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事件に対する警察の仮説は、「容疑者Aが犯人であれば、犯行時刻に犯行現場にいた」というものでしょう。
これを警察は真実と考えているはずです。(遠隔操作の凶器や、時限爆弾などの時間ずらし凶器は考えない「現場犯行」の場合)この場合の「逆」は、「犯行時刻に犯行現場にいれば、容疑者Aは犯人である」です。でも、現場にいたからといって犯人とは限りませんよね。(単なる通行人、目撃者かもしれない)
「裏」は、「容疑者Aが犯人でなければ、犯行時刻に犯行現場にいなかった」です。でも、目撃者や単なる通行人であれば、犯人ではなくとも現場にいたことはあり得ます。
「対偶」は、「犯行時刻に犯行現場にいなければ、容疑者Aは犯人ではない」です。最初の仮説が真実であれば、論理的にこれも真実となるはずです。従って、警察は、「容疑者Aにアリバイがある」すなわち「容疑者Aは、犯行時刻に犯行現場にいなかった」という事実・証拠をつかんだら、「容疑者Aは犯人ではない」と結論付けるわけです。
警察は、「逆」や「裏」は「真実であるとは限らない」ので使用せず、最初の仮説が真実であれば確実に真実となる「対偶」を使っている、ということですね。
背理法は、上記の「論理」とは異なり、その「仮説」自体が正しいことを証明するための方法と考えた方がよいでしょう。
最初の警察の仮説は、言い替えると「犯行時刻に犯行現場にいた人間の中に犯人がいる」というのものです。つまり、「犯人」という集合は、「犯行時刻に犯行現場にいた人間」の集合に完全に包含される、ということです。
背理法は、この仮説自体が正しいことを証明する方法で、犯人が「犯行時刻に犯行現場にいた人間」の集合に属さない、つまり「犯行現場にいなかった」と仮定すると、犯行を犯したという事実と矛盾する、ということを示して、最初の仮説が正しい、ということを証明するものです。
また、逆に、「アリバイがあれば犯人ではない」を証明するために、「アリバイがあるが(「犯行時刻に犯行現場にいた人間」の集合に属さない)、犯人である」と仮定して、矛盾を示すことも背理法です。
最初に書いたとおり、単純な「現場犯行」の場合は「アリバイの有無」だけで決着しますが、本当にそれだけか、アリバイがあっても犯行が可能ではないか、本当にアリバイが成立しているのか、といった「ひねり」がテレビドラマや映画の面白さだと思います。そういった「仮説の抜け穴」や「集合の包含関係の適切さ」の方を、もっと厳密に吟味すべきかと思います。
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