出て来ません。
 しかし、水中では中性子はなかなか無くなりません(半減期が約2分)から、水だけでは中性子線を完全に防ぐ事は出来ません。
 原子炉では、原子炉内の制御棒や燃料を構成している物質の原子核に、中性子が吸収される事もあります。
 又、原子炉を収めている容器の壁には、中性子を吸収し易い物質(ホウ素)が混ぜられているます。
 このため、原子炉の外に出て来る中性子の数は少なくなります。(僅かには漏れるらしいです)
 因みに、福島原子力発電所(第一と第二の両方とも)地震が発生した時に、自動的に制御棒が挿入された事で、既に核分裂反応は停止していますから、中性子線は実質的に発生していません。
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この回答へのお礼

非常に詳しい解説ありがとうございました。
おかげで理解できました。

お礼日時:2011/03/28 19:19

差し出がましくNO、1、2さんの補足です。


 α線 ヘリウム(4)の原子核
 β線 電子または陽電子
 中性子線 中性子
とそれぞれが実体があるということです。

ついでに言うと原子炉内の水は「冷却」と核分裂反応で飛び出してくる中性子の速度を落とす「減速材」の役割をします。
飛び出した中性子の速度では早すぎて臨界(核反応が連続して起こること)を起こせないので、適度に速度を落としています。(それぞれの状態のことを高速中性子 熱中性子と呼びます。)

因みにチェリノブイリ原発の減速材は黒鉛でした。
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この回答へのお礼

素人でもわかりやすい解説ありがとうございました。

お礼日時:2011/03/28 19:18

まず、α線、β線は実体のあるものですから、透過能力は低く、


紙1枚で遮断されます。γ線は電磁波で透過能力が高いのです。

電磁波というと光や電波と同じ首里のものですが、γ線は
特に波長が短いのです。
たとえば、赤い水では赤い光は通過しますが、青い光は
通過しません。透明な水は全ての光を通過しますが、
これがγ線にとっては黒い水と同じ感じになるのです。
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この回答へのお礼

こちらも素人でもわかりやすい解説ありがとうございました。

お礼日時:2011/03/28 19:20

中性子の特性です。



>>気中で220m、軽水の場合は0.17cm、重水では1.54cm、ウランでは0.035cmである。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E6%80%A7% …
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