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大学の課題で「精神分析は文学に何を教えるか?」というのが出ました。


授業では「銀河鉄道」と「源氏物語」を習いました。


・人間は母体の中にいることが理想だが、誕生したことで理想を喪失しノイローゼ(人生)になる。その対応策として精神分析。

・源氏物語は光源氏は実母との共生が理想だが、亡くなったことで理想を喪失しノイローゼ(エディプス・コンプレックス)になる。その対応策として女性遍歴を続ける。

・(日本)文学は無文字文化が理想だが漢字が入ってきたことにより、ノイローゼ(無文字を憧れる etc.)になる。その対応策として文学作品(和歌、俳句、枕詞)の産出。


と、授業で先生が仰られていたのですが・・・・いまいちよく理解出来ませんでした。


そこで課題が出てしまい、何をどう書けばいいのか分からなくなってしまいました。

精神分析は文学に何を教えるのでしょうか?

どなたか教えていただけませんか?

A 回答 (3件)

 フロイトやラカンを文学に応用することはあるんですけど、実のところ、現代の文学では、精神分析学を主体にした作品分析はまず行いません。

ソシュールの記号論を基にした、もう少しマシな分析をしています。理由はもう少し読み進めていただいたら嫌というほどわかるはずです。

 質問文を読む限りでは、質問者さんの習っている講義の内容はずいぶん時代遅れのように見えます。講師はレヴィ=ストロースやサイードを読んでないのではないかと疑いたくなる。というか読んでないでしょう。
 こんなもの、理解できなくて当然です。私だって理解できない……というか納得できない。

 まず、一つ目はオットー・ランクの出産外傷説で、ここで提示された考え方は確かに発達心理学等に貢献してはいるのですが、母体の中にいることが理想云々というこの説は仮説に過ぎなくて、しかも検証のしようがありません。この説はさすがに現代ではほとんど支持されていません。
 二つ目、三つ目の説は、この検証しようのない、現代ではほとんど無視されている出産外傷(仮)説を利用して論を築いているので、何の根拠もない無茶苦茶な内容になっています。

 二つ目は、わりとよく聞く説ですね。よく聞くからといって納得できるわけでもありませんが。
 エディプス・コンプレックスは、母親と一緒になりたいという欲求が父親によって断たれることによって生じるもので、強い父親がいることが前提です。光源氏の場合、強い父親というのが特にいないので、エディプス論をそのまま適用はできません。
 そもそもフロイトのこの説は、彼の常識を基にした仮説に過ぎなくて、つまり、フロイトの常識とは異なる常識で動いている世界では、そのまま適用できるはずがないのです。平安時代の娯楽物語の登場人物に対して、19~20世紀の西洋の精神分析をそのまま適用しようというのがそもそもからして乱暴すぎます。
 本当に文学的に分析するなら、光源氏の性格がなぜああなのかはもっと単純です。あれは連載娯楽恋愛物語であり、次々と面白いシチュエーションの恋愛を描くことで読者を喜ばせていた作品です。だから父親の嫁を奪取したりするのです。その方が面白いからです。そういう目的で作られた作品世界の「常識」からみれば、光源氏は作品の必然からごく自然にああなっているだけなので、精神異常者でもなんでもありません。
 心の葛藤や生きる不安などを描くのは近代小説以降の話で、古典にはそんなものはそもそも描かれていません。それをあえてやったのが芥川龍之介で、そのミスマッチが面白いから彼の作品は評価されているのです。

 三つ目は、無文字文化が日本の理想とする根拠がどこにあるのかがわかりません。下手にランクの説を文学に応用しようとして荒唐無稽になったいい例でしょう。あと、勝手に日本をノイローゼにするな(笑)
 こんな説がまかり通るなら、この説を唱えている人こそ、何にでも精神分析を応用しなければならないという妄想に取り憑かれている強迫性障害の持ち主だと診断しても文句は言えないでしょう。

 精神分析が文学に影響を与えるものは、なんでもかんでもノイローゼのレッテルを貼ることでわかった気になる、という幻想です。そもそも、こういう変な説を唱える連中は、文学の論文も精神分析学の論文もろくすっぽ読んでいません。知識がサルトルやフロイトで止まっています。

 正直言って、こんな旧弊で無茶苦茶な文学講義など、いくら聴講しても無駄ですから、新書で出ている『記号論への招待』や『はじめての構造主義』などを読んで、せめてもう少しマシな技術を獲得した方がいいと思います。

 さて、それで実際のところ、課題をどう書くかですか。
 文学でも化学でも、レポートでやることは一緒です。疑問があって、解決方法を考えて、実際にやってみて、その結果を報告し、反省点や残った課題を書いて締めです。

 というわけで、「精神分析は文学に何を教えるか?」という仮定そのものを疑うところからはじめて、「精神分析は文学に何か教えるのか?」という疑問から入るのはいかがでしょう。実際、質問者さんはその点が疑問なのでしょう? 講義を聞いてもよくわからんし、本当に精神分析が文学に何か貢献しているのか、さっぱりわからないわけですよね。
 その疑問を解決するには、自分で実験をしてみるのが一番です。つまり、実際に自分で精神分析の技術を利用して作品を分析してみるのです。たとえば、まあ、超定番ですが、フロイトの『夢判断』を読んだ上で、夏目漱石の『夢十夜』を分析するとか。
 その結果、もし『夢十夜』の読み方に新たな発見があれば、それをレポートすればいいし、成果がないなら、なぜ成果がなかったかを考えて書けばいいでしょう。

 そもそも大学のレポートは、必ずしも講義内容に沿わなければならないものではありません。自分で課題を見つけて研究するのが大学生の本分であり、講義はその手助けをするだけです。
 講義内容に疑問があるなら、自分で研究してレポートを作成すればいいのです。
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 こんな事を未だに扱っている教員がいたとのことで驚きです。


「文学」そのものを定式化すること自体がそもそもオカシイ。「文学作品」からは何らかの心理状態を読み取ることは可能であっても、精神病理学としての精神分析に結び付けることは不可能でしょう。
 もしそれが可能ならばF.カフカやS.ベケットそして安部公房などは精神異常者とされてしまいます。でも彼らは精神を病んでいたわけではなく「不安の心理」を描写したにすぎないのです。
「(日本)文学は無文字文化が理想だが漢字が入ってきたことにより、ノイローゼ(無文字を憧れる etc.)になる。その対応策として文学作品(和歌、俳句、枕詞)の産出」この見解に至っては「何を根拠にして」この様な珍説を披露したのか、学者としての資質そのものが問われてしまいます。
 「銀河鉄道の夜」に関しても「様々な読み方」ができます。これは当然です。最近ではこの作品をモチーフとして舞台化した作品もあります。例えば中島みゆきの『夜会-VOL.13 24時着0時発』及び『夜会-VOL.14 24時着0時発』です。この作品では「帰るべき場所」が最大のテーマとなっています。そしてその「帰るべき場所に辿り着いた事」が「新たな出発点となる」との意味で空間軸と時間軸の交差を求めて歩き続ける「ひと」の生涯って何?と問い掛けてきます。
 この先生の見解として唐突に「理想」なる言葉が出て来ますが、果たして「母胎の中にいること」や「実母との共生」を果たして「理想」と言明できるか、「誕生」が「ノイローゼとしての人生」と同化することの根拠などが全く示されていません。もしこれが事実であるとするなら、地球上に生活する全ての人間がノイローゼであることになってしまう。こうした点で甚だ疑問です。
 冒頭に書いた「文学そのものを定式化すること自体がそもそもオカシイ。文学作品からは何らかの心理状態を読み取ることは可能であっても、精神病理学としての精神分析に結び付けることは不可能でしょう」。これが僕の印象です。こんな妄想にも等しいツマラナイ講義など無視して(面従腹背の意味で答案には先生の見解はごもっともですとの内容を記して)言葉の海を泳いできた作家達からのメッセージを楽しんで下さい。
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 文学の敗北 ~ そして誰も読まなくなった ~
 
 その教授にとって、重要命題かもしれませんが、いわば文学至上主義
の仮説にすぎないので、教え子に強要するほどのものではありません。
 しかし、配点権を持っているので、それなりの対応が求められます。
 
 うかつに反論すると、ブチ切れて赤点を付けられる可能性もあります。
 あなたのプライドを損なわず、後日引用されても非難を受けない程度
に、やんわりたしなめる文章力が問われているのではないでしょうか。
 
 精神分析は、進化論や資本論とならぶ、三大革命思想なので、過去の
文学・哲学・科学・法学・神学など、すべてを否定する側面があります。
 文学が科学に与えるよりも、科学が文学に与える影響が致命的です。
 
── 「わたしの研究室では、来年の課題を“文学”と決めることもで
きます」これには、作家とノンフィクション作家も、黙りこんでしまっ
た。(略)生物学者は、ノーベル文学賞作家が“化学”というテーマで
小説を書けないことを、ずばり指摘してしまったのです。
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/4149869.html (No.3)
 理系文学待望論 ~ さらば、余りに文系的な文学談義 ~
 
── いまなら、注文がなくても(ネット上で)タダで発表できます。
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/2297538.html
 書くなら読むな! ~ 午前0時の作家 ~
 
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