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原則 無権代理に法定追認はない⇒まちがってないですよね?

気になるシーンがありまして、

ミナミの帝王のワンシーンなのですが、

確か、廣瀬(沢木親分の子分)が、田所に対して、毎日、ドアを叩き、返済を迫るシーンがあります。

田所「そんな、借金はしりません」(これが無権代理行為)
廣瀬「そんなら、利息だけ払っておくなはれ。そしたら、ワシの顔もたちます。」
廣瀬「ワシの顔を立ててくれたら取り立てはもうしません」
田所「ほな、利息は支払います」

ーー翌朝、銀ちゃんと廣瀬が登場

銀ちゃん「利息を支払ったということは、無権代理行為の追認に該当するんや。きっちり払っていただきまひょか」
銀ちゃん「司法試験を勉強していて、そんなことも知らんのかい」

Vシネマでは、長江健司が田所役でした。

これってどうなんですか?
無権代理行為の追認なのでしょうか?

A 回答 (4件)

>無権代理に法定追認はない


その通りです。判例(最判昭和54年12月14日)同旨。
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これで質問の回答としては終りなんですがそれじゃあ面白くもなんともないので以下は無駄に詳細過ぎる解説、つまり、おまけです。読む必要は全くありません。

単に「フィクションだから」で済ませてもいいのですが、それは質問の回答ではないですね。よって、きちんと法律的に考えてみます。

無権代理行為に追認擬制はないが、そもそも追認擬制の問題と考える必要はないでしょう。
ぶっちゃけ、単に取消すことができる行為と区別を付けていない、つまり、間違ってるだけってのが本当のところだとは思います。でもそう決め付けることもないですよって話。

まず、質問を読む限りにおいては特に法定追認とも言ってないようですから敢えて法定追認の問題だと捉えなければならない理由はありません。

ところで法定追認に関しては、最初に述べた判例では、「取り消しうべき行為についての法定追認を定めた民法一二五条の規定は、無権代理行為の追認には類推適用されないと解するのが相当である」と明示してます。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/323/ …
ですから、追認擬制があるとかいう話は無視しましょう。あるってんなら条文その他の根拠を出せってんだよね。…なんかさぁ、どいつもこいつも条文も判例も調べずにどうして自信満々ででたらめな回答ができるんだ?
それから、アウトローだしフィクションだからって考えるとまともに法律論を論じるのは野暮です。しかし質問の趣旨は、フィクションの中身が現実と合致しているかどうかってことじゃないでしょ?「フィクションに出てきた話をベースにして、現実はどうなってるか(どうだったか)を聞きたい」ってんじゃないの?そこで「フィクションだから」って答えるのは、間違いじゃないけど、質問に答えてないよね。で、質問の答えは最初の2行。これに尽きます。
もっとも、
>Vシネマでは、長江健司が田所役でした
こういう質問内容との関連で限りなくどうでもいいことが書いてあると読んだ方が勘違いすることもあるかも知れませんが。役者が誰だろうと答え変んないでしょ?それとも結論に影響する何かがあるんですか?

話を戻します。

利息を弁済するというのは通常は元本債権の存在を前提としている。
よって、利息の弁済は元本債権の承認を含む行為である。
ここで、元本債権の発生原因である金銭消費貸借契約が無権代理行為によるものであるならば、法律的に見れば、利息の弁済により当該無権代理行為を追認したものと【推定することができる】。

とこういう話だと考えることはできます。

理解の前提として、無権代理行為は、無効ではなく効果不帰属です。民法113条1項に「本人に対してその効力を生じない」と書いてあるのは、本人でない無権代理人と相手方の間には一定の効力があるということを意味します。つまり、無権代理行為による法律効果は、一応有効なものとして存在するが、単に本人には帰属しないということです。そして、本人は、追認によって効果を自らに帰属させることができます(116条本文)。
取消しの場合は、一応有効で効果も帰属していることが前提です。だから、催告に対して確答しないと、有効で効果も帰属している状態がそのまま確定します。つまり、追認が擬制されます。元々有効で効果も帰属しているのだからその状態をそのまま維持できるように追認を擬制するってことです。法定追認もその延長線上にあって、元々有効で効果が帰属しているから一定の行為を以て追認を擬制するのです。
ところが、無権代理行為は確かに無効ではないとは言え、効果自体は本人に帰属しないのが原則なんです。だから、催告に対して確答しないと、無効じゃないけど帰属はしていないという状態がそのまま確定するんです。つまり、追認拒絶と擬制されるんです。逆なんですよ。それは元々がどういう状態か(有効か効果不帰属か)ということで決まるんです。だから法定追認も類推適用されないんです(最判にはそういう理由は書いてありませんけどね)。擬制する場合は「拒絶を擬制して効果不帰属状態を確定させる」んです。
以上が、無権代理の場合と取消しの場合の根本的な違いです。元々どういう状態にあるのか、そこから擬制がどちらになるかが決まってるんです。

さて、そこで質問に戻ると、これは、「利息を支払った」という事実にいかなる法的意味があるのかという事実の法的評価の問題です。つまり、「利息を支払ったという事実は116条本文に定める追認をしたということである(=黙示の追認に当たる)」という"主張"になります。
これは法定追認ではなくて、"個別具体事例における"一定の事実が、法的評価としてどのような評価を受けるかという問題であり、訴訟法上、言い換えれば、実際に訴訟になったと仮定した場合には、事実上の事実推定の問題となるのです。

ちょっと脱線しますが、訴訟法上、事実推定には二種類あります。一つが法律上の事実推定。もう一つが事実上の事実推定です。ちなみに、その他に法律上の権利推定ってのもあります。
(1)法律上の事実推定とは、法律の条文に推定規定がある場合です。典型例は、民法だと186条2項の「前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したものと推定する」というもの。これは、取得時効において占有の継続という事実が要件となっているところ、前後の両時点における占有を立証しさえすれば、占有の継続という要件事実は証明しなくても推定するという規定です。これに対する相手方の対応の話は…、うん、民訴の知識としては非常に重要だけど、質問とは直接関係ないし面倒くさいので省略します。
(2)事実上の事実推定とは、法律の条文にない推定のことで、訴訟においては、証拠から事実の存在を認定すること又は間接事実から主要事実の存在を存在を認定すること。つまり、事実認定、言い換えれば、裁判官の心証形成そのもののことです。
例えば金銭消費貸借契約書が証拠として出てくれば、金銭消費貸借の合意があったということを推定することができます。あるいは、金銭の受取証が証拠として出てくれば、金銭の授受があったことを推定することができます。あるいは、原告の銀行預金から100万円の引出しという事実及び翌日に被告の預金口座に同額の預け入れがあったという事実を証拠から認定したら、両事実から「もしかしたら」この100万円は原告から被告に渡されたものかもしれない、つまり、金銭の授受があったかもしれないという推定ができます。
前の二つは、直接証拠から主要事実を認定するという裁判官の心証形成の作用であり、これは事実上の事実推定です。また、最後の一つは、(何らかの間接証拠から認定した)間接事実から主要事実を認定するという裁判官の心証形成の作用であり、これも事実上の事実推定です。
なお、参考として。知らない奴は民訴法に関しては話にならないってくらい超絶有名な話ですが、民訴法に文書の作成者の署名又は押印があれば文書の成立の真正を推定する規定があります(民訴法228条4項)。ここでこの「署名又は押印」は、作成者自身の意思に基づくものであることが必要です。そしてこれまた超絶有名な判例(最判昭和39年5月12日http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/145/ …)があって、簡単に言うと、文書の印影が本人のものであることが証明されれば(印影が実印で印鑑証明書が証拠として出てきた場合)、その印影は本人の意思に基づく押印であると"事実上の(事実)推定"が働き、更に民訴法228条4項(判例の時代は旧民訴法なので326条になっています)によって、文書が真正に成立したものであると"法律上の(事実)推定"が働くというものです(二重の推定って言います)。この条文一つで事実上の(事実)推定と法律上の(事実)推定の両方が登場するのでその違いが理解できます(ただし、印影の話は、通常の個別具体的な訴訟毎に異なる事実推定とは異なり、経験則上、一般的に推定されるという点で、法律上の推定に近いものではあります)。

話を戻します。
利息を支払ったという事実は何を意味するでしょう?利息の支払いは元本債権が存在するということが前提です。ということは、利息を払ったということは元本債権の存在を認めたという意味だと考えることができます。元本債権の存在を認めるとは、金銭消費貸借契約に基づく弁済義務の存在を認めるということであり、当該契約が無権代理によるものであれば、本人が当該契約を追認したと評価することができます。
つまり、利息を支払ったという間接事実から、無権代理による金銭消費貸借契約について、本人が追認したと「推定できる」のです。

字数制限に引っ掛かったので以下別稿に続く。
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No.3の続き。




ところで、推定と擬制の違いは、ご存知ですよね?念のために解説すると、「推定」とは、一応これこれと考えるが反証があれば覆るという意味で、「擬制」とはこれこれであるということにしてしまって反証があっても覆らない(そもそも反証を認めない)という意味です。条文上は「推定する」と「みなす」と書き分けています。なので法律論で安易に「みなす」って言っちゃダメです。法律論では「みなす」は擬制の意味ですから。明確に意味の定まっている法律用語をいい加減に使う人(まあ、一般論として言葉をいい加減に使う人と言ってもいいのですが)は法律を理解していません。誤字脱字がやたら多い奴も要注意。文章の形式が無責任な人間は、中身もほぼ無責任なデタラメです。

話を戻します。
結局、利息を払ったという事実は、追認の存在を推定させる事実であるということになります。その意味で、

「利息を支払ったということは、無権代理行為の追認に該当する」

と表現をしたとしても、法律的には不正確であるにしても、あながち間違いではないということになります。日常会話でそんな厳密に法律的に正しい表現をしますか?しないでしょう?下手すれば法律論を論じているときですら、いい加減な表現をする連中がごまんといるってのに。
すると、このセリフがドラマの中ではなくたとえリアルで出てきたとしても、不正確だけど趣旨が間違っているとは限らないということになります。

例えば訴訟において、原告が「本件金銭消費貸借契約が無権代理行為によるものであるとしても、被告が利息を支払ったという事実は、本件金銭消費貸借契約を追認したということである」と主張しても別に間違いじゃないんですよ。
対して被告は、「利息は支払ったがそれは、しつこい取り立てに根負けして、お引き取り願うためにやむを得ず支払ったものである。決して無権代理行為による本件金銭消費貸借契約を追認したものではない」と主張したっていいんです。法定追認じゃないから、利息支払いの事実を自白したとしても、追認したことを認めたことにはなりません。
後は、裁判所が判断することです。少なくとも法定追認にはならないので、裁判所の事実認定で決まる問題であるというだけのことです。

予定外に随分長くなったけどこんなとこかな。実体法の問題であっても推定規定は訴訟法的な視点で見るとよく判るんだけど、訴訟法知らない人の方が多いからねえ。少しは理解の参考になればいいんだけど。
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本人による一部または全部の履行があったときは 追認したとみなされるとの規定があります。

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> これってどうなんですか?


考証をしっかりやっているのか疑問ですね。

> 無権代理行為の追認なのでしょうか?
考え方が違うと思います。
闇金です。
つまり、違法行為を平気で行う犯罪者です。
言いがかりを付け。金をむしりとる口実を、法的根拠に関係なく、相手を言いくるめて、金を脅し取る事を目的とした言いがかりをつけているだけです。


違法業者の違法な取立ての場面ですから、適法な言い分では無いとしても、ドラマとしては成立すると思われます。
で、違法行為な取立ての中の台詞が適法なものではないことを、その台詞が適法でない事を問題だと論じても、誰にも何も得るものはないので無意味だと思われます。
推理ドラマで、殺人の場面が映されたが「人が何時から合法になったのですか」と質問するようなものでしょう。


法的に論ずるなら、各人の法的立場、特に「廣瀬」が何故取り立てにあっているのか等の説明が無いので、書かれた状況では判断に足る材料も無いことになります。
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