検察官の起訴不起訴処分について質問です。
検察官は警察から送られてきた証拠に基づいて起訴するか否か判断しますが、嫌疑不十分や起訴猶予とかはなぜ最初から裁判官が判断しないのでしょうか?
なぜ検察官が嫌疑不十分等の罪になるかならないかといったような(無罪なのか軽微な罪にあたるか等の)裁判官が法廷で判断するようなことをするのですか?
罪になるか否かわからないような証拠が乏しい案件もいちいち裁判所で判断していたら、裁判官も大変だし、裁判を実施する税金もばかにならない。なので、一旦検察官が事件によって罪の重さみたいのを想定し、整理して、そのフィルターを通して、その中でも明らかに有罪になりそうな深刻な事件は、裁判官も動員して慎重に刑の度合いを判断しよう、という理解でよろしいのでしょうか?逆に明らかに軽微な事件は裁判官に判断してもらっても大した罪にならないと思うから起訴猶予みたいな処分をする、という理解でよろしいのでしょうか。
そう考えると、検察官は罪の重さを想定して処分を下すという裁判官みたいなこともしているということですか?
よくわからないので教えて頂ければと思います。
No.6ベストアンサー
- 回答日時:
この原則のことを「起訴便宜主義」といいます。
wikipediaにも詳しい説明があるので,そちらも参照されてください。起訴便宜主義の趣旨等については,質問者さんのおっしゃるとおりです。制度設計としては,起訴法定主義(上がってきて事件は嫌疑がある限り全部起訴し,裁判官に判断させる)を採ることももちろん可能ですが,コストをかける意味があるかなどを考えて,現在の日本では起訴便宜主義が採用されているということになります。
そのため,現在の検察官は,被疑者に罰を与えたほうがいいか,そこまでする必要はないか決めるという,ある意味で刑事事件についての判断をしています。(もちろんそれを決めるにあたって,起訴したらどれくらいの刑になりそうかを考慮します。)
付け加えるとすれば,裁判では,裁判官が,当事者の提出した証拠のみを見て罪となるかや罰を決めることになります。なので,起訴段階で検察官がしているように,事件に関係のある資料(その人の過去の事件等も含めて)を全部見て,起訴の必要があるか(又は処罰する必要があるか)を判断することは難しいというのも,理由の一つかと思います。
No.5
- 回答日時:
法律的にはNo.2さんの回答で網羅されていると思いますが、現実的には、検察のメンツと言いますが、評価制度上、「有罪に持ち込めるか?」と言う判断が強く作用していると思われます。
「起訴猶予」は、まだ良いのですよ。
起訴すりゃ有罪になりますが、
・初犯
・被疑者も反省している。
・過去の判例からは短期間の執行猶予付き判決が確実。
・被害者と和解している。
などの状況における検察判断であり、妥当性や合理性(経済性)があります。
しかし「嫌疑不十分」の不起訴判断ってのは、「裁判しても勝てないだろう」と言う検察判断です。
検察のメンツや、担当検察官の成績への配慮・考慮が介在する可能性が大で、検察が司法判断的なものを下す妥当性はありません。
事実、検察が起訴した場合の「有罪率」は99%以上と言われまずが、一方で「起訴率」は60%にも満たないのです。
言い換えますと、同程度の犯罪を犯したと思われる被疑者でも、決定的な証拠の有無などで、司法判断を仰ぐかどうかが、検察によって決定されることになります。
これでは法の下の平等が担保されているとは言えません。
日本は「公正な裁判を受ける権利」が担保されていますが、「公正な裁判を受けさせる権利」は検察が握っており、被害者側には担保されていない形です。
それに対し、No.3さんが仰る検察審査会が作られ、司法判断を仰ぐべきかどうかは、必ずしも検察判断には委ねない仕組みになりました。
これをもうちょっと進化させれば、検察の起訴猶予や嫌疑不十分については、すべからく検察審査会などで判断すべきではないか?とも思われます。
ついでに言っておきますと、不起訴には「嫌疑なし」と言う場合もあるのですが、事例は非常に少ないです。
検察が送検して「嫌疑なし」と言うことは、即ち警察の「誤認逮捕」ですから。
従い、誤認逮捕の場合でも、検察は認定せず、「嫌疑不十分」などとして「不起訴処分」とし、警察を守り、逆に被疑者に対しては「処分歴」が残ることになってしまいます。
厳密には、「嫌疑なし」以外は、処分歴が残りますので、完全な無罪放免ではありません。
次回、犯罪容疑者にでもなれば、処分歴の有無で、本来ならば検察で不起訴処分や、裁判で執行猶予判決が得られる状況でも、起訴判断や実刑判決を下される可能性になってしまいます。
これも検察審査会で、「嫌疑なし」か「嫌疑不十分」かを、審査すべきではないか?と思っています。
ありがとうございます 検察のメンツや、警察の保護等のお話、大変興味深いですし、非常に憤りを感じます 今後も勉強していきたいと思います
No.4
- 回答日時:
検察は確実に勝訴の公算のある事件しか起訴しませんよ。
だから、刑事裁判の99%以上が有罪という判決が出ます。例えば、藤沢駅の階段転落事件にしても 警察は事故で処理したようですが、警察が送検したとしても検察は起訴しませんよ。でも、いかにも分かったふりをして法曹界の判例主義を引き合いに出して “「業務上過失致死罪」(又は「重過失致死罪」)となる”と歌っている世間知らずもおりますけどね。
No.2
- 回答日時:
起訴便宜主義の問題ですね。
(起訴便宜主義)
第248条
「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により
訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。」
検察官が不起訴とする場合には次のようなものがあります。
1.訴訟条件を欠くこと
2.事件が罪とならないこと
3.犯罪の嫌疑があると認められないこと
4.犯罪の嫌疑はあるが、証拠が不十分である場合
5.犯罪の嫌疑はあるが、起訴・処罰の必要性がない場合
5を起訴猶予といい、これを認める主義を、起訴便宜主義といいます。
”その中でも明らかに有罪になりそうな深刻な事件は、裁判官も動員
して慎重に刑の度合いを判断しよう、という理解でよろしいのでしょうか”
↑
そういうことで、これは不正確です。
有罪になることが明らかな事件でも、起訴猶予にする
ことができます。
”明らかに軽微な事件は裁判官に判断してもらっても大した罪にならないと
思うから起訴猶予みたいな処分をする、という理解でよろしいのでしょうか。”
↑
刑法の目的は、犯人に二度と犯罪を犯させず、もって社会を
保護することにあります。
条文から解るように、犯人が再び犯罪を犯す可能性が低く
社会防衛の必要性が乏しい場合に、起訴猶予を認めるものです。
”検察官は罪の重さを想定して処分を下すという裁判官みたいなことも
しているということですか?”
↑
その通りです。
ドイツなどでは、重大犯罪の場合は、必ず起訴する
という起訴法定主義をとっています。
日本の法律一般にいえることですが、公務員の裁量が大きくなって
いるのが特徴です。
”嫌疑不十分や起訴猶予とかはなぜ最初から裁判官が判断しないのでしょうか?”
↑
理由は二つあります。
1,司法の効率性、経済性です。
小さな事件に、大きな時間と経費をかける訳には
いかない、という実際上の理由があります。
そんなことをやって、それで全体としての訴訟に弊害が
出て来るのは困る、ということです。
2,もう一つは、被疑者の利益です。
裁判をやると、時間が掛かり被疑者に大きな不利益を
与えてしまいます。
又、被疑者という地位にある、そのこと自体が大きな
負担です。
それで、なるべく早く、訴訟手続きから解放してやる
のが被疑者の利益になるだろう、ということです。
○刑事訴訟は、被疑者の人権を守りながら、真実を発見する
のが目的です。
だから、刑事訴訟を考えるときは、常に、真実発見と
被疑者の人権、この二つから考察することが必要です。
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