光の反射の理由を調べていたら、色彩について説明しているサイトがありました。
そこには、光のエネルギーを受け取った電子がエネルギーの低い状態に戻るために光を発する。
というようなことが書かれていました。
また、ある質問ページでは、光の反射の理由を尋ねた質問者さんに、同じような回答がされていて、
さらに、金属は自由電子があるからよく反射する。とも言われていました。
しかし、これらのメカニズムでは、
1.金属より自由電子の少ないプラスチックの下敷きやフローリング、水面が鏡のように映る理由を説明できない。
2.鏡の一点だけ見ても、見る方向によって映る像が変わる理由を説明できない。
(電子のエネルギー放出には方向があるということでしょうか?)
3.光よりはるかに周波数が低いマイクロ波が反射する理由を説明できない。
(周波数の低い電磁波でもいろいろな角度からたくさん当てれば電子にエネルギーを与えられるのでしょうか?)
などの問題がある気がします。
それとも、何か見落としがあるのでしょうか?
私のような物理にあまり詳しくない人間にもわかりやすく答えていただけると幸いです。
No.6ベストアンサー
- 回答日時:
>打ち消すように発生した後、波は広がったりしないのでしょうか?
実際にはしますよ。理想状態ってのは現実にはありませんから。
電子が電磁波に対して抵抗無しに完全に応答できるようなものを、完全導体と呼びます。でも実際の金属は完全ではありません。実際の金属では、電磁波は金属の中にちょっとしみ込んだりしています。また、吸収も起こっています。(ですから、物理学の研究者が非常に反射率の高い鏡が欲しいときには、金属で出来た物は避けたりします。屈折における干渉効果が非常に強くでるように作った誘電体多層ミラーというものを使います。それでも完全ではありませんが。)
下の方の回答にある多光子過程もそうですが、光と物質の相互作用というのは非常に多彩で、かつ実際の物の場合には色々なことを考えなければなりません。本格的に勉強しようとすると、理学部物理学科や工学部の応用物理学科などで数年間やらないといけないというような物です。残念ながら。
でも、興味本位ということでしたら、そこまで本格的にやる必要はもちろんありません。ここで随時ご質問いただいても良いですし、適当な本をつまみ読みされても良いでしょう。
とりあえずお勧めしたいのが、
ファインマン著『光と物質のふしぎな理論』岩波現代文庫
です。朝永先生とともにノーベル物理学賞を受賞された物理学者による、光と物質の相互作用についての講演を本にしたものです。難しいことを解り易く、わくわくするような形で語るのに定評のあったファインマン先生ですが、この本は特に一般の方を対象にした講演をもとにしていますので、非常に読み易いです。でも、かなり高度なことが書いてあります。面白いですよ。
みなさん貴重な時間を割いて私の疑問に答えていただき、本当にありがとうございました。
自分でももっといろいろ調べてみたくなりました。
No.5
- 回答日時:
物質と光の相互作用には、非常に色々な物があるのですが、人の目で見える範囲のものは下記の3つでだいたい説明できます。
1)自由に動ける電子による反射
2)光の吸収(電子の実遷移)および、再放出
3)屈折(電子の仮想遷移)
まず1について。金属等の電気を良く通す物質中には、自由に(といっても物質の中だけですが)動ける電子が沢山います。この電子に電磁波があたると、電子は電磁波の電場にゆさぶられ、電子が新たに電磁波を放出します。この新たにでてくる電磁波(反射波)は、物質表面での電場を打ち消すように発生します。つまり入ってきた電磁波と反射波の向きにはかならず一定の関係、いわゆる鏡面反射の関係が生じます。
なお、電子は軽いとは言え、あまりはやく揺さぶられると追随できません。そのため、周波数が高くなると、この反射は起こりにくくなります。物質によりどの周波数まで追随できるかは異なっており、銀やアルミニウムでは目で見える光すべてに追随できるので『銀色:特定の色を持たない』をしていますが、銅などでは青の周波数には追随できないので『あかがね』色になります。(赤と緑は反射できるが、青は反射できない)
次に2について
物質中の電子は、光子(電磁波の粒)を吸収することで、より高いエネルギーになることができます。この場合、電子は実際に高いエネルギーになっているので実遷移といいます。
ただしこれが起こるのは、物質毎にことなる波長の範囲(周波数の範囲)の光に対してだけです。物質毎に吸収できる波長範囲、できない波長範囲はことなっています。できない波長範囲の光については、3で説明する屈折現象が生じます。
光を吸収したエネルギーの高い電子は、やがてエネルギーを放出してもとの状態に戻ります。このとき、吸収したのと同じ波長の光を放出すれば、『色』はつきません。実際には、吸収したエネルギーの一部分や全てを熱の形で放出することが多いので、でてくる光は照射された光よりも減っています。これが物質に『色』がつく理由です。つまり、当てた光とでてくる光で波長成分が変わるのです。
最後に3について
物質に吸収されない範囲の光も、じつは非常に短い時間だけは物質に『吸収されたフリ』をすることができます。でも、人が感じられるような時間が立つ前に、物質はきちんともとの光を放出します。このような非常に短い時間、電子が光を吸収したフリをするのを、仮想遷移と呼びます。光が吸収されたフリの痕跡は、光の位相がずれることに残ります。つまり、光の進みが物質の中では遅くなったように見えます。これを屈折とよびます。
エネルギー保存則のせいで、屈折ででてくる光はもとの波長と同じです。つまりこの現象で『色』はつきません。ただ、でてくる光は色々な方向に向かおうとします。ただ、となりあった電子がおこなう仮想遷移は、それぞれ相関関係があるために、打ち消し合ったり強め合ったりします。これを干渉とよびます。そのため、仮想遷移ででてくる光は、いくつかの特定の方向にわかれます。このとき、電子がきれいに並んでいればきれいな干渉が起こります。平らなプラスチックや水面が鏡のように振る舞うのは、このせいです。『平ら』というのは、微視的にみれば電子が有る平面にきれいに並んでいること。このようにきれいにならんでいるためにきれいな干渉が起こり、鏡面反射になります。ざらざらな面というのは、電子がきれいに並んでいないということ。ですから、そういう物質からの屈折ででた光は色々な方向に振り分けられるので、いわゆる散乱を起こします。
この回答への補足
光の現象についてわかりやすく答えてくださりありがとうございます。
今後も何度か読み返して理解を深めようと思います。
>この新たにでてくる電磁波(反射波)は、物質表面での電場を打ち消すように発生します。つまり入ってきた電磁波と反射波の向きにはかならず一定の関係、いわゆる鏡面反射の関係が生じます。
打ち消すように発生した後、波は広がったりしないのでしょうか?
クモの巣の中心からのびる糸の一本だけ選んで揺らしても、くっついている横糸も一緒に揺れてしまうように。
(他の波と干渉するから、ですむ問題かもしれません)
No.4
- 回答日時:
> 私のような物理にあまり詳しくない人間
ご謙遜を。3点の反証など非常にお詳しい方だと思いました。
光の反射は、入射光によって鏡中の電子(自由電子である必要はない。束縛電子も可)が
入射光と同じ振動数で揺すらる。電荷が加速度運動すると電磁波が放出されるが、
電荷の振動数は入射光と同じなので同じ波長の光が放出される。
たぶんこのことを、「光のエネルギーを受け取った電子がエネルギーの低い状態に
戻るために光を発する。」と表現しているのだと思う。
この「」内の文章は、電子の固有のエネルギー準位間の遷移と勘違いしそうだが、
固有のエネルギー間隔ではない、任意の入射光の振動数が受け取られて、
それと等しい振動数の光が放出される過程。(Virtual遷移)
しかし、この場合、電荷による光の放出パターンは電気双極子とかそんなような感じの
CosΘ則とかあり、空間的に完全に一様ではないが、ある程度は等方的に出る。
しかし鏡のような固体では原子が並んでいるので、個々の原子は光をほぼ等方的に
放出しているかもしれないが、各原子での位置関係の干渉の結果、ある方向性をもつ。
つまり、入射角と反射角が等しいという反射の法則が出てくる。
(これが反証2番に対する答え)
> 金属より自由電子の少ないプラスチックの下敷きやフローリング、水面が鏡のように映る理由を説明できない。
自由電子がなければ反射が起こらないとは言っていない。
むしろ反射が起こるために重要なことは、表面が滑らかであること。
表面がざらざらだと、光はいろいろな方向に反射され、鏡のようにならない。
一方、プラスチックの下敷きやフローリング、水面は表面が滑らかなので鏡になる。
> 光よりはるかに周波数が低いマイクロ波が反射する理由を説明できない。
Virtual過程なので入射光と同じ振動数が反射される。
Virtual過程がわからなければ、古典論で考えればよい。
電子がマイクロ波の振動数で揺らされれば、電荷と同じ振動数の電磁波が放出される。
マイクロ波の振動数が入射すれば、マイクロ波の振動数が放出されるだけ。
(周波数の低い電磁波でもいろいろな角度からたくさん当てれば電子にエネルギーを与えられるのでしょうか?)
これはありえない。こういう過程は多光子過程といい、よほど光が強くないと起こらない。
この回答への補足
とても詳しい回答を下さり、ありがとうございます。
光の反射には自由電子しか関係していないと思い込んでいたもので、眼からうろこが落ちるようでした。
すると、水素イオン(これはもう陽子ですが)を何とかしてムリヤリ液化、固化すると、束縛電子さえもなくなるので見えなくなってしまうのでしょうか?
それとも重い陽子を揺さぶるのに強いエネルギーが必要になるだけですかね。
(すいません忘れてください)
>個々の原子は光をほぼ等方的に
放出しているかもしれないが、各原子での位置関係の干渉の結果、ある方向性をもつ。
水面波でも同じようなことが起きるのでしょうか?
>こういう過程は多光子過程といい、よほど光が強くないと起こらない。
とても調べてみたくなりました。光が強いとは振幅が大きいということでしょうか?
No.2
- 回答日時:
思っているだけなので正しいかどうか分かりません
1.
自由電子が多いからというのは関係ない気がします
自由電子が低いエネルギーに落ちる時にはいろんなエネルギー準位が考えられそうなので
金属が反射しやすいのは原子核が整然と並んでいて
同じような反射(?)現象が起こるので同じ方向へ向きやすいと思います
2.
角度によって変わるのは、光が波の性質を持っているからで、
いろんな方向に飛ぶんだけど、お互いに干渉することで平面波を構成して、
特定の方向へ向くのだろうと思います
3。
マイクロ波が反射しない理由がよく判りません。電磁波なので電子はもろに力を受けそうに思います
電磁波ではありませんが、炎色反応などは熱が電子にエネルギーを与えて光を発します
この回答への補足
>金属が反射しやすいのは原子核が整然と並んでいて
同じような反射(?)現象が起こるので同じ方向へ向きやすいと思います
電磁波の反射は原子核で起こるという理解でよろしいですか?
>いろんな方向に飛ぶんだけど、お互いに干渉することで平面波を構成して、
特定の方向へ向くのだろうと思います
波はひとつの原子から全方向に放出されるということでしょうか。
>マイクロ波が反射しない理由がよく判りません。電磁波なので電子はもろに力を受けそうに思います
電子が力を受けたら飛び出してきそうな気がしたのです。前に光電効果の仕組みを調べたとき、波長が短い光ほど電子にエネルギーを与えるから飛び出してきやすくなるとあったもので。
でも、力を与えることとエネルギーを与えることは違うことなのかもしれません。
No.1
- 回答日時:
光の反射について言えることは、私たちの目に見えているモノ(光源以外)は、必ず光を反射している、です。
自由電子にかかわらず。赤いりんごは、赤の光を、りんご表面の凹凸によって乱反射させるので赤く見えます。そして、ほかの色の光を吸収して熱に変えます。
緑色の葉っぱは、緑色の光を乱反射させて緑色に見えます。
鏡の場合は、表面に凹凸が無いので、すべての色の光を、きれいに反射します。このとき、入射角=反射角 の反射の法則を満たすので、景色が映ります。
>そこには、光のエネルギーを受け取った電子がエネルギーの低い状態に戻るために光を発する。というようなことが書かれていました。
○これは、蛍光灯の原理の説明に使われている文章ですね。 たぶん、何かの手違いで書き込まれたものだと思います。
光の反射についてのキーワードは、 光源、反射光、乱反射、入射角、全反射、臨界角、透過光、波長、干渉、ハーフミラー、 色の引き算、色順応、心理的な量、などです。参考になれば幸いです。
この回答への補足
>私たちの目に見えているモノ(光源以外)は、必ず光を反射している
その仕組みを知りたいのです。
ものが光を反射するとは、ミクロの世界で何が起きているということなのでしょうか?
あと、光はもともとまっすぐ進むもの(直線波・・・なんてありましたっけ)なのでしょうか?
それとも球面波なのでしょうか?
球面波だとしたら、鏡のある点を見たとき、あらゆる方向から入ってくるあらゆる色の光が混ざって白い色にしか見えない気がするのですが。
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