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先日、金が上がっているから金の先物取引に参加しないか、としつこく誘われました。金の需要は飾り物だけでなくハイテク製品にも必要なもので絶対量が少ないから上がるしかないというのです。しかし、金に限らず先物市場があるために実際の価値以上に高騰して、実需の者には迷惑になっていることがあるようです。特に食料が先物取引で高騰すると食料価格に響いて先物市場に関係ないものまで迷惑しています。こんな取引はないほうがいいように思いますが、必要なものでしょうか。「百害あって一利なし」なら世界的になくしていくようにすべきだと思うのですが。

A 回答 (7件)

先物取引はその商品の「生産者」「当業者(実需筋)」にとっては保険を掛ける場所なので、ないと不便(時には必須)なもの、それ以外の者にとっては投機の場所です。


ですから「利」も「害」も立場によって違ってきます。
『当業者』
http://www.weblio.jp/content/%E5%BD%93%E6%A5%AD% …
『実需(筋)』
http://www.weblio.jp/content/%E5%AE%9F%E9%9C%80% …

順番に「立場の違い」で見てみます。
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まず「投機」として利用する場合。
「投機」は値段の上げ下げによる「差益」を狙うものです。
リスクが大きいか小さいかではありません。
100円で買って110円になると10円の儲け、子供のお小遣いにもなりませんがこれも投機です。
ちなみに、「投資」は投資対象自体が利益を生み出す株式投資のようなものを指します。(株の配当など)

投機の代表といえば、「投資銀行」とか「ヘッジファンド」などいわゆる「投機筋」です。彼らは会社やお金を預かっている顧客のために利益を上げようと売買しています。
その際、いわゆる「レバレッジ」といって手持ちの資金の何十倍というような取引で効率的に利益を上げようとします。

例えば、20倍なら100円で買って110円になると200円の儲け。しかし、読みがはずれて90円になると200円の損。(結果しか評価されない極めてシビアな業界です。)
『レバレッジ』
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%EC%A5%D0%A5%EC …

この「レバレッジ」を掛けやすいのが先物取引です。
先物取引は商品代金の5%程度で取引ができます。
その他、
・上がると思えば「買い」、下がると思えば「売り」どちらも同じ条件で取引できる。
・株や為替とは違う理由で値が動くので投資機会が増える。(&リスクの分散ができる)
・大きな資金でも問題なく取引できる流動性の高い市場がある。
などなど様々な理由で先物取引が使われています。

ですから投機筋にとっては「仕事に欠かせない道具」ということになります。

個人で投機をする場合もだいたい上記のような理由で先物取引が使われています。(なかには投機筋といっていいほどの資金量で売買する人もいます。)
個人の場合、
・資産運用に欠かせないと思えば「必要」
・投機が嫌いなら「不要」です。

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次は生産者や当業者(実需筋)。

商品によって生産者は様々ですが、せっかくですから「金」にしましょう。
生産者は「鉱山(産金)会社」「スクラップ業者」など。
鉱山会社はせっかく掘った金が値下がりすると利益が減ったり、採算割れで赤字になったりします。
そのリスクを無くすには、先物で「カラ売り」をしておきます。「カラ売り」というのは、今ではなく「決められた将来のある時点で商品を渡す」という売り契約です。まあ、予約販売みたいなものでしょうか?

例えば1年間で掘る金が1トンだとすると今の相場(約4,000円/g)で40億円。それが今後1,000円値下がりすると10億円儲けが減ってしまいます。
というわけで、「1年後の売り渡し契約の先物」を4,000円で「カラ売り」しておきます。
この場合の契約は「今後、相場がいくらになっても必ず4,000円で買い取ってもらえる」という契約なので、1年後に相場がどうなっていようとも1トンの金を渡せばきっちり40億円で買い取ってもらえるのです。

具体的には、1年後に1トンの金を渡して40億円受け取るわけですが、そのとき金の値段が3,000円に値下がりしていたら10億円の損をせずに済んだことになります。
しかし、5,000円に値上がりしていたとしても受け取れる代金は40億円のままです。
つまり、値下がりのリスクは避けられますが値上がりの「可能性」を手放す必要があるのです。

一方、金を宝飾品の材料としたり、工業材料としたりする「実需筋」の人たちは逆に値下がりは大歓迎です。困るのは値上がり、材料費の高騰です。(宝飾品は製品の値段も下がり気味になるので必ずしも歓迎ではないですが…。)

この場合は、先物でさっきと反対の「先の期日で商品を買う契約」をしておきます。先物ではあまり「カラ買い」とは言いません。
この場合は、材料の値上がりはカバーできますが、将来値下がりしても契約時の値段で買い取る必要があります。

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これで当業者にも値段が上がって困る人と、下がって困る人の両方がいることが分かりました。
ですからお互いが契約を交わせば利害が一致するのです。なかなか便利なものだと思いませんか?
このような保険のような取引を「(リスク)ヘッジ」取引といいます。
ヘッジ取引は投機取引が値が動くことを目的に行われるのに対して、商品の値動きを「あらかじめ固定してしまう」ために用いられるのです。
『リスクヘッジとは』
http://www.finance-dictionay.com/2009/10/post_43 …

生産者と当業者の利害が一致してめでたしめでたしですが、実は大きな問題が残されています。
まず、鉱山会社の掘る金の量のほうが実需で使われる量よりも多いのでバランスが取れません。
それに、全ての生産者や実需が先物を使うわけでもありません。
値動きの心配はなくなりますが、読みがはずれると得られたかもしれない利益がなくなりますし「予想が難しい」「先物が嫌い」という人もいるでしょう。

そうなると、希望通りの契約相手を見つけるのは至難の業です。契約したいときに相手がいなかったり、相手がいても見通しが同じだと取引は成立しません。
どうしても契約したいときは足元を見られて不利な値段で契約しないといけなくなるでしょう。
このような状態を「流動性」が不足しているといいます。
『流動性』
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%CE%AE%C6%B0%C0%AD

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というわけで先物取引は商品を実際に扱う人たちだけではどうしても成り立たないのです。
そこで登場するのが投機家(投機筋)です。値段の上げ下げに賭けたい人たちに参加してもらうことで、絶対的に不足する取引相手になってもらうのです。
そして、たくさんの人が参加することで「買いたいとき」「売りたいとき」にいつでも相手が見つかるようになります。(これは実需筋も投機筋も同じです。)
また、参加者が多いほど相場の見通しもバラバラになるので「売りたい」「買いたい」がせめぎあい、特定の誰かの思惑で値段が決められるということがありません。(これも両者共通のメリットです。)

例えばその昔、原油の値段はOPEC(オペック)という産油国の団体が自分たちに有利に決めていました。
しかし、米国の「WTI」や欧州の「北海ブレント」などの取引が増え、先物取引も活発に売買されるようになって市場参加者が劇的に増えるとOPECの影響力は相対的に低下していきました。
やがてOPECの価格だけが極端に高くなってしまい、ついには価格決定権を放棄せざるを得なくなりました。以後の価格決定は市場に任せることになったのですが、高値に誘導されていた原油価格は当然需給に従って暴落しました。

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もちろんメリットばかりではありません。
投機資金が必須の先物市場は時に投機筋に翻弄されることがあります。誰でも参加OKな先物市場は監視と取締りが欠かせません。

特に市場が小さいほど相場は動かしやすくなります。
ですから、じつは市場に入ってくる投機資金は多ければ多いほど良いのです。
前述のように投機は「値幅取り」だけが目的なので投機筋にとっては上がっても下がっても動きさえすればどちらでもよく、本来、色んな投機筋がたくさん存在するほど偏りは減っていくのです。

それでもたまに一方通行になるのは「需給を考えれば明らかにこっちが妥当」と誰もが同じように考える状況になったり、一斉にみんなが市場から出て行こうとするときなどです。

市場の大きさと投機については、先物ではありませんがつい先日、日銀が「ドル・円市場」で介入という名の「相場操縦」を行いました。しかし、ドル・円市場はあまりにも巨大なので、市場参加者の多数派が妥当と思っている方へとあっけなく戻ってしまいました。

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以上、少し脱線しましたが、ひと言では「いる」「いらない」が言えないことはおわかりいただけたでしょうか?
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この回答へのお礼

詳しいお答えをありがとうございました。必要としている人がいる間は存続していくのでしょうね。

お礼日時:2011/08/20 19:20

ANo.6の補足です。



補足1

ヘッジのところで説明したのは、じつは「先渡し取引」というものに近く、先物はもっと柔軟性があります。

「買い」にしろ「売り」にしろ満期を待たずにいつでも契約解除ができるのです。自分が納得した値段になったり、見通しがはずれたようなときはいつでも取引を中断できます。
オンライントレードの時代ですから、買った次の瞬間に売ったりすることもできます。
ただし、当然ですが契約のときと解除のときの差額は金銭で払う必要があります。(差金取引)
実際、現物を受け渡すのは面倒なのでヘッジ取引も反対売買で終了して現金のやりとりで済ませることの方が一般的です。

それから、商品代金の5%程度で取引ができるのは、例えば40億円分のヘッジをするのに別途40億円預けなくてはならないような取引では全く使い物にならないからです。
このルールは投機筋の場合も同じです。
「投機筋はもっと高くすればいいのでは?」と思うかもしれませんが、「リスク請け負い人」である投機筋を差別するのはフェアではありませんし、なにより参加者が集まりにくくなってしまいます。
また、当業者もヘッジ以外の売買をすれば投機筋ですし、投機筋が現物を保有すれば当業者と同じ立場になります。
(なお、当業者がヘッジに使いやすいようなルールは別途存在します。)

さらに、取引単位はもちろん1トンではなく日本の金先物の場合は1キロ(または100g)です。

他にも「裁定取引(さいていとりひき)」という現物と先物の価格の乖離を防ぐ重要な取引や違う形の先物利用法など色々あるのですが際限がないのでこの辺で終わります。
『裁定取引』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A3%81%E5%AE%9A% …

補足2

現在、日本の商品先物取引は原則未経験者の勧誘が禁止されているので、勧誘されているのは海外先物や詐欺の可能性があります。
『不招請勧誘の禁止』http://www.houterasu.or.jp/service/hottopic/inde …
『投資勧誘等にご注意ください!』
http://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/attention.html

なお、相場(投機)はヘッジ取引をみても分かるように誰かの損が誰かの利益です。そして参加者が100人いれば99人が損して1人だけが儲かるような世界でもあります。(当然、100人全員がその1人だと思って取引しています。)
ヘッジファンドなどの投機筋も長く生き残れるのはほんの一握りです。優秀なヘッジファンドがたった1回の取引で退場するなど日常茶飯事です。かれらはそれを承知で参加しているのです。

それから、ほとんどの人は生活に支障がない範囲でお酒やギャンブルを楽しめますが、たまに人生そのものをだめにしてしまう人がいます。
相場も同じなので、もし興味がおありなら、必ず家族の了承を得た上で行ってください。そして、定期的に家族に損益の報告をしてください。そうすれば相場におぼれるタイプだったとしてもなんとかなります。
使うお金も無くなってもいいお金、つまりおこづかいの範囲内です。
先物の場合はレバレッジが高いので自分で「商品代金の○○%の資金で取引する」というようにして調整してください。(100%ならレバレッジ無しです。30%を切らないようにしましょう。)

また絶対の原則は「わからないものに投資(投機)するな」です。

蛇足失礼致しました。
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この回答へのお礼

補足の説明をありがとうございます。

お礼日時:2011/08/20 19:21

>金の先物取引に参加しないか


やってみればよかったのに。
やれば儲かるとはいいませんが、一度も先物をいじったことのない人間が、先物は必要である/ないの判断などどうしてつくのでしょうか。

>迷惑しています。
迷惑してないでしょ。朝日や日テレのキャスターの受け売りで喋るのは止めたほうが。
先物は公平ですから、先物のせいで価格が上がることもあるが、逆に下がることもあります。
ガソリンがリッター200円まで高騰するのが先物のせいなら、その半年後に100円まで下落するのも先物のおかげ。
ガソリン価格が下落したとき、ああ先物よありがとうと、きちんと感謝しましたか。
恩恵を受けたときには知らんぷりで、迷惑を受けたときだけ非難したら駄目ですよ。

そもそも先物は、食糧や金属商品に関係する者が、価格変動の影響でこうむる迷惑を減らすために作られた制度です。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。

お礼日時:2011/08/20 19:24

本来であれば必要なものです。


しかし規制緩和が進みすぎたりして、本来の意味を失い投機の思惑ですべてが決まるようになると、百害あって一利なしという状況もありえます。適正な規模や必要な規制が重要ということだと思います。

例えば、農家にとっては不作、豊作は自然災害や天候などによって大きく収入が左右され、たった一年の大天候不順でその後の農業までできなくなってしまうことまであります。先物市場があれば、秋に収穫するお米を春に先物として販売しておけば、農家は毎年一定の収入が得られ、取引所はリスク売買で商売ができます。
この関係が健全であれば、先物取引の存在意義はあると言えます。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。

お礼日時:2011/08/20 19:24

>先物取引は必要なものですか



必要ではありません。
価格操作されていますから、現物の裏付け無しに取引がされているからです。
日本人の個人投資家はほとんど存在しないに等しいと思います。

しかし、あなたがやらないのは自由ですが、無くなるものではありません。
事実、現物も先物も同じだからです。

先物の注意点は、電話での注文手数料がバカ高いからです。
ネットだと片道、750円。
電話注文は片道、12600円

と驚くほど高いのですよ。
これが、10枚単位で数枚取引すると50万円くらい必要です。
この手でやられます。
ご注意を。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。先物は怖いことがわかりました。

お礼日時:2011/08/20 19:23

 元々は、リスクヘッジのために編み出されたもので、世界最古の先物取引は日本の大阪で行われた米の先物取引です。


 簡単に説明すると、不作などで思ったほど米がとれず、あわてて米を買っても周りも不作なので当然値段が高い。なら、まだ米の値段が上がっていない時期に、多少割高でも先に買いつけておけば、不作で値段が上がっても大損しないようにする、というのが古典的な先物市場です。元々米屋の問屋さんが保険のためにやっていたことですし、根本的には今のデリバティブ市場も同じです。
 まあ、その保険自体をやり取りするCDSとか、もうよくわかりませんが。

 でも、デリバティブ市場自身が世界経済のリスクみたいになってますからね。昨年ボルガールールが出来ましたが、もう少し突っ込んでデリバティブ市場への規制をかけよう、みたいな話もあったような気がするんですが、世界は今はそれどころじゃないみたいな。

 先物は難しいですから、興味があるなら金ETFを扱っている証券会社の商品を検討する方がリスクは少ないでしょうね、まあリターンもそれなりでしょうが。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。

お礼日時:2011/08/20 19:22

いらないのは、先物取引ではなく、空売りでしょう。


本来の先物取引は、時間軸での価格変動を抑える働きがあります。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。

お礼日時:2011/08/20 19:25

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