ニーチェの「超人思想」というのを簡単に教えてください。
1.仏教などのように悟りを開くというような意味でしょうか?
2.ウルトラマンなどのような変身願望に近いのでしょうか?
3.超能力を身につけることと関係ありますか?
4.普通の人には縁がなく、特別な人だけのものですか?
5.「神が死んだ」という言葉がありますが、これと関係ありますか?
6.子供でも理解可能なものですか?
7.超人になった人がいますか?ニーチェはどうですか?
ちなみに「ツラツストラ」は2度読もうとして途中で挫折しました。
難解すぎます。
よろしくお願いします。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
概論としては#1の回答で十分と思いますので
私は蛇足を。
ちょっと誇張したり独善的な解釈をしたりしてますので
そのつもりで読んでください。
>仏教やキリスト教は、スーパーマン的な人物を崇拝し、
>それに頼り来世を期待する思想ですね。
それはちょっと違います。
まず仏教は本来、神など「絶対者」を設けません。
来世も期待しません。
仏教は我々が生きてい世の中を基本的に「苦」であると捉え
その中でどうすれば苦を乗り越えて生きていくことが出来るか?
を、説いた教えです。
このとき仏教は「ぶっちゃけスーパーマンみたいなモノに
に頼ろうとする、その下心が苦の源だ」と考えます。
一方、キリスト教というのは
ヘブライの神話やユダヤ教の流れにあるものですが
ここでは「神」という「絶対者」がいます。
ヘブライの神話では、人間は神の言うことを守らなかったために
楽園を追放されます。
以来、われわれは懺悔の日々を強いられます。
このとき聖書というのは「どうやったら神に許してもらえるか?」
が、とっても曖昧な記述で書いてあるわけです。
そういう意味では私は仏教とニーチェは近いと見る。
仏教の重要なアプローチに「空」思想があります。
空、というのは「何もない、空っぽ」の意。
魂がまっさらに浄化された状態。
神がいると考えるから、救いに望みを託すから
真理を想定するから、眼前のモノに満足できなくなり
現状不満に陥り、ネガティブ思考に陥る。
だから一旦、魂をまっさらにしてしまえば
眼前にある全てのモノが新鮮に蘇って見えきて
ポジティブな気持ちになれるでしょ?
ジョン・レノンも歌っているではないですか。
「天国がないと想像してごらん。
そうすれば地獄もなくなる。
僕らの上にあるのは、只の青い空だけだよ。
そう考えれば、みんな平和に暮らせるでしょう」
こんな説明してイイのか?
ともあれ、ある種の諦観(色即是空)をベースに
それを逆手に取って眼前の世界をポジティブに見直そう(空即是色)
というのが本来の仏教です。
でも、長い歴史の中で、宗教は徐々に変わっていくんですよね。
特に仏教のこのような考え方には問題があって
というのも、宗教には「救済」という側面と「統治」という側面が
求められるコトが多い。
要するに「教え」が「ルール」になり「統治」に役立つ。
だから布教に力が入る。
仏教は本来「統治」の機能を持たないので
例えば仏教が発祥したインドでは「イスラム教」に
負けてしまった。
キリスト教にも「統治」の機能が弱い流派があり
これらの多くは「異端」として葬りさられてしまった。
このような歴史の中で、現存するほとんどの宗教は
>スーパーマン的な人物を崇拝し、それに頼り来世を期待する思想
になってしまった、と私は捉えています。
回答ありがとうございます。
仏教は、阿弥陀仏による来迎思想などがスーパーマン的な要素だと考えました。
これが仏陀の説いた理論かどうかは知りません。
色即是空はたしかに超人思想に近いかもしれませんね。
老病生死を積極的に受容し、現実と向き合うという姿勢も似ている気がします。
イマジンも観念の再認識を促しているものでしょう。
キリスト教は、イエスをあまりにも神様扱いしすぎているのかもしれません。
No.3
- 回答日時:
#2です。
今、自分の書いた回答を見直したら
間違いを見つけたので訂正します。
×例えば仏教が発祥したインドでは「イスラム教」に
負けてしまった。
○インドでは「ヒンドゥー教」に負けてしまった。
訂正だけでは勿体無いので、よかったら
http://www.okweb.ne.jp/kotaeru.php3?q=687666
も覗いてみてください。
このときはキリスト教と仏教の違いについて
とても丁寧に回答したつもりなんで・・・
参考URL:http://www.okweb.ne.jp/kotaeru.php3?q=687666
読みました。
>を絶対者・超越者とし、人間より一段上に置くという世界観の中で生まれたユダヤ・キリスト教と宇宙と人間とが基本的に一体(梵我一如)であるという価値観の中で生まれた仏教・ヒンドゥー教とでは、根本で大きな違いがあるわけです。
だいぶクリアになりました。
絶対者をおくかおかないかで、思想が大きく違ってきますね。
ニーチェの思想は大乗仏教に近いのかもしれません。
とても参考になりました。
No.1
- 回答日時:
1.ちょっと違うと思いますが、革新的だという意味ではそうでしょう。
むしろ「反宗教」的なので仏教の悟りとは反対というか。2.変身願望とは違うと思います。むしろキリスト教にどっぷり浸かった民衆こそ「現実逃避」であるとしているので、正反対かもしれません。
3.超能力とは関係ありません。むしろ(むしろが多いな)キリスト教こそ超越的なものを信じていてそれにたいして「現実を客観的に見よう」という考え方だと思います。
4.特別な人のものではなく民衆全てのことを批判した考え方です。
5.「神は死んだ」は科学の進歩でキリスト教的な思想の基盤が崩れていく様を表現した言葉です。
6.5の事が基本だとすれば可能ではないでしょうか。
7.われわれは既にニーチェの言うところの超人にある意味到達してるでしょうし、ある意味全く変わってないとも言えるのではないかと思います。
ニーチェは要するに当時までの「伝統的価値」が「キリスト教」というものを基盤としていて、それを批判しています。例えば「やさしさ」「温情」などは道徳的に「よいこと」とされているが、それらはキリスト教という一思想内の価値にすぎず、その思想は「弱者の恨みつらみから生じる想像上の復讐」にすぎないから間違ってるとしたわけです。
こうした間違った伝統的価値に迎合し、群れて徒党を組む民衆に服することなく現実を見つめる不撓不屈の様を「超人」といいます。「マトリックス」でプラグにつながれている民衆とネオの関係といっしょです。
超人は、宗教が約束する来世の因果応報を拒否して(空想ですからね)、人生におけるさけがたい受難や苦痛もふくめた現世を「肯定」する立場です。ニーチェにとっての本当の「道徳」とは、既成のすべての価値から「自由」になり、強さをもって「自立」することである。超人というとウルトラマン的なイメージが湧いてしまいますが、言ってる事はあたりまえの事なんですが、当時としては異端だったため、風あたりがとても強くそれに負けないということで強さが必要だったわけで、「超人」という言葉のイメージは考え方自体とは直接あまり関係ない気がします。
キリスト教批判をもうすこし詳しくいうと、
ニーチェはキリスト教を「弱者の恨みつらみから生じる想像上の復讐」が昇華して宗教になったに過ぎないとした。聖書には「貧しきものは幸いである」「隣人愛」等の教えがあるが、これは現実問題として強者(権力者)に復讐できない現実に目をそむけ、想像上で「自分たちがこそ幸福である」「自分たちこそが神の御国に近い」といった思い込みで救われようとする弱者の「想像上の復讐」を体系化したものにすぎない、という発想でキリスト教を批判したわけです。
ご丁寧な回答ありがとうございます。
考えてみれば仏教やキリスト教は、スーパーマン的な人物を崇拝し、それに頼り来世を期待する思想ですね。
仏陀もキリストも超能力者です。
ある意味で宗教は、現実逃避・空想なのかもしれません。
目からウロコです。
超人思想は、マルクスの科学的社会主義的な考えに合致しそうです。
宗教が多くの人を救っているのは事実ですが、精神的に「自立」できない人を作っているのも事実ですね。
>特別な人のものではなく民衆全てのことを批判した考え方です。
革新的な思想だったわけですね。
現実に向き合い、宗教的観念・道徳を一掃し、自らの観念や価値観を確立することは並大抵のことではできません。
「神は死んだ」というのは、「人間を創った神は死んだ。だから人間は救われないで混乱状態にある」という意味だと思っていました。
科学の発展により古い宗教的価値観が崩れてゆくのを痛烈に表現したものだったのですね。
ニーチェにとって精神的な救済とは、現世肯定により本人自らの努力によらなければならないということですね。
「天は自ら助けるものを助ける」という聖書の言葉の別バージョンと受け取りました。
哲学は理論的なものですが、世の中の全てが理論で説明できるものではないので、哲学思想が宗教に変わることはなさそうです。
超人思想は、宗教の弊害を痛烈に批判し、人間の偉大さを強く肯定したものと理解しました。
超人思想はニーチェの最終的な到達点だったのでしょうか?
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