質問

葛飾区の葛の字は本当は、「ヒ」ではなく「人」という文字を使います。

なぜパソコンにこの文字はないのでしょうか?
また、無い文字はなぜ行政は使っているのでしょうか?
みんなが迷惑すると思うのですが。

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回答 (7件)

【3.葛飾区の正字選定】
これについては,No.2の回答で紹介されているページをご覧戴くのがよいかと思います。要は,読売新聞の読者から,区役所の掲示などに使われている葛の字が3通りあるぞ,と知らされた記者が,区役所に問い合わせた結果,区側が正字で統一した,ということですね。
同様のエピソードは,芝野耕司編著『増補改訂 JIS漢字字典』(日本規格協会,2002)にも出ています。
なお,このエピソードが載っている『日本語の現場 第2集』は1976年の発行(第1集が75年)ですので,今から30年近く前のできごとだと思われます。

【4.JIS漢字規格の制定】
1978年,コンピュータが扱う文字の一覧と,それぞれにつけた番号のリストである,JISの漢字コード規格(正式名称は「JIS C 6226 情報交換用文字符号」)が制定されました。(現在は,番号も名称も,その後の改正で変わっています)
この規格には,漢字6349文字が含まれていましたが(その後また少し増加),その字体は一般に使われている正式の字体と,基本的に同じでした。
したがって,常用漢字表に含まれている「渇」「掲」「褐」「喝」の4文字は下が「ヒ」,それ以外は「L人」でした。
「葛」も「葛(人)」だったわけです。

【5.JIS規格の改訂(改悪)】
1983年に,このJIS規格の改訂が行われました。このときは,記号を中心にして文字の数が増えたりしていますが,一方で22組(44文字)のペアについて,文字のコード番号を入れ換えたり,また300文字について字形を変えたりしています。
このため,「篭」と画面上に表示されていてもプリントアウトすると
「籠」になっているとか,メールを書いた人は「區鳥」(1文字)のカモメのつもりが,受取る側では「区鳥」に見えるとか,いろいろな混乱を引き起こしました。いわゆる「旧JIS/新JIS問題」です。

字形が変更された300文字のほとんど(もしかしたら全部かも。きちんと調べていませんが…)は,いわゆる「拡張新字体」の採用でした。
「拡張新字体」とは,当用(常用)漢字以外の文字についても,当用(常用)漢字と同じ方式で略字を作る,というものです。
たとえば,さきほどのカモメの場合,「區」という文字が当用漢字で「区」になったのだから,「鴎」の左側についても同様に略すわけです。
No.4の回答に出てきた「掴」も同様です。

これらの文字は,当初のJIS規格(通称「78JIS」「旧JIS」)通りの字形を持つフォントで印刷すれば,「區鳥」「才國」が出力され,改正されたもの(83JIS,新JIS)に従っているフォントを使うと,「区鳥」「才國」になります。
最近のパソコンに最初から入っているフォントは,ほとんどが新JISに準拠していますが,なかには「伝統的書体が表示・印刷される」ことを売り物にした旧JIS準拠のフォントも発売されています。

葛飾区の「葛」も,この83JISで「葛(人)」から「葛(ヒ)」に変更されました。

なんでこんな大混乱を招くようなことをやったかというと,83年の改訂作業をすすめた委員会の委員長だったN氏が,漢字撤廃論(漢字はなるべく簡単なものだけに限ったほうがいい。ゆくゆくは漢字を廃止して,かな文字かローマ字だけにしよう。といった議論)を強硬に主張する人だったため,といわれています。
その第一歩として,常用漢字以外の漢字も大幅に簡略化していこう,ということだったようです。
なお,このJIS規格は,90年にまた少し改正されています(2文字追加)。

【6.「包摂」概念の登場】
1997年に,この規格の3度目の改正が行われました。
このときの委員長だった芝野さん(さきほど出てきた『JIS漢字字典』の編者)は,83年改正が引き起こした混乱に対して,JISとして何らかの収拾策を講じないといけないと考え,相当苦慮したのではないかと思われます。
いわば,N委員長の尻ぬぐいをさせられたとでもいいましょうか。
そこで登場した概念が「包摂」です。
回答No.3にある「同じ文字として扱われてい(る)」というのがそれです。
たとえば,区点コード1810の文字を,WindowsにくっついているMS明朝やMSゴシックなどで表示すると,「区鳥」というカモメの字になりますが,同じ文字を,富士通が発売しているフォント集にあるFC平成明朝とかFC丸ゴシックなどに切替えてやると,
「區鳥」のほうになります。
つまり,どちらの字であっても同じコードに割り当ててあるわけです。
このような場合,「区点コード1810は,「区鳥」と「區鳥」の2文字を包摂している」といいます。
N委員長の尻ぬぐいのため,芝野委員会は「包摂基準」というものを設けました。
たとえば,「區と区は,漢字の一部分として使われている場合は包摂する。単独の文字のときは区別する」といった具合です(実際にはこういう文章ではなく図で説明)。
このような基準が200近くもあります。
その包摂基準の中に「曷」と「曷(ヒ)」も含まれました。
したがって,同じコードで「葛(人)」と「葛(ヒ)」のどちらを表してもよいことになります。
ただ,ほとんどのフォントは83JISに従った字形になっているので,「パソコンでは葛(人)が出ない!」ということになってしまうわけですね。

【7.まとめ】
というわけで,最初のご質問にお答えしますと,

>なぜパソコンにこの文字はないのでしょうか?
78年の規格ではあったのですが,83年の改正のときに略字を大量に採用してしまったため,消えてしまったのです。
97年の改正では,フォントなどの設定によって略字でないほうを表示・印刷してもよい,というふうになりました。

>また、無い文字はなぜ行政は使っているのでしょうか?
こちらのほうが本来の文字だからでしょう。
No.4さんの,
「パソコン等の日本語フォントの方が後からできたのですから,フォントの方が合わせるべきなのでしょう。」
に賛成です。まして最初はあったのをあとからおかしくしているのですから,行政に「それに合わせろ」というのは話が逆だろうと思います。

回答No.1は意味不明です。
塩竃市の「竃」(本来の読みは「かまど」)は,昔からパソコンでちゃんと出ます。
きっと,質問文を勝手に取り違えて「なぜ常用漢字以外の文字を自治体の名称に使っているのでしょうか?」か何かだと思ったのでしょうかね。

いくつかのポイントがあると思いますので,分けて答えたいと思います。

【1.「葛」という文字そのものの,本来の字形】
本来,この文字は「曷」(カツ・ガチ)が音を表すので,漢字の辞典類では「くさかんむり+曷」が正しい字とされてきました。(下の部分が「L人」のようになっているので,回答No.2で紹介されているページの表記にならって,以下「葛(人)」と表します。)
しかし,「人」の部分が「メ」のようになった文字や,「L人」の部分が「ヒ」のようになった文字(以下,「葛(ヒ)」と表します)も,同じ読み方・同じ意味で使われてきました。
なかでも,「葛(ヒ)」は手書きの場合かなり使われていました。
「L人」と比べると一画少ないので書きやすいということもあったのでしょう。

同じ「曷」を音符として持つ字に,「渇」「掲」「褐」「喝」「謁」などがあります。これらも,活字としては「曷」にならった字体が正字とされ,それ以外は俗字とされましたが,手書きでは「ヒ」になった字体が書かれることもよくありました。

【2.当用漢字表/常用漢字表の制定】
1946年(昭和21年)11月16日,国は「当用漢字表」を定めました。これは,「現代國語を書きあらわすために、日常使用する漢字」として1850字を選んだものです。
「この表の漢字で書きあらわせないことばは、別のことばにかえるか、または、かな書きにする。」というふうに,かなり制限色が強いものだったので,新聞などでは「誘かい」「ら致」のように,この表にない漢字はひらがなで書いてかえって読みにくくなったりもしました。

さらに,1949年(昭和24年)4月28日,今度は「当用漢字字体表」が定められ,今日使われている字体が「新字体」,それまで一般に使われていた字体は「旧字体」となったのです。
この字体表の特徴は,線を簡略化して,画数を減らしたものがたくさんある点です(中には「歩」など一画増えたものもありますが)。
たとえば,それまでは「國會」が正式の書き方で,「国会」は略字とされていましたが,今度は「国会」が正式の書き方,「國會」は旧字体となったのです。
ところで,当用漢字表の中に,「曷」を音符として持つ漢字は2文字ありました。「渇」「掲」です。
この2文字は,手書きなどでもしばしば書かれていた,下が「ヒ」になっている字体を採用しました。

一方,当用漢字に含まれなかった文字については,従来通りの字体が正式のものとされましたので,「褐」「喝」「謁」「葛」などは,下が「L人」となっている字体が,そのまま正字とされました。

1981年10月1日,政府は当用漢字の改訂版である「常用漢字表」を制定しました。
特徴は,95文字増えて1945字になったこと,制限食を薄めて「一般の社会生活における、現代国語表記上の漢字使用の目安」という位置づけになったことがあげられます。
この増えた95字の中に,「褐」「喝」が含まれていました。
これらは,当用漢字時代からあった「渇」「掲」にならって,下側を「ヒ」とした字体を採用しましたので,これ以降は,これらの4文字については下側が「ヒ」となっているものが正式の字,それ以外は今まで通り,下側が「L人」となっているのが正式の字,となりました。
常用漢字表は今日も生きています。

長くなったので,回答を分けましょう。

康煕字典体とは違う俗字が、JISに採用されてしまったためです。

日本の漢字は、1716年に明で編纂された康煕字典に載っている字体を、標準字体としているのですが、その字体と少し違うものを異字体といいます。コンピュータが普及し始めたとき、常用漢字にない文字は、原則として康煕字典体によりましたが、一部の文字は異字体が採用されてしまいました。
コンピュータ用に異字体が採用された文字のうち、全国の市区町村名で使っているのは、葛飾区の「葛」と、福井県鯖江市の「鯖」だけです。葛飾区も鯖江市も、コンピューターが出回るよりはるか以前から、康煕字典体を正式名称としてきました。康煕字典体の「葛」は、質問者さんが言われるとおりです。「鯖」は、旁(つくり)の下が月ではなく、「円」なのです。
そのような理由により、コンピューターでは扱えない不便を強いることになりました。

なお、宮城県塩竃市の「竃」は、パソコンで出ると思います。また、市区町村名より下の字(あざ)名では、このような例が多くあると思います。

 京都市右京区葛野の「葛」も「ヒ」ではなく「人」です。なぜパソコンにないのだ!と常々思っております。
 そもそもパソコン等の日本語フォントの方が後からできたのですから,フォントの方が合わせるべきなのでしょう。
 掴むという字も「手へんに國」なのですが,「手へんに国」しか出ません。「掴」と言う字はないんですけどね。
 プリントアウトする文書であれば,外字を登録すれば足りるのですが,ネット上ですと不便でなりません。
 住民票を電算化した時に,1千字以上の外字を作らなければならなかったそうです。

現在、パソコンでは「ヒの葛」も「人の葛」も同じ文字として扱われています。したがって、フォント(書体)によって「ヒの葛」であったり「人の葛」であったりして、一定しません。ただほとんどの書体で「ヒの葛」が使われているというだけです。
また、国語審議会は「ヒの葛」ではなく「人の葛」を表示するようにすべきだとの見解を出していましたが、いまさら全てのフォントの字体を交換するのは事実上不可能です。

> また、無い文字はなぜ行政は使っているのでしょうか

パソコンで表示できないから町の名前を変えようというのは本末転倒ではありませんか?
むしろパソコン側が文字を表示できるように対策を取るのが本来のあり方では?

それに、行政の力だけで町の名前を変えさせるというのもどうかと思います。当の葛飾区民はどう思っているのかを論じるべきではありませんか?

いずれにしても、「葛」の字は常用漢字ではないので、字体についてああだこうだと言っても意味は無いと思います。

参考になりますでしょうか?

葛飾区役所、文化庁国語課に質問したレポートのようです。
・かつしかの「かつ」ってどう書くの?
http://www.bekkoame.ne.jp/~k-sigeki/backno/1997/ …

「これ以外の表記不可」と厳密に定められれば、パソコンでも出るようになるのではないでしょうか?

昭和七年に、命名された。
当時は、漢字制限はない。

塩竈市 のようなものです。

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