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メチルベンゼンのスルホン化における速度論支配および熱力学(平衡)支配とは何か?
という問題が分かりません!困っていますお願いします!

A 回答 (1件)

例えば、 A + B → C* →D という反応があったとします。


C*は活性中間体で、実際の生成物は、Dです。
同じように、 A + B → G* → H という別の反応(副反応)も
起こるとしましょう。
律速段階(反応速度を決める段階、最も反応速度が遅いところ)は、
C*やG*など、中間体を生じるとします。
もし、C*は非常に安定で、G*は不安定だとすると、AとBを混ぜた途端、
C*が沢山生成し、G*は、ほとんど生成しません。
Dが生成する速度は、Hが生成する速度よりも、大変早くなり、
この反応生成物は、ほとんどがDとなります。
もしこの反応が、不可逆反応ならば、主反応生成物はDという事で決定です。
これが、速度論支配という事です。
一方、これらの反応が可逆反応だと話が変わります。
一旦反応性て生成したものが、また元の原系に戻ってしまうからです。
可逆反応の場合、反応中間体の安定性ではなく、生成物の安定性、
つまり、DとHの安定性の差が大切になります。
一般的に、中間体が安定なものほど、生成系も安定になるのですが、
必ずしも絶対ではありません。
そこで、具体的にメチルベンゼン(トルエン)のスルホン化について
見てみましょう。
メチルベンゼンのスルホン化ですから、o,p配向となります。
それは、メチル基が電子供与性で、反応中間体であるσ錯体の安定性が、
o,p位が安定化するためです。
ところで、この親電子置換反応であるスルホン化は、可逆反応です。
o位は、メチル基との反発がありますから、生成物としては、立体障害のない
p位の方が安定です。
またp位は1箇所ですが、o位は2箇所あります。
スルホン化が完全に速度論支配ならば、o,p配向となり、
生成物の安定性は関係なく、o;p=2;1になると思われます。
それでは、実際にはどの程度の配向性になるのでしょうか?
各温度での生成比を見てみましょう
  温度(℃)   o         m          p
   0     42.7%       3.8%       53.5%

    35      31.9%       6.1%       62.0%

    75      20.0%       7.9%       72.1%

    100      13.3%       8.0%       78.7%
  
(出典;有機化学の基礎4 親電子反応 稲本直樹著 培風館 p26 )

温度が高くなると、熱力学的支配が優先してきて、p位の生成比率が
上昇している事がわかります。
まとめ
メチルベンゼンのスルホン化に際し、生成物は、オルトーメチルベンゼンスルホン酸、
メターメチルベンゼンスルホン酸、パラーメチルベンゼンスルホン酸の3種類が生成する。
その生成比率において、反応中間体(σ錯体)の安定性の差、つまり反応速度に
支配されて、oとpメチルベンゼンスルホン酸の2種類の化合物が主生成物となる。
しかし、スルホン化は可逆反応なので、反応生成物の安定性、つまり熱力学的支配も
受け、それにより熱力学的に安定なパラーメチルベンゼンスルホン酸の
生成割合が上昇し、高温ほどその傾向は強くなる。
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