No.7ベストアンサー
- 回答日時:
また思い出した(笑)。
誰か読んでる人いるのかな。まぁいいや、個人的には大変おもしろい。でも、これ、回答としては、すごくいいセン行ってると思うんですが。
『目覚め』(ケイト・ショパン 荒地出版社)
これは1899年のアメリカの作品です。60年代後半の、フェミニズム運動の中で再評価されたもの、といったら、それだけでだいたいの感じはわかるでしょうか。
主人公のエドナは、夫のおかげで何不自由のない生活をしています。夫であるポンテリエ氏は優しいし、子どもはかわいい。子どもの世話をするのは乳母の仕事。家事も召使いがやってくれる。けれどもエドナは満たされない。周囲はエドナにマザー・ウーマンたることを求めます。なかでも、身近にいるアデル・ラティニョールはその権化とでもいうような人物。けれどもエドナはどうしてもそうはなれない。気がつけば、夫も自分を所有物としか見なしていない。
そこで彼女は思い至る。自分は、自分自身でありたいのだ、と。
自分自身であろうとするために、彼女が取った道は……、というように、話は展開していきます。
まあこう書いていけば、19世紀末の作品とは思えないような先進的な内容のようにも思えるのですが、やはり作者の資質的な問題もあるのか、どうしても「お金持ちの苦悩」としか読めない。
もし、ポンテリエ氏が裕福でなければ、エドナも日々の暮らしに追われ、そのような悩みも持たず、ある意味で充実した毎日をおくっていたのではないだろうか。
なんというか、彼女の「目覚め」というのも、その程度にしか読めないのですが、これは読み方が悪いのかもしれない。
No.6
- 回答日時:
さらに思い出したので追加。
・『ジャック・ロンドン自伝的物語』(ジャック・ロンドン 晶文社 原題"Martin Eden")
19世紀末のサンフランシスコが舞台。
下層労働者の住む界わいで生まれ育った主人公マーティン・イーデンは、不良にからまれている良家の息子を助けたところから、姉のルース・モースと知り合う。
彼女を通じて文学に目覚めたマーティンは、密輸船の船乗りや洗濯屋などの職を転々としながら、次第に創作を始めるようになる。マーティンはルースへの愛を募らせるが、出身階級の差から両親に疎まれ、また定職にも就こうとしないことからルースも去っていく。
食べるものにも事欠き、まったく希望を失ったころ、かつて書き溜めた作品が次々に雑誌社に売れ始め、やがて大手出版社との契約も成立し、マーティンは富と社会的地位を一気に収める。ルースもふたたび戻ってこようとするが、マーティンの苦悩は深まる。
おもしろいですね。
ロンドン―フォークナー―フィッツジェラルド、多少の時代の差はあるけれど、みんなアメリカン・ドリームの陰の部分を描いている。
貧困から身を起こし、血の滲むような努力を重ねて社会の階段を一歩一歩上っていき、夢に手が届きかけた瞬間、まさにその夢に裏切られていく。
アメリカ文学のひとつの系譜ですね。
No.4
- 回答日時:
#2です。
思い出したので三つほど追加。
・ジョイス・キャロル・オーツ『贅沢な人々』(早川書房)
1960年代のアメリカが舞台。「ぼくは子どもの殺人者だ」という衝撃的な書き出しで始まるこの小説は、郊外に住む豊かな一家の一人息子がなぜ殺人を犯すにいたったか、を淡々と描いていて、やはりこれはお金持ちであることと不幸であることが結びついている作品のような気がします。
・ブライトン・エリス『アメリカン・サイコ』(角川文庫)
'80年代の好景気に沸くアメリカが舞台。主人公のパトリック・ベイトマンはウォール・ストリートのトレーダーとして、富と地位を約束されていたのだけれど、内面のまったくの空白感ゆえに、簡単に人を殺していく。
・トム・ウルフ『虚栄の篝火』(文芸春秋社)
これも'80年代のアメリカが舞台。これまた主人公はトレーダー、シャーマン・マッコイは『宇宙の帝王』を自認するほど、富と権力を手中に収めているのだけれど、それゆえにさまざまな政治的思惑の標的にされ、生け贄にされていく。
No.3
- 回答日時:
お金ではなく、人間関係での苦悩になってしまいますが・・・・
「女資産家」「女相続人」 ブラッドフォード
労働者階級出身の女性エマが、世界有数の大富豪になるまでを描いている「女資産家」、エマから孫娘ポーラへの相続するまでを描いているのが「女相続人」になります。お金がある故に、その財産をねらって、エマの子供達や孫達の裏切りが生じ、そのことに対しての苦悩が書かれています。
以上、参考にしてくださいね、これで失礼します。
No.2
- 回答日時:
おもしろい質問ですね。
いろいろ考えてみましたが、どうもお金ってあってこまるものじゃないみたいで、お金を持っているがゆえの苦悩、みたいな小説、どう考えても思いつきません。
ただ、お金があっても幸せにはなれなかった人の話なら、いくつかあります。
まず思い出したのは『グレート・ギャツビー』(スコット・フィッツジェラルド 新潮文庫その他)。
ギャツビーは上流階級の娘デイジーを手に入れようと、血の滲むような努力をして成り上がり、ニューヨーク郊外に大邸宅を築き、夜な夜なパーティに明け暮れる。デイジーを呼び寄せたい、それだけのために。
それから『アブサロム・アブサロム』(ウィリアム・フォークナー 講談社文芸文庫その他)。
トマス・サトペンは少年時代、お屋敷にお使いに行って、黒人の召使いに「貧乏人は裏口へ回れ」と言われた時から、いつか自分もこのような豪邸に住もう、と決意して、実際に大邸宅と百平方マイルに及ぶ広大なサトペン農場を築くのですが、結局幸せにはなれない。
そうだな、日本のものなら伊藤整の『氾濫』を。
これはこの間文学カテであらすじを書きました(ただし回答#3は思いっきりネタバレ。注意してね)。
急にお金持ちになったために、川の氾濫に巻き込まれたかのように主人公は翻弄されてしまう。
http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=767845
こんなところでしょうか。
参考URL:http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=767845
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