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研修医です。指導医に、長谷川式で痴呆の評価をするように言われている患者さんは、脳梗塞後で、こちらの言うことがよく理解できず、またご自分で話したいこともうまく言えないことがあり、「あれ」や「これ」という言葉でいろいろなものを伝えようとします。またいろいろな名詞が「書類」という言葉に置き換わってしまいます。そういった患者さんに、長谷川式で痴呆の評価ができるのでしょうか。長谷川式で点数が低かったとしても、それが痴呆なのか、それともこちらの言うことがわからない、あるいは言いたいことを伝えられないだけなのか、はっきりしないのではないのでしょうか。ちなみに、読む・書く、ということに関しては、聞く・話す、よりもうまくできるようです。皆様のお考えをお聞かせください。よろしくお願いします。

A 回答 (4件)

この方は肺がんだったんですね。


失語症に肺がんが合併したのか、肺がんの脳転移なのか気になるところです。
私も失語症の症状が初発症状である肺がんの患者さんの経験があります。発話ができなくなり失語症の検査を開始したのですが、画像にてCVAではなく腫瘍であることが判明し、精密検査を行ったところ肺がんがみつかりました。肺がんの方は高い確率で脳転移がみられるようです。私もこのことは忘れないようにしています。

>言語機能の検査は施行していないのですが、こういった状況下で、した方がその方にとって残りの人生をより幸せに生きられるかどうか、難しいところです。

そうですね。yokojhonさんが患者さんのQOL(人生の質ー人間らしく生きる権利とでもいいましょうか)をお考えになっていることはすばらしいと思います。

ただ失語症の検査は中止基準が設けられていますので、この方のように重度の患者さんは比較的短時間で検査をすることができます。また専門家は患者さんが精神的にも体力的にも負担にならないように充分配慮して検査をします。
この方が残りの人生をまわりの方と幸せにすごしたいのであれば、専門家のアドバイス(まわりの方の話しかけ方の工夫、ご本人からの訴えを理解する方法など)も有効な場合もあることを申し添えます。

今回お答えしながら私も自分の臨床経験をもう一度ふりかえり整理することができました。ありがとうございました。
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この回答へのお礼

検査の結果、骨転移についてはなさそうですが、脳転移については頭部MRIで検討する予定です。ただ、脳梗塞をおこされたのが6年前で、直後から失語症の症状が始まっていますので、失語症が癌の脳転移巣からきているものとは考えにくいと思います。とはいえ、その可能性について私は全く考えていませんでしたので、再度学ばせていただきました。
長谷川式を施行した際、その患者さんがとても自信をなくされたご様子でしたので(これについては私の配慮の足りなさを後悔しています)、失語症の検査もしない方がいいのかもしれない、と考えていたところでした。しかし、ご回答を拝読いたしまして、やってみる価値が十分あるように思いました。院内にその専門家がいるか調べて、ご家族にお話してみようと思います。
mimireさんには何度もご相談にのっていただき、本当に感謝しております。教えていただいたことは、きっとこれからの診療に役立てたいと思います。

お礼日時:2004/05/31 00:40

貴方が何科で研修されているのかが不明ですが、既に皆さんが述べられているように、もし貴方の患者さんが失語症の場合、当然長谷川式は意味がありません。



思うに、脳梗塞後後遺症としての構音障害の可能性があるのではないでしょうか?

また、こちらの言うことが良く理解できないとの事ですから、勿論そうかもしれませんが(失語症)、患者さんの注意力並びに理解力の低下の可能性を考え、ゆっくりとお話になられることは大切です。全てに置いて患者さんの反応は低下しています。

そのあたりのことを考慮の上、工夫を凝らし多角的に質問されては如何でしょう?

また、単に痴呆のレベルを把握するなら何も長谷川式に限ることもないと思います・・色々と指導医の求めることはあるとは思いますが・・一人の患者さんからたくさんの事を学び、無事に研修医を終えることを期待しています。
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この回答へのお礼

お返事が遅くなりましたが、私は現在、呼吸器科で研修しています。患者さんのお話を聞いているかぎりでは、発音に関しては不明瞭なところはほとんどなく、構音障害の可能性はあまり考えていませんでした。
アドバイスしていただいたように、なるべくゆっくりと、わかりやすい言葉でお話しするように心がけますね。
皆さんのご回答の内容を指導医に話したのですが、長谷川式は教授(私は大学病院に勤めています)の指示だからと、結局納得のいかないまま長谷川式を施行させていただくことになりました。
研修はいろいろと大変なことがありますが、常に患者さんのことを一番に考えて診療にあたりたいと思います。
marutakaさんのご回答にはとても励まされました。どうもありがとうございました。

お礼日時:2004/05/31 00:06

 昨日はお急ぎのご様子でしたので簡単にお答えしましたが、まだ締め切られていないようですのでもう少し詳しくお答えします。


 長谷川式痴呆診査スケールを見直してみたところ、改めてすべての項目で失語症の患者さんには大変困難なことを実感しました。例えば聴覚的理解の障害のため質問の意味が理解できないでしょうし、発話の障害のため年齢や日付、単語の名前(物品名、野菜の名前など)などは正確に答えられないでしょう。また失語症では計算能力や聴覚的把持力も低下すると言われています。失語症患者さんにはこの検査の本来の目的である痴呆鑑別が難しいことになります。
 失語症患者の知能の評価には非言語性の検査を用いることが多いです。わが国で比較的よく用いる検査は次のようなものです。
 
 WAIS-R成人知能検査改訂版
 日本版レーブン色彩マトリックス検査
 ベントン視覚記銘検査
 コース立方体組み合わせテスト

 しかしこれらの検査は視覚認知の問題、構成能力の問題などがあると正確に評価できません。また言語性の検査ほどではありませんが非言語の検査でも多少失語症の影響があるという考えもあります。
失語症患者と脳血管性痴呆患者とでは発話の特徴や失語症検査の成績のパターンも異なると言われており、発話のみられる患者さんについては臨床経験を積むと会話だけでもある程度の鑑別ができるようになります。(今回の患者さんは重度の失語症のようですので会話から鑑別することは厳しいですが。)
 失語症に痴呆症状が合併することは珍しいことではなく失語症と痴呆の境界を明確に分けるのは大変なことですが、失語症と痴呆では病態や働きかけ方が違うので上記の検査結果や行動面(見当識、状況判断、記憶など)などから総合的に鑑別診断を行っていく必要があると思います。
 今回この方に言語の各側面(「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算」など)の言語機能の検査はされているのでしょうか。されていないのでしたらお近くの専門の先生(STなど)にみていただき、訓練の必要性、有効なコミュニケーション方法、接し方、予後などのアドバイスをお受けになることとおすすめします。この分野は近年大変研究がすすんでいます。

失語症と痴呆についての文献を紹介しておきます。

 医歯薬出版「リハビリテーション医学全書11 言語障害」
 大修館書店「失語症とその治療」
 協同医書「脳卒中後のコミュニケーション障害」
 健ぽう社「言語聴覚療法シリーズ3高次脳機能障害」
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この回答へのお礼

詳しく教えていただき、ありがとうございます。大変勉強になります。
リハビリについて考えてみましたが、精密検査の結果、その方は肺癌のかなり進行した状態だということがわかり、高齢ということもあって、積極的な治療はしないことになりそうです。
言語機能の検査は施行していないのですが、こういった状況下で、した方がその方にとって残りの人生をより幸せに生きられるかどうか、難しいところです。
御紹介いただいた文献を参照させていただいて、ご家族と話し合ってみようと思います。
本当にありがとうございました。

お礼日時:2004/05/29 12:33

失語症患者さんに長谷川式で知能の評価をすることはできません。

yokojohnさんも書かれているように、長谷川式の課題は失語症患者さんには困難なものが多く含まれているからです。
失語症患者さんの知能は、非言語性の検査(WAISの動作性、コース立方体組み合わせ、ベントン、レーブンなど)をいくつか行い、その他の情報(行動面など)などから総合的に判断します。
長谷川式は手軽に知能の検査ができるため、安易に使われがちなので注意が必要です。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございました。身近にこういった知識をもった人がいないので、とても助かりました。指導医とよく話し合って、神経内科にみてもらおうと思います。

お礼日時:2004/05/28 07:07

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