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刑法の問題です。

甲はA社の倉庫に侵入し、絵画を持ち去ろうとしたところ、警備員Bに発見され、逃亡するためBに暴行した。この場面を目撃した甲の友人乙は、事情を察して甲の逃亡を助けるため、甲と意思を通じてBに暴行し、その間に甲は逃走した。Bは出血により死亡したが、どちらの暴行によるかは不明である。甲乙の罪責を論ぜよ。

この場合、
甲→事後強盗+傷害致死(?)
乙→事後強盗の承継的共同正犯が成立するかについて否定し、傷害の限度で共同正犯成立とした上で、傷害致死の共同正犯成立

と私は考えたのですが、いくつか参照した模範解答はすべて

甲→事後強盗致死の共同正犯
乙→事後強盗については65条1項で共同正犯成立を肯定、事後強盗致死については承継的共同正犯    の成立を否定し、事後強盗罪の共同正犯のみ成立

となっていたのですが、解答を読んでもいまひとつスッキリしません。
65条で事後強盗の共同正犯の成立を肯定するなら、あとは結果的加重犯の共同正犯で処理して甲乙ともに肯定すればいいのに、どうして死亡結果の帰責の有無について検討するときになって承継的共同正犯の論点が登場するのですか? 事後強盗致死罪の共同正犯が、片方のみに成立する、という結論に違和感を覚えてしまいます。
また、そもそも事後強盗罪における「窃盗犯」という身分は、窃盗犯じゃない者にとる「暴行」か、窃盗犯にろよる「事後強盗」かによって刑の軽重が決せられるのだから不真正身分犯であって、65条2項によりどちらにせよ強盗致死罪の共犯関係は否定されるんじゃないかと思うのですが、、、、
私の答案は間違っていますか?間違っているとして、その理由は何ですか?
この問題に限らず、傷害途中参加+死因不明の問題が出るといつも頭が混乱します、、

分かりずらい質問ですみません、回答お願いします

A 回答 (4件)

とりあえず疑問が解消したようで何よりです。



>正直なところ時間的場所的に接着してれば一連一体の行為と評価していいものと思ってました。

答練をしていると,何でもかんでも「一連一体の行為」にしたがる人が多いのですが,
「一連一体の行為」とすることでどんなメリットがあるのか,
裏返せばどんな場面でその議論が登場するのか,というのをきちんと押さえておく必要があります。

ちなみに,私個人の経験則上,「ロースクール生が良く耳にはするけど実はよく解っていない2大論点」として,
「不可罰的事後行為・共罰的事後行為」と「一連一体の行為論」があると思います。
後者の理解は特に答案作成上も役立つので,#3で挙げた深町論文を是非読んで下さい。
「一連一体の行為論」を使えるようになるというよりは,
「使うべきでない(あるいは使う必要がない)ところで使わなくなる」というのが,身に付くと思います。

>刑法の評価って因果性にかなりの重点を置いているのですね、、
>行為者が複数出てくる事案は因果性に着目して解いていくといいのかな、と手がかりみたいなものをつかめた気がします。

かなり重点を置いているというか,当然に前提としているのであって,
そこは答案作成以前に脳内で処理する部分です。
すべての前提という意味では非常に重要ですが,当たり前過ぎることなので,
それを答案にビッシリ書くとおかしいと思います。
今回の事案の答案なら,承継的共同正犯が認められない理由付のところで
「過去の事実には因果的影響を及ぼせ得ない以上,承継的共同正犯は認めるべきでない」と述べるのと,
共謀共同正犯の要件立てのところで,「共謀共同正犯の成立には共犯性(因果性)と正犯性が必要である。
前者は謀議(黙示含む)が存在しその内容が当該行為にまで及んでいることをいい,後者は『自己の犯罪』として行われたことをいう」
と論証するぐらいでしょうか(ザッとした書き方ですが)。
あとのところで私が因果性について述べた部分は,全て脳内で当然処理しておくべきところで,
わざわざ答案に書く程のことでもありません。
それができないロー生も多いのですが。

>承継的共同正犯の認定には厳しいのに共謀共同正犯がわりとすんなり認められる理由がわかった気がします。
>しかし心理的因果性なんて、内心の評価をそれほどまでに重要視していいのかと個人的に思いました。
>あくまで答案上ですがわりとポンポン認めるんだなあ、と。

なお,上述の通り,共同正犯(共謀共同正犯含む)の成立には共犯性(因果性)と正犯性がいるわけですが,
共犯性(因果性)は狭義の共犯(教唆・幇助)にも共通の要件です。
「教唆・幇助より共同正犯になりがち」という問題は,正犯性の要件にかかわるものですので,誤解のなきよう。
まあ確かに,実務上,教唆・幇助で処理するより,共同正犯で処理する方が圧倒的に多く,
その反映として答案作成でも共同正犯で処理することが多い,というのはその通りかもしれません。

以上,勉強頑張って下さい。
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この回答へのお礼

詳細な回答どうもありがとうございました。大変勉強になりました。精進いたします。

お礼日時:2013/04/27 17:29

>ちなみに、その解説では問題文の事情を「乙の暴行時にはすでに甲は逃走していた=共同実行の事実はない」と解釈しているらしく、甲については共謀共同正犯で処理してました。



おそらく,あなたが質問で挙げた事案は省略して記載していたのでしょう?
「事情を…解釈」という程大げさな話でもなく,
一緒に第2暴行をしたなら甲も実行共同正犯,
乙にまかせたのなら共謀共同正犯ということで,当たり前の話です。

>このような事例において、そもそもその傷害(および死亡)結果が共犯者の内どちらかによるものなのかを確定する必要性ってどこにあるのでしょうか?
>甲と乙の暴行行為は時間的場所的に接着するのだから、ふたつの行為は一連一体のものとして、通常の共同正犯の類型として処理することはできないのでしょうか?

少なくとも乙について言えば,できません。
乙は先行する第1暴行に関与していないのに,
それを含めて「一連一体の行為」と評価できるはずがありません。
これは因果性の問題です。承継的共同正犯否定説の根底にあるのも同じ考えですが,
物理的にも心理的にも因果性を有していない事情については,原則として罪責を負いません(唯一の例外が同時傷害の特例)。
「一連一体の行為論」は,因果性を有する外形上複数の行為について,
それを構成要件評価としてまとめられるかの問題です。
要するに,「因果性があることを前提に,それらをまとめられるか」という問題であり,
「因果性のないところまで,『一連一体』というマジックワードで帰責範囲を拡充できる」という理論などではあり得ません。
「因果性がなければ責任を負わない」というのは,大原則というか,当たり前の話です。
※共謀共同正犯や教唆,心理的幇助は物理的因果性がなくとも,心理的因果性がある。

以上に対し,甲については,
第1暴行については直接に,第2暴行については現場共謀を解していずれも因果性を有するわけですから,
これらを「一連一体の行為」と見ることがおよそ不可能とまでは言えません。
この場合には,仰る通り死因形成行為の特定を避けることができるというメリットがあります。
常磐高速事件における「一連一体の行為論」はこのような「原因行為の包括的指定」機能に着目し展開されています。
※この辺りは深町晋也「『一連の行為』 論について:全体的考察の意義と限界」が詳しい。ネットでダウンロード可。
ただし,本件では,単独でおこなった第1暴行と,新たな現場共謀に基づいて他人に委ねた第2暴行とを,
時間的・場所的接着性だけで「一連一体の行為」というのは無理があるように思います。

>同時に暴行を開始した場合は死因不明でも一部実行全部責任で帰責できて、
>すこしの時間差がある場合には承継的共同正犯が否定される以上、
>利益原則適用、というのは結論に落差がありすぎるように思います。

単に時間的タイミングのズレ(同時か時間差があるか)の問題ではなく,
これも因果性の問題です。
「同時にやった」ことが問題なのではなく,
「一緒にやった」=因果性がある行為から結果が発生したことが問題であり,
「一緒にやっていない」=因果性がない行為から結果が発生した場合と,
差が生じるのは至極当たり前です。
ですので,今回の事案を修正し,
第1暴行についても甲・乙の謀議によるものであれば,
仰る通り,どちらの行為が致命傷となったかを断定せず,
「一連一体の行為」とすることも可能かもしれません。

>ふたつの行為が相互に影響して死をもたらした、と考えるほうが自然

それは単に事案が違う。
細かい事実関係を検討しないと分かりませんが,
今回のケースは「どちらかの暴行が致命傷となったことは明らかだが,それがどちらによるものかは分からない」という事案でしょう?
例えば,2発の殴打痕が認められ,1発は頭部に裂傷を作り,もう1発は腹部に内出血を生じさせたとします。
このうち,頭部の裂傷からの出血が原因で,被害者が死亡したとします。
この場合,頭部への殴打が致死結果を惹起したのなら,「だれが頭部を殴打したか」が問題となります。
そして,今回の事例ではそれが第1暴行(甲)によるのか,第2暴行(乙)によるのかが,明らかでない,ということです。
ここでもやはりあなたは個別具体的な検討の視点が欠けているようです。
各別の暴行行為がそれぞれどういう効果をもたらしたかが法医学的に明らかになっている場合がある(大半の事例はそうである),
ということに思い至らず,「連続した同種暴行」というだけで,抽象的に「相互に影響した」と考えてしまっている。

これとは事案が異なり,まさにあなたの言う通り,
複数の暴行が,それぞれそれ単独では死因を形成するには至らないが,
相互に相まって致死結果を惹起した,という事案であれば,また異なる結論となるでしょう。
このあたりは,総論の因果関係論です。
ちなみに,大阪南港事件では,第1行為者に致死結果の因果関係が認められましたが,
仮に第2行為者が発見・逮捕・起訴されれば,
この第2行為者もまた致死結果について罪責を負う(もちろん単独正犯として)だろうと,解されています。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。

正直なところ時間的場所的に接着してれば一連一体の行為と評価していいものと思ってました。刑法の評価って因果性にかなりの重点を置いているのですね、、承継的共同正犯の認定には厳しいのに共謀共同正犯がわりとすんなり認められる理由がわかった気がします。
しかし心理的因果性なんて、内心の評価をそれほどまでに重要視していいのかと個人的に思いました。共謀共同正犯の成否についての議論を聞いたときは、首謀者や黒幕処罰の必要から、というのが理由となっていてストンと落ちたのですが、あくまで答案上ですがわりとポンポン認めるんだなあ、と。確か判例でも、詳しい内容は忘れましたが暴力団の親分に黙示の共謀が認められていたと記憶してます。

>今回のケースは「どちらかの暴行が致命傷となったことは明らかだが,それがどちらによるものかは分からない」という事案でしょう?
たしかにそうですね。死因がどちらの行為によるものか不明=どちらの行為によるものでもありうる=両方の行為が複合的に...というように勝手に読み違えていたようで、スタート地点から違っていたみたいです。大阪南港事件も、もし第一行為、第二行為どちらかが致命傷となったことは明らかだがどちらかは不明、といった法医学的判断がなされたなら、両者とも利益原則から傷害罪のみを負うにとどまるし、今回の事例で両行為相互に影響しあったという判断がなされたなら相当因果関係で甲乙ともに死亡結果につき帰責されうるわけですね。
すごいざっくりした言い方になりますが、行為者が複数出てくる事案は因果性に着目して解いていくといいのかな、と手がかりみたいなものをつかめた気がします。

お礼日時:2013/04/27 16:04

#1です。


さて,以下,事案の検討の骨子を示します。

1. 第1暴行から致死結果が惹起されたと仮定した場合
(1) 甲の罪責
まず,甲は,窃盗の実行に着手し,その後に「逃亡するため」第1暴行を行っています。
この行為が事後強盗罪を構成し,それが致死結果を生じているわけですから,
事後強盗致死罪が成立します。
さらに,甲は乙と意思を通じてBに更に第2暴行を加えています。
これも,窃盗の実行に着手後に逮捕を免れる目的で暴行を行っているわけですから,事後強盗罪が成立します。
したがって,甲は第1暴行について事後強盗致死罪,第2暴行について事後強盗罪が成立し,
両者は接続犯として包括一罪の関係に立ちます。
(2) 乙の罪責
乙は,第1暴行に直接関与していませんから,
第1暴行(事後強盗致死)については承継的共同正犯の成立を認めない限り,責任を負いません。
つまり,承継的共同正犯否定説からは,乙の罪責は専ら第2暴行についてのみ問題となります。
で,第2暴行について乙の罪責を検討する際に問題なのは,
乙は「窃盗」でないから,単なる暴行(ないしは傷害)なのか,
それとも乙も事後強盗たり得るのか,という問題です。
これは第1暴行ないしはそれに先立つ窃盗行為が承継されるかの問題でなく,
全く「窃盗」をしていないが,自ら暴行(本件でいう第2暴行)を行った者に事後強盗の成立を認めるか,と言う問題です。
判例の立場に従えば,この場合,65条1項により,「窃盗」の身分を持たない乙も事後強盗罪の共同正犯として罪責を負います。
重ねて言いますが,これは第2暴行についての罪責です。
(3) 共犯関係
既に触れた部分もありますが,甲・乙の共犯関係について処理します。
まず,第1暴行について。
これは甲が単独で行ない,かつ乙について承継的共同正犯を認めないので,
甲が単独犯として事後強盗致死罪を負うに留まります。
次に,第2暴行について。
これは甲・乙が共同して行い,なおかつ,事後強盗罪については65条1項の適用があるので,
甲・乙について事後強盗罪の共同正犯が成立します。
(4) 結論
以上より,甲については第1暴行について単独犯としての事後強盗致死罪が成立し,
第2暴行について共同正犯としての事後強盗罪が成立。
両者は包括一罪の関係に立ちます。
乙については,第1暴行について罪責を負わず,第2暴行について共同正犯としての事後強盗罪が成立します。

2. 第2暴行から致死結果が惹起されたと仮定した場合
(1) 甲の罪責
まず,甲単独の第1暴行については,事後強盗罪が成立します。
さらに,第2暴行も事後強盗罪を構成し,それが致死結果を生じているわけですから,
第2暴行について事後強盗致死罪が成立します。
したがって,甲は第1暴行について事後強盗罪,第2暴行について事後強盗致死罪が成立し,
両者は接続犯として包括一罪の関係に立ちます。
(2) 乙の罪責
1.で述べたように,承継的共同正犯否定説からは,
乙の罪責は専ら第2暴行についてのみ問題となります。
そして,1.の仮定と違って,まさにこの第2暴行から致死結果が生じているのですから,
65条1項の適用の有無に関わらず,何らかの形で致死結果について罪責を負うことになります。
つまり,65条1項の適用を認めるなら,乙は事後強盗致死の共同正犯となるし,
それを認めないなら傷害致死の限度で共同正犯が成立することになるでしょう(部分的犯罪共同説)。
で,判例は前者なので,それによれば事後強盗致死の共同正犯です。
(3) 共犯関係
さて,甲・乙の共犯関係について処理します。
まず,第1暴行については,甲が単独犯として事後強盗罪を負うに留まります。
次に,第2暴行について。
これは甲・乙が共同して行い,なおかつ,事後強盗罪については65条1項の適用があるので,
甲・乙について事後強盗致死罪の共同正犯が成立します。
(4) 結論
以上より,甲については第1暴行について単独犯としての事後強盗罪が成立し,
第2暴行について共同正犯としての事後強盗致死罪が成立。
両者は包括一罪の関係に立ちます。
乙については,第1暴行について罪責を負わず,第2暴行について共同正犯としての事後強盗致死罪が成立します。

3. 「疑わしきは被告人の利益に」
以上見て来たように,仮定1.を採っても仮定2.を採っても,
甲の罪責は包括一罪としての事後強盗致死罪になります(1.なら単独犯,2.なら共同正犯として)。
ですので,甲によっては1.でも2.でも同じです。
ところが,乙の罪責は,
1.なら,事後強盗罪の共同正犯,
2.なら,事後強盗致死罪の共同正犯ですから,
「疑わしきは被告人の利益に」より,1.の仮定を採用すべきです。
以上より,甲・乙の罪責は,1.の(4)で述べたように,
甲については第1暴行について単独犯としての事後強盗致死罪が成立し,
第2暴行について共同正犯としての事後強盗罪が成立(両者は包括一罪)。
乙については,第1暴行について罪責を負わず,
第2暴行について共同正犯としての事後強盗罪が成立します。

以上,重ねていいますが,あなたの最大のミスは,
第1暴行と第2暴行それぞれを別個の検討とせずにごちゃ混ぜにしている点です。

何か質問があればお礼にてどうぞ。
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この回答へのお礼

とっても丁寧な回答ありがとうございます。

場合分けした上で、二つの暴行を別個検討するというプロセスをすっとばしていたのに加え、「疑わしきは被告人の利益に」の原則についても全然考えておりませんでした。
_juliusさまの回答を読んだ上で模範回答を読み返したところ、どうも(1)場合分け(2)個別検討(3)利益原則のプロセスを重ねると結局、死因が共犯の相手にあった場合を想定すれば結論がでるということらしく、そのへんの説明を省いたままその想定に則った論述がなされているため、「なんか整合性ないしワケワカラン」となっていたようでした。ちなみに、その解説では問題文の事情を「乙の暴行時にはすでに甲は逃走していた=共同実行の事実はない」と解釈しているらしく、甲については共謀共同正犯で処理してました。

追加質問、もはや当初の質問の趣旨から逸れてしまうかもわからないのですが、もうひとつスッキリしない点があるのでさせていただきます。
このような事例において、そもそもその傷害(および死亡)結果が共犯者の内どちらかによるものなのかを確定する必要性ってどこにあるのでしょうか? 甲と乙の暴行行為は時間的場所的に接着するのだから、ふたつの行為は一連一体のものとして、通常の共同正犯の類型として処理することはできないのでしょうか?

同時に暴行を開始した場合は死因不明でも一部実行全部責任で帰責できて、すこしの時間差がある場合には承継的共同正犯が否定される以上、利益原則適用、というのは結論に落差がありすぎるように思います。
本問の場合、乙参加前に甲は一発しか(!)蹴ってないわけで、しかも、乙が蹴っている間に甲は逃走しています(by模範解答の問題文解釈)
つまりどちらも一発ずつしか蹴っていないわけで、しかも死因がどちらによるのか不明なほど両者の行為態様や程度が似通ってるなら、多少時間差があろうが、ふたつの行為が相互に影響して死をもたらした、と考えるほうが自然な気がしてしまいます(最初の混乱もこの考えがあったため?)

お礼日時:2013/04/27 10:32

>この問題に限らず、傷害途中参加+死因不明の問題が出るといつも頭が混乱します、、


>私の答案は間違っていますか?間違っているとして、その理由は何ですか?

間違っています。
多分,あなたが2つの思考過程をしていないからです。
1つ目は,複数の行為について別個独立に検討を加えること,です。
今回の事案だと,甲単独による第1暴行と甲・乙が共同して行った第2暴行について,
それぞれ別々に検討する必要があります。
2つ目は,不確定要素について場合分けをすること,です。
今回の事案だと,第1暴行から致死結果が惹起されたとの仮定と,
第2暴行から致死結果が惹起されたとの仮定に分けて考える必要があります。

>65条で事後強盗の共同正犯の成立を肯定するなら、

65条1項で事後強盗の共同正犯が肯定されたのは,第2暴行についてです(上述の思考過程1つ目)。

>あとは結果的加重犯の共同正犯で処理して甲乙ともに肯定すればいいのに、
>どうして死亡結果の帰責の有無について検討するときになって承継的共同正犯の論点が登場するのですか?

上述の通り,65条1項で事後強盗の共同正犯が肯定されたのは,第2暴行についてです。
その第2暴行から致死結果が発生したと仮定すると,確かに事後強盗致死の共同正犯です。
しかし,第1暴行から致死結果が発生したと仮定すると,乙は直接関与していない以上,(承継的共同正犯否定説からは)罪責を負いません。
この2つの仮定のうち,乙について「疑わしきは被告人の利益に」の原則によると,
第1暴行から致死結果が発生したと仮定した方が乙に利益ですから,その仮定に従います。
これが上述の思考過程2つ目です。

要するに,
>65条で事後強盗の共同正犯の成立を肯定する
ここは第2暴行の話で,
>死亡結果の帰責の有無について検討するときになって承継的共同正犯の論点が登場
ここは第1暴行の話なのに,その区別ができていないのがミスなのです。

>事後強盗致死罪の共同正犯が、片方のみに成立する、という結論に違和感を覚えてしまいます。

これは正しい。
多分,模範解答の
>甲→事後強盗致死の共同正犯
という部分が,答案作成者が間違っている(間違っているが点数は相対的に高いので模範答案)か,
あなたが読み間違えているかです。
甲には第1暴行について事後強盗致死罪の単独犯と,
第2暴行について事後強盗罪の共同正犯が成立し,
それらが包括一罪となります。

>そもそも事後強盗罪における「窃盗犯」という身分は、
>不真正身分犯

そういう見解もあります(さらに細かくは2説に分かれますが)。
学説で言うと,藤木,大塚,大谷,曽根,松宮あたりがそういう見解です。
判例はそういう理解を採らず,模範解答も判例にのっているものと思われます。
詳しくは各論の基本書を。

長くなったので,再回答で検討編を。
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