No.3ベストアンサー
- 回答日時:
今月に入ってから、ボストンで大学教授をなさっていた、エリー・ウィーゼル氏が、亡くなられました。
暴力や圧政や差別を告発する本を書き続けて、1986年にノーベル平和賞を受賞なさった方です。ちょうど、ボストンに滞在中でしたので、かの地で、大きなニュースとして取り扱われるのを目前にしました。氏は、第二次世界大戦中、アウシュビッツに収監され、家族を失っています。”ユダヤ民族は、その悲痛な歴史を世界に発信する、声を失った”というのが、共通の感想でした。
フランスで哲学を学び、新聞記者として、彼なりの正義に立脚した記事を書き続け、やがて、書くことをためらっていた、自身の収容所での経験を小説にします。どんなに勇気が必要だったことでしょう。
日本の記事です。
http://mainichi.jp/articles/20160703/k00/00e/060 …
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%AA …
こちら、ボストン・グローブの記事です。写真も、記事の長さも、桁違いです。
https://www.bostonglobe.com/metro/obituaries/201 …
ユダヤ人の被災が、戦後八十年もたとうとしている現在でも、忘れられることなく、アメリカ各地にホロコースト博物館が建てられてゆくのにも、彼のような優れた文学者の作品に帰するところが大きいと思います。
文学は、直接人々の心に語りかけ、社会を変えてゆくきっかけになるものではないでしょうか。
ご質問から、真っ先に彼の名を思い出しましたので、一応、お知らせだけして、回答とします。
ご回答感謝いたします。
エリー・ウィーゼルという名前は初めてですが(無知ですいません)、
私の好きな「タイプ」の方のようです。
有名な「夜と霧」「イワン・デニー・ソヴィチの一日」を続けて読んだ
ことがあります。
読んでいるうちに、生きる力がモリモリわいてきた記憶が鮮明に残って
います。
これは、かなり若いころのことですが、「ジョニーは戦場へ行った」と
いう小説を読んで、例えようのない衝撃を受け、これを映像で見たらど
んなにすごいだろうと思い、確か貸しビデオ屋で借りて見たときにとて
もがっかりしたことがありました。
映像での表現は、人間の精神世界の表現には全く向いていないし、限界
がありますね。文字、文章による表現というものは、他の表現方法に比
べずば抜けた力があると思います。全ての面において。
優れた文学が、飢えた人々に対し、「勇気」を与えることができるとの
ご回答、お見事です。
No.7
- 回答日時:
NO.6に言うけれど、
著作家、著述家の書に価値はない。
モンテーニュもカントも著述家である。ほかに無数にいる。彼らは自己の意見ではなく勝ちたいのだ。
新約聖書は読むべきだがおまえの価値観が違っている。
旧約聖書は避けるべきだがおまえの理由が違う。
おまえはあれなのにあれで喜んでいる。
No.6
- 回答日時:
#1の回答お礼関連で。
文学と言う範疇が大き過ぎて、どの切り口からの質問か判りません。
私は、ご多分に漏れず世界の文学史上例外的な文学である和歌や俳句や川柳をひねり出すぐらいのことは楽しんでいます。何故例外かと言うと、世界中の文学作品は、僅かな制作者と圧倒的大多数の読者という形で成り立っています。しかし、日本の文学である和歌や俳句や川柳は、その反対に圧倒的多数の制作者と僅かな読者で成り立っている。この世に、他人から読まれなかった和歌や俳句や川柳の秀作がどれだけ存在するか、想像だに出来ません。
和歌や俳句や川柳は、芸術の真髄である創造性の喜びを日本人なら隈なく皆に経験させてくれる不思議な芸術です。それ以外の芸術は、圧倒的に他人の作品の鑑賞で満足しており、その作者の創造的営みの苦悩を追体験しながら鑑賞しているわけではない。その点、日本の芸術は皆が創造者としての苦悩を体験しながら、自己満足で恍惚となれる。日本て人類の中で不思議な文化を持っている国なんだなあと思います。
他人の作品の鑑賞と言う意味での文学に付いては、私のブログ、『理系のための読書指南 1, 2』
http://ameblo.jp/texas-no-kumagusu/entry-1152879 …
と
http://ameblo.jp/texas-no-kumagusu/entry-1152944 …
にそれなりの私の意見が書いてあります。
>文学という範疇が大きすぎて
大変失礼いたしました。
日本の和歌、俳句、川柳が圧倒的多数の製作者と僅かな読者で成り立っている
という特徴は、インターネットの世界と共通するものですね。その現代的とも
いえる形式が日本においてかなり昔から存在していたということは、不思議で
す。その不思議さを探ってみたいです。
>この世に他人から読まれなかった秀作がどれだけ存在するか
同感です。さらに敷衍して言えば、全ての人がしゃべってきた会話の中に、芸
術的あるいは価値的なものの「原石」がどれだけあったのだろうとも思います。
残念ながらこれらのものは記録として残っていないものがほとんどです。が、
ネット上のことはサーバーに記録されています。
かと言ってコツコツ探す気にも探す気にもなりません。偶然の出会いを期待する
以外にないのでしょうか?
ここで一つ言えることは、例えば「サラリーマン川柳」のようなものがよく新
聞などに掲載されていますが、これらはだいたい作る方も選ぶ方も「表面的」
時代に縛られているといえると思います。逆に、私のような批判的な人間は、
力が入りすぎて、それが創造的作業の邪魔になるのではないかと思います。
(これはけっこう自覚しています)
自由な創造性が、価値ある芸術を生むと思います。ですから、そういう意欲の
ある人間から、あらゆる「縛り」がなくなればいいと思います。
いや、「縛り」がなくなる「べき」だと思います。
No.1
- 回答日時:
最近フランスで百数十名の死者を出した移民によるテロの悲惨さをまだ生々しく覚えていらっしゃると思います。
サルトルはベトナム戦争の時、難民救済のために移民を大量に受け入れる運動を大々的に展開した人です。その結果、長期的に見てフランスの内部で人種間の軋轢を招き、それが原因で多くの死者を出すと言う悲劇を招いた人です。所謂文化人は脳味噌の中で論理的な整合性を弄び、しばしば人間がDNAを持っている限り実現不可能な、だから現実とは無関係な理想郷を夢想して、
「私は正義とは何かを知っている。人間はこうあらねばならない」
と言い出して人々を先導し、後の社会に禍根を残して来たのが人間の歴史でした。サルトルは所謂文化人の中で高く評価されているようですが、彼の場合もご多分に漏れず、所謂文化人が危険な存在たりうることも認識しておくべきだと考えます。
ご回答ありがとうございます。
サルトルの言葉を引用したからといって、私がサルトルのことを敬愛
しているわけでなく、むしろ評価は微妙であることをまず申し上げて
>所謂文化人が危険な存在たりうることを認識しておくべき
という点については、賛成ではありますが、この「文化人」を「人間」
という言葉に置き換えた場合、大賛成ということになります。
人間が、「大衆」として生きてゆくことは、「自然本性」にしたがって
ゆけば概ね間違いなくゆけると思いますが、集団が大きくなり、文明が
複雑化することにより、政治権力、法律、思想、文化など様々なものが
生まれ、これらのものが十分に消化しきれないうちに、文明が巨大化し
てしまった、と、このような印象を持っています。
私は、人類で最も失敗したものは「政治」であると思います。最も多く
の人命を亡き者にしたのは「政治的判断」で、だから、「政治的権力者」
というものが、最も危険な存在であったと言えると思います。
しかし、「政治家」がいなければ政治的な仕事はできないし、「文化人」
がいなければ文化的な仕事はできないし、「科学者」にしても同様です。
政治にしても文化にしても何故うまくゆかないかといえば、それらが、と
ても難しいということと、人間というものの本性の一つとして、「慢心」
というものがあり、特に政治権力を手にしたり、文化人として高い評価を
得たりすることにより、その「慢心」が巨大化し「我こそは神なり!」
という「傲り」から間違いというものが生じてゆくものと考えています。
だから、危険なものは「文化人」だけでなく「人間」そのものであると思
います。
ところで先生は「文学」というものについて、どのように認識されていま
すか?
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