図形の変換処理の基礎的な考え方について質問です。
ここでは、Y=X^2 の平行移動を例に質問します。
放物線の方程式Y=X^2をFとして、X軸方向に+2移動させた方程式をGとします。
F上の任意の点を(X,Y) :ラージエックス、ラージワイ
(X,Y)をX軸方向に+2移動させた時の点を(x,y) :スモールエックス、スモールワイ とします。
※つまり、G上の点を(x,y)とします。
(X,Y)をX軸方向に+2移動させた際の(X,Y)と(x,y)の関係を考えるとき、
(X,Y)と(x,y)を“点”だとイメージして
x=X+2 : x は、XをX方向に+2移動
y=Y : y は、移動後も変わらない
が常に成り立ちます。
上記を変形すると
X=x-2 ・・・(1)
Y=y ・・・(2)
となります。
さて、もともと、(X,Y)は、F上の点だから
Y=X^2 ・・・(3)
が常に成り立ちます。
よって、(1)(2)(3)から
y=(x-2)^2 ・・・(★)
が導かれ、これは(x,y)の関係式になっています。
(★)の方程式を眺めると、頂点が(2,0)の放物線を表し、
概形は Y=X^2 と全く同じです。
つまり、(★)は、FをX軸方向に+2移動させた図形Gであると断定されます。
以上から、放物線Gの方程式は
Y=(X-2)^2
であることが分かりました。
以上
(細かい言葉の使い方や文字の使い方で間違いがあればご愛嬌でお願いします。)
-----------------------------------------------------
さて、質問したいのは、(1)(2)(3)から(★)を導く過程です。
(X,Y)と(x,y)の関係については、
解答のプロセスで立てた仮定より(1)(2)が演繹的に導かれるのは
至極当然なので、何の疑いもありません。
そして、(3)については、これも(X,Y)の仮定から
当たり前に成り立つことが分かります。
しかし、(3)に(1)(2)を代入すると
即座にそれが求める方程式Gを表すというのが
疑問なのです。
疑問というより、狐につままれたような、
まるで魔法にかかったような気持ちになります。
なぜかと言うと、(3)はあくまでも変換前、つまりFについての方程式だったにも関わらず、
(1)(2)を入れた途端に変換後、つまりGの方程式に化けているからです。
個人的なイメージとしては、
Fの方程式(3)から(x,y)についての関係式が導かれ、
そこからある演算なりが施されてGが導かれるのが自然に思えます。
でも、実際は(3)に(1)(2)を代入した時点でGが確定しています。
何と言えばいいかわからないのですが、
不思議で仕方が無いのです。
論理の運びに矛盾を感じることはないため、
理解できないわけではないのです。
ただ、しっくりこないと言いますか・・・
(3)に(1)(2)を代入するプロセスの裏で、
ある重要な前提が成り立っている、などが
隠れているのではないか、と思えてしまうのです。
それが代数的な何かなのか、郡や環にて規定されている公理的な何かなのか、
それとも考えすぎなのか・・・
話は逸れますが、以前本格的な数学書を読んだ時、
数直線と実数の関係や、演算の公理について
高校数学では“前提”とされた厳密な公理や定義が存在していたことを知り
もやもやしてよく分からなかったことが氷解して感動したことがあります。
※例えば、「負×負=正」や、「排中律により背理法が保証されていること」などなど・・・
今回の問題も、そんな風に思えて仕方が無いのです。
考えすぎだったら恥ずかしいですが・・・
話を戻しますと、今回は平行移動についての例で質問しましたが、
これは縮小拡大の問題や回転の問題でも応用される考え方ですよね。
極座標表示された図形の回転問題や
二次曲線(放物線、楕円、双曲線)や行列→線形代数でも
この考え方を応用しています。
ですから、ここでしっかりと図形変換の考え方について
理解しておきたいと考え、投稿しました。
丁寧に伝えようとして長文になりましたが、
気軽に相談に乗っていただけたら有難いです^^
同じような疑問を持っている方がもしいらっしゃれば
一緒に議論して頂いてもOKです~^^
何卒宜しくお願い致します。
A 回答 (12件中1~10件)
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No.12
- 回答日時:
うーん、最初の質問と 7の補足が同じ疑問を指しているとは
どうしても思えないのですが、論点はなんなんでしょう?
元の疑問は F の関係式に変換関係を入れると直ちにGの式が
得られるのはおかしいというようにとれます。
変数の関係式と点の集合としての図形は別物と考えているようにも
見えますが、どうもいくら読んでも何を言っているのか判りません。
7の補足は、平行移動などの合同変換や拡大縮小などの相似変換が
どのように合同や相似を保障するのかという話に見えます。
後者なら、直線は直線に変換されるとか、線分の長さが変わらないとか、
角度は変化しないとか、2次式は2次式に変換されるとか、相似変換/合同変換が
満たすべき内容や変換の性質をひとつひとつ吟味してゆけばよいと思うのですが、
そういう話ではないのかな?
今のところ、論点が見えないし、どうすれば何を納得するのかも、
なぜ話が合わないのかさえ判りません。
もう少し整理できませんか
No.11
- 回答日時:
> それに、今回の論点を前進させるアドバイスが1つも無い(笑)
また、他所の回答にコメントが付いてるから、
見落とすとこだった。
ひとっつも無いかな? 私としては、
> 合同変換とは何かを明確に定義して、(1)(2)が
> そのひとつであることを証明するだけだ。
が、質問の解決そのものだと思っているのだけれど。
合同の定義を満たすものが、合同。
合同をヒラタク言うと「同じ形を表す」ということで、
それと、見た目が同じ形に見えるかどうかの関係は、
> 哲学でも美術でもないので、我々が何を
> 同じ形だと感ずるかを詮議しても意味は無い。
と書いたとおり。
この回答への補足
あれれ?
No.9さんとNo.10さんは同一人物ですか???
No.9さんのコメントを読んで、
今じっくり考え直しているところです。
No.10さんは、No.9さんと比べてまるで違うように見受けられたので別の人物だと思ってました。
もし同一人物だとしたら、失礼しました。
ちなみに、合同変換について今調べています。そしてなんだか納得できそうな気がしてきています。
また分からないことがあれば補足でカキコしますね^^
No.10
- 回答日時:
ANo.7へのコメントについてです。
ご質問のポイントが
> これが偶然の一致なのか、それとも普遍的なものなのか
だということです。で、「これ」って何を指しているんですか?
> (1)(2)(3) ⇔ (1)’(2)’(4)
という
> 可逆関係が成立する
ことなのか、あるいは、
> 確かに平行移動だと見なせそう
であることなのか。
もし「これ」が指すのが後者であるなら、ANo.7を熟読されれば良いかと。
一方、もし前者であるなら、図形の話は全く関係ない。ならば、式だけしか書いてない不定連立方程式や等式のような省略表現を使うのではなしに、厳格に論理式と集合だけで
> (1)(2)(3) ⇔ (1)’(2)’(4)
の証明を書いてみれば良いだけでしょう。たとえば
方程式H: X = Y
と書いて済ませるんじゃなくて、明示的に解の集合Hを
∀p∀q( (p,q)∈H ⇔ p = q )
と書く。だから「連立方程式の解」は集合同士の演算として表現することになります。
> 「なぜ背理法が使えるのか?」
この自問自答の部分はご質問とは関係ないのでは? 関係のない饒舌がつい混ざっちゃうという、作文には不向きな悪癖がおありのようで。
> 私は哲学を求めてはいません。いくらでも解釈ができる問いを発しているのではなく、
「いくらでも解釈ができる問いを発している」ようじゃ、それは哲学ではない。もちろん、とりとめのないおしゃべりは数学でも哲学でも議論でもありません。
このご質問に哲学が関係するのは、「現実に経験する現実の空間」と実数の対との対応、ということだけです。(数学は現実とは無縁であるから、その対応を論じることは数学の中ではできない。)
この回答への補足
コメントありがとうございます^^
今回の質問は、自分でもどうやって説明すればいいか分からず、模索しながら書いています。
No.9さんのおっしゃる「合同変換」がキーワードになるかもしれませんね。なるほど、と思いました。
> 一方、もし前者であるなら、図形の話は全く関係ない。
→ おっしゃる通りですね。しかし、今回はここを問題にしていないことは、質問本文とNo.7さんとのやり取りを“じっくり”お読み頂ければ分かると思います。あくまでも、図形の変換についてもやもやしているわけですからね。
> この自問自答の部分はご質問とは関係ないのでは? 関係のない饒舌がつい混ざっちゃうという、作文には不向きな悪癖がおありのようで。
→ このコメント自体が、今回の質問には全く関係無いですね(笑)
ちなみに、背理法についての記述は、「似た性質がある」と思って書いています。
※あくまでも、個人的にそう思っているだけですが。
ある証明手続きが、背後に約束事があって成り立っているという例示ですね。今回も、FからGへの変換が方程式を介してなされますが、何か裏で約束事があるのではないか、と思っているのです。No.9さんのおっしゃる「合同」の定義にその秘密があるかもしれませんね。
> 「いくらでも解釈ができる問いを発している」ようじゃ、それは哲学ではない。もちろん、とりとめのないおしゃべりは数学でも哲学でも議論でもありません。
このご質問に哲学が関係するのは、「現実に経験する現実の空間」と実数の対との対応、ということだけです。(数学は現実とは無縁であるから、その対応を論じることは数学の中ではできない。)
→ で、私の相談内容についてはいかがでしょう?
No.9様は、非常に上から目線ですね。
それに、今回の論点を前進させるアドバイスが1つも無い(笑)
こういう方が混じるのも、色んな人が見る質問サイトなら仕方が無いことかもしれません。
引き続き、No.7さんとNo.9さんのアドバイスを基に、考えてみますね。No.7さん、No.9さん、ありがとうございます^^
No.9
- 回答日時:
平行移動じゃなく、極座標変換なんかでも、
変換前の式と変換後の式は、同じ図形を表してる
わけで… (3)と(4)が同じ図形を表すかどうかは
同値性の問題でしかないよ てのが、前回回答。
A No.7 の補足質問で話題になっているのは、
(3)と(4)を共通の座標系上に描いたときに
図形が合同かどうかという話のようだ。
そもそも、(X,Y) と (x,y) がどんな座標系の
座標であるかは、(1)(2)(3)(4)の式には
含まれない情報なので、それを記述した上で、
その座標系において合同とは何かを定義して
初めてその議論ができるようになる。
哲学でも美術でもないので、我々が何を
同じ形だと感ずるかを詮議しても意味は無い。
合同変換とは何かを明確に定義して、(1)(2)が
そのひとつであることを証明するだけだ。
この回答への補足
返信遅れてすみません。
こちらのコメント、とても勉強になりました。
合同変換ってコトバは知りませんでした。
今、数学書を開いたりネットで調べたりして勉強中です。
やはり、方程式や座標の問題というのは、中高で習う時には当たり前に前提とされている理論や考え方などが存在するんですね。
ありがとうございます^^
ちなみに、No.3,7,9,10 さんは同一人物ですか?
だとしたら、全然違う人に感じてしまうくらい、文の印象が違います^^;
No.8
- 回答日時:
答えじゃ有りませんが、
A<->B, B<->C, C<->D の3つの関係を連立して
A<->D の関係が導き出されるのは変という事なんでしょうか?
あいかわらず x, y の関係と G の違いも判らないです。
No.7
- 回答日時:
ANOo.3の背景説明です。
> 哲学しても数学にゃならないし。
ご質問の文章は苦労して書いてあるように思えます。うまくはっきり言えない疑問をなんとか伝えようという意志の現れじゃないでしょうか。なので、単に「xのかわりにx-2を入れれば、ほらグラフが右にズレるでしょ?」が理解できん、なんていう低レベルの話ではなさそうだ、と仮定しました。だとすると、質問者氏の疑問のポイントは代数の中ではなくて、(誰しも余りに慣れちゃってるもんだからつい看過しがちな)「点集合を図形と同一視する」という解釈のあたりにあるんじゃないかなあ、と思いついた訳です。
(小中学校の幾何の意味での素朴な)「合同」や「相似」の概念をきちんと定義しろと言われて連続写像を持ち出したなら、そこには既に、解析幾何学の基本となる「点の集合と図形とを座標系を通して同一視する」という考え方が前提されていなくてはなりません。今では当たり前に見えても、これはデカルトが「座標」というアイデアを言い出すまで明確ではなかった。「素朴な、小中学校の幾何」というのは、要するに、「現実に経験している現実の空間の中に置かれた図形」に関する幾何ということですが、これを(文字と数と演算の組み合わせでできた)方程式の世界へ「座標」を介して写し取ったのがデカルト、その使い方を著しく発展させたのがライプニッツやニュートンでしょう。(そして、ずっと後の時代になって、「現実に経験している現実の空間の中に置かれた図形」という縛りを徹底的に取り除こうとしたのが、ヒルベルトの公理論的幾何学。)
だから、このご質問は、話が多少テツガクっぽくならざるを得ないんじゃないかな。標語的に言うなら、「数学だけしても回答にゃならないし」でどうでしょ。
こんな下手な文章から、私の意図を汲んで頂きありがとうございます。
おっしゃる通り、平行移動の理論が分からない、という質問ではありません。
とは言え、質問文の中盤までは平行移動の話題になっているため、論点がぼやけてしまったかもしれませんね。
ここは中高生も目にするサイトだから、平行移動ではなく極座標の回転問題や一次変換を例にして質問すればよかったかも、と今になって反省しています。
-----
まず、デカルトの座標平面の話題ですが、まさにおっしゃる通りですよね。
2つの直交する数直線を描くことで、各点が実数(x,y)の組み合わせと1対1対応している抽象平面とみなせるから、Y=X^2を満たす(x,y)の解の集合すなわち点の集合が曲線を描いている、と。
Y=X^2という等式は、これ単体では「YはXの関数」とみなせるけれども、それ以前に(X,Y)が未知数の方程式とみなせるわけですよね。デカルトが座標平面を導入するまでは、むしろこうした見方しか存在していなかったわけですし。デカルトのすごいところは、方程式の解が座標平面上の点と1対1対応することを発見されたことですね。
この考えに基づくと、Y=X^2の解集合(x,y)は、座標平面上の点集合(x,y)と同一視できるので、放物線Fは、無数の解=点(x,y)の集合である、とみなせるわけですね。
ですから、敢えて質問文では「放物線の方程式F」という書き方をしましたし、(X,Y)や(x,y)を“点”とみなして議論し、結論の段階になった時に初めて、「(X,Y)はY=X^2上の任意の点だから」という前提に基いて y=(x-2)^x を導いたつもりです。
大学以上のレベルの数学好きの方であればわかって頂けるよう工夫してみたつもりです^^;
-----
さて、ここからなんですが・・・
X=x-2
Y=y
Y=X^2
y=(x-2)^x
この式をずっと眺めています。
上式はまず、
X=x-2 ・・・(1)
Y=y ・・・(2)
Y=X^2 ・・・(3)
と書くと、未知数4つの式3つだから
不定連立方程式ですね。
(1)(2)を(3)に代入すると、上記(1)~(3)の連立方程式と同値関係にするには
x=X+2 ・・・(1)’
y=Y ・・・(2)’
y=(x-2)^2 ・・・(4)
となりますね。
No1.さん、No.4さん、No.5さんがおっしゃるのは、
(1)(2)(3) ⇔ (1)’(2)’(4)
の部分の日本語説明に相当すると思います。
これらが同値関係にあることは、
論理的に明らかです。
「図形A → 図形B」「図形B → 図形A」「同じ位置のラベルの付け替え」「可逆」という日本語は、全て上記の同値関係について言及されているんだと思います。
このことが分からない、ということであれば、
「確かにおっしゃる通り!」で終われるのですが、
私がポイントにしているのは、この可逆関係が成立する理由なんです。
んん、わかりにくいでしょうか・・・
つまり、等式を操作することで
y=(x-2)^2 が導き出されますよね。
これは、頂点が(2,0)で、概形がY=X^2と同じですので、確かに平行移動だと見なせそうです。
しかし、これが偶然の一致なのか、それとも普遍的なものなのか、と問いているのです。
絶対に後者だと思うのですが、その根拠が分かりません。
他の例で言えば、「なぜ背理法が使えるのか?」という問題と似ていると思います。
なぜなら、背理法を使って問題を解く時、背理法が適用できることを確かめることなく使いますよね?あれはどうしてでしょう?
それは、数学が「排中律」を要請しているからですよね?命題は必ず真偽のいずれかに判定できる、と最初に約束されたから、逆命題の真偽を判定して、命題の真偽を判定しているわけですよね?
今回の可逆関係というのは、方程式と図形変換に関して何か裏で約束事あるいは前提があるような気がしてならないのです。
「何もない」が結論でもいいんです。でも、それならそれなりの根拠を探りたいのです。
確かにこうして文章にすると哲学っぽくなりますね。でも、大学以上の数学では、数式は「計算」ではなく「コトバ」としての意味合い・運用が主になってきますので、これも立派な数学だと思います。
私は哲学を求めてはいません。いくらでも解釈ができる問いを発しているのではなく、数学的(つまり論理的)に理解を深めたいと考えています。
是非また一緒に議論しましょう!^^
No.3
- 回答日時:
とても良い着眼だと思います。
[1] Fとおっしゃってるのは実数の対の集合
F = {(X,Y) | Y = X^2 }
のこと。Gは実数の対の集合
G = {(x,y) | y = (x-2)^2 }
のことですよね。
変換T(a,b)が、実数の対の集合Zに対して
T(a,b)(Z) = {(p,q) | ∃x∃y ((x,y)∈Z ∧ p=x+a ∧ q=y+b) }
であるとき、T(a,b)を「x軸方向へa、y軸方向へbだけ平行移動する」変換と呼ぶとしましょう。
T(2,0)(F) = G
であることはもちろんご承知であるし、
T(a,b)T(c,d) = T(a+c,b+d)
なのだからTが積について可換群をなす、ってこともご承知でしょう。
[2] ある集合に属するすべての「実数の対」のそれぞれを平面上の点に対応させることが、「Fの図形をグラフに描く」ということです。
さてご質問の要点は、
(1) T(a,b)を「x軸方向へa、y軸方向へbだけ平行移動する」変換と呼ぶことと、
(2) Fの図形に対して、T(a,b)(F)の図形がx軸方向へa、y軸方向へbだけ(ホントに空間的に)平行移動することと
が一体どうして「結びついている」のか。
ということかと思います。
もちろん、自動的に「結びついている」訳ではない。実際、「結びついている」かどうかは、「実数の対」をグラフ上のどこに対応させたか、ということに決定的に依存します。たとえば (x,y)を、原点から右に(x^3)メートル, 上に(y^3) メートルの所にある点と対応付けたグラフを描くと、Fの図形とT(a,b)(F)の図形は、当然形が異なりますよね。
T(a,b)を行っても図形が同じになるのは、原点から右に(αx + β)メートル, 上に(γx + δ)メートルの所にある点(ただしα≠0, γ≠0)に対応付ける(つまりカルテシアン座標系の)場合に限られます。
それはなぜかとさらに問うと、この対応付けはグラフの平面が2次元ユークリッド空間であることを前提にしているから。つまり、2次元ユークリッド空間のひとつの性質である「平行移動したって拡大縮小したって何にも変わらない」という対称性を反映しているんです。さらに「原点から右に(x^3)メートル, 上に(y^3) メートル」と言えるということは、すなわち(斜交座標系でも極座標系でもなく)カルテシアン座標系がこのユークリッド平面上に固定されて乗っかっている、ということを意味しています。
[3] で、空間の話はちょっと置いといてですね、[1]の「実数の対の集合」の観点に戻りましょう。
すると、実数の対をどんな空間中の点にどう対応付けようがそんなこととは関係なく、[1]だけで話は完結しているんです。
どういうことかと言うと、「x軸方向へa、y軸方向へbだけ平行移動する」変換というのはこれでひとつの用語である。ひとつのものを、勝手に単語に分解して意味を読みとろうとするからおかしくなるんです。代わりにT(a,b)を「へぽぽたますa, うごごげろげbへめもれ」変換という用語で呼ぶことにしたらどうでしょう。単語に分解するどころかどれが単語かも分からないけれど、もちろん、「へぽぽたますa, うごごげろげbへめもれ」全体でひとつの用語なんだから、分解無用である。分解しちゃだめなんです。
この観点では、平行移動というのは、ただのイメージである。その人なりのイメージ、いわば個人的な理解の仕方にすぎないのであって(正確には「解釈」あるいは「モデル」と呼ばれます。)、数学にとってはそんなのどうでも良い。単に「へぽぽたますa, うごごげろげbへめもれ」変換がどんな性質を持つか、ということにしか興味がない。だから話が完結しているんです。
[4] じゃあ、一体なんだって「へぽぽたますa, うごごげろげbへめもれ」変換と言わずにことさら「x軸方向へa、y軸方向へbだけ平行移動する」変換と言うのか。
それは、[2]の意味でカルテシアン座標系を使って描く図形のことを考えれば、(今度は)単語に分解して意味を読み取ったのと丁度符合するんで、わかりやすいから。単にそれだけ。
という事情なんですよ。
言い換えれば、ひとつの用語を文脈([1]か[2]か)に合わせて2通りに読まねばならん訳ですが、ことに単語に分解して読むに際しては(ご質問の場合には)「実数の対を、カルテシアン座標系が乗っかったユークリッド平面上の点へ、一次式によって対応付ける」ということが暗黙裏に想定されている、っちうこってす。
ついでながら、上記の 「その人なりのイメージ、いわば個人的な理解の仕方にすぎない」ということが如実に現れるのが、非ユークリッド幾何学における「直線」の概念です。「直線ってのは、ひたすらまっすぐなもの」というイメージに縛られていたら、非ユークリッド幾何学は発見できなかったでしょう。
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