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横歩取りで、最近後手飛車先歩交換後、△8五飛と引く将棋が圧倒的に多いようです。
昔は△8四、又は△8ニが多かったようですが、△8五に引くのにはどういう意味があるのでしょうか?結局数手後に△8四に引くことになる将棋が多いようなので、後手が一手損をしているように(素人目には)見えるのですが。。。。
何か先手の攻めを牽制している意味があるのでしょうか?

よろしくお願い致します。

A 回答 (3件)

横歩取り△8五飛の戦型では後手が△3三桂の桂頭をどのようにケアするかが重要なテーマとなります。


後手は横歩を取らせた関係で3筋の歩がありません。ですから後手にとっては先手の3筋の歩が▲3六歩~▲3五歩~▲3四歩と伸ばされるのが脅威なのであります。

そこで△8五飛戦法の意味は▲3五歩には△同飛を用意して、この筋を牽制することです。▲3六歩に▽3四歩と謝ったところで▲3五歩△同歩▲3四歩があるので受けにならないうえに貴重な持ち歩を防戦一方に手放したくもない。ですから後手は飛車の横利きで桂頭をケアしたいのです。では△8四飛ではどうして駄目なのか。△8四飛でも▲3四歩を△同飛とできるではないか。ところが4段目を防衛ラインとすると今度は△7四歩や△5四歩と歩を突き出しにくくなってしまうのです。自分の歩で飛車の横利きを止めてしまうからです。例えば、△8四飛△7四歩△5四歩の形のタイミングでじっと▲3五歩と伸ばされると次ぎの▲3四歩が受けにくくなってしまう。△8五飛△7四歩▲2六飛▲3六歩の形では先手の飛車の横利きが止まり自由度が小に対し、後手の飛車の横利きは止まっていないし、自由度も大です。これが後手番にもかかわらず△8五飛戦法が局面の主導権を握りやすい理由です。
他にも、△2五歩と先手の飛車を押さえつける、△2五飛と飛車交換を挑む(△3三桂が前提)、△5五飛と中央に転換する(▲同角△同飛が両取りになる場合)、△7五歩▲同歩△同飛、▲2五飛△5七桂成▲同銀△2五飛(飛車素抜き)といった五段目ならではの手段があります。後手は、これらの手段を含みにしながら局面をリードしていくのです。その為に中原囲いにして飛車の打ち込みに強い陣形として飛角桂歩で手をつくっていく。後手は2,3筋の歩を謝らないから横歩を取られたにもかかわらず横歩を取った側の先手と同じ持ち歩の枚数を保てる。歩損をカバーして持ち歩の均衡を保つ。
横歩取り△3三角戦法も中原囲いも実に横着な作戦です。2,3筋の歩を謝らないというのですから。その横着さを成立させているのが△8五飛の効力といえるのです。

そんな△8五飛なら▲7七桂で簡単に追えるではないか。自然な発想です。ところがそうすると先手も桂頭に不安を抱えてしまいますし、▲7七桂▲7八金▲7九銀の形が壁形で玉形を弱めます。そこで▲6八銀と形を直すと、今度は▽8九飛の打ち込みが生じて飛車交換に弱くなってしまう。▲8八銀とすれば▽8九飛は怖くないのですが、それでは▲8七歩と打たされている分、8筋が過剰防衛気味で玉頭である5七の地点も弱い。5七の地点は後手は2枚の桂で密かに狙っている地点なのです。

△8五飛~△8四飛は確かに一手損ではありますが、そもそも先手の方が先に手損しているので関係ないといえば関係ない。先手は横歩を取った関係で、▲2四飛~▲3四飛~▲3六飛~▲2六飛の大回りをしているのです。

先手の主張が一歩の実利であるのに対し、後手の主張は手得と△8五飛による五段目支配です。△8五飛戦法は日夜、新手・新対策が開発されている分野でとても全てを紹介するわけには参りませんが、以上のところで△8五飛戦法の基本思想の説明にはなっているかなと思います。

この回答への補足

二度の回答有難うございました。ベストアンサーとさせて頂きました。

補足日時:2011/06/09 15:42
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この回答へのお礼

非常に詳細な解説、誠に有難うございます。本当に大変勉強になりました。確かに△8五飛型ではほとんどが△7四歩~△7三桂~△7五歩という展開になっていますね。それに、△8四飛(又は△8ニ飛)では先手からの▲3三角成△同桂▲3六歩~▲3五歩ですぐに桂頭を狙われてしまいますね。その▲3五歩を防ぐ意味があったのですか…。他に、△5五飛と回る手も!実戦ではほぼ確実に後手は5七の地点を狙ってきていますが、それには△8五飛という前提があったのですね。

非常にお詳しそうですのでもう少し質問させて頂きたいのですが、中原囲いは△6ニ銀ですので8三に空間が出来てしまい、飛車交換に弱いような気がします。従来からの△7ニ金+△6ニ銀と比べてどのようなメリットがあるのでしょうか。また、中原囲いでは最近は△5ニ玉型が主流かと思いますが、本来の△4一玉型を選ぶ実践例も徐々に増えてきているように思います(先日の名人戦第5局羽生名人など)。素人考えとしては△5ニ玉のほうが5三の地点に強いかと思いますが、△4一玉型をにはどのようなメリットがあるのでしょうか?

大変お手数かと存じますが、もしよろしければ再度のご回答の程、よろしくお願い申し上げます。

お礼日時:2011/06/03 09:30

中原囲いについて補足させていただく。

中原囲いは大駒の打ち込みに強い。しかし、8筋がガラ空きではないか。それはその通りです。中原囲いの強さは所詮は相対的なものであって、先手の構えよりは比較的強い。手数がかからない割には比較的強いといったものです。囲いは一般的に金を剥がされるのが崩し方になります。中原囲いの強さは△5一金の一段金が弱点が比較的すくないのです。8一、8二、8三のどこに角を打ち降ろしても金に当たらない。6三の地点も4三の地点も歩で空間が埋められているので▲6三桂、▲4三桂とは打てない。金に直接当てるには▲8一飛と降ろす以外にない。ところが飛車は金よりも価値が高い駒なのでおいそれと刺し違えるわけにはいかない。また△6二銀と△5一金が相互に連絡しあっているからです。場合によっては△7一歩の底歩も利く。以上のように中原囲いは比較的耐久力があり、なんとか持ちこたえている間に攻めあい勝ちが見込めるといった戦い方ができるのです。
是に対し△6二銀△7二金はどこが違うのか。金の位置が違うだけなのですが、二段金には8一と6一に弱点がある。また金が銀に連絡されない浮き駒で▲8四桂や▲6四桂も金に当たってきます。△7二金の方が△5一金よりも8二、8三をケアして大駒の打ち込みを消しているようですが、その金が狙われやすいのが弱点です。横歩取り△3三角戦法は、飛角桂が攻撃の主役で金銀は低いまま前線には進出してこない。銀が攻撃参加しないので8一の桂を活用する必要がある。つまり、どうしても8一の地点に隙ができます。▲8一飛と打ち降ろされるのは仕方が無い。であれば8二と8三の地点をケアしても意味がないともいえるのです。▲8一飛を前提に、それでも耐久力のある形が中原囲いなのです。

最後に△5二玉型と△4一玉型の違い。どちらも一長一短で優劣は分からない。だからこそ、専門棋士でもどちらも採用していて結論が出ていない。△5二玉は△3二金に連絡しないので例えば▲1四歩△同歩▲1二歩△同香▲2一角という仕掛けが気になる。△2三銀で一旦は受かっても▲2四歩で痺れます。横歩取りの先手は必ず二歩手持ちにしていますし、後手は2筋に歩を謝らないで頑張っていますから実現性の高い仕掛けです。もっとも△2三歩と謝っていても痺れることには変りがない。だから△5二玉型でも▲1五歩と伸ばされたら△4一玉型に戻すしかないのです。これは一手損です。ただし、先手も1筋に2手かけているわけですから話は単純でもない。
△4一玉は5二~6一と3一~2一の左右均等の逃走ルートがあるのに対し、△5二玉は5二~6一の右側ルートには一手近いが3一~2一の左側ルートには一手遠い。
先手の4筋の歩が切れた時に▲4二歩の手裏剣が焦点の歩の痛打となる可能性があります。この時、△4一玉には王手になるのに対し、△5二玉には何でもない。
△5二玉型は5筋の歩を伸ばしにくい欠点もある。
こうしたことを考え出すときりがない。結論は一長一短というしかありません。その後の戦い方次第でどちらの長所・短所が強調されることになるのか。先手も後手もそういうことを意識しながら作戦を組み立てなければならないというまでのことなのです。
所詮、平手将棋に必勝法はない。万能戦法も存在しない。
戦法自体に優劣があるわけではなくて、私たちが手筋に詳しくなり、微妙な形の違いを察知して急所を見極めること、形の感覚と大局観を醸成することが必要なのです。
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この回答へのお礼

御礼遅れまして申し訳ありませんでした。再度の非常に詳しい解説、有難うございました。そうですね、言われてみれば横歩取りで後手はほぼ必ず△7三桂と跳ねるので、8一に空間が出来る。それが前提となっているのですか…。しかも確かに△6ニ銀△7ニ金では金が浮き駒になり、また、▲6一銀などといった攻め筋も出てきそうですね。
それに、▲1五歩ときたら、端攻めからの▲2一角があるので△5ニ玉でも△4一玉とせざるを得ない。これも大変勉強になりました。
まさにプロ棋士の頭の中を見ているかのような解説でした。本当に有難うございました。

お礼日時:2011/06/05 16:17

こんにちは。



よく言われるのは、
・8一の桂を△7三桂と跳ねて活用しやすい。
・中原囲いとの組み合せ(相性)がよい。
・横利きを生かして△2五歩と打って、相手の飛車を圧迫できる。
・△7五歩と突いて相手の7六の歩にぶつけて、7筋の攻めを見せることができる。

>>>結局数手後に△8四に引くことになる将棋が多いようなので

相手から▲3三角成△同桂と角交換して▲7七桂と跳ねるとそうなりますね。
ですけど、それで不利とか面白くないということではないようです。
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この回答へのお礼

早速のご回答ありがとうございます。なるほど、そういうことですか!確かに△8五飛の場合は必ず中原囲いになり、且つ△7五歩と突く将棋になっていますね。▲3三角成△同桂と角交換して▲7七桂と跳ねる手順もその通りで…。それで損はなし、ですか…。大変参考になりました。有難うございました。

お礼日時:2011/05/30 10:04

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