【民訴法】境界画定訴訟の当事者適格について
境界画定訴訟の当事者適格について
境界画定訴訟の当事者適格に関する判例の理由づけがよくわかりません。
境界画定訴訟で「境界の全部に接する部分のみを他方当事者が時効取得した場合」に、判例は(1)境界の全部に接する部分が事項取得されたとしても、境界に争いある隣接土地の所有者同市という関係にあることにかわりはなく、(2)時効取得したとしても、第三者との関係では、対抗要件としての登記が必要であるが、どの範囲で時効取得されたかは、両土地の境界が明確にされてはじめて定まるから、登記の前提としても境界の画定が必要である、ということを理由に隣接土地の所有者双方の当事者適格を認めています。
しかし通常は、訴訟物の内容をなす権利・法律関係につき法律上の利害を有する者、実質的利益が帰属する者が当事者適格を有するはずです。
先ほどの判例で、時効取得された側をX、時効取得した側をY、X・Yの土地をそれぞれ甲土地・乙土地とすると、第三者が甲土地・乙土地にどのように関与しようとも当該第三者が境界画定に関心を持つであろうことはともかく、Xとしては境界の場所がどこに定められようが何ら利益・不利益を受ける立場にはないように思います。
とすると、Xには当事者適格は認められないように私は思うのですが、どなたか判例の説明についてご存知に方がいればご教授お願いいたします。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
>No1氏
いや、質問者の質問の意図は、おそらく H.7.3.7の判例のことを言うておられるのではあるまいか。
そこで、質問者の意図を汲んで、少々難儀になるとおもうが、平成7年判決の解説をしたい。
>訴訟物の内容をなす権利・法律関係につき法律上の利害を有する者、実質的利益が帰属する者が当事者適格を有するはずです。
まず、この前提がまちがっとるわけじゃな。
境界画定の訴は、確認の訴などとまったく性格が異なる。もう民訴の知識は忘れていいじゃろ。
境界確定訴訟
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A2%83%E7%95%8C% …
昔々のお話じゃ。。
土地の境界というのは、なんでも江戸や明治のころより公的に区画されていたが、長きを経るにいたって次第にあいまいになっていったそうじゃ。お主とてお隣さんの塀がなくなったらどこまでが自分の家の境界かわからなくなるじゃろ。そんな形でうやむやになったままある期間放置され、やがて境界線をめぐって争いが起きたとき、境界画定訴訟がおこる。
境界の画定とは、行政区画を決定する基準であるし、本来は公的に決めるべきものであるから、お上が決めるべきものであり、私人の訴訟によって決めるべきものではない。だから、この訴訟は処分権主義などが制限される非訟に属する。
しかし、日本全国の津々浦々のあいまいになった境界を見つけては、役人が古文書などを調べ上げて逐一調査するのはあまりにも非現実的である。非訟法は考えた。そこで土地の境界線に一番利害関係をもつのは「土地の所有者」である。こやつらなら、いったん紛争が起これば、放っておいても全力で自己が主張する境界の正当性を立証するため、多くの証拠をかき集めてくるじゃろう。そしてその証拠を元に、裁判所が公的な境界を確定する。そういう制度にしようじゃないか。
こうして、作られたのが境界画定訴訟である。
これは、一見訴訟の形式をとっているが、まったくの行政作用である。じゃから、処分権主義、弁論主義はほとんど制限される。和解、放棄などは認められない。
当事者が南北の境界で争っていても、裁判所が資料を吟味した結果、実は東西で区切るのが正しい境界線だと判明した場合、裁判所は東西でぶったぎる判決を容赦なく下す。
境界訴訟は行政作用で、この訴訟の当事者適格というのは、もっぱら政策目的で決定されているにすぎない。いわば、当事者は紛争を見つけ、証拠を集めてくる道具にすぎない。これが境界画定訴訟の考え方じゃよ。
だから、その判例もいうておるじゃろ?
「右訴えは、もとより土地所有権確認の訴えとその性質を異にするが、その当事者適格を定めるに当たっては、何ぴとをしてその名において訴訟を追行させ、また何ぴとに対し本案の判決をすることが必要かつ有意義であるかの観点から決すべきであるから、相隣接する土地の各所有者が、境界を確定するについて最も密接な利害を有する者として、その当事者となるのである。」
通常の確認訴訟ならたしかに、質問者のいうとおり、「訟物の内容をなす権利・法律関係につき法律上の利害を有する者、実質的利益が帰属する者」じゃから、境界部分全部を片方が取得時効で獲得したら、確認の利益はなくなる。
しかし、境界画定の訴は、一旦始まれば、境界を明確にする必要があるかぎり否応なく、隣接する所有者なら訴訟を追行する立場にあるので、当事者適格は失われないというたのじゃ。
とてもわかりやすい説明ありがとうございます!
大変丁寧な解説で感動しました!
形式的形成訴訟の性質を十分に理解できていなかったため、確認の訴えと形式的形成訴訟の当事者適格の違いに気づけていなかったのですね。
改めて、ありがとうございます!
No.1
- 回答日時:
┌──┬──┐
│ X │ Y │
├──┼──┤
│ A │ B │
└──┴──┘
>しかし通常は、訴訟物の内容をなす権利・法律関係につき法律上の利害を有する者、実質的利益が帰属する者が当事者適格を有するはずです。
境界画定と時効取得をゴチャゴチャにしてませんか。
実質的利益は時効取得の問題です。
ここで言われているのは境界画定のことです。
時効取得の前に、土地現況としての境界画定が問題となっております。
時効取得は、XYの関係ですが、境界画定はXYABの同意によって確定されます。
境界であるポイントは、東西と南北の交差する所ですから、4人の同意がなければ決定しません。
これは、判決以前の常識の問題です。
ポイントが確定した後に、時効取得というより、境界画定と時効取得は分離して考えれば判ります。
時効取得を省いて、XYとの境界画定のみで考えてください。
XYの境界ポイントは、東西南北で交差する位置ですので、ABも関与いたします。
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