「沈黙の春」を半分くらい読みました。
昔の人はバカだねー、と思って読んでいましたが、
今の人はどうなんだろう?という疑問が出てきました。
わたしの実家は兼業農家なのですが、殺虫剤はふつうに
使っているはずです。 また昔近くの川で水浴びしよう
としたら、農薬がどうこうだから、という理由で止めら
れた憶えもあります。
最近の農家が使っている殺虫剤・除草剤は、
すぐに無害になってしまう、作物中に吸収されない、
人間には無害、田畑及びその周辺以外の生態系
(例えば川や海)への影響はほとんど無い、
などの性質を持っているのでしょうか。
またかなり選択的に殺虫・除草できるように
なったのでしょうか。
教えてください。
No.6ベストアンサー
- 回答日時:
まず、何を持って毒というか?
例えば「塩」。
普通に摂取している分にはあまり問題にはなりません。
しかし、量が過ぎれば「毒」になります。
例えば、一度に塩をどんぶり一杯分摂取すれば、普通の人は死亡するでしょう。
毎日少しづつ摂取しても高血圧の原因になってしまいます。
天然物だから安全、化学合成物だから危険というのも常日頃疑問を感じます。
猛毒と言われるテトロドドキシン(フグ毒)やダイオキシンはいずれも天然物ってか、化学合成物ではありませんし。
(ダイオキシンは合成もできますけど)
で、やっと本題。
最近登録される農薬は皆殺し系のものは少なく、安全性が高くなっています。
殺虫剤のBT剤は青虫類の消化酵素(アルカリ性)で一部分解されて、初めて毒性を発揮します。人間が摂取しても殆ど毒性はありません。
http://www.greenjapan.co.jp/qa_bt.htm
また、同じく殺虫剤の脱皮阻害剤は脱皮する皮の成分であるキチンという物質の合成を阻害します。
人間は・・・キチン合成をしませんので関係ないですね。
http://www.iskweb.co.jp/ibj/Products/absc.htm
さらに、アブラムシなどの場合は吸汁管(要するに口)を詰まらせて、餓死させるようなタイプの薬もあります。
http://www.syngenta.co.jp/seihin/sachu/s_s_chess …
これらは、いずれも人間への毒性は極めて低いのですが作用が現れるまで時間がかかったりします。
除草剤についても、同様に選択性が高くなっており(例えばキャベツを栽培している時に使う殺虫剤は、キャベツを枯らしてしまっては何にもなりません)広葉種の草だけ枯らすもの、イネ科のものだけ枯らすものなど様々なものが開発されています。
速効性の皆殺し系の古い農薬もまだまだ登録があり、新たに登録される安全性の高い農薬よりも安価なため、残念ながら使われる機会は多いのですが(#2の回答にある有機リン剤など)、魚毒性があるものや周辺の生態系に影響の大きいもの、環境ホルモンの疑いがあるものは登録が抹消されたり、各県の病害虫防除基準から外されるなど、使用されなくなってきています。
残留性についても、散布後の農薬は植物体内や土壌微生物、紫外線分解などで分解されることが調べられています。(逆にいうと、長期間効かないということです)
http://www.affrc.go.jp/ja/db/seika/data_tnaes/h0 …
ちょっと難しいけど、沈黙の春を読める方なら科学的なデータ評価もできるでしょうから、ご覧になってみてください。
結果として、農家の方は「新しい薬は昔の農薬よりも高いのに効きが良くない」という感想を持つこともあるほどです。
レーチェルがその本を書いた頃と現在はだいぶ事情が変わっていますので、そう心配する必要はないでしょう。
少なくとも、タバコやアルコールを摂取したり、家でバポナやバルサンを使うよりは余程安全です。
参考URL:http://www.midori-kyokai.com/yorozu/qa.html
回答ありがとうございました。
具体的な殺虫剤の名称や作用、
数多くの参考HP、とてもとても
参考になりました。ありがとうございました。
No.5
- 回答日時:
みなさんがいろいろとお答えしているので、
私はちょっと雑談を。
仮に現在売られている農薬が人に無害(正しい用法で)だったとしても、それを守って使っていられるほど日本の農業は甘くないのが現状です。
そんな悠長なこと言っていたら病気や虫で作物は全滅してしまいます。
つまりは認可されていない農薬を個人輸入などして、
使っているのが現状です。
もちろん守られている方も大勢います。
ですが、農家の方から使っている農薬を聞くと無認可農薬が少なくないのもまた事実です。
しかし無認可と知らないで使用さている方も多く、
一概に悪い!とも言えませんね、少なくとも私は。
農薬たっぷりの野菜を食べるか、無農薬の遺伝子組み換え野菜(作物)を食べるか、ってとこですか??
No.4
- 回答日時:
対象生物ごとに分けて考えてみましょう。
・害虫
だんだんと量は減っていきますが、なるべく有毒なレベルに保たれるようにできています。
・周辺生態系
これもある程度の期間は有毒なレベルに保たれることもあり得ます。しかし、長いスパンで考えた場合には問題にはなりません。現在の制度では、年単位以上に渡って残留蓄積するような農薬は登録できません(沈黙の春の影響が多々あります)。
・人体
消費者の口に入る頃には十分に量が減っていて、毒性学的問題ありません。しかし散布直後の農地周辺での暴露については想定外ですので、近くの川で泳いだりするのはやめた方が良いでしょう。
私はNo.2の回答を見て「あいかわらず人間はバカだったのか」とは全く思えませんでした。対象生物、量に注目しながらもう一度No.2の回答を呼んでみてください。
最後に農薬を題材にしているHPの中で、私が良いと思うものをあげておきます。
参考URL:http://www.nouyaku.net/
No.3
- 回答日時:
「毒」とか「有害」であるかどうかは物質の特性のみで決まるのではなく、対象生物、量についても考慮する必要があります。
・物質の特性
農薬とは物質名ではなく、農作物の保護等に用いられるものの総称です。農薬の種類が異なれば、当然毒性は異なります。
・対象生物
害虫、周辺生態系、人間。同じ農薬成分でも対象生物によって毒性は異なります。同じ神経系に作用する有機リン剤でも、代謝分解系が異なれば当然毒性も異なります。
・量
これが最も重要ではないでしょうか。「農薬成分がある」ことに過敏になってはいけません。毒性を発現する量以下ならば問題ありません。
これを踏まえて、tyoukaifusuma2さんの質問をもう少し深く考えてみますと・・・
(長くなってきたので回答を2つに分けます)
No.2
- 回答日時:
農薬で化学的に生物を殺すタイプのものは全て人間にも有毒です。
ただ、カビ、バクテリア、昆虫などに比べて人間の方がはるかにサイズが大きいので、影響が出たり、死ぬまでに時間がかかる、あるいは、影響が出るまでに多量・高濃度を要する、というだけのことです。実際、農薬の使用基準を、例えばキャベツで定める場合、平均してひとりの人間が一年間で○○グラムのキャベツを食べるから、農薬をこれくらい薄めて散布しておけば、80歳までに総量でこれくらい摂取するはずなので、農薬で死ぬよりは寿命で先に死ぬだろう、というような計算で出します。
殺虫剤・除草剤・殺菌剤がすぐに分解されて無害になるようなら、逆に農薬として無意味ですから、なるべく効果の持続するように改良されているはずです。
水溶性の農薬で作物の表面に付着するように散布する場合、雨で流れてしまっても意味がないので、展着剤を混ぜて散布します。したがって、水洗いぐらいでは簡単に落ちないようにもなっています。
さらに、根から作物中に吸収させて、植物体内から効果を出す農薬もあるので、「作物中に吸収されない」というのも現在の農薬では全く逆の発想です。
選択性という点では、殺菌剤などは比較的選択性のあるものも開発されますが、選択性が高いほど耐性菌も出やすいので、結局いたちごっこになってしまっていて、やはり伝統的な「一緒くたに全部殺してしまうタイプ」のものは根強い需要があります。
除草剤の選択性はゆるやかです。科まで厳密に選択して枯らすのは難しい。そして、選択性の高いものほど、除草剤としての効果は緩慢です。
殺虫剤に関しては選択性は低いです。昆虫の形態、生活様式によって、農薬を摂取・吸収しやすい、しにくいという差がありますから、それを利用することはできますが、薬剤自体に選択性はほとんどありません。脱皮阻害剤など内分泌系の薬剤なら、ある程度昆虫・ダニ・クモなどの節足動物に限定して効果を発揮しますが、神経系に作用する薬剤は昆虫のみならず、体のサイズが同等な生物なら無差別に殺してしまいます。濃度が高ければもちろん人間もです。
スプラサイドなど有機リン系の殺虫剤はご存知かと思いますが、サリンと同様の作用機作をもっていて、全ての高等生物に有毒、しかもサリンよりはるかに安定していて、効果が持続します。生態系への影響は計り知れません。体の小さな生き物、体表面の無防備な両生類、軟体動物などから順に死んでゆきます。
作物を食べる段階での事故はあまりありませんが、農薬を散布する段階で、農家の人が吸ってしまって倒れる事故は頻繁にあります。また、農薬の空中散布で通行人が吸ってしまって倒れる事故も毎年後を断ちません。
素晴らしい回答ありがとうございます。
大変勉強になりました。
またあいかわらず人間はバカだったのか、とガッカリ
させられました。
No.1
- 回答日時:
今は社会人ですが、学生の頃は農薬分解菌について研究してました。
そのときの経験から答えます。農薬はもちろん無害ではありません。大なり小なり有害です。中には猛毒のものもあります。また、最初は有害でも散布した後すぐに無害になるかというとこれもそうではありません。もちろん数日は効力を有しますし、場合によっては相当長期に渡って持続します。どのくらいの期間で効力を失うかは、農薬の安定性とその土壌の経歴によります。もし、その農薬(もしくは類する農薬)が長年にわたって散布されていたならばその農薬を分解する菌が選択的に増殖しています。そして、農薬は早期に分解され効力を失います。
殺虫剤、除草剤の選択性にはくわしくないのでわかりませんが、雑草もいろいろあるので難しいのではないでしょうか。
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