プロが教える店舗&オフィスのセキュリティ対策術

宜しくお願いします(^^)

DVD(Extended Edition)で何度か楽しんでいます。
何度見ても面白いです。ただ、原作は一度も読んだ事がありません。

出来れば原作を読んでご存知の方にお答えいただければ嬉しいです。
(原作では作者による説明がある事を期待して・・・)

フロドが指にはめると、その時点で指輪の所在が明らかになり即効で
ナズグルがやってくる事になっていました。

ところが、ビルボが何度はめても見つかる事はなく(映画では誕生日の日に
一度だけはめました)、ビルボも恐ろしい幻影を見る事はなかったようです。
指輪がフロドの手に渡る前は、何故誰かが指にはめてもサウロン、
ナズグルから見つかる事がなかったのでしょうか?

フロドだけがその運命を科せられた人物だから?でもサウロンから見つかる
理由は、指輪もサウロンを求めて呼びかけているから、だったはず。

ビルボは何度か指にはめているのに、サウロン側はその所在を知るのに
ゴラムを拷問する必要がありました。そのタイミングとビルボの誕生日はほぼ同じくらいの
タイミングのはず。

ビルボの前にゴラムが所有していた時点では、サウロンのパワーが
まだ快復していなかったのかな・・・と考えてみましたが、きちんと理由があれば
同じ理由になるかも。

A 回答 (1件)

こんにちは。


原作は「指輪物語」「追補編」と「ホビットの冒険」を手元に持って時折読み返す者です。(今は「ホビットの冒険」は貸しだし中につき、「指輪物語」だけ参照して回答しております。)
山本史郎訳の「ホビット」、「シルマリル」「終わらざりし物語」「トム・ボンバディルの冒険」「ビルボの別れの歌」はつまみ読みしかしていません。


結局のところ、ご質問への答えは
>サウロンのパワーがまだ快復していなかった
という説明になると思います。

本当のところは、大人の事情ってやつです。

ひとつは、トールキンが「ホビットの冒険」を著したとき、まだ「指輪物語」の話を思いついていなかったためです。「ホビットの冒険」の時点ではただの「はめると姿が消えるふしぎな魔法の金の指輪」でしかありませんでした。
そのため、「ホビットの冒険」と「指輪物語」を照らし合わせると解釈に困るシーンがいくつかあります。
(シーンではありませんが、たとえば教授要請による訂正前の挿絵で「ホビットの冒険」に描かれるゴクリ(映画での名はゴラム)は戦後のSFに出てくる半魚人のような姿をしていて、ビルボの数倍の背丈がありました。当時はまだゴラムの出自について詳しい設定がなかったためと思われます。)
ビルボが頻繁に指輪を使っているのも、そういう「解釈に困る」シーンです。
指輪を所持することで回復不能な傷を負う、指輪が持ち主を「薄く引き延ばす」というのも指輪物語から指輪に付与された設定です。
ゴクリは「ホビットの冒険」では「指輪をはめては不運なオークを襲い」といった描写があったと思いますが、原作では「指輪を使う必要もめったになかったろう。」と言い換えられています。

次に映画化の際に不自然になったのがご質問の
>サウロン側はその所在を知るのに
>ゴラムを拷問する必要がありました。そのタイミングとビルボの誕生日はほぼ同じくらいの
>タイミングのはず。
です。
映画ではビルボとフロドの誕生日の9月22日のすぐあとに出発したように見え、裂け谷到着まで1ヶ月あるかないか。
(映画でも冒頭でビルボが本に「今日は9月22日」と言っており、裂け谷でガンダルフがフロドに「今日は10月24日」って言っていますから。)
ですが原作ではいろいろあって17年かかっています。

↓下にその「いろいろ」を述べましたが冗長なので必要なければ読みとばしてください。作中に設定されている暦による年表も写しましたので、読みづらくて申し訳ない。
その年表によるとビルボ111歳とフロド33歳の誕生日が3001年、フロド出立がその17年後になる3018年です。
映画では映画の冒頭でビルボが「今年はホビットの暦で1400年」と言っていますが、これだと原作より1年早い3000年に出立したことになります。

ビルボが111歳で裂け谷へ旅立ったのち指輪を引き継いだため、フロドも指輪によって「薄くひきのばされ」るようになりました。50歳という「ホビットとして落ち着いてもよい年」が近づいても彼はまだ青年期のような若々しさを失いません。そのため周囲の人はビルボと同じく「もちのよい人」だとうわさします。
その50歳の誕生日の約半年前に、10年は往来が途絶えていたガンダルフが突如現れます。
ガンダルフはビルボの指輪への態度を常々不安に思っていました。ですが、111歳の誕生日祝いの日にビルボが見せた指輪への執着が決定打となってこの指輪が邪悪なものではと考えるようになり、正体を探索するようになります。しかし当初はこれがあの「一つの指輪」だとは確信がもてません。サルマンが指輪の行方を捏造しているからです。
こういう妨害と、小さな指輪の正体をさぐりあてるという雲をつかむような話のため、ガンダルフの探索はかなり難航します。
一方、サウロンは指輪を探索していませんでした。エルフ達の手によってとっくに滅ぼされたと思っていた、とガンダルフは語っています。ここは彼の推測ですが、少なくとも、サウロンはイシルドゥアの最期を知っているため、探していたとしてもその場所はアンドゥインの大河かその下流の海の方です。
またホビット庄はサウロンの根城からかなり遠く隔たっているため、仮に指輪が使われてもそれを察知することができないのだと思われます。
この二つを結びつけたのは、ゴクリです。
「ホビットの冒険」でゴクリがビルボから指輪を取られたのが3001年のビルボ誕生日の60年前、年表によると2941年です。
指輪への渇きからその3年後である2944年にオークの洞窟を出、外界をさまようようになります。指輪を探し、同じぐらいビルボへの復讐心に燃えてです。 2951年にモルドールの端をウロウロするようになり、とうとう3009年にモルドールの手勢に捕まりました。原作には「捕まって尋問を受けた」とガンダルフが言うのみ。映画の拷問シーンは「古傷が傷むようす」という表現を端的に表したものだと思いますが、どちらかというと「悪辣な性質をもつ者同士、お互い利用してやろうと手を組んだ」といったほうが正しいようです。
3017年、ガンダルフの推測では「何か悪事の使命を帯びて」わざと放たれたところを、ガンダルフの友人であり野伏の頭領であるアラゴルンの活躍により捕まえられます。
この後闇の森に住まうレゴラスの父の監視下に置かれます。そしてガンダルフたちが繰り返し尋問し、ゴクリがかなり遠くまでビルボを探し歩き、ついにはビルボがどこの誰かということを知ったこと、その後モルドールでゴクリが得たという「たくさんのいい友だち」もビルボのこと、なにより指輪のことを知ったことを知ります。
これらからガンダルフもビルボの指輪が一つの指輪であるという確信に至ります。
そこでホビット庄に急ぎ、炎で浮かび上がった文字を確かめるのです。

ゴクリがモルドールを釈放されるまで何年もかかっていますが、国境で捕まったゴクリの尋問は国境周辺を警護する下級警備兵や下級の獄吏の担当でしょうからトップのサウロンまで情報が伝わったのはいつのことなのか、という時系列ははっきりしません。推測ではおそらくはフロド50歳の誕生日の1、2年前ではないでしょうか。サウロンの力が復活しなければ黒の乗り手たちもまた復活はできないからということ、あの馬たちはモルドール産で特別な調教を施されたとはいえ普通の生身の馬だからです。原作ではホビット庄から裂け谷までビルボの足で1年、その倍以上距離があるモルドールからホビット庄までとなると、駿馬にも相当な距離です。たぶん、ユーラシア大陸を横断するぐらい。
この「指輪物語」、地図を見て地理を把握しながらのほうが面白さが確実に倍なので、もし単行本の追補編をご参照になれるようでしたら、地図をぜひご覧になってほしいです。


年表ではサウロンが公然と復活ののろしを挙げたのはビルボ誕生日祝いの3001年からちょうど50年前の2951年です。それ以前にもモルドールからの脅威を受けていたゴンドール以下周辺諸国は、これ以降しょっちゅうの襲撃に急速に国力をすりへらしていくようになります。ホビット庄は西方ののんびりした田舎…というより僻地も僻地なので戦火は遠いわけですが、映画ではすっ飛ばされた17年の間にモルドールが着実に勢力を伸ばし、サウロンが力を取り戻し、ホビット庄には以前には見かけなかった、西に向かうドワーフやエルフたちが時折通過して行く姿を見かけるようになり、と徐々に情勢不安になっていく描写があります。
が、映画はスピーディに話を進めるためにそれを数日にまとめてしまったので、わずか1ヶ月でガンダルフはアイゼンガルドへ行きラダガストを捜し当てて加勢を頼み、裂け谷のビルボを訪れつつ野伏たちと何度も話し合って助力を頼み、再びアイゼンガルドへ赴きサルマンに監禁されてオオワシで脱出!…という非常にせわしないことに。
ビルボもわずか1ヶ月で裂け谷について赤表紙本を書き上げてとつぜん歳をとって…サウロンも1ヶ月でめちゃくちゃ復活していっぱい怪しいことをやって…と大忙しになってしまったわけです。

指輪が呼びかけているとか使われればわかる、というのも、どんなに遠くからでもぜったいわかる、というようなものではないようです。
現代人は目覚まし時計のようなものに慣れきっていますが、「指輪が使われたことがわかる」とか「サウロンの目でみつめられる」、というのはこういうデジタルな表現とは違う精神への働きかけだと思われます。
ボロミアの角笛も「危急の際に吹き鳴らせば必ず味方の耳に届く」という言い伝えのあるもので、実際にファラミアは物理的には絶対に不可能な距離で兄の角笛を聞いていますが、指輪とサウロンの間にあるのはこういうファンタジックな感知ではないでしょうか。
映画では指輪が使われると黒の乗り手たちがきっ!と顔をあげてあっちだな!とやってきますし、指輪にまつわるエフェクトがいくつもありますが、原作ではそんな描写はありません。また前述のように、何度も使われたのにも関わらず、サウロンは指輪が滅びたと思っていたというのですから、その感知も数百メートルとか、せいぜい数キロ圏内でのことではないかと思います。

ちなみに指輪の持ち主の変遷は2千年弱サウロン→イシルドゥア数日?→2千年の間河の底→ゴクリが500年→ビルボが60年→フロド18年→サム数日、です。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます!
とても詳しく長文にてたくさん書いていただき、大感謝です。
DVDを見る度に世界に浸りたくて、ネットで関連情報を検索していろいろと原作についても知る機会がありますが、これほどにまとまった解説はなかなかないです。大変興味深く拝見致しました!

言われてみれば、DVDの特典映像の中で製作者(PJ監督と脚本家の二名)自身が、
・教授がホビットの冒険を執筆した時点では指輪は数々のエフェクトを起こすような力を持つ設定ではなかった
・映画を製作するにあたって、指輪が力を持っているという表現にした(あえて原作とは変えた部分。)
・教授も後から書き直して設定を変更したり追加している部分がある
という事を、明言している箇所がありました!
映画は自分で解釈を楽しみながら見る部分もありますし、製作側もぼかしながら上手く表現した、、、という事なのでしょうね。

こんなによく練られた物語でもそのような事情がある辺りは、完璧な世界観でない事に対する
残念な気持ちもありますが、かえって教授の人間らしさというか、製作が困難な時もあり悩みながら修正しながら進んだ様子が想像出来面白いです。

年号つきで原作の設定をご説明いただき、いろいろと納得しました。
そしてなおらさ、これだけの物語をあんなに上手く映画に仕上げた監督とスタッフには驚愕です!
また見たくなってきました^^
ホビット三部作もとても楽しみにしています。PJにはその後ライフワークとして、他のお話も
是非関連作品として映画化をお願いしたいです。

お礼日時:2013/04/13 17:09

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