No.4ベストアンサー
- 回答日時:
結論として、「製造物責任法も過失責任主義である」が正解です。
1 損害賠償の原則は民法709条に規定され、「故意または過失により」過失を要件とする過失責任主義になっています。
・ 製造物責任法はこの特別法で、製造物については「欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる」(第3条)欠陥を要件にしています。
・ 貴テキストは、この第3条を根拠に 「欠陥さえあれば、欠陥を生じたことに過失がなくても責任を負う」無過失責任と記載したのだと思います。
2 が、製造物責任法第4条は、「製造物をその製造業者等が引き渡した時における科学又は技術に関する知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかったことを 証明した場合には、賠償責任を負わない」製造業者等の免責を規定しています。
・ これは、「引き渡し時における最高の科学および技術の知識をもっても欠陥を予見できなかったことを証明した場合には免責する」の趣旨で、「予見し欠陥を防止できたのに、その注意義務を怠った場合には賠償責任を負う」過失責任主義が維持されています。
3 分かり易く言うと、製造物責任法の立法趣旨は、「欠陥製品による被害の救済を容易にする」訴訟上の問題解決です。具体的には次のとおり。
・ 製造物責任法ができる前も、欠陥製品による損害は、民法709条により賠償されました(製造者は賠償義務を負っていました)。
・ が、民法709条による請求は、原告である被害者が、「欠陥は製造者の過失によって生じたことを立証しなければならない」専門知識のない一般消費者には現実的に困難な訴訟を必要としました。
・ そこで、製造物責任法は、「原告の被害者は、製品に欠陥があったことを立証すればよい。欠陥が過失によって生じたものかついては、被告の製造者等に過失がなかったことを証明させる」過失の立証責任を原告から被告に移転しました。
・ ここにおいて、「引き渡し時における最高の科学および技術の知識をもっても欠陥を予見できなかったことを証明することは現実的に困難。製造物責任は事実上の無過失責任」と実務上の認識が生じました。
4 まとめると、次のとおりです。
・ 製造物責任法は、製造物責任という無過失責任を創設した法律ではない。
・ 法律上の意味は、過失責任主義を変えず、訴訟上の立証責任を転嫁したことにある。
・ が、製造業者等の訴訟実務においては、事実上の無過失責任に等しい立証責任を負った。
5 過失論は法理論としても難しいもの。テキストは、説明を簡単にするために「無過失責任と理解していい」の趣旨かも知れません。
・ いずれにせよ食生活アドバイザーの守備範囲を超える理論です。
・ 肝要は、「なぜその商品が安全なのか」「危険を排除するために何をすればよいのか」安全の裏付けと実用の注意点を製造者・消費者が共有すること。食生活アドバイザーは、双方の視点で食の安全を見守ることが大切と思います。
・ 試験の合格をお祈りいたします。
この回答へのお礼
お礼日時:2016/06/21 21:23
印刷して何度も読んだので、お礼が遅くなりすみません。
ご丁寧に回答いただいたので、やっと分かりました。
ありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
例外があるだけのことです。
例えば、民法404条では、利息は年五分でしよう。
それを制限している法律が、利息制限法でしよう。
これと同じです。
原則は過失がなければ責任はないですが、特別法で責任の範囲を決めているだけのことです。
No.1
- 回答日時:
>製造業者が無過失であっても賠償責任を負わせるという法律~
これ間違い。
テキストを何か読み間違えているのではありませんか。
消費者庁 製造物責任(PL)法について
http://www.consumer.go.jp/kankeihourei/seizoubut …
から、冒頭の文を抜粋。
/***ここから
製品の欠陥によって生命,身体又は財産に損害を被ったことを証明した場合に,被害者は製造会社などに対して損害賠償を求めることができる法律です。 本法は円滑かつ適切な被害救済に役立つ法律です。
ここまで***/
逆にこの法律で製造業者は守られています。
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