表記の通り質問させていただきます。
火力発電所を停止させる時は、タービンを停止させてボイラーの火を止め、復水器の真空を破壊するという順序になると思うのですが、この時どうして復水器の中の真空を破壊する必要があるのですか?
負荷のない状態でタービンを回転させ続けるのは良くないと思うので、停止させるのは分かります。(風損?発電機が原動機になり、回転数が上昇し続けてしまうと聞きました。)
ボイラーの火を止めるのも、空焚きをするのは良くないとわかるので、理解できます。
復水器の真空は、次回起動時のために破壊しないで真空状態を保持したほうが良いと思うのですが、違うのでしょうか?
各系統に残留している水の水質等が関係しているのかなと考えましたが、結論に至りませんでした。
そこで質問させてください。
・火力発電所の停止時、なぜ復水器の真空を破壊するのでしょうか?
(長い期間の停止ではなく、短い期間の停止を想定しています。)
・復水器の真空破壊などの考え方は、汽力発電や、コンバインドサイクル発電で違いはあるのでしょうか?
以上、稚拙な質問ではありますが、素人にも分かるような回答と、熟練した人にも通じるような回答を頂けたらなと思っています。
よろしくお願いします。
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
No.3です。
>これはつまり、タービンのターニング運転のことですか?
違います。ターニングとはコロコロとタービンを回してたわみを取るもの。回転数はそれぞれですけど,3min-1とか(1分に3回転)程度で,小さなモータで回すもの。
火力用タービン・発電機は高速回転で一次危険速度の上の回転数で運転するもの。長期停止中のたわみの影響で一次危険速度が大きくなるのを防ぐため,低速でコロコロと回してたわみが無いようにするものです。
私は前にも言ったようにタービン屋でないので専門ではないけど,火力だと500℃位(あまり正確ではないけど)の蒸気で回されるので,大きな鉄の塊が延びる訳です。この伸びが安定しないといけない。一般には規定時間暖めて,タービン伸ばしてそれから負荷をとっていくというステップが必要な訳。
タービンの本職でないので,詳しい事は解説できません。タービンには伸びを監視する計測器がありますしね。あまり焦って負荷を取り出すと,ラビングと言ってタービンが擦れてしまう事象が発生する。したがい,一般には既定の時間一定の負荷(もしくは無負荷)でタービンを暖めて所定の伸びを待つのです。
まあ,火力の運転パターン経験している人は専門外でも,おおよその事は言えます。
これ以上の詳しいメカニズムについては専門外なので,ここで言いません・・・というか,解説できないので。静翼と動翼の微妙な関係らしいのですけどね。それからタービンの枠もあるらしいけど。
ご参考までに。基本的に間違ってはいないはずです。火力のタービン起動は何度も見てますから。(メーカー違っても同じと思います。)
ありがとうございました。
話がそれてしまいましたが、また火力発電所の設備等について質問したいと思いますので、もし機会がありましたらその際はよろしくお願いします!
No.3
- 回答日時:
直接真空破壊とは関係ないですけどとお断りして。
タービンを無負荷で回してはいけない理由がちと違う。無負荷は通過点なのでタービンは無負荷で長時間回すものではないという事です。タービンの熱伸びの関係で,特に長期停止後は無負荷で数時間運転(熱伸びを待つ)しなければならないのも事実。
私はタービン屋ではありませんが,タービン屋から聞いた話。
無負荷(から回し)だと必要な蒸気も少なくなり,タービン最終段あたりでは蒸気が水になり翼を侵食するそうです。
実際にタービンの翼に出来たエロージョンは見た事あるし,触った事あります。
ステンレスの翼が侵食されてザラザラになっておりました。
>風損?発電機が原動機になり、回転数が上昇し続けてしまうと聞きました。
基本的にタービン停止前に発電機停止(遮断器開放)です。発電機がタービンを回す事は可能ではありますがそのような事にならないようになっています。(逆電力トリップとか)
仮に発電機が系統に接続されてモータとして作用しても,回転数は上がりません。火力発電の発電機は同期機なので回転数は原理的に動くことはないです。
ご回答ありがとうございます。
真空破壊に直接関係のないお話でも大歓迎です!
>特に長期停止後は無負荷で数時間運転(熱伸びを待つ)しなければならないのも事実。
これはつまり、タービンのターニング運転のことですか?
無負荷だと蒸気が少なくなり、タービン最終段の辺りで蒸気がドレン化し、翼に侵食を起こすということですね。
無負荷というのはつまり、発電機遮断機が開放されてタービンが軽くなり、タービンを回転させるのに必要な力(蒸気)が少なくなることから、余分な蒸気がタービン最終段の辺りでドレン化してしまう、ということですかね…?
タービン内のメタル温度が下がり、蒸気との温度差が生じてしまうということでもないんですかね?
支離滅裂な内容かもしれません。
申し訳ありません。よろしくお願いします。
No.2
- 回答日時:
No.1です。
「補足」に書かれたことについて。>わざわざ真空破壊弁をあけて真空引きをするのには何か特別な理由があるのでしょうか?
まあ、真空ポンプ以外にももろもろ要因がありますが、次に大きいのは「圧力のシール」でしょうか。
タービンの内側が「真空」、外が「大気圧」なので、タービンの内外は機密にしないといけません。しかし、タービンの回転軸は「大気圧」に置かれた発電機に接続しないといけません。回転できるためには、微小なクリアランス(空間、間隙)が必要なので、「回転軸」を密封するわけにはいきません。
このため、タービンの軸受けには、特別な「圧力のシール」の仕組みがあります。そこにも「蒸気」を使います。
単純化して説明すると、軸受の「真空」と「大気圧」の真ん中に、蒸気の吹き出し口を作ります。そこから出た蒸気は、
(1)吹き出し口→大気側 への流れと
(2)吹き出し口→タービン内
への流れを作ります。(1)の流れによって、空気が「大気側→タービン内」に流れるのを防ぐのです。(2)は、タービン内の復水器で「水」になりますので、復水器内の空気は増えません。
ボイラーが止まると、この「シール蒸気」が供給できなくなり、軸受を通して空気がタービン内に流入することになります。
川の堤防が、ごくわずかな亀裂に少量だが流速の速い水が流れることであっという間に決壊するように、軸受の狭いクリアランスを空気が高速でリークすると、水滴などの流れで軸受部に侵食(エロージョン)が発生し、機械的な損傷の原因になります。これを防げぐためには、シール蒸気が供給できなくなったら、できるだけ速やかに「圧力差」を解消してやらなければなりません。そのために、速やかに「真空破壊」しなければならないのです。
もちろん、シール蒸気を維持するために、発電用のボイラーとは別の、所内蒸気用ボイラーなどから蒸気を供給することで、真空を維持する運用も可能ですが、そのためのコストがかかります。
↓(参考)エロージョン
https://www.tlv.com/ja/steam_story/1006erosion.h …
単純化すると、以上のようなことです。何事にも、合理的な理由があります。
火力発電所を運用する電力会社や大工場は、その運転や保全に関してはプロです。省エネ、無駄なコストの排除、そして設備の健全性や寿命の維持に、長年の経験を持っています。決して、無駄なことはしません。
ユニットが停止したらシール蒸気が確保できなくなるため、速やかに真空破壊をするんですね。
理由としては、タービンの軸受部の僅かな隙間から空気が流入し、それがタービン軸受部に侵食が発生し、機械的な損傷を起こしてしまうため、ということでしょうか。
ふと思ったのですが、侵食が起こり機械的な損傷が発生するのは、軸受部のみだけではなくタービン翼も発生しませんか?
軸受部から流入する空気は、軸受部→タービン翼→復水器、という流れで流入してくるという想像ができたので…
No.1
- 回答日時:
復水器の真空は、頬っておいて維持できるようなものではありません。
蒸気駆動のエジェクターや「真空ポンプ」て維持しています。復水器を使わないなら、エネルギーを使って真空を維持する必要はありません。通常の火力発電所では、真空ポンプとして、電気モーターでの「真空ポンプ」は起動停止時の一時的な使用で、ボイラーが動いているときには蒸気圧による「蒸気エジェクター」を使います。その方が省エネになりますから。従って、ボイラーが止まれば駆動源がなくなるので、電気を使うよりも真空引きそのものを停止します。
↓ 蒸気エジェクターの例
http://jvia.gr.jp/glossary/%E3%82%A8%E3%82%B8%E3 …
申し訳ありません、間違えて補足に投稿してしまいました。
あらためてこちらで投稿させていただきます。内容は同じです。
ユニットの停止時に真空ポンプを停止させるのは分かります。
しかし、わざわざ真空破壊弁をあけて真空引きをするのには何か特別な理由があるのでしょうか?
真空ポンプだけ停止させれば徐々に真空引きされると思いますが、真空破壊弁を開ければ短時間で真空引きされると思います。
次回起動のために、少しでも真空状態を維持していたほうが短時間で起動できると思うのですが……
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