ダイオードの仕組みがいまいち納得いかないので質問いたします。
順方向で電流を流す場合はpn接合面でホールが電子を受け取り、p型半導体の
電極(アノード)では電子を放出する際にホールが次々できていく。
まずこの理解でよろしいでしょうか?
一方逆方向に電流を流す場合ですが、p型半導体では電極側にホールが集まります。
この際極板で電子が供給されて、ホールが消滅すると考えていいでしょうか?
だとすると、p型半導体の方はホールにすべて電子が入った状態になり、電気的に
中性となって、いわば絶縁体と同じような状態となる。ということでしょうか?
一方n型半導体では極板側に電子があつまり、接合面側ではプラスの電気が集まります。
すると、p型半導体内の接合面側にはマイナスの電気があつまり、これにより全体として
内部に電流を流さない向きに電場ができて、電流が流れなくなる、ということでしょうか?
ここで疑問なのが、p型内の電子が接合面を超えて、n型の方へ移動すれば、逆方向でも
電流が普通に流れると思うのですが、実際には移動しないということですよね?これはや
はり、p型半導体内部の共有結合によって自由電子が存在しないために移動できないと
考えるべきでしょうか?
高校の教科書には接合付近にキャリアがない層ができて電流が流れなくなる、といったような
説明しかなく、全く理解できませんので、自分なりに考えてみました。
それぞれの疑問点についてお答えお待ちしております。
A 回答 (5件)
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No.5
- 回答日時:
>その時中央付近には、何も混ぜないのか、半分ずつきっちり混ぜるのか、
???
空乏層というのはPNの境界面に発生する「現象」です。
接合面付近に不純物がなかったり、不純物が均衡してたりすると、
ダイオードにならなくなってしまいます。
#多少境界面で混ざるとは思いますが
接合面付近でPが近くのNの余剰電子を吸い取り、結果としてキャリアの
不足している領域ができます。これが導通を邪魔します。
No.4
- 回答日時:
回答No.3です。
>ありがとうございます。大変勉強になります。1つわからないことがあるのですが、空乏層は不純物をあえて入れていないのでしょうか?
いいえ、空乏層は、p型やn型の半導体と組成が異なるものを使っているために生じている訳ではなく、ホールと電子が出会う場所では互いに埋め合わさって、どちらも消滅してしまうために、p型やn型の双方の半導体の結晶の内部に生じるものです。
>その時中央付近には、何も混ぜないのか、半分ずつきっちり混ぜるのか、どちらでしょうか。
ダイオードを製造する際には、p型の結晶とn型の結晶(或いはp型の結晶と金属)を貼り合せる場合もあれば、n型半導体の一部に「n型の性質を打ち消して余りある濃度」でホウ素やアルミニウム等の3B族元素(13族元素)を加える事で、一部のみがp型となっている半導体結晶を作ったり、逆に、p型半導体の一部に「p型の性質を打ち消して余りある濃度」でリンやヒ素等の5B族元素(15族元素)を加える事で、一部のみがn型となっている半導体結晶を作ったり、という1つの結晶の途中でp型とn型という性質が入れ替わっている結晶を作り出す場合があります。
先述の様に、中央付近にp型とn型の何れでもない層が存在しなくとも、空乏層は生じますから、何も混ぜない層というものを敢えて作らねばならない必要は無いと思います。
私もあまり詳しくは知りませんので、断言する事は出来ませんが、後から逆の性質を与える不純物を部分的に添加する方法の場合、果たしてきっちりと混ぜる事が可能なのか? 中間部分にはp型とn型の何れでもない部分が生じてしまう恐れも無いのか? といった疑念が頭に浮かばない事もないのですが、只、その様なp型とn型の何れでもない結晶は電荷を運ぶためのホールも電子も無いのですから、その様な層が存在しますと、順方向に電流を流す際に、電気抵抗が大きくなる原因になるのではないかと思われますので、なるべくならそのような層は無い方が良いのではないかと思います。
>また、半分ずつきっちり混ぜるとすると、ダイオードに何も電圧をかけないとき、空乏層がすでに少しできていると考えていいでしょうか?
例え電圧が加わっていなくとも、半導体結晶の中の原子は、互いに電子のやり取りを繰り返しますから、それに応じて、p型半導体の内部ではホールが、n型半導体の内部では電子が、それぞれ無秩序に動き回っています。
この動きによって、ホールや電子は半導体結晶の中を拡散して行きます。
pn接合の前後の辺りでは、こうして拡散してきたホールと電子が出会う事で対消滅する事で(電圧が加わっていなくとも)空乏層が生じます。
空乏層内のp型半導体側では電荷の移動のために必要なホールが不足していますからマイナスに帯電し、n型半導体側では電子が不足していますからプラスに帯電しているため、空乏層の両端には電位差が生まれ、電界が生じています。
そのため、空乏層の内部では、正の電荷を帯びているホールは、正に帯電しているn型側の空乏層の方へは移動し難くなり、負の電荷を帯びている電荷は、負に帯電しているp型側の空乏層の方へは移動し難くなりますから、空乏層の厚さがある程度厚くなった処で、pn接合を越えて反対側に移動するホールや電子は無くなり、ホールと電子が全て対消滅してなくなってしまう様な事は防がれて、空乏層の厚さは安定します。
No.3
- 回答日時:
>順方向で電流を流す場合はpn接合面でホールが電子を受け取り、
正確には、pn接合面そのものではなく、pn接合面を中心に、ある程度の厚みを持って生じる空乏層(ホールや過剰な電子が殆ど存在しない領域)の内部で受け取る事になるのですが、それは細かい事なので、この場合はpn接合面で電子を受け取るという理解でも、おおむね構わないと思います。
>p型半導体の電極(アノード)では電子を放出する際にホールが次々できていく。
はい、その通りです。
>一方逆方向に電流を流す場合ですが、p型半導体では電極側にホールが集まります。
>この際極板で電子が供給されて、ホールが消滅すると考えていいでしょうか?
おおむねその理解でも宜しいかと思います。
ホールとは、半導体の結晶中において、結晶を構成している原子の周りを回っている電子が1個不足している状態となっている箇所の事です。
ホールが存在している場所にある原子は、その周囲の原子よりも電子が不足していますから、隣接する他の原子から電子を奪って中性に戻ろうとします。
電子を奪う事が出来れば、その原子の電子の不足は解消されますから、"その原子の所には"ホールは無くなります。
そして、電子を奪われた隣の原子は電子が不足しますから、その原子のある所がホールとなります。
この様にして、ホールは半導体の結晶の中を移動します。
ダイオードに対して逆方向に電圧を加えますと、アノードから供給された電子が、アノードと接する所に在ったホールを埋めますから、その原子の所にあったホールは消滅しますが、そうして中性となった原子は、次の瞬間には隣接する他の原子の所に移動して来た別のホールに電子を押し付ける事で、再びホールを持つ事になります。
一方電子を押し付けられた方の原子は、更にまた別の隣の原子に電子を押し付けて行きます。
こうした原子同士の電子の押し付け合いによりホールは移動して行きますが、空乏層にはホールが殆ど存在しないため、空乏層に隣接している原子には電子を押し付ける相手が居ません。
ホールは正の電荷を帯びていて、アノード側に印加された負電圧に引かれる傾向がありますから、空乏層からホールがやって来る事が無い以上、空乏層に隣接した原子の所には新たなホールがやって来る機会が少なくなります。
そのため、p型半導体の中で空乏層に隣接している領域では、ホールが殆ど無くなってしまいます。
p型半導体の中でホールが殆ど存在しない領域とは、空乏層そのものですから、逆伝方向の電圧が加わった結果、空乏層の厚みが増したという事になります。
この様にして空乏層の厚みが増す事で、p型半導体中でホールが存在している領域は、アノードに近い側に若干偏る事になります。
逆方向では電流が流れなくなる理由は後述しますが、もう少し複雑で、p型半導体が中性になってしまうからではありません。
ホールが全て埋まってしまう前に電流の流れは止まり、電流が流れなければ新たな電子か供給される事も無く、それ以上ホールが埋められてしまう事も無くなりますので、ホールが全て埋まってしまう訳ではありません。
>一方n型半導体では極板側に電子があつまり、接合面側ではプラスの電気が集まります。
>すると、p型半導体内の接合面側にはマイナスの電気があつまり、これにより全体として内部に電流を流さない向きに電場ができて、電流が流れなくなる、ということでしょうか?
はい、正確には、pn接合面そのものではなく、pn接合面を中心に、ある程度の厚みを持って生じる空乏層の両端に電気が集まるのですが、境界面に集まった電気によって生じる電場が電流の流れを妨げるという点において、おおむねその理解で間違いないと思います。
>ここで疑問なのが、p型内の電子が接合面を超えて、n型の方へ移動すれば、逆方向でも電流が普通に流れると思うのですが、実際には移動しないということですよね?これはやはり、p型半導体内部の共有結合によって自由電子が存在しないために移動できないと考えるべきでしょうか?
いいえ、pn接合面の近傍では、p型半導体から供給されて来るホールと、n型半導体から供給されて来る過剰な電子が、結びついて対消滅してしまうため、ホールや過剰な電子が殆ど存在しない領域が形成されています。(電圧を加えていない状態でも形成されています)
このホールや過剰な電子が殆ど存在しない領域の事を空乏層と言い、空乏層はpn接合面そのものではなく、p型半導体側とn型半導体側の両方に少しはみ出しており、若干の厚みを持った層となっています。
空乏層内のp型半導体側では電荷の移動のために必要なホールが不足していますからマイナスに帯電しています。
一方、n型半導体側では電子が不足していますからプラスに帯電しています。
そのため空乏層の両端には電位差が生まれ、電界が生じています。
空乏層の厚さはダイオードの電極に印加する電圧によって変化し、順方向に加える電圧が高いほど薄くなり、逆方向に加える電圧が高いほど厚くなります。
空乏層の厚みが厚いほど、空乏層に生じる電界は強くなりますから、逆方向に電圧を加えた場合は、厚みを増した空乏層が生み出す強い電界により、ダイオードの両電極に加えられた電圧が打ち消されてしまい、電流が流れなくなります。
【参考URL】
pn接合 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/PN%E6%8E%A5%E5%90%88
空乏層 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A9%BA%E4%B9%8F% …
ダイオード - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%82%A4% …
ありがとうございます。大変勉強になります。1つわからないことがあるのですが、
空乏層は不純物をあえて入れていないのでしょうか?
例えばシリコンの結晶でしたら、左半分にP(リン)を混ぜ、右半分はAl(アルミニウム)を
混ぜたとします。その時中央付近には、何も混ぜないのか、半分ずつきっちり混ぜるのか、
どちらでしょうか。
また、半分ずつきっちり混ぜるとすると、ダイオードに何も電圧をかけないとき、空乏層がすでに
少しできていると考えていいでしょうか?
No.2
- 回答日時:
>これはやはり、p型半導体内部の共有結合によって
>自由電子が存在しないために移動できないと考えるべきでしょうか?
特に間違ってはいないと思います。PN接合付近では
互いの正孔と電子とが結合し、P側は負、N側は正に帯電した
コンデンサのような絶縁層が生まれます。逆電圧はこの
絶縁層(空乏層)を広げるために使われ、電流はほとんど流れません。
順方向電圧ではキャリアの供給で絶縁層(空乏層)の厚みが減り、ある電圧で
一挙に電流が流れ始めます。
ご回答ありがとうございます。空乏層というのがちょっとわからないのですが、
ダイオードに何も電圧をかけない状態を考えると、
P型は電子が少ない状態で、N型では電子が多い状態です。
このとき、P型のホールとN型の過剰電子がそれぞれ極板側に引き寄せられている
ということのようですが、ここがちょっと理解できません。
N型は電子が過剰ですから、P型の電子はそれに反発して、電子が極板側に集まり
接合面側にホールが集まるような気がします。
だから空乏層というのは、電圧を何もかけていない状態のときはできない気がするのですが…
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