今年から大学生になり、マセマ新書の「微分積分I」を参考にして少しだけ先に予習をしているんですが、参考書には
「一般に、関数の極限の計算は、高校で習った方法で十分なんだけれども、もし、問題文で、“厳密に”とか“ε-δ論法で”とかの指定があれば、上記のε-δ論法に従って、答案を作らなければならない。」
と書いてありました。
そこで質問なんですが、なぜ高校でならった極限の求め方よりも、ε-δ論法の方が“厳密”なんでしょうか。
また、ε-N、ε-δ論法はどういう経緯や発想の元でできたんでしょうか。
ε-N、ε-δ論法じゃないと解けない「数列や関数の極限の計算」があるんでしょうか。
回答よろしくお願いしますm(_ _)m
A 回答 (3件)
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No.3
- 回答日時:
ε-N、ε-δ論法 は無限小とか連続とかを厳密に
定義するために用いられます。
例えば、x=aで関数fが連続かを表す定義は、ε-δでは
∀ε∃σ(|x-a|<σ→|f(x)-f(a)| <ε)
ですが、これを以下の関数に当てはめると
f(x) = 0(x<=0). 1(x>=2), 2(x=1) (0<x<1, 1<x<2 では未定義)
g(x) = 0(x<1), 1(x>1), 2(x=1)
x=1 で f は連続、gは不連続と明瞭に判定できます。
高校の微積分では連続の定義が曖昧模糊としているので
判定不能だと思います。
こうした厳密性は、物理などではほとんど話題になりませんが、
数学は厳密な論理の上にのみ成り立つ学問なので、必要なのです。
回答有難う御座いますm(__)m
>こうした厳密性は、物理などではほとんど話題になりませんが、
数学は厳密な論理の上にのみ成り立つ学問なので、必要なのです。
NemurinekoNyaさんの
>「x→aのときf(x)→b,g(x)→cならば、x→aのとき(f(x)+g(x))→b+cである」
という定理の証明は高校の感覚的な極限の定義ではもうお手上げですよね。
も、自明に思えても証明出来ないといけないのが数学で、またそこが魅力でもあるような気がしました。
No.2
- 回答日時:
高校で習う極限は、感覚に訴えているためです。
たとえば、高校の数学では、極限に関する定義は
「かぎりなくxがaに近づくとき、f(x)が定数bに近づくならば、x→のときf(x)→b」
といったような定義になると思うのですが、「限りなくxがaに近づく」というのが何とも文学的な表現で曖昧ですよね。この曖昧さを取り除くために、εーδ論法が生まれたということではないでしょうか。
ちなみに、εーδ論法での関数の極限の定義は、
「任意の正の数εに対して、適当な正の数δを決めると、
0<|x-a|<δ、|f(x)-b|<ε
となる時、x→のときf(x)→b、あるいはlim(x-a) f(x) = bとあらわす」
みたいになります。
またεーδ論法が重視されるのは、その利用範囲・応用範囲の広さにあります。
たとえば、
「x→aのときf(x)→b,g(x)→cならば、x→aのとき(f(x)+g(x))→b+cである」
という定理の証明は高校の感覚的な極限の定義ではもうお手上げですよね。
ところが、εーδ論法を使うと
任意の正の数εに対して、適当な正の数δを決めると、
0<|x-a|<δ、|f(x)-b|<ε/2
0<|x-a|<δ、|g(x)-c|<ε/2
であるので、
|f(x)+g(x)-(b+c)| <= |f(x)-b| + |g(x)-c| <ε/2+ε/2 = ε
と簡単に証明できてしまいます。便利ですよね、εーδ論法は。
と言っても、εーδ論法は理解し辛い、とっつきにくいのもまた事実です。このため、εーδ論法は数学嫌いを多数生んでいる、と言われています。
ということで、εーδ論法の分かりやすい参考書を一つ紹介します。
共立出版株式会社
数学ワンポイント叢書20
イプシロンーデルタ
田島一郎著
懇切丁寧にイプシロンーデルタ論法を解説した名著ですよ、これは。
No.1
- 回答日時:
2点だけ答えます。
>なぜ高校でならった極限の求め方よりも、ε-δ論法の方が“厳密”なんでしょうか
ε-δ(ε-N)論法は極限の求め方というより定義の仕方です。
高校から大学に行くと、極限の求め方というより定義が、曖昧なもの(限りなく近づく)から厳密なもの(全てのε>0について云々)になるのです。
>ε-N、ε-δ論法じゃないと解けない「数列や関数の極限の計算」があるんでしょうか
定義がそうだから、どんな極限の計算も根本的にはε-δ(ε-N)論法に基づきます。
もちろん公式を使ってよければ、ε-δ(ε-N)論法に言及せずに済むこともあります。
高校では、極限に関する基本公式(例えば積の極限=極限の積)を証明なしに覚えて計算で使いませんでしたか。
それらの公式も厳密な方の定義から導き出すことができます。
使い道の分かる例題としては
「a>0のときa^n/(n!)→0を示せ」
など。
与えられたε>0について、どんなnを持ってきたらa^n/(n!)<εと抑えられるかを考えるとよいわけです。
この回答への補足
早い回答ありがとう御座います!m(__)m
>高校から大学に行くと、極限の求め方というより定義が、曖昧なもの(限りなく近づく)から厳密なもの(全てのε>0について云々)になるのです。
理解は出来ました。でも、
lim[n→∞]というしっかりした書き方を習ってきたのにそれが曖昧なものでしたと言われると、なんだか複雑な気分です笑
「a>0のときa^n/(n!)→0を示せ」
a^n/(n!)<a^n/(n/2)^(n/2)より
a^n/(n/2)^(n/2)<εを満たせば良い。
a^n/(n/2)^(n/2)={a/(√n/√2)}^n
またε<1のとき
ε^n<εより
{a/(√n/√2)}^n<ε^nを満たせば良いので
n>2a^2/ε^2となり、
nがこれを満たすとき、ε<1を満たすどんなに小さい正の数のεを持ってきても、
a^n/(n!)<εを満たす。
ε-N論法だとこんな感じでしょうか。(間違ってたら指摘お願いします)
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