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福島原発事故が起きて8ケ月が経ちました。私にとって、福島県人ですので、もちろん福島原発事故は、今でも福島県内の人達には大きく影を落としていると思います。しかし福島原発事故同様に、1986年に起きたチェルノブイリ原発事故も、私には大変ショッキングな出来事でした。
私は、原子力に関しては、素人ですから、チェルノブイリ原発事故の詳細については、特によく分かりません。情報を得る術がなかったと言うのが本当の気持ちでしょう。一方福島原発事故については、インターネットで、有る程度の情報を得る事が出来たようです。

今回、チェルノブイリ原発事故や福島原発事故について、いくつかお聞きしたい件が出来まして投稿しました。
お聞きしたいのは、当時事故が起きた原子炉の造りについてです。福島原発のように、格納容器が呼ばれる、クッション部分がなかったと聞きます。これは本当なのでしょうか? 燃料棒がおさめられている福島型の圧力容器とも呼べる部分の外を建屋で覆っていただけの構造だったと言う事なのでしょうか?

また格納容器がなかったため、完全な炉心溶融(メルトダウン)が起こり、核分裂生成物は直接大気中に放出されましたとオーストラリア放射線防護学会フェローで有られるドン・ヒグソン博士が述べておられる文書を見ました。この説は正しいのでしょうか?

福島原発事故は、チェルノブイリやスリーマイルが一基の事故に対して、計4基分の事故のため、放出された放射線量は、かなり多かった。いや現在でも放出されているわけですが、半径30km以内の住民の迅速な避難勧告、格納容器内の核分裂抑制のため、海水では有ったが、迅速に注水を行ったため、今のところ、原子力発電所の作業者、消防士の方々に、重度の急性放射線症候群の方が出ていないような感じを受けます。外部、内部による放射線被ばくの症状は、もっと後になってみないと分からないでしょうが、1990年のJCO東海村事故やチェルノブイリのような、深刻な重度の急性放射線症候群の患者が出ていないと思うのですが、どうなのでしょうか?

これは、圧力容器やメルトスルーしたかもしれない格納容器内を、とりあえず海水で満たし、水で、核分裂の素となる中性子を減速したり、中性子線の放出を、チェルノブイリ事故の時と違って極力抑えられたからなのかと解釈しています。

原子力にお詳しい方々は、今回の、私の問いについて、どのような判断、解釈をお持ちなのか、教えて頂きたく思います。

なんか質問の内容がまとまらなく、私がお聞きしたい内容を、上手くお伝え出来たかどうか心配でも有ります。

A 回答 (2件)

先の方の回答の補強っぽいのですが。



○原子炉の構造

http://blogs.yahoo.co.jp/icarus777z/64195723.html

デフォルメした構造図なので、これが最も見やすいでしょうか。
黒鉛炉の場合、軽水炉の圧力容器に相当するのは「一本一本の蒸発管」となります。

このメリット(何故この形式を採用したか?)について。
一般的には「ウラン235を濃縮しなくても使え(天然ウランが利用可)、廃棄燃料から高濃度のプルトニウムが得られる。(核爆弾の原料生産が容易)と言われています。
ただ、運転マニュアルや補修マニュアルが不明なので、厳密な採用理由は解らない部分があります。
(メリット以上のデメリットが、これらの部分であるのではないか?と思いますが、マニュアル類は広く流布していませんので。)

確かに、格納容器に相当する「多少とも耐圧性を持った容器」は存在しません。
蒸発管の上を覆うのは、コンクリートの蓋ですし。


○この説は正しいのでしょうか?

概ね正しいと思います。
ただ少し不足かも?と思うのは「減速材の黒煙が、流入してきた酸素と反応して火災(炭が燃えた状態)を起こして燃料棒を大気中にまきあげた。」「冷却水を喪失したことで核分裂が促進の方向に進み、即発臨界を起こした。」という2点があります。

即発発臨界は定義次第では核爆発と言えないことも無いし、核爆発とは異なるとも言えますが、どちらにせよ、健常時より圧倒的な速度の反応が「大気と直通の状態で」発生したという点が特記される点であり、それゆえに憂慮すべき点ではあります。


○放出された放射線量は、かなり多かった。

どうなんでしょう。
東電福島については、総排出量の確定が終わってませんので、今後さらに増える可能性もありますが、現在ではチェルノブイリの20%前後ではないかと思います。
正確な数字が必要なら仰ってください。(記憶では、チェルノブイリが520京ベクレル、福島が100京ベクレル前後だったかと。)

両者の差の理由。
一つは推計に利用するソフトの差もあるでしょうし、元となるデータの精度も関係するでしょう。
ロシアの場合は固定ポストの数が少ないという面と、日本とは異なるソフトを使っていること。(実際にポストはモット多いのかの知れないけども、少なくとも現時点では公表されていない。軍事機密に抵触か?)
ですから数値がドンドン上積みされたかもしれません。

ハード的には、やはり東電福島は格納容器内で留まったのが大きいでしょう。
「亀裂」であろうと「貫通部からの漏れ」であろうと、そこのギャップを通る際に放出は劇的に(物理原則で)抑制されますから。


○海水では有ったが、迅速に注水を行ったため(後略)

そうですね、消防さんの注水、あれが効果的だったと思います。(私の周りのエンジニアも同意見)
もちろん、格納容器がある程度働いていたた&放射線管理が機能した&内部被ばくは急性障害を起こさない程度に抑えられた......等々の事も大きいです。

JOCの場合は、作業手順違反のため、臨界が起きると思っていなかった場所(故に防護措置は無い)で臨界を起こしましたし、チェルノブイリは作業管理をせずに対策しましたので。
一言で表現するなら「定性的に態勢が違った。」でしょうか。


○炉心内の溶融した燃料の処理は完全に出来たのでしょうか?

溶融した燃料があるとするなら、処理は出来ていないです。
前記のように、大気へ放出される状態でしたから急いで蓋をして、次に石棺を建設しましたから。
作業員の死体も回収できていない所から察していただければ。


○コンクリートで石棺を作らなければならいと言ったことも聞きます。これらの事は本当でしょうか?

ええ、本当です。
現在、新しい石棺(旧石棺の外を覆うように計画中)の計画があり、国際的な資金援助で実現しようかとしています。
これがチェルノブイリシェルター基金ですね。
この新シェルターは、内部に稼働クレーンを設置して、内部のガレキ処理等を行えるようにし、石棺内部の放射性物質を無くす!という予定です。(取り出した放射性物質および汚染されたガレキ類は別途処理。)


○核分裂の素となる中性子を減速したり
これは少し違います。
高速中性子(核分裂で出た中性子)は減速しないと次の「燃料棒の核分裂」は起こさないので。
下手な減速をすると核分裂を誘発しちゃうということですね。
もちろん、核分裂を起こさない程度まで減速(減衰=エネルギーを小さくする≒吸収して減らす)することもありえます。
今回の海水投入の主目的は「燃料の崩壊熱を取り去る」ことです。

崩壊熱を放置すると格納容器も貫通し、その仮定で水分と触れることで水蒸気爆発を起こし、これによって圧力容器が格納容器が大規模に崩壊(例えばバラバラに砕け散る。)して、チェルノブイリと同じく「大気燃料をさらけ出した状態。」となるのを防いだ。


○アメリカのスリーマイルのように、完全な修理は出来なかった
ええ、仰る通りです。



一つ忘れてならないことを。
チェルノブイリの場合は、放出された放射性物質の大半が陸地に降着しました。
それに比べ、東電福島の場合は海洋にかなりの部分が降着したと考えられます。

これが現在の「目に見える≒報道される」状況の元でしょうか。
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この回答へのお礼

kenchinさん、補足の質問にも、御丁寧な回答を頂き、大変有有難うございました。
kenchinさんの説、 現在まで福島原発事故で放出された放射線量が、チェルノブイ
リよりは少ない。
私も、そうではないかと思っていたのですが、知り合いが、福島原発での放出量の
方が断然多いと主張し、また福島原発は軽水炉を採用したから、チェルノブイリの
事故より死者等の被害が少なく済んでいると話したら、知り合いが、東電事故の方が、
住民の避難が迅速に行われたから。また福島原発での放出量の方が断然多いと反論
してきました。こう言ったいきさつもあり、チェルノブイリ事故について、お詳し
い方々に、事故の比較をお願いした次第です。

その他、色々間違った解釈をしている点もあるようで、正しい解釈を添えて頂き、
目から鱗です。

最後に、kenchinさんがご心配なさるように、今回の原発事故で、どのくらいの
プルトニウムや放射性のストロンチゥムが、海洋に放出されたかが気がかりな点
です。

お礼日時:2011/12/17 12:41

私も専門家では無く、各種報道などの集約結果ですが



チェルノブイリ型(黒鉛炉)の場合には圧力容器はありますが、格納容器はないようですね。
ですから圧力容器の次は建屋のようです。

福島の様な軽水炉の場合、兎に角(真水でも海水でも)水を掛ければ、水による遮蔽効果と冷却効果が得られます。
津波という水によって引き起こされた厄災を、水によって収めるという皮肉を感じます。

一方黒鉛炉の場合は、空気に触れた高温の黒鉛が反応しないように黒鉛をケースに収納しているのですが
その黒鉛が最初の爆発によって露出して、更なる大爆発を起こした用です。
その爆発によって建屋が破壊され炉心が露出し、広範囲に燃料を含む放射性物質が放出された、更に大規模な火災が起きてより広範囲に拡散・・・・
ざっとこんな感じでしょうか。

福島の場合は、漏れた燃料は直接外気に晒されず、気体(と微粒子)としての放射性物質が配管や容器の隙間から外部へ漏れた状況だったので
『今のところ、原子力発電所の作業者、消防士の方々に、重度の急性放射線症候群の方が出ていない』という状況で済んでいるのでしょう。
あれが、燃料本体が直接露出してばらまかれているような状況であれば、多数死者を覚悟の上で鎮圧するか、或いは、南東北~北関東を放棄して逃げ出すしか無かったのだろうなぁと考えます。

この回答への補足

trajaaさん、きめ細かい、的確な御回答を頂き、感謝の気持ちで一杯です。今日、奇しくも、福島原発事故の処理、原子炉の冷温停止を、ステップ2の段階が完了したと、政府が宣言致しました。
実は、チェルノブイリ事故の後処理について、追加してお聞きしたく、再度質問しました。お分かりの範囲での回答で結構ですので教えて頂きたく思います。よろしくお願いします。

アメリカのスリーマイルの事故は、事故後、10年くらいの年月を経て、炉心内の溶融した燃料の処理が終わったと聞きます。
チェルノブイリ事故の場合は、炉心内の溶融した燃料の処理は完全に出来たのでしょうか? この時フランスのアルバ社が処理を直接行ったのか、アドバイスを中心とした協力のみを行ったのかは分かりませんが、関わったと聞きます。
さらに、私が小耳にはさんだ話では、チェルノブイリ事故の、炉心内の燃料の処理は、完全な形では出来ず、コンクリートで炉を覆ってしまう、いわゆる石棺と言う手法を採ったとも聞きます。現在、この覆ったコンクリートが傷み、コンクリートで石棺を作らなければならいと言ったことも聞きます。これらの事は本当でしょうか?
チェルノブイリ事故の場合、以下のような放射線被ばくの事例が出ていますので、常識的に、考えて、当時炉心内の溶融した燃料の処理は、極めて危険な作業だったと思われるので、アメリカのスリーマイルのように、完全な修理は出来なかったとは思うのですが、どうだったのでしょうか?


チェルノブイリ事故の原子力発電所の作業者、また爆発、炎上している原子炉の消火作業に従事して被ばく、汚染した消防士等、237名が急性放射線症候群の疑いで入院し、うち、急性放射線症候群と診断された人は134名。さらに、そのうちの28名が3ヵ月以内に皮膚障害、骨髄障害、胃腸管障害等により死亡しました。特に、10Gy以上を被ばくした11名は、胃腸障害が重大な問題になりました。

補足日時:2011/12/16 21:51
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この回答へのお礼

trajaaさん、靄がかかって視界の悪い状態から、靄がとれた気分です。有難うございました。

お礼日時:2011/12/17 12:44

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