プロが教えるわが家の防犯対策術!

 1896年にドイツで開発されたモーゼルC96(後のモデルM712も含む)はトリガーの前にマガジンを持つ独特のスタイルを持つ拳銃として有名です。この銃は100万丁以上生産され世界中で使われたヒット作であるとされています。
 しかし世界の自動拳銃を見るとグリップにマガジンを挿入するタイプのものばかりで、C96のようなタイプの拳銃は他に殆どありません。何か欠点があるのでしょうか?

「モーゼルC96のような拳銃は何故廃れたの」の質問画像

A 回答 (6件)

 一般に、当時は先端でもやがてそれを超える物ができて旧式となるものですが、兵器はとくにその傾向が著しい分野です。



 モーゼル軍用拳銃は、試作、改良型完成したのが1895年ということですからまさに自動拳銃(オートマチック)の先駆け的存在で、これが1950年代ぐらいまで現用拳銃として世界各地で使用されていたこと自体、小銃と並んで信頼性の高い拳銃であったといえます。(1910年代には9ミリパラベラム弾タイプもあり。グリップに9の番号が彫られている)

 1890年代というと、騎兵戦(騎兵銃や槍で戦う)とか白兵戦(銃剣で格闘)という戦闘形態であり、槍や弓矢なども使われていました。そういう時代背景で誕生したのがモーゼル軍用拳銃で、

 戦闘状況に応じて単発、連射がつまみ一つで切り替えられる。弾切れを考慮して20連発カートリッジが装着できる、ショルダーストックを装着して馬上から射撃できる、格闘のときには銃身を持ってグリップで叩くというほか、なにより長銃身と重量が安定した命中率を保証したことが当時のニーズに合っていたわけです。

 しかし、開発当時から携帯性や重量といういうのが欠点と指摘されており、ドイツ(プロシア)陸軍は、すでにリボルバー式の拳銃を採用しており、制式としたのはトルコ陸軍でした。このようにモーゼル拳銃は『軍事後進国』とでもいいましょうか例えば中華民国陸軍などを中心に汎用されたことが特徴です。

 やがて戦闘形態が変わっていくにともない、また新型拳銃が開発されると消え去る運命になることは兵器の宿命であります。

 
 銃の薀蓄(うんちく)本でもあるライアルの『深夜プラス1』(76年)の主人公は、モーゼル拳銃の愛用者ですが、仲間のガンマンとの会話を引用しておきます。

>どんな銃だと、聞きかけたので「一九三二年型のモーゼルだ」と教えた。彼にしてはひじょうな驚きの表情なのであろう。表情が凍りついた。「あのでかいやつ? レバーを切り換えると全自動になる、あれか?」「そうだよ」彼はわずかに片方の眉をあげ、片方をさげた。私の正体が読めたらしい。私自身の銃に関する信念の一端を見せてしまったようだ。とんでない信念ではある。「トレイラーに乗せてひっぱっていくのか?」~ わたしはニャッと笑った。俗に「箒の柄」といわれたその旧式のモーゼル銃、特に全自動切り替え装置をつけた一九三二年型にまずい点は多々ある。目方は三ポンドもあって全長一フィートもある。握りの部分が不安定で、全自動で発射すると怒った猫のように手の中で跳ね廻る。しかし、長所もあるのだ。認める、認めないのは当人の勝手である。

 読んでいくと、ラストにモーゼル軍用拳銃の真価が出てくるのですが、この頃は既にマニアの拳銃となっていたんですね。

 資料:高橋昇「モーゼル軍用拳銃」 『GUN』1977年6月号所収 
   
    ギャビン・ライアル『深夜プラス1』 ハヤカワ・ミステリ文庫 1982年
 
 
    • good
    • 15

yamada504さん、こんにちわ。



確かにこの銃はベストセラーですが、全体的にサイズが大きい、馬に乗って使用するには都合がよいですが、携帯性に不便です。使用弾薬が反動が大きい、銃弾の装填方式もそう簡単に装填できる方式ではない。その点ではブローニングのショートリコイル方式の方がコンパクトで携帯性に適していたから廃れたのです。
    • good
    • 5

>何か欠点があるのでしょうか?



重くてデカイ。

そもそも軍隊では拳銃はサイドアーム(補助兵器)ですから。
重くてデカイのは軍用拳銃の欠点としては十分過ぎですよ。
    • good
    • 2

重い、デカい、かさばる、バランスが悪い、パーツに無駄が多くコストが割高になる、の五重苦だからです。

まあいかにもドイツ人らしいデザインですよね。凝ってるから理屈の上では「優れてるはず」だったのですが、実は使い勝手が悪いってね。ロータリーエンジンなんてその典型ですよね。

C96はその形状からストックをつけるとカービンとして使える(と思った)ので「ナイスデザイン」だったはずなんですよ。だけど、やっぱ拳銃弾では威力が足りなかったし時代にも合いませんでした。
だけど最近、グロックなんかをカービン銃にするFMG-9のようなコンバージョンキットが銃器界のトレンドとなっています。うむ、ようやっと時代が追い付いてきたってことですね。

ドイツ人のアイデアって結構そんなんがあります。ドイツが誇るマッドサイエンティスト、フェルディナント・ポルシェ博士が「ドイツ軍の戦車はギアボックスが壊れやすい」という問題の解決策として思いついたのが「ガソリンエンジンで発電してその電気でモーターを回したらギアは要らなくね?」という素晴らしいアイデア。なんとプリウスに先立つこと55年。

>何か欠点があるのでしょうか?

真面目に回答すれば、モーゼルに欠点があったというより、グリップに弾倉を入れるタイプの拳銃の改良が進んで、その形状でも信頼性の高い拳銃が作れるようになったので自然と廃れていったというのが本当でしょうね。

参考URL:http://dic.pixiv.net/a/FMG-9
    • good
    • 8

携帯性と火力の点でモーゼル弾(マウザー弾)を使うピストルは、ルガー弾(パラベラム弾)を使うオートマチックピストルやサブマシンガン(拳銃弾を使用する小型マシンガン)に駆逐されました。


#1の指摘にもあるように薬室から銃口までの距離が取れないので威力的に不利なのです。

モーゼルC96のようにグリップとマガジンが別になっている場合、ホルスターの作りが大きくなりますから、それだけでも携帯に不利です。また、ホルスターを使わずにベルトやズボンに挟んだ場合、マガジンが引っかかって邪魔です。いずれの場合もグリップにマガジンを内蔵したピストルより不利です。
強いて上げれば装弾数では有利になる(グリップの太さに制限されない)可能性もありましたが、二列マガジンが一般的になった現在では優位性はないでしょう。

そもそも、携帯するハンドガンとしては大きすぎ、マシンピストルとして使うには火力が不十分ですからね。軍ではピストルはセカンドアームですから大きさも重要。民生用としても大きすぎます。
    • good
    • 5

携帯性です。



銃のシステム上、マガジンの位置がまんまバレルの長さ=威力&命中精度に直結するので、コンパクトに仕上げるにはマガジンをグリップの中に入れるのが望ましいのです。
    • good
    • 3

お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!